考え事をしている女性

TEDの動画

自分の考えにやみくもにコントロールされない方法(TED)

外的状況に振り回されて疲れている人におすすめのTEDトークを紹介します。

タイトルは、How to stop your thoughts from controlling your life (あなたの考えが、あなたの人生をコントロールするのを止める方法)

起業家、心理学者、哲学者の Albert Hobohm (アルバート・ホボム)さんの講演です。

タイトルのthoughtsは、考えや思考ですが、熟考したうえの思考ではなく、状況に反応して得る思考です。



考えを制御する:TEDの説明

Albert Hobohm shares life-altering, personal and professional ideas on how to take charge of your reality. Through alarming statistics and hands-on solutions, Hobohm shows us our critical situation as a species and how to start taking control over our mental operating systems.

アルバート・ホボムは現実の受け止め方について、人生を変えるような、個人的で専門的な方法をシェアします。

憂慮すべき統計と実践的な解決策を通して、ホボムは、私たちが種(しゅ)として危険な状況にあることと、精神的なオペーレーティングシステムを制御し始める方法を紹介します。

動画の長さは15分。2017年の12月、ストックホルムで収録された講演です。字幕はありません。動画のあとに抄訳を書きます。

☆TEDの説明はこちら⇒TEDの記事のまとめ(1)ミニマリスト的生き方の参考に

15分と長いんですが、ホボムさんは、ゆっくりしゃべっているので、情報量はそこまで多くありません。

主張していることも、ごくシンプルな内容です。





自分の考えをコントロールできていなかった

きょうあなたが考えたことのうちいくつが、人生のゴールに近づく助けをしてくれましたか? 逆にいくつがゴールに近づく邪魔をしたでしょうか?

皆さんは、何を考えるかコントロールしていますか?

これらの質問の回答を私がはじめて知ったとき、衝撃を受けました。

4年前、私はタイの仏教の僧院にいました。

僧院の暮らしは厳しいです。わらのマットの上で、木の枕を使って寝ます。起床は午前4次30分。毎日10時間瞑想をします。食事は米と野菜だけで、バケツの水でシャワーをします。

ある日、朝、瞑想をしていたときブレイクスルーが訪れました。自分が考えることを、ほとんどコントロールできないことに気づいたのです。

子どもの頃からの、自分の人生を振り返ってみると、私の心はいつもさまよい、気が散ってフォーカスできていませんでした。

その理由とは?

