鏡を見る人

TEDの動画

自分を知るためにする効果的な問いかけ(TED)

過大評価でもなく、過小評価でもない、等身大の自分を知るヒントになるTED動画を紹介します。

タイトルは Increase Your Self-Awareness With One Simple Fix (ひとつのシンプルな方法を使って、セルフアウェアネスを向上させなさい)です。

プレゼンターは、組織心理学者(organizational psychologist)の、Tasha Eurich(ターシャ・ユーリック)さんです。

self awareness は自己認識、自我、自分を知ることです。自分に関する気付き、自覚とも言えます。

何か問題があったとき、自覚を伴っていたほうが、うまく解決できます。このプレゼンから、自覚に至る一つのヒントが得られます。



セルフアウェアネスを向上させる方法:TEDの説明

Self-awareness has countless proven benefits — stronger relationships, higher performance, more effective leadership. Sounds pretty great, right? Here’s the bad news: 95% of people think that they’re self-aware, but only 10-15% actually are! Luckily, Tasha Eurich has a simple solution that will instantly improve your self-awareness

自己認識をすることには、科学的に証明されたメたくさんのリットがあります。人間関係がうまくいき、パフォーマンスが向上し、よりうまくリーダーシップを発揮できる、というように。

とてもいいですよね? 

ですが、ここに1つ悪いニュースがあります。95%の人は、「自分は、自分のことをよくわかっている」と考えていますが、実は自己認識できている人は10~15%なのです。

幸いなことに、ターシャ・ユーリックは自己認識を即座に向上できる、シンプルな解決策を知っています。

収録は2017年の11月。動画の長さは17分17秒です。英語字幕があります。動画のあとに抄訳を書きます。英語はわかりやすいほうだと思います。

☆TEDの説明はこちら⇒TEDの記事のまとめ(1)ミニマリスト的生き方の参考に

自己認識に関する研究をしてきた私

テネシー・ウィリアムスはこんなことを言いました。

“There comes a time when you look into the mirror and you realize that what you see is all you’ll ever be, and then you accept it or you kill yourself, or you stop looking in mirrors.”

「人は鏡をのぞきこむときがある。自分の見ているものが、今後も続く自分のすべてだと思い、それを受け入れる人がいる。自分を殺してしまう人もいる。鏡を見るのをやめる人もいる」。

鏡といえば、こんな言葉もあります。

“If we spend too much time scrutinizing what’s in our rearview mirror, we’re certain to crash into a light post.”

「バックミラーばかり見ていると、電柱にぶつかる」。

私は数年にわたって、鏡を見ている人々、つまり、自分はどんな人なのか知ろうとしている人たちを研究してきました。

知りたかったのです。

自己認識とはなにか、どこから来るのか、なぜ必要なのか、どうやったら、もっと認識できるのか。

私のリサーチチームは何千人もの人を調べ、800件近くの科学的研究を分析し、自己認識が劇的にあがった人を何十人か面接しました。

はじめは、自己認識に長けた人を見つけるのは難しそうだと心配していました。実際そうでしたが、何人か見つかり、自己認識について大きな発見をしました。

それを今日、お話します。

皆さんが、ふだんどんなふうに自分のことを考えているのか、そのことについて考えてほしいと思います。

そのため、自己認識について常識になっているあることを否定するつもりです。

ですが、まず、自己認識とはなにか、お話します。





自己認識(セルフアウェアネス)とは何なのか?

セルフアウェアネスとは、自分自身を知り、自分が誰であるのか、他人が自分をどう見ているのか、どうやってこの世界に溶け込むか理解する能力です。

セルフアウェアネスは私たちにパワーを与えてくれます。

自分についてわかったことが気に入るとは限りませんが、自分を知っていると、安心できます。

自分自身を知っている人々は、より充実感を感じていると伝えるリサーチがたくさんあります。

よりよい人間関係をもち、よりクリエイティブで、自信があり、人とうまくコミュニケーションできます。

嘘をついたり、だましたり、盗みをしたり、といったことが少ないです。仕事もよりうまくいき、よいリーダーシップを発揮できます。

自己認識できている人は思ったより少ない

セルフアウェアネスの世界には、2種類の人々がいます。自分は自分のことがよくわかっている、と思っている人と、実際にわかっている人です。

私のチームのリサーチでは、95%の人は、自分は自分のことがよくわかっていると思っている人で、実際に、わかっている人は10%~15%という結果が出ました。

自分についてあやまった認識を持つ人が多いので、リサーチでは、4つのハードルを使って、厳密に評価しながら、自己認識できている人を探しました。

何百人、何千人という候補者の中から、自己認識できていた人を50人見つけました。

専門家、アントレプレナー、芸術家、学生、専業主婦/主夫です。

職種や年齢、性別などといった属性は自己認識の能力にはまったく関係がないのです。

この人たちを研究した結果、人が自分の考えや感情、動機をどんなふうに考えるのか、つまり、内省(introspection)ですが、これに関して、驚くべき事実がわかりました。

