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充実した人生を送るための参考になるTEDトークスを紹介しています。今回は、クリステン・ハディード(Kristen Hadeed)という女性の、How to retire by 20(20歳までにリタイヤする方法)というプレゼンです。
アーリーリタイヤメントとかヤングリタイヤメントに関する話ではありません。彼女は20歳でリタイヤせず、逆にこの頃、起業しています。
20歳までにリタイヤする方法
クリステンは大学在学中に、自分が情熱を傾けることのできるビジネスを始めました。どうやって好きなビジネスを持てたのか?それは子供のころから、好奇心と情熱を大事にしていたからです。
TEDXのプレゼンで、日本語字幕はないので、詳しめの和訳を動画のあとにつけます。
※TEDの説明はこちらです⇒TEDの記事のまとめ(1)ミニマリスト的生き方の参考に
10歳のときリタイヤプランを書いていた
これは私が10歳のとき書いたリストです。どうしたら20歳になる前にリタイヤできるのか、考えていました。
ベビーシッター、ヤードセール、犬の散歩、12番目に「株を買う」と書いて止まっています。これでリタイヤできると思ったのです。
ノートの下にこんなメモがあります。「計算機が必要」と。
私はちょっと変わった10歳でした。たいていの女の子はバービーで遊んでいたけど、まあ、私も人形遊びをしましたが、世の中の仕組みを知りたいと思っていました。
自分のまわりの人のこととか。そして特に興味があったのが、お金をもうけることです。
5歳のとき、ウエイトレスとして働いている絵を描いています。そのうち、自分自身のレストランを持てばいいと気付きました。店の名前は「ステーキとシェイク」です。
小学校1年のとき、エルマーグルー(アメリカの小学生が学校で使う白いのり)が大好きでした。こののりを机にちょっぴりつけて、翌日はがして爪につけることを思いつきました。つけ爪です。毎朝つけ爪を売ってました。
ある朝、先生が席変えをして、私の元の席に座った子が、私の作ったつけ爪を売りさばきました。でもその日、学校が終わってからグリッターグルー(ラメの入ったきらきらしたのり)を買いました。
グリッターグルーで作った爪のほうが、白い爪よりずっと人気でしたよ。
6歳のときは、ベビーシッターになりたかったので、ベビーシッタークラブのチラシを作りました。チラシに「私は信用できます、経験豊富です」なんて書いてました。
ガールズクラブのチラシも作りました。このクラブに入るためには、お金がいるし、私が作った13のルールに従う必要があります。
人の悪口を言わないとか、手をあげないとか、発言する前に手をあげるといったルールです。最後に、「リーダーのクリステン様、ありがとうございます」と署名しろなんて書いてます。
このクラブに入ったのは私の妹だけ。彼女はまだ文字が読めなかったのです。
3年生になる前の夏はレモネードスタンドをやりました。詳細なマーケティングプランを書き、「お客さんに値段を決めさせる。そのほうがお金になる」と書いていました。
このとき、「人は小さな女の子が好きだ」とわかっていたんです。だから、値段は安く設定して、「もっとお金を払いたいならそうしてくださってもかまいません」と言ってました。事実、お客さんは上乗せして払ってくれました。
1杯のレモネードに5ドルも。でもレモネードを売るのにあきたので、次は小売りを始めました。妹のローレン(Lauren)を誘って「LKバラエティーショップ」を作りました。
父が木でスタンドを作ってくれたので、自分たちでペンキ塗りをしました。毎週末、道ばたでいろいろな日用雑貨(household items)を売ってました。
妹には暑い日なたで物を売らせ、私は涼しいところでお金を受け取っていました。そのうち妹はやめたので、友だちのアシュレーを新しいパートナーにリクルート。
実は両親の物をだまって売っていたので、母が見つけたとき、店を閉めなければなりませんでした。
コミュニティを巻き込むプロジェクトを計画して成功
こんなふうに子供のときからいろいろなプロジェクトをやっていましたが、成長するにつれて、もっと意味のあることをやるようになりました。
15歳のとき、私に6年連続で科学系の学科を教えてくれた先生が乳がんになりました。両胸を切除したのに予後はあまりよくありませんでした。
私は友だち5人と一緒に、「プロジェクトピンク」を作りました。匿名で、火曜日は学校の生徒全員がピンク色の服を着るように働きかけました。
火曜日は、先生が放課後、キーモセラピーをする日でした。このプロジェクトは街全体に広がり、火曜日はみんなピンク色の服を着ました。
学校だけでなくコミュニティ全体が先生を応援していると、先生に知らせることができたら、先生の力になれると思ったのです。
