意思決定のワナ

TEDの動画

我々は本当に自分で決めているのか?ダン・アリエリーに学ぶ、選択のミス(TED)

より意識的に賢い買い物をするのに参考になるTED動画を紹介します。

今回は、TEDではすでに古典となっている、Dan Ariely(ダン・アリエリー)教授の Are we in control of our own decisions?(私たちは自分自身で決めているのか?)です。

邦題は、我々は本当に自分で決めているのか?



「我々は本当に自分で決めているのか?」TEDの説明

Behavioral economist Dan Ariely, the author of Predictably Irrational, uses classic visual illusions and his own counterintuitive (and sometimes shocking) research findings to show how we’re not as rational as we think when we make decisions.

行動経済学者で、Predictably Irrational(予想どおりに不合理)の著者である、ダン・アリエリーは、古典的な視覚の錯覚の例と、自身の、思いもよらない(時にショッキングな)リサーチの例を示し、人が意思決定をするとき、自分が思っているほど理性的に決断していないことを示します。

このプレゼンでは、人の決断が、自分以外のものにすごく影響を受けている例をユーモラスに紹介しています。

収録は2008年12月、長さ17分26秒、日本語字幕です。字幕なし、英語字幕はプレイヤーで選択できます。

グラフやチャートを多用しているプレゼンなので、できれば動画をごらんください。

アリエリー先生はとてもウィットのある人で、冗談がおもしろいのですが、要約ではすべてカットします。

☆トランスクリプトはこちら⇒Dan Ariely: Are we in control of our own decisions? | TED Talk | TED.com

☆TEDの説明はこちら⇒TEDの記事のまとめ(1)ミニマリスト的生き方の参考に

目の錯覚があるように、人の行動にもミスがある

人は物を見ることが得意で、脳の大部分を使っています。ですが、視覚も時に錯覚します。その錯覚はとても根強く、「それは錯覚である」と証明されたあとも、やはり同じように錯覚します。

それでは、視覚ほど脳が時間を使っておらず、あまり得意でない分野では、もっとミスを犯してしまうのではないでしょうか?

たとえば、お金に関する意思決定など。

これから、人の認識が錯覚をおこす例をいくつか紹介します。

認識の錯覚の例

臓器提供の決断

国によって、臓器を提供する人、しない人のパーセンテージがくっきりとわかれています。

それは宗教、文化、思いやりの違いでしょうか?

そうではありません。フォーム(記入する紙)の違いです。

「臓器を提供したい人はチェックを入れてください」というフォームを使っている国は、提供したい人が少なく、「臓器を提供したくない人はチェックを入れてください」というフォームを使っている国では、提供したい人が多いのです。

つまり、両方ともフォームにチェックをする人が少ないのです。

これは別に、人は思いやりがないとか、自分勝手というわけではありません。あまりに、深い問題なので、決断できず、チェックを入れないのです。

この場合、人は自分で決断しているようでいて、結果的にフォームを作った人が決めているようなものです。





医師の決断

意思決定が、外的要素の影響をうけるのは、医師のような決断のプロでも同じです。

腰の痛みに悩んでいる67歳の患者を、もう打つ手がないので、ヒップ・サージャリー(人口の股関節をつける手術)の専門家に送ることに決定しました。

その直後、薬を1つ、試し忘れていたときに気づいたら、ほとんどの医師が、手術をするのをやめ、薬を試すことにします。

ところが、2つの薬を試すのを忘れていた状況では、大部分の医師が、そのまま手術を受けさせることにします。

2つの薬のどちらを使うかという、決めなければならないことが1つ増えるからです。

旅行先を決める場合。ローマかパリか?