もしかしたら、間違ったやり方をしているかもしれないのです。

内省のやり方がまずいと不幸になる

私が内省に関する事実を発見した晩のことをお話しましょう、コロラドの春の夜、10時ごろのことです。

データを分析していて、すごくびっくりしました。

内省と幸福度やストレス、仕事の満足度の関係に関するデータです。

より深く内省する人は、より幸せになると思いがちですよね? データは全く逆を示していました。

内省する人は、よりストレスを感じ、うつ傾向で、仕事や人間関係に満足していませんでした。自分の人生をコントロールできていない、と感じていたのです。

より内省すればするほど、こういう結果が出ていました。

その後、男やもめに関する20年に渡る研究結果を見ました。配偶者を失くしたあと、その人がどんなふうに順応していったか調べたものです。

自分が失ったものの意味を理解しようとした人は、1ヶ月後にはより幸せで、うつっぽくなかったのですが、1年後は逆に、うつうつとしていたのです。

起こったことにとらわれたままで、前に進まなかったのです。皆さんも、こんな経験ありませんか?

私はあります。

自己分析のせいで、かえってネガティブな考え方のわなにはまることがあります。

自己を認識しようとすることが時間の無駄だと言いたいわけではありません。むしろ、その逆です。自分のことを知ろうとするやり方が間違っている、と言いたいのです。

自分について考えることは、自分を知ることとは関係がないのです。

私たちは、自分の悪感情の原因を探そうとします。友達とケンカしたあと、「なぜ私は、こんなふうに感情を乱しているのかしら?」と思います。

自分の信念を疑うこともあります。「なぜ、私は死刑に反対しているのだろう?」

よくなかったことについて考えることもあります。「どうして私は、会議で、口ごもってしまったのだろう?」

このように、「なぜ?(Why?)」と問いかけてしまうと、自分を知ることから遠ざかります。

その理由はたくさんありますが、2つだけお話します。

「なぜ?」と自問してはいけない理由

「なぜ?」と聞いてはいけない最初の理由はこうです。

専門家によれば、どんなにがんばっても、自分の無意識の考えや感情、動機を見つけることはできません。

顕在意識ではないところに、たくさんのものが隠れているので、本当だと思えるけれど、実は間違っている理由を作り上げてしまうのです。

例をあげましょう。

心理学者のティモシー・ウイルソンとリチャード・ニスベットの実験です。

二人はミシガンにあるスリフト・ショップの外にテーブルを置いて、まったく同じパンティストッキングを4足並べました。

そして通りを行く人に、好きなものを選ぶように言いました。

カスタマーリサーチによれば、人々は、右側にある商品を好む傾向があります。この実験でも、そのとおりのことが起こり、4対1の割合でD(1番右のパンスト)が選ばれました。

Dを選んだ理由を聞くと、みな、自信たっぷりに、Dがほかの商品よりよいから、と答えたのです。

リサーチャーが、「置く場所が影響を与えている」と話しても、それを信じようとはしなかったのです。

理由を聞くべきではない、2つめの理由は、よくない考えが、自分自身を理解するさまたげになるからです。

人は、脳はスーパーコンピュータみたいに、合理的に情報を分析し、正しい結果を導き出すと考えがちですが、これは違います。

1つ、例を出しましょう。

夫婦や恋人との関係がいまの状態である理由をリストアップするように言われたら、どうしますか?

仮に、とてもよい関係を保っているのに、たまたまきのう、食器洗い機の皿の入れ方で意見がわかれ、大きなケンカをしたとします。

リーセンシー効果のせいで、人は、このケンカに必要以上に大きなウエイトをおいてしまいます。

「まったく、彼のえらそうな態度にはうんざりするわ」とか、「僕の皿の入れ方が、なんだっていうんだ?」と思ってしまうかもしれません。

知らず知らずのうちに、2人の関係はうまくいっていない、と判断してしまうのです。

「なぜ?」と問いかけることで、別の事実を作り上げてしまうわけです。こういうことが続くと、真実の自分を知ることから遠ざかってしまいます。

「なぜ?」と聞くかわりに、「何を?」 と聞く

自己認識をうまくできている人が、どんなふうに考えるのか調べた結果、「なぜ?」よりも、「何を?」と問いかけていることが多いとわかりました。

「なぜ?」は150回未満、「何を?」は1000回以上登場していました。

いくつか例をあげます。

ブランドマネジャーのネイサンは、上司からひどい勤務評定をされました。彼は、「なぜ、僕たちはうまくいかないのだろう?」と考えるかわりに、「自分がこの仕事に適正があることを知らせるには、何ができるだろう?」と考えました。

この問いかけがすべてを変えました。ネイサンと上司はいまはとてもうまくやっています。

教育リーダーのサラは40代の後半で、乳がんと診断されました。「なぜ、私が?」と問いかけたとき、サラにとって、この診断は死刑の宣告のように響きました。

「私にとってもっとも大事なことは何だろう?」と問いかけたら、どんなふうに生きたいのか見つける助けになりました。

いま、サラは、病気が治り、自分にとって大事な人間関係を大切にする暮らしをしています。

ホセはエンターテインメント業界のベテランですが、自分の仕事が大嫌いでした。「なぜ、自分はこんなにみじめなんだ?」と聞いて、現状にとどまる代わりに、「どんな状況だと自分は不愉快なんだろう。そこにはどんな共通点があるのだろう?」と問いかけました。