数カ月後、先生の乳がんがよくなったと聞いたので、ピンクプロジェクトを始めたのは自分たちだと名乗り出ました。スクールバンドを教室に呼んで、私たちが1年間の思い出をまとめたキルトを先生に贈りました。
みんなで先生の命を救ったのです。素晴らしい体験でした。
このときこれまでの自分の人生で、最もパワフルだと感じました。とても強烈な感情に襲われたのです。15歳のとき、それが何であるのかわからなかったのですが、とにかく強烈でした。
このとき、今後は、自分がこういう感情を持てることだけをやっていこうと誓ったのです。今思うとこの感情は「情熱(passion)」でした。
大学在学中に学生のクリーニング会社を作った
フロリダ大学に行っていたある日、ずいぶん高いジーンズを欲しいと思いました。両親に「買って」と頼みましたが、「とんでもない、仕事を見つけなさい」と言われました。
そこで、どこかの仕事に応募するかわりに、クレイグズリスト(Craigslist 北米でもっとも使われている広告サイト兼地域コミュニティサイト。ふつうの人が無料で広告を出せます)に「掃除します」と広告を出しました。
子供のときから掃除するのは平気だったし、良いお金になると思って自宅の掃除をしてました。今思うと両親にはずいぶん買い叩かれましたね。だって4時間で10ドルくれただけですから。
人の家の掃除をしばらく続け、これをビジネスにすることにしました。友だちを雇って、少しずつ手を広げました。
大学を卒業するとき、とても有名な会社の金融の仕事のオファーがありました。2010年当時では、夢の仕事です。でも、私はすぐに断りました。
その仕事には1つ足りないことがあったからです。15歳のとき、今後自分が追い求めていこうと思った気持ちには全然なれなかったのです。
私はクリーニングのビジネスに情熱を燃やしていました。クリーニングの仕事を選んだとき、周りの人は理解できなかったと思います。
卒業して2年後、私は「ストューデントメイド」という会社を持ちました。ゲインズヴィルでもっとも大きいクリーニングと住宅管理サービスの会社です。去年300人の学生を雇いました。
好奇心とクリエイティビティを大切にする家に育った
皆さんはこんなふうに思っているでしょう。両親がいろんな事業をやっているから、私もこうなったんだろうと。違いますよ。父は弁護士だし、母は保育園をやっていましたが、育児をするために仕事をやめました。
私の家は、好奇心を大事にする家だったんです。小さいとき、両親が大きな電化製品を買った時、私たちが遊べるように大きな箱を居間に何週間も置いていたことがあります。ただの箱ですが、4歳の女の子にとってはお城で、自分はお姫さま。
イマジネーションを育むことができます。両親は私たちに、「なりきり遊び( play pretend)」をするように、勧めました。
宿題を手伝ってくれたかというと、全然です。絶対答えを教えてくれませんでした。その代わり、自分自身で問題を解いて得られる自信を与えてくれたのです。
両親は、私たちが失敗するのを見るのを恐れませんでした。4年生の総代の選挙に私が出たいと言ったとき、私が当選する確率は低かったのですが、両親は選挙に出るように勧めました。
なぜなら、失敗から人は大事なことを学べるからです。たとえば、どうやって立ち直り、また挑戦するか、とか。4年生のときは当選できませんでしたが、5年生のとき、めげずに再チャレンジして、当選しました。
もっとも大事なことは、両親は有言実行の人であったこと。両親が、私と妹にやれと言ったことで、自分たちもやっていなかったことは1つもありませんでした。
両親は、いつも好奇心とパッションを追い求めるように言いました。父は、自分が興味のない仕事は断っていたし、母は仕事に情熱を持てなくなったときやめています。
私が今日この場に立っている唯一の理由は、創造力と好奇心を何よりも大事にする家に育ったからです。
好奇心が創造力の原動力
好奇心を持つことはあまりよいことのように捉えられていません。パンドラの箱をあけたパンドラはそこまで悪いことをしたのでしょうか?
「好奇心は猫を殺す」ということわざもあります。実はこれはある言葉の一部だけなんです。全体は「好奇心は猫を殺す。そして、満足感が猫をよみがえらせる」なんですよ。
好奇心は悪いものではなく、むしろ私たちに人生そのものをもたらしてくれるものなのです。
好奇心いっぱいの人は私だけではありません。巨額のお金を使って火星を探検しているNASAもそうだし、有名なマンガの主人公、キュリアスジョージもそう。
コロンブスもマゼランも、交易のルートが欲しかったなどの理由もあったでしょうが、好奇心があったからこそ、船で探検に出たのです。
皆さんに聞きたいのです。「好奇心を持っていますか?」と。自分がわくわくするようなことを追い求めることを自分自身に許していますか?