旅費、食費などすべて相手もちの週末旅行の行き先を決めます。ローマかパリか?このとき、もう1つ、あまり本質的でない選択肢を付け加えると人の意思決定が変わります。

すなわち、コーヒーつきのローマ、コーヒーのつかないローマ、パリの3つの選択肢を提示すると、コーヒーつきのローマ旅行が、がぜん魅力的に見えるのです。

雑誌『エコノミスト』の広告

定期購読の選択肢で、オンラインの購読のみ、59ドル、雑誌の定期購読のみ、125ドル、オンラインと雑誌両方、125ドルという、不思議な広告を見ました。

出版社に電話して、この不思議な広告の意図を聞きたかったのですが、はぐらかされてしまったので、学生を使って実験しました。

ほとんどの学生が、「両方で125ドル」を選びました。ところが、まんなかの「雑誌のみ125ドル」という選択肢をはずすと、「オンライン購読のみ」のほうを選ぶ人のほうが多いのです。

真ん中の選択肢は、誰も選ばないから役立たずですが、自分が望むものを選択させるという意味では、ひじょうに重要な役をになっているのです。

人の容貌の魅力も選択肢で変わる

同じぐらいハンサムなトムとジェリーの顔写真を見せて、どちらとデートしたいか聞いてみました。

もしこの2つの選択肢に、少し醜いトムの顔をまぜると、トムを選ぶ人が増え、少し不細工なジェリーの写真をまぜると、ジェリーを選ぶ人が増えました。

つまり、醜いトムやジェリーの顔があると、まともなトムやジェリーの人気があがるのです。

まとめ。行動経済学の意義

伝統的な経済学では、「人間の理性はすばらしい」と考えています。しかし、行動経済学では、その理性を信用していません。

人の限界を理解しようとしているのです。

物理的な物を作るとき、誰しも人の肉体的限界を考慮して作っています。ところが、そうでない物、ヘルスケア、リタイアメントプラン、株式市場などを作るときは、人の知覚の限界を考えていません。

人の認識にかかわるシステムを作るときも、人の限界を考慮すると、より良い世界をデザインすることができます。そこに行動経済学の希望があります。

—-要約ここまで —-

認識の限界に合わせたシステムを作れば成功する

動画の最後で、アリエリー先生が言っていたように、行動経済学を研究する究極の目的は、人間の理不尽な行動に合わせてシステムを作り、より豊かな社会を作ることだと思います。

私は、行動経済学を、日々の暮らしに取り入れると、いいののではないかと考えています。

あまり自分の理性や意志の力を信用すべきではありません。

無意識でいると、衝動買いしたり、いらない物を買って浪費し、貯金ができないし、明らかにいらない物なのに、捨てることができず、汚部屋になります。

物を捨てるとき、いちいちさわって、「ときめき」で決めようとすると失敗します⇒失敗しない断捨離に必要なのは、ときめきや直感より理性を信じること

人にはもともとそういう心理的傾向があるから、たとえ今、貯金ゼロでも、汚部屋の住人でも、自分を責める必要はありません。

これまでは自分の認識の限界を知らなかっただけなのです。

今後は、行動のクセを自覚し、それに合ったシステムを作っていけば、部屋はきれいになり、貯金も少しずつ増えます。

選択のクセは何度も自覚することが必要

現在、行動経済学は、大変人気のある学問です。今回のビデオも、とてもエンターテイメント性がありますね。

「人間っておもしろいなあ」と思ってみんな笑っていますが、視覚の錯覚と同じように、こういう話を聞いても、実際に自分が意思決定をする段になると、プレゼンで聞いたことはすっかり忘れて、不合理な決断をしてしまいます。

行動経済学を研究している人は、ビジネスやマーケティングの分野からたくさん研究資金を得ていると思われます。

人の認識の錯覚の仕組みを知って、人に物を売りたい人がたくさんいるのです。そして、こんなマーケティングをしています⇒無駄遣いの原因は心理的な思い込み。認知バイアスを知って上手な買い物を。

無駄遣いをしたくないなら、アリエリー先生の動画や、ドゥニ・ディドロの話⇒止まらない買い物を止める方法。ディドロ効果のワナを知れを何度も思い出し、日々の選択肢を増やさない(つまりミニマリストになる)努力をすると、いいのではないでしょうか?
~~~~~
アリエリー先生は、18歳のとき、お祭りの準備をしているとき、可燃物の爆発をおこして、からだの70%にやけどを負い、3年間入院していました。

ユーモアがなかったら、立ち直れなかったかもしれませんね。





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