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健康・アンチエイジング

最終更新日: 2017.09.3

環境ホルモンとは何か、その影響など基礎的なことをわかりやすく解説

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環境ホルモンについてできるだけわかりやすく説明します。なんだかわからないけど、人体に影響があるらしい、健康に悪いらしい、というあいまいな理解で暮していませんか?

基本的なことを理解しておくと、地球の将来のために行動できるようになると思います。

前回の記事で、そもそもホルモンはどういう物質なのか説明しました。簡単にまとめておきますね。



ホルモンとは?

ホルモンは内分泌腺(ないぶんぴつせん)で作られる化学物質です。

内分泌腺の例は、脳下垂体(のうかすいたい)、甲状腺、副腎、膵臓(すいぞう)、精巣、卵巣など。

ここから血液中や体液に放出されたホルモンは、めざす器官に脳のメッセージを伝えます。その後、その器官が言われたように働き、人の恒常性(ホメオスタシス)が保たれ、すこやかに暮らせます。

ホルモンの量は多すぎても少なすぎてもよくありません。ホルモンは量的にとても少ないのですが、人間のからだにとって大切な役割をはたしています。

詳しいことは前回の記事をどうぞ⇒知っているようで知らない、ホルモンとは何?わかりやすく解説しました

環境ホルモンとは?

今から、20年ほどまえ、アメリカで、この内分泌系のシステムを妨げる化学物質が外部にあると1冊の本に書かれ、世に出ました。

こうした物質は、ふだんは人のからだの外にあります。人体とは全く関係ない物質です。しかしそれが体内に取り込まれると、人のホルモンと似た働きをします。

しかし本物のホルモンではないので、本物のホルモンの働きを邪魔します。ホルモンと同じように、ほんの少しでからだの調子が悪くなってしまうのです。

こうした物質を「内分泌かくらん物質」と呼びます。からだの中で作られるのではなく、私たちの周囲、つまり環境にあるので、別名「環境ホルモン(environmental hormone)と呼ばれ、こちらの呼び名のほうがよく使われています。

環境ホルモン、内分泌かくらん物質は同じものをさしています。

また、「内分泌の、ホルモンの」という意味の英語、endocrine(エンドクリン)を使い、環境ホルモンが起こす問題を、エンドクリン問題とも呼びます。

環境ホルモンはどうやって発見されたのか?

1950年代から野生動物の生態にさまざまな異常が出てきました。ワシやワニの生殖能力が衰えたり、カモメの巣に異常にたくさんの卵が見つかったり、オスのヒョウがメスみたいになったり。

ほかにも、特定の動物の数が急に減少しました。かと思うと、発生率があがった動物もいます。

1996年に世界自然保護基金(WWF)のシーア・コルボーン博士とそのグループは、『奪われし未来(Our Stolen Future)』という本を出し、こうした減少は環境にある化学物質のせいだということを世に伝えました。

環境中に放出された化学物質が、哺乳類、爬虫類、鳥類、軟体動物に異常を起こす可能性がある、と世間で大騒ぎになりました。

環境ホルモンはどうやって生まれるのか?

昔はなかった環境ホルモン。なぜ突然こんなものが出てきたのでしょうか?

それは人が石油を原料にしてさまざまな化学物質を作り、それが私たちの生活に身近になったからです。

特に化学物質で作られた製品を燃やすときに出るダイオキシンが問題になっています(後述)。

環境ホルモンはどんなふうに人体に作用するのか?

環境ホルモンの人への影響はまだまだ未知のことが多く、研究段階です。

そもそも本物のホルモンについて、すべてがわかっているわけでもないのです。人のからだにあるホルモンは脳の伝言を伝えるものです。ある特定のホルモンは特定の器官にだけ伝言を伝えることができます。

その器官の細胞の表面かどこかに、ホルモンの伝言を受け取る、ホルモン受容体(レセプター)というのがあります。

環境にある、うそのホルモンが、体内に入ると、ホルモンと似ているため、あるレセプターにうその伝言を渡してしまいます。にせの通達を受け取った器官は、ふつうとは違うちょっと異常なことをしてしまいます。

そして、生殖異常、たとえば精子が減少したり、流産、死産、オスのメス化など生殖の異常が起きます。ADHD(注意欠陥多動性障害)など、病気の原因であるとも考えられています。

前回も書いたように人間のホルモンは、伝達を渡したあと、それを出した内分泌系器官に戻る(フィードバックする)ので、卵巣、精巣、脳に異常が出ます。

ADHDは先天的な脳の損傷のせいもありますが、母親が妊娠中に有害な毒物を摂取すると起きるとも言われています。

その毒物の1つが環境ホルモンです。

ADHDの記事を書いたとき、なぜそうなるのか理由を書いたところ、本人もADHDで子供もADHDという方から、「まるで母親のせいみたいに思われるから迷惑です」というクレームのメールが届きました。

この記事です⇒ADHD(注意欠陥他動性障害)の原因と行動の特徴とは?汚部屋に関係あるの?