夢見ることを許していますか?真の夢を、夢見ることを。
それとも好きでない仕事をし続けることが、1番得策だと思っていますか?今更、人生を変えるには遅すぎる、他人にどう思われるのか、心配だから、なんて理由で。
夢見ることはあきらめて、自分が何に情熱を傾けられるのかわからないし、見つけようともしない。もし好奇心を失っているなら、内なる子供(inner chail インナーチャイルド)を叩き起こすときです。
好奇心を持てば持つほど、人はよりクリエイティブになるんです。
クリエイティブな人というのは、別に何か新しいものを発明しているわけではありません。2つの全く関係のない体験から学んだことを合体させているのです。
好奇心が強ければ強いほど、ふつうなら結びつきそうもない点と点をつなぐことができます。つまり、世界を180度変えてしまうような、より独創的なアイデアを思いつくことができるのです。
子供のとき持っていた情熱を思い出せ
私たちは子供のとき、もっとも人間らしく生きています。何時間も休みなくお絵描きをします。なぜなら、クリエイティブな精神を邪魔をするものは何もないからです。
実はそのクリエイティブな精神は、みんなまだ持っているのです。ただ、それがどんな気持ちだったか忘れているだけです。23歳だろうと83歳だろうとその感情をよみがえらせるのに、手遅れなんてことは決してありません。
過去や未来について心配するのをやめて、と言いたいです。この2つ、あなたには変えることはできません。今この瞬間にフォーカスしてください。知らない人に会ったり、知らない場所、知らない物を体験してみてください。
もっと本を呼んで、もっと質問して、新しい体験をすることに積極的になってください。1番大切なのは、自分の内なる子供の声に従うことです。
自分が何をやっているのか、どこに向かっているのかわからなくてもいいんです。そのうち、わかってくるはずです。今はただ、自分はこの先に行けば何か大きなことがあると信じてください。
今、自分の過去を振り返ると、自分のビジネスを持つことを運命づけられていたと思います。子供のときやったいろいろなビジネスプロジェクトが、今の私の会社として結実したのです。
特にプロジェクトピンクから学びました。私の真の情熱は、だれか他の人のためになることをすることだと。
だから、私の会社ではガンの患者には無料でサービスを提供しているし、過去2年間、4000時間、コミュニティーサービスをしています。
意味のある人生とは、結果ではありません。プロセスが大切なのです。もし、自分の内なる子供の声に正直に従うなら、きっと自分が夢見ていることよりもっとすごいことが起こるはずです。約束します。
そして、全く考えてもいないときに、自分が情熱を傾けられることを見つけるでしょう。そして、これまで自分にはできっこないと思っていたことをやっているでしょう。
最後に、再度、「どうやって20歳になるまでにリタイヤするか」というリストを見て終わりにします。リストの6番にこう書いてあるんです。「ハウスクリーニング」と。
10歳のとき、13年後、こんなところに立って、「クリーニングサービスの会社を経営しています」としゃべっているなんて全く想像していませんでした。
でも、私の内なる子供は、私の中に何があるか知っていたんですね。皆さんもそうだと思います。
—– 抄訳終わり —–
パッションのないところに成功するビジネスはない
この動画のタイトルが、「20歳までにリタイヤする方法」なので、それを知りたくて、動画を見た人は、肩透かしをくらって、YouTubeに怒りのコメントをたくさん書いています。
「20歳までにリタイヤする方法」はクリステンが10歳のとき書いた幼いビジネスプランの名前なのです。
彼女のプレゼンは、どうやって若いうちにお金を貯めるのかを教えるノウハウではなく、その背後にある精神について語っています。
若くしてリタイヤできるお金をためる原動力は、好奇心を持ち、自分のパッションに従うことなのです。
お金の貯め方のノウハウはたくさんあるかもしれませんが、万人にあてはまるものではないでしょう。ごくふつうの人が20代、30代でリタイヤできるほどお金をためたいなら、たぶん会社に勤めていては無理です。起業するしかないのですが、このとき、絶対パッションが必要です。
その点、彼女は正しいことを言っています。
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好奇心を育てる家庭を作ること
見る人によって、この動画から学べることはたくさんあると思います。私は、クリステンの両親が、子供の好奇心や創造力を育てるのに熱心であった、というところが素晴らしいと思いました。
子供がいる人はわかるでしょうが、これは簡単なことではありません。たとえば、うるさい子供を静かにさせるために、長時間テレビを見せたり、おもちゃをたくさん買い与えることは、子供の好奇心を殺すことにほかなりません。
ですが、実際問題として、現代の親たちは自分もいろいろ忙しいです。テレビに子守させたことがない人は、少ないと思います。
私も夕食の支度をしていたときは、娘にテレビを見せていました。
またクリステンの両親は、子供たちが失敗するのがわかっていても挑戦させたそうですが、これも言うは易しです。
誰だって自分の子供が失敗して、がっかりしている姿は見たくないですから。だけど、子供のうちからどんどん挑戦させないと、将来大きな夢にむかって進んでいくような人間にはならないのですね。
私の娘はもう17歳でかなり育ってしまっているのですが、今からでもいろいろなことに挑戦するよう、促していこうと思います。また、私自身も挑戦して、その姿を見せてあげたいです。