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ボディランゲージと潜在意識の関係について、語っているTEDトークを紹介します。
タイトルは、Body Language: The Key to Your Subconscious(ボディランゲージ:潜在意識への鍵)。
ボディランゲージと行動の専門家、Ann Washburn(アン・ワッシュバーン)さんです。
ボディランゲージ、TEDの説明
How we hold our body both demonstrates and determines who we are and our level of success. What are you telling people about yourself? Or worse, what are you telling your self about yourself?
どんな姿勢をとるかは、自分が誰であるかや成功のレベルを示しています。あなたは、自分について、他の人に、どんなことを語っていますか? さらに重要なことですが、あなたは自分自身に、自分のことをどう語っていますか?
収録は2016年の4月。動画の長さは15分39秒。英語字幕などがあります。動画のあとに抄訳を書きます。
シンプルなメッセージなのでわかりやすいと思います。
ワッシュバーンさんは、たくさんジョークを言っていますが、抄訳ではジョークを訳出していません。
潜在意識のプログラム
パソコンの画面に「ソフトのアップデート版があります。インストールしますか?」と出てくることがありますよね?
パソコンではたくさんの情報を処理するので、あやまったプログラムを使えば、あやまった結果になります。
だから、ソフトを更新するべきです。
実は、私たちの潜在意識も同じです。
潜在意識は毎秒、4千万の情報を処理しています。
この大量の情報を処理するために、潜在意識は、プログラムを選んでいます。
子供のときに選んで、大人になった今でも使っているプログラムです。
今でも、同じプログラムを使っていて、人生が変なことになっているかもしれません。
潜在意識のプログラムの更新もしたいですよね?
私は自分の潜在意識のプラグラムを更新する方法を見つけました。きょう、その方法を皆さんにシェアしますね。
認知の不協和
ちょっとゲームをしましょう。腕を組んでください。
次に、上に来る腕を逆にして組んでください。
どんな感じがしましたか?
変な感じでしたよね?
この不快感は、認知の不協和と呼ばれるものです。
認知の不協和とは、2つの相反する思考をもつと、不快に感じることです。
脳は、2つの相反する思考を持てないんです。
では、腕をほどいてください。
いつもとは違う腕を上にして腕を組んだとき感じたことが、相反するプログラムがあるときの感覚です。
認知の不協和を感じたときは、潜在意識のプログラムを更新する機会の1つです。
ボディランゲージは潜在意識にあることを伝える
さて、コミュニケーションには3つの要素があります。
話す言葉、言葉の調子、そして、ボディランゲージです。
ボディランゲージが伝えているメッセージが、話している言葉と一致していないとき、その話を聞いている人は、無意識に、聞いている言葉より、ボディランゲージのメッセージのほうを信じます。
潜在意識は、言葉とボディランゲージのメッセージの違いがわかるからです。
でも、なぜ脳は、同じときに、2つの異なるメッセージを発することができるのか?
それは、ボディランゲージは、潜在意識にあるメッセージを伝えるからです。
そして、潜在意識は、特定のプログラムで動いています。
潜在意識も、脳も、エネルギーを節約するようにできています。
省エネしようとしているから、新しいプログラムを導入するより、今あるプログラムを使うほうが簡単だと知っています。
でも、潜在意識のプログラムを更新することができるんです。
ボディランゲージに興味をもったきっかけ
ちょっと前、私は大変な目にあっていました。
ほかの人と交流しようとすると、すぐに議論をふっかけられるし、相手の行動を予想できないし、付き合いにくかったんです。
世間の人は、みんな意地悪なんだと思ってました。
だから、朝、子どもたちを学校に送り出すと、家に閉じこもっていました。
呼び鈴が鳴っても、電話がかかってきても出ませんでした。
どんなに努力しても、結果は悲惨で、努力するだけ無駄だと思っていたからです。
うまくいっている人を見ることはありましたが、私にはそんなチャンスがないと思っていました。
エンジニアとして働いていましたが、このとき、コミュニケーションとボディランゲージの勉強を始めました。
そして、トークの最初のほうで、皆さんにお話したことを学びました。
コミュニケーションやボディランゲージは私がほかの人と交わる方法を変えるチャンスを与えてくれたのです。
うまくやれている人もいるのに、私はうまくやれていなかったから、学んだことを実生活に取り入れるようにしました。
ボディランゲージの影響
ボディランゲージについて少しお話しします。
弱気になっている人は、弱くて、閉じたボディランゲージを使います。
肩が下がって、腕を組み、視線を下に落とします。そして、たいてい、片方の足だけに体重をかけます。
でも、強いと感じているときは、開いたボディランゲージになります。
腕は両脇におろし、肩やあごは上がり、笑顔になります。両方の足に体重がかかります。
当時、私は、弱くなっていましたが、強くなりたいと思っていました。
そこで、成功している人たちや、うまくいっている人たちを観察したんです。そして、彼らが、私とは違う姿勢をとっていることに気づきました。
弱くて、他人を恐れていた私は、よく腕を組んでいました。
ほかに腕を置くところを思いつかなかったから。
でも、成功している人たちは、腕を両脇におろしていました。
だから、私も真似しました。
古いプログラムが抵抗したが
このとき、私の脳の中では、不協和が起きていたはずです。
私の古いプログラムは、「他の人とかかわるのは、安全ではない」と言っていましたから。
でも、自分は強いし、居心地がいいし、開いているというメッセージを送り続けました。
手を使っていないときは、両脇におろすようにしたんです。
もし、私の潜在意識が、「腕を組んだほうが楽だよ」と言っても、「ううん、腕はここに置くの」と言い続けました。
「腕を組みなさいよ」「ここに置くの」「腕を組みなさいよ」「ここに置くの」
頭の中では、こんなやりとりが続いているようでした。
でも、しばらくしたら、潜在意識が、「ああ、彼女と議論するより、新しいプログラムを採用したほうが楽だわよね」と判断して、私は、変わったんです。
周囲の人は、これに気づきはじめました。
姿勢を変えるだけでプログラムが変わる
皆さんも試してください。
肩やあごを下げるとどんな気分ですか?