タバコのニコチンが原因なら、母親の不注意と言えますが、現代に生きる人々は全員知らず知らずのうちに環境ホルモンを体内に取り込んでいます。

それは本当に微量で影響があるのです。

それにADHDの場合、私たちの身の回りにある複数の毒物が微妙に相互に作用しあっているはずです。

食器の釉薬(ゆうやく)に入っているかもしれない鉛やカドミウムだって毒物です。

釉薬に入っている毒についてはこちらに書いています⇒森修焼(しんしゅうやき)のマグを使う理由はこれ~安全にこだわった食器です

母親のせいではないのです。環境ホルモンを出す製品を作り続ける人類全体の責任と言えます。





具体的な環境ホルモンの例:PCBとダイオキシン

環境ホルモンで人々が思い浮かべる言葉は、PCBやダイオキシンです。

PCBはPoly Chlorinated Biphenyl(ポリ塩化ビフェニル)のこと。おもに石油から合成された油の一種です。

絶縁油として、使いやすい性質を持っているので、工場や建物、電車なんかで使われていました。「いました」と過去形で書くのは、その毒性のせいで使用禁止になったからです。

昭和43年に、カネミ油症事件というのがありました。カネミと言うメーカーの米ぬか油の中のPCBが加熱されてダイオキシンという物質になり、これを食べた人が食中毒を起こしたり、顔に黒い吹き出物が出たり、爪が変形したり、まぶたが腫れたのです。

これを治す方法はいまだにわかっていないそうです。

PCBは製造中止になりましたが、廃棄できずにいます。そのへんに捨てたら、海に入り込み、まわりまわって人体に入るからです。

やっかいなことにPCBは食物連鎖しているあいだに、だんだん濃縮されるのです。環境汚染の原因になりますし、実際、南極のペンギンの体内からPCBが検出されています。

以前、除草剤として使われていたダイオキシンはポリ塩化ジベンゾダイオキシンのことで、塩素化合物です。

これは猛毒で発ガン性があるということから使用禁止になりました。

ゴミを燃やすとダイオキシンが発生します。昔は私の母も庭にドラム缶を置いて紙ゴミを燃やしていたし、小学校にも焼却炉がありましたね。

しかし、ダイオキシンが出るから、一般人はゴミを燃やせなくなりました。

ダイオキシンはたまに「ダイオキシン類」と書かれていますが、実はいろいろな種類があります。人体に有害なものから、猛毒なもの、ちょっぴり毒性のあるものなど。

また物を燃やしているときに出る毒物はダイオキシンだけではありません。

まだまだ、それが何であるのかよくわかっていないのです。

ほかにも環境ホルモンはありますが、また別記事でまとめます。

環境ホルモンはどうやって体内に入るのか?

内分泌かくらん物質は大気、土地、海からからだの中に入ります。

環境が汚染されると、食物連鎖のせいで人間のからだに到達するのです。

また、環境だけでなく食べ物からじかに体内に入ることもあります。家畜を早く成長させるためにホルモン剤を打つことがあるのですが、こういう肉を食べれば当然体内に入ります。

特に汚染されている肉は牛肉、鶏肉、豚肉とのこと。牛が1番危ないです。だから、赤身の肉を食べない人が、外国には多いです。

カップ麺の容器など、発泡スチロールも環境ホルモンをだすと言われていますね。ほかにもいろいろありますが、これも別記事にまとめます。

*******

環境ホルモンについて、ごくごく基本的なことをまとめました。この物質については、まだまだ研究途上ですが、人体に影響があることは確かだと思います。

断捨離をしてるとゴミをすごく出してしまいますよね。それはダイオキシンの発生源になっています。しかし、家の中にゴミを入れたままにしておいても、あとで結局焼却です。

いったん完全に断捨離して、持たない暮しにシフトし、残りの人生はできるだけ無駄な物を買わず、ゴミを出さないのが、未来の子供たちの安全を守ることにつながる、と書くと大げさに思われるでしょうか?

ゴミをためこむことは、今や自分ごとだけにはとどまらないのです。





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