すると、いまの仕事では決して楽しめないとわかり、その結果、彼は別の仕事につきました。

ターシャの例も付け加えましょう。

今年のはじめ、私はきょうお話しているのと同じ内容の本を出版し、満足感を感じていました。

ですが、ある日、著者が決してしてはいけないことをしてしまったのです。

アマゾンのレビューを読んだのです。

打ちのめされました。「なぜみんな、私の本のことで、こんなにつらくあたるの? みんなの人生がよくなるといいと思って、何千時間もの時間を費やしてリサーチし、執筆したのに」。

自己嫌悪のループに入ってしまいました。実際、私の人生で、もっともつらかったときの一つです。

数週間後、「そうだ、自分のアドバイスに従おう」と思いました。

そして、違う質問をしました。「私の本が、生活を変える助けになった」と言っている人だっているんじゃない?( “What about all those people who were telling me that my book has helped them change their lives.” )

この問いかけをしたら、まったく違う結果になりました。私自身ですら、うまく認識できなかったのです。難しいのですよね。

セルフアウェアネスが幸せを呼ぶ

自己認識できると、より幸せになる例をたくさん見てきました。手始めに、「なぜ?」ではなく、「何を?」と聞けばいいのです。

人間は自分が誰なのか、何を貢献したいのか、どんな人生を送りたいのか、理解する能力を持っています。

自己認識にたけた人は、自覚することが大事だとわかっていて、日々、よりうまく認識できるようにがんばっています。

誰でも同じことができます。

自己認識の旅は、終わることがありません。失敗や悲劇から学び、成長するのは、私たちの選択にかかっています。

最後に、ルーミーの言葉を紹介します。

“Yesterday I was clever, so I wanted to change the world. Today I’m wise, so I am changing myself.”

「きのう私は頭がよかった。だから、世界を変えたいと思った。きょう、私は知恵がある。だから自分を変えつつある。」。

単語の意味など

introspection  内省、内観
自分の思考、感情、振る舞いについて、自分で考えること。

excavate  掘る、発掘する

recency effect  リーセンシー効果 
直前のできごとが行動に影響を与えること。特に、直前に見た広告が、購買行動に影響を与えること。

mansplaining  男性が女性にえらそうな態度をとること(男のほうが女よりえらいと思っているかのように)
man + explain からできた言葉です。

ルーミー  Jalal ad-Din Rumi
13世紀のイスラム神秘主義者、詩人。彼の詩はアメリカでとても人気があります。

☆ターシャ・ユーリックさんの本。翻訳版はありません。

表紙クリックでアマゾンに飛びます。
 キンドル版もあります。

セルフアウェアネスは今のところ日本ではあまりなじみがないので、翻訳版は出ないかもしれませんね。

☆ティモシー・ウィルソンの本。

自分を知るヒントになるほかのプレゼン

我々は本当に自分で決めているのか?ダン・アリエリーに学ぶ、選択のミス(TED)

あなたの記憶はどの程度信用できますか?(TED)

実際の体験とその体験の記憶の幸福度は違う:ダニエル・カーネマン(TED)

本当の自分に出会う:セルフエスティームをあげるマニュアル(TED)

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サイコパス(精神病質者)テストへの奇妙な答え:狂気と正気の間にあるグレーゾーン(TED)

よりよく生きるために自己分析をしてみる

introspection(自分の考え、行動、感情について客観的に考えること)を「内省」と訳しましたが、内省という言葉、あまりなじみがないですよね。

「内省的な人は暗い」と言われるし、内省する人は、考えすぎて、うじうじしている、うっとうしい人、というイメージがあるかもしれません。

ですが、この introspection は客観的に自己分析することだと思います。

何のために自己分析するかというと、暗くなるためではなくて、より充実した自分らしい暮らしをするためです。

この目的を忘れると、ただ、くよくよ悩むだけの人になってしまうかもしれません。

分析するときは、分析に徹して、あまり、「いい、悪い」とレッテルを貼らないほうがいいですね。

「いい、悪い」なんて、状況次第で、どちらにも転びますから。

くよくよ悩みがちな人は、ターシャさんのいう、「何を?」という問いかけを意識的にするといいでしょう。

私は、理由を考えるのは悪いことではないと思います。ただ、使いどころを間違えると、自分に都合のいい、発展性のない理由(言い訳)を考えついて、そこで終わるかもしれません。

人間は後付けの理由を作り出しますから。

こういうときは、内省している自分をもう1段上から見るといいですね。

「なぜ?」ではなく、「何を?」と問いかけるのは、要するにポジティブシンキングです。

置きてしまった悪いことではなく、これからできることにフォーカスするわけです。

私の意見をまとめると:

●よりよく生きるために、自己分析は欠かせない(紙に書くのがおすすめ)。

●自分が考えていることを、もう1段上から客観的に見てみる

●ポジティブシンキングを忘れない

こうなります。





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