今の時代を生きるふつうの人と同じように、刺激を受けすぎていたからです。

そういう暮らし方をしていたから、気持ちが落ち着かず、思考をコントロールできていませんでした。

20年ものあいだ、私は自分の中で何が起こっているのか気づいていませんでした。それがどう機能しているのか、考える余地がなかったからです。

いつも自分のためになる思考をしているわけではない

スウェーデンの元僧侶であるビョルン・リンデブラッドは、数年前に、普通の生活に戻るまで、18年仏教の僧侶として暮らしました。

普通うの世界にもどってきたとき、ジャーナリストが彼にこう聞きました。

「ビョルン、18年僧侶を務め、毎日、なんの邪魔がない中、何時間も瞑想したことから気付いた一番重要なことってなんですか?」

彼は、「私は自分が考えていることを全部信じることはなくなりました」と答えました。

あるふれた言葉に聞こえるでしょうが、違います。この話をするために、きょう私はここに来ました。

皆さんは、自分の考えを自由に選べるし、その結果、建築家になり、自分自身の人生を自由に構築できるというラディカルな考え方を伝えるために来たんです。

このコンセプトは、瞑想の技術の根底にあるものです。ある人にとっては、なじみのある考え方で、ある人にとってはまったく新しい考え方かもしれませんね。

「もしかしたら、あまり科学的ではない話なのかもしれない、どうしてヒッピーがTEDのステージにいるんだろう」と考えている人もいるかもしれません。

今、皆さんがどんな見方をしていようと、今から13分、偏見なしに、私の話に耳を傾けてほしいと思います。

現代の危機的状況

今、歴史上はじめて、十分食事できないことよりも、食べ過ぎのせいで死ぬ人が多い時代です。

毎年、戦争や犯罪、テロリストがもたらす死よりも多く、自殺が起きています。

このグラフは、今日、アメリカ市民の75%が太り過ぎであることを示しています。

スウェーデンでは、60%近くです。

これは、ADDと診断された17歳未満の子どもたちに処方された、アンフェタミンベースの薬剤が、10年でどれだけ増えたか示すものです。

これは、スエーデン国民の10人に1人が、抗うつ剤を処方されていると示しています。アメリカでは、もっと多くの人が処方されています。

これらは、由々しきデータですが、私自身の個人的なデータでもあるんです。

10年前、14歳のとき、突然母がなくなり、いろいろと大変なことが続きました。

その数年後に、私は依存症になりました。カナビス、砂糖、タバコ、ビデオゲームの中毒になったんです。

数年間、母が永遠に去ってしまった事実の痛みからつねに気をまぎらわせる生活をしていました。

常に刺激にさらされる文化

私たちの文化では、生まれたそのときから、刺激を求めるよう育てられます。

世界もそのように動いています。私は、ドラッグの話だけをしているわけではりません。

映画を見ること、スポーツを見ること、クリームチーズを食べること、音楽を聴くこと、ポルノを見ること、買い物をすること。

すべては、刺激を与えてくれますが、これらは人のニーズに対する回答なんです。

私たちは、自分で自分をコントロールすることができず、刺激をくれる対象に自分の考えをコントロールさせてしまいます。

私の場合、これがものすごくひどい状況だったんです。

金持ちだろうと、仏教の僧侶であろうと、高校の先生であろうと、ある程度、あなたは自分の考えに支配されています。でも、この状態を変えることができるんです。

現実は思考の反映にすぎない

アメリカの心理学者で哲学者のウィリアム・ジェームスはこう言いました。

「思考は認識になり、認識が現実になります。思考を変えれば、現実が変わります」。

私たちの生きる世界は、質においても性格においても、私たち自身の思考の反映にすぎません。

自分や子どもたちが住みたい世界にするためにできることは、唯一、思考を変える方法を学ぶことです。

思考にコントロールされるのをやめて、自分自身の考え、そして現実をコントロールできる、もっとも重要な2つの方法を紹介します。

これは、私が母を失くしたトラウマをいやしたやり方であり、ビョルン・リンデブラッドが18年の僧侶の生活から得た洞察であり、ウィリアム・ジェームスの言葉の核になる考え方です。

瞑想の実践

1回15分の瞑想を、週4回行う習慣が、私の人生を変えたし、皆さんの人生も変えます。

瞑想は、マインドフルネスができるようになる技術です。

それは、一定の時間、呼吸のような刺激のない何かに、意識をずっと向けさせようとすること。

瞑想をすれば、より静かな気持ちになり、過剰反応しなくなり、より理性的になり、うまく行動できるようになります。

しかし、瞑想の究極のゴールは、自分の心を客観的に見ることです。

たくさんの考えからできた蜘蛛の巣を想像してください。蜘蛛の巣のそれぞれの意図が、異なった思考回路で、異なった場所にのびています。

瞑想を何度かやってみると、私たちは、自分の思考パターンに気づくことができ、その思考がどこに向かうのかわかるので、べつの思考を選ぶことができるようになります。

これは、私が僧院で体験したことでした。

私はどの思考が、自分を不安にさせるのか、そして、同じことを何年も繰り返していたことがわかるようになり、不安ではなく、もっと建設的なものに思考を向かわせることができるようになりました。

自分の思考の蜘蛛の巣の構造が少しずつわかるようになれば、どの思考がどの感情につながるか、予測できるようになるんです。

すると、ストレスや不安、怒りではなく、落ち着いた気持ちや静かな感情、より高い集中に、自分の気持ちを導くことができます。

論理上は、とても明快ですが、こうするためには、常に刺激を受ける生活をするのではなく、スペースが十分ある静かな気持ちでいる必要があります。

情報のインプットを制限する

人は人が食べたものでできていると言いますよね?

では、よくない情報が、思考に影響すると考えたことはありませんか? 悪い情報を取り込みすぎて、不健全な気分になったり、肥満したり、依存してしまったりすると。

情報や、ガラクタのようなデータが、毎日、どんどん気持ちの中に入り込んでくる時代ですが、こうしたジャンクデータは、私たちの心に影響を与えます。価値観に影響をもたらし、ニーズや欲望を起こし、ときには考え方まで変えてしまいます。

どんな情報を取り入れるか、注意深く選ばなければなりません。うまく情報を取り込めば、より望ましい気持ちでいられるし、自分で気持ちをコントロールできるようになります。

ジャンクをばらまくメディア

毎日、死、セックス、恐怖、テロリストの記事であふれたタブロイド紙をたくさん読むことが、自分のためになるでしょうか?