この姿勢になると、疲れて、重くて、うつうつとすると、多くの人は言います。
次は、逆に肩をあごを上げてみてください。
どんな気分ですか?
力がみなぎる感じですよね? 「目が覚めたぞ、私にはできる」みたいな。
姿勢を変えるだけで違いがあることを感じてもらえたと思います。
事実、2009年「ヨーロピアンジャーナル・オブ・ソーシャル・サイコロジー」という本に発表された研究によると、姿勢がいいときに、自己評価をすると、悪いときにするより、評価が上がるんです。
押しのける仕草をすべきではない
私はたくさんの人のボディランゲージを見てきましたが、大半の人が、押しのける(push away)仕草をします。
自分で押しのけておいて、不思議に思うんです。なぜ、昇進しないのか、昇給がないのか、機会を逃すのか、人間関係がうまくいかないのか、と。
人が押しのけるボディランゲージを見たいなら、ほめるのが手っ取り早いですよ。
誰かをほめるとどんな反応が返ってくるでしょう?
「ありがとう」。口ではそう言っていても、皆、ほめられた言葉を払ってしまうんです。
ほめると、急にパンツの表面や肩を払う仕草をします。
ほめ言葉を受け取れないのに、自分の中にやってくる他のものをどうやって受け取ることができるでしょうか?
そこで、私は、ほめられたら、ちゃんと受け取る仕草をするようにしました。
その言葉をすくい上げ、丁寧に心の中にしまうんです。
「ありがとう」と言いながら。
「ありがとう」と言うと、口角があがって、気分も変わります。
「ありがとう」と言いながら、ほめ言葉を胸にしまうと、潜在意識のプログラムも変わります。
私が変わったことに皆、気づきました。当時、13歳の息子も気づきました。
息子の潜在意識も変わった
引っ越しが多かったで、息子は、4つの違う中学に通いました。
4つ目の中学校に初めて行った日、帰宅した息子が腕を組んで、こう言いました。
「ママ、どうして、他の子は、ぼくをからかうんだろう?」
「あら、そうなの? じゃあ、ママが助けてあげる」
「もしかして、ボディランゲージ?」
「そうよ」
息子に1つボディランゲージを教えました。
ほかの生徒だけでなく、息子自身にも、これまでとは違うメッセージを伝えるものです。
片足だけでなく、両足に均等に体重をかけることを教えました。
片足だけに体重をかけるのは、「私は弱く感じている」というメッセージを伝えてしまいますから。
2週間後、息子から、「うまく行った」と教えてもらいました。
学年末になったとき、また、次の中学に引っ越すことになりましたが、息子は、「嫌だよ。この学校では、これまで行ったどの学校よりも、友達ができて、調子よかったのに」と言いました。
でも、私が教えたのは足の置き方だけなんです。
でも、それだけで、息子の潜在意識のプログラムが変わりました。
潜在意識のプログラムは誰でも変えることができる
潜在意識の新しいプログラムは、誰にでも用意されています。
問題は、それを、今、インストールするかどうか?
ボディランゲージを変えて、結果を変えましょう。
//// 抄訳ここまで ////
ボディランゲージと潜在意識に関するほかのプレゼン
2分で人生を変える方法「ボディランゲージが人を作る」(TED)
幸せになれる動きとは? 姿勢や動作が気持ちに与える影響(TED)
あなたの言葉がお金をためる能力に影響を与えている?(TED)
成功と失敗、そして創り続ける力:エリザベス・ギルバート(TED)
姿勢を変えてみる
実は私は、姿勢を変えただけで、潜在意識が書き換わるみたいなことは起きないと思っています。脳の思考のうち、95%が無意識だそうですから、それをいきなり、更新なんかしたら(更新が可能かどうかもわからない)、まったく違う人間になってしまいますよね。
でも、姿勢が思考や感情に影響を与えることはあると思います。
実際、部屋のすみっこで背を丸めて、体育座りをしていると、気分が暗くなります。
体を丸めていると、呼吸がしにくいから、脳に酸素が行きにくいので、そのせいもあるでしょう。
だから、姿勢はよくしておいたほうがいいです。
それから、人から何かほめられたら、「いえいえ」と、ほめ言葉を、払い除けるのもやめましょう。
ワッシュバーンさんのように、ほめ言葉は、ありがたく受け取り、心の中に大事にしまうべきです。
これを、ごく自然にできるようになると、今より、セルフイメージがよくなります。
実は、私も昔は、日本人式に、何かをほめられたら、「いえいえ、まだまだです」とか、「そんなことありませんよ~」と否定していたのですが、ずいぶん前に、「そういうのは感じが悪い」とカナダの人に言われたので、それ以後は、「ありがとう」と言って、受け取っています。
そうやってほめ言葉をちゃんとためていくと、ガラクタをためるより、ずっと楽しい生活になりますよ。