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子どもたちは巣立ち、仕事も定年退職した。以前より自由に使える時間がたっぷりあるのに、なかなか部屋が片づかない。
そんな人が少しずつ暮らしを整えていくヒントをお伝えします。
退職後は社会的な役割から解放されて自由になると思われがちですが、実際には、役割を失った気がするし、生活のリズムも変わって、喪失感やむなしさを感じることも多いもの。
こうした状態にあるとき、部屋の片づけは後回しになりがちです。まず必要なのは、ものではなく気持ちの整理です。
この記事では、時間があっても片づけられない理由を整理して、無理なく片づけモードに入る方法を提案します。
この記事が役立つのはこんな人
この記事の対象として私が考えているのは、60代前後で、子どもはすでに成人して独立し、今は一人暮らしか、夫婦二人で暮らしている人です。
仕事や子育てに追われていた頃に比べると、時間の余裕はあります。日常生活は普通に回っており、いわゆる足の踏み場もない「汚部屋」ではありません。
ただ、家の中にはものが多く、棚やテーブルの上に置きっぱなしのものが増えています。探し物をすることが多く、少し不便だと思っています。
見た目のごちゃごちゃもなんとかしたいと思っています。
つまり、片づけたい気持ちはあり、「時間や体力のある今のうちに」と考えてもいます。
ただ、日々の生活に流されて、なかなか片づけに着手できない人です。
できない理由1:今の不便さに慣れている
片づけが進まない大きな理由は、今の暮らしに慣れていて、特に変える必要性を感じていないことです。
人は、困っていないことでなければ、なかなか対処しません。現状を変えるにはエネルギーが必要なので、そのままにしておくほうがラクなのです。
ものを捨てることは変化することですが、何かを変えれば、不確実なことも増えるので、今のままのほうが安全だと感じます。
特に、一人暮らしや夫婦二人暮らしの場合、誰かに見られるわけでもないので、人目も気になりません。
年に数回帰省する子どもに、「なんかものが多いね」とか「ちょっと片づけたほうがいいんじゃない?」と言われるぐらいです。
こんな人が片づけモードに入るには、大々的な片づけを始めようとしないことです。ものをたくさん捨てる必要はありません。
まずは、どこか不便なところはないか探してみてください。「ここがこう変わったら、もっと生活がラクになりそうだ」と思うところはないでしょうか?
片づけると、もっと暮らしやすくなりそうなことを見つけることから始めましょう。
できない理由2:汚部屋は嫌だが、片づける意味も感じられない
片づけた先に何があるのか、片づける目的が見えないと、なかなか片づけられません。多少部屋が整ったところで、生活が大きく変わる気もしません。
ただ「部屋をきれいにしよう」と思うだけでは行動する動機が弱いんです。
でも、筆子のブログで、「片づけてどうなりたいのか思い描け」と書いてあるのを見ても、なにも思いつきません。
こんなときは、片づける意味を無理に見つけようとしなくてかまいません。
未来のために片づけるというより、今を快適にすることに意識を向けましょう。
試しに、目の前に置きっぱなしになっているものを元に戻したり、もういらないものを少し捨ててみてください。
今、少しスッキリするし、部屋も使いやすくなります。
できない理由3:人生の総決算のように感じて、さみしい
もう定年退職をした人が片づけようとすると、これまでの人生に区切りをつける行為のように感じられてさみしさを伴うことがあります。
片づけることは、終活と重なって、死を意識した準備のようで、気持ちが重くなるのです。
ずっと大事にしてきたものや、かつて仕事や趣味でよく使っていたものを見て、「もう役目を終えた」「もう使わない」と判断するとき、何かが終わったような気がします。
もし、あなたがそうなら、片づけを人生を総括する行為だと考えなくて大丈夫です。
不用品を捨てることは、今の暮らしにくさを解消する作業です。これは終活ではなく、ひとつずつ不便を解消して、今と明日をよくすることだと考えてください。
できない理由4:判断がつらいものばかりで、手が止まる
定年退職する年齢の人は、思い出の品をたくさん持っています。
写真、手紙、記念品や趣味のコレクション。こうしたものは愛着を持ちやすいので捨てるのは簡単ではありません。
すでに他界した人と撮った写真がたくさん収められているアルバムや箱は、さわることを想像するだけで、胸が痛くなることもあります。
思い出品を前に気持ちがひるむときは、感情が動かないものから捨ててください。
・見ても、大きく感情が揺れない
・捨ててもいくらでも代替品がある
・目に見えて量が減る
こんなものを少し整理してみましょう。
たとえば、明らかにこわれているもの、使い切れないほどある試供品や片方しかない靴下、フタのないタッパー、何年も開いていない書類などは捨てやすいと思います。
捨て作業をする気になれない。そんなときにおすすめする超簡単な断捨離。
できない理由5:「もう年だし、子どもがやればいい」と思ってしまう
「今さら無理をしなくてもいい」「いずれ子どもたちが片づけるだろう」と思って、片づけを先延ばしすることがあります。
もしかしたら、子どもたちもそう言ってくれているかもしれません。
体力や状況によっては、人の手を借りるのは悪くありません。
でも、できる範囲で、自分で片づけたほうがいいと思います。
人に片づけてもらうのは、自分の人生の運転席から助手席に移ることではないでしょうか?
片づけを通じて、今の自分に必要なものと役割を終えたものを区別していくと、暮らしの指針や心構えができていきます。
定年退職後は仕事という大きな軸がなくなるので、暮らし方の軸を自分で見つけ直す必要があります。
指針があれば、日々の選択や行動に意味が生まれて、より前向きに楽しく生きられます。
60歳を過ぎても、残りの人生はまだまだ長いです。趣味や新しい学び、社会参加などやることはたくさんあります。
こんなときに暮らし方の指針があれば、自分の価値観にそって、優先順位をつけられます。
思い出品を整理するのは、つらいかもしれませんが、来し方行く末を考えるいいチャンスです。
あえてやらなくていいこと
時間はあるのに、片づけを先延ばししている人は、片づけを大げさに考えすぎている可能性があります。
また「いつかそのうち片づければいい」と優先順位が下がっています。急ぐ理由が特にないので、後回しが続くのです。
そこで、しんどい片づけにつながることはあえてやらないようにしましょう。
たとえば、こんなふうに決めるのはどうでしょう?
・一日で部屋をきれいにしようと思わない
・思い出の品を今すぐ整理しようとしない
・片づけを老後や人生全体の話に結びつけない
片づけを特別なイベントにしないことも大切です。
時間を確保して気合を入れてやらなきゃ、と思うとそれだけでハードルが上がってしまいます。
あまり「ちゃんとやろう」と思わず、簡単なことを積み重ねるのがおすすめです。
邪魔になっているものを捨てる・どかす、目についたものを元に戻す、明らかに不要なものを一つ捨てる。こんな行動を気楽に続けてみてください。
だんだん片づけモードに入ることができます。
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時間はたっぷりあるのに、なかなか片づけられない人が、片づける行動に入るコツをお伝えしました。
ポイントは以下の4つです。
・あまり大げさに考えないこと
・世に出回っている「捨て方」「部屋をきれいにする方法」にこだわらないこと
・とりあえず何か捨ててみること
・不便をひとつずつなくすと考えること
確かに今すぐ片づけをしなくても、生活は回ります。
でも、ふだん少しでも片づけると、確実に暮らしやすくなります。
洗濯ものをまとめたり、食事の後片付けをするときなど、いつもしている家事のついでに、ちょっとそのへんを整理してみましょう。
片づけてスッキリした気分をしっかり味わえば、また片づけたくなります。














