メディアソースを賢く選んでください。メディアはただ情報を伝えるためにだけ作られていることはめったにありません。

メディアの一番の目的は、目を引くヘッドラインをつかって、ユーザーの興味を引くことであり、それは、事実を犠牲にして行われています。

ソーシャルメディアは適正に使えば素晴らしいツールですが、濫用すると、壊滅的なツールとなります。

SNSのように、短い時間で、中毒性のある、大量にうずまく刺激はありません。

「フェイスブック依存障害(Facebook addiction disorder)」という障害が実際にあります。SNSを過剰に使うと禁断症状と長期的な不安が起きるのです。

ピッツバーグ大学の最近の研究によれば、ソーシャルメディアを使えば使うほど、社会的に孤立していると感じるようになります。

そして、社会的に孤立していると感じれば感じるほど、人は、ソーシャルメディアを使いたくなります。

まさに、SNSは薬物を濫用するような悪循環を作りだしています。だから、意識的にSNSを使用してください。さもないと、SNSにコントロールされてしまいます。

広告も厳選する

広告も、汚染された情報の元になります。たとえば、甘い不健康な製品の広告がたくさんありますよね?

砂糖は、世界的に健康を脅かすものの1つで、ヘロイン、コカイン、アンフェタミンの3つを合わせて起きる死よりもたくさんの死をもたらしています。

では、私たちはどうしたらいいのでしょう?

市場から砂糖や砂糖でできた製品を締め出す? もちろんそんなことはできません。

砂糖や甘い食べものが悪いのではありません。問題は、外部にあるわけではない。

私たちが甘い食べ物の広告にさらされ、そうした食べ物を消費するとき、自分の感情や衝動を自分でコントロールすべきなのです。

甘いものの消費を促す広告が、必ずしも自分のためにはならないと気づくべきです。

自分のOSをアップデートしよう

人のオペレーションシステムは、何万年もかけて進化をとおしてデザインされてきました。

常に脅威のある環境で、リソースが少ない中で生き延びることができる行動に、報酬を与えるようにできています。

そのような世界では、はちみつをできるだけたくさん食べることや、自分のテリトリーに入ってこようとする別の部族の人間を殺すことは、サバイバルを意味しました。

しかし、もはや人間は「十分ではない」ジャングルにはいませんが、ジャングルを出る過程で、「十分ではない」という考え方を身に着けたのです。

人の環境は様変わりしたのに、私たちのオペレーションシステムは驚くほど旧式のままです。今こそ、アップデートするべきです。私たちは賢いサルから、意識的な存在に変わらなければなりません。

みなさんは私と同じホモ・サピエンス。賢い人間で、意識というものを発達させてきた初めての生命体です。みなさんは、進化の頂点にいます。

きょう私がお話ししたことをよく考えたうえで、これからどうするか決めてください。

というのも、みなさんが一番恐れるべきなのは、過酷でトラウマのような恐ろしいできごとそのものではなく、そうしたできごとに対する反応をコントロールしようとしない自分自身だからです。

結局、自分の考えに全責任を負う能力が、あなただけでなくこの世界全体の進路と成長を左右するのです。

//// 抄訳ここまで ////

思考のコントロールに役立つほかのプレゼン

心のパフォーマンスを最適化するには?~チンプパラドックス(TED)

テクノロジーがあふれた世界でスペースを作る方法(TED)

推論のはしご~自分の考えについて考える技術(TED)

脳科学者が伝える心配を鎮める方法(TED)

アウェアネス(気づき)とつながる方法~実は瞑想はとても簡単(TED)

どのように物事を見るかがすべて(TED)

いやな気分よ、さようなら(認知行動療法入門):TED

ほかにもたくさんあります。

情報という刺激を求めすぎない

外的状況に短絡的に反応しないために、ホボムさんは、瞑想をすることと、情報を取り込みすぎないことを進めています。

悲観的なことを考えがちな人は、やってみてください。

ここでは、特に、情報の制限をおすすめします。

情報は人の考え方や行動に大きな影響を与えます。

たとえば、買い物を肯定する情報、たとえば、他の人が、「いろいろなものをたくさん買って、幸せです」みたいなことを言っている情報にたくさんふれていると、「買い物っていいことなんだ、私を幸せにしてくれるんだ」と思ってしまいます。

ホボムさんが、砂糖がたくさん入っている食品の広告について言っているように、買い物そのものは、そこまで悪いことではありません。

そもそも、買い物しないと生きていけません。

問題はさして必要でないものを、やたらとたくさん買ってしまうこと。

買い物を全肯定していて、あれが安いからお得だ、これがかわいいから買うべきだ、そんな情報ばかり目にしていると、「セールでいろいろなものを買うことは、私のためになる」という思考が生まれます。

そして、「あると便利そうだからとりあえず買っとこう」と買ってしまうのです。

その結果、無駄なものにお金を使って、部屋の中のガラクタを増やします。

買い物を否定的に語るメディアはまずないので、せめて情報を取り込みすぎないようにするべきでしょう。

ほかの刺激に対しても、注意を払ってください。

悲観的で否定的な、あなたの成長をはばむ言葉ばかり聞いてはいけません。

自分に関する嘘を信じる結果になります。





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