ノーと言う人

TEDの動画

大事なものにイエスというために、ノーと言いなさい(TED)

本当はいやなのに、しっかり断らず、にこにこと「いいですよ」と言って、あとでストレスをためたり、心の中で文句を言ったりする。

こんな生活をやめたい人の参考になる動画を紹介します。

タイトルは Say No To Say Yes (イエスと言うためにノーと言いなさい)。プレゼンターは社会学者のカリン・アヴィヴさんです。

ノーと言えば、自由になれる、自分が本当に大事なものを大事にできる、という主張です。

いやなときに、ノーと言えない人におすすめの講演です。



イエスというためにノーと言え:TEDの説明

In this TEDx Talk Dr. Caryn Aviv talks about the reasons why it’s ok, and in fact better for us, to be able to say NO and how saying no can be saying Yes to what you need and want.

このTEDトークで、カリン・アヴィヴ博士は、なぜノーと言ってもいいのか、ノーと言ったほうが自分のためになるのか語ります。

ノーと言うことは、自分が必要なものや求めているものにイエスと言うことなのです。

収録は2012年の12月、動画の長さは15分52秒。字幕はありません。英語はそんなに難しくないです。動画のあとに抄訳を書きます。

イエスと言って、あとで怒っていた私

[最初のストレッチをする部分は省略します]

いまから話すことは、私にとって、大きな気づきをあたえてくれるものでありながら、とてもつらく、恥ずかしい話です。

私は大学教授で、たいてい1学期に3つクラス、受け持ちます。ある学期中、友達から電話がありました。

「自分はすごく忙しい、悪いけど、私の代わりに午後2時に犬の散歩に行ってくれないか」と頼まれました。

3時にクラスがあるし、どうしようと考えたのですが、結局、「もちろんいいわよ!」と答えました。

電話を切るやいなや、私はこころの中で、文句を言い始めました。友人の家に向かって車を運転している間も、犬を散歩させている間も、終わって帰ってくるときも、腹立たしく思っていたのです。

なぜ、こんなことをすると言ってしまったのか、大忙しだわ、と。





自分はイエスと言いすぎていると気づいた

このとき、自分はイエスと言いすぎているのではないか、と思いました。高血圧で、夜中の2時に目が覚めることが多く、いつも不幸な気分でいるのは、何にでもイエスと言っているからではないのか、と。

私は社会学の研究者だし、調べてみよう、と思いました。

みなさんも、同様のことがありませんか? 何かにイエスと言ったあと、頭の中で、文句を言い始めることが。

お金にならないのに、やるべきだからという気持ちから、仕事を引き受けたことがありますか?

ボランティアの仕事を頼まれ、小さな嘘をついて断ったあと、罪悪感を感じたことは?

ノーと言いたいのにイエスと言って、あとで、すごく嫌な気分になったことはありますか?

外側に承認を求めるから人を喜ばせようとする

きょう私がお話するのは、この他人を喜ばせる問題(people pleasing、相手の機嫌をとること)についてです。

誰でも、人を喜ばせようとして自分を偽ることがありますが、特に少女や女性にとってはよくある問題ではないでしょうか?

人を喜ばせる問題とは何か? 私の定義はこうです。

人を喜ばせる問題は、外側に肯定 (affirmation) 、許可(acceptance)、承認 (approval) を求めることです(3つをあわせて3Aと呼びます)。自分の中に求めるのではなく。

少女や女性は、成長する過程で、こうすることを学んでいます。

外的ソースに3Aを求めるとき、人はしばしば、自分のことを犠牲にして、イエスと言ってしまうのです。

自分自身を犠牲にして、外的状況に、肯定、許可、承認を求めると、自分の力が失われてしまいます。

自分自身であることが損なわれ、エネルギーも奪われます。

そのエネルギーは個人的なものとしても、社会としても失われ、経済にも影響があります。

私たちは、最初に提示された給料にイエスと言って、交渉することはありません。

自分の本当のミッションには関係のない仕事でも、それをするのが正しいのだと思って、イエスと言います。

その結果、自身の誠実さが失われ、自分自身でいられなくなります。

自分がやりたいことがあるのに、他の仕事をすることで忙しくなります。

イエスと言ってしまうのは、外的ソースに、肯定、許可、承認を求めているからです。

なぜ、外側に承認を求めてしまうのか?

どうしてこんなことをするようになってしまうのでしょうか?

生まれてすぐ、両親から学ぶのです。 私は両親を愛していますが、両親が、最大の原因であるのは確かです。

言われたことをすれば、つまり、イエスと言えば、私はほめられ、許可や承認を得られると、教え込まれました。

メディアからも学びます。友達からも学びます。

自分が引けば、人は自分のことを好きになってくれるし、いつも言葉の語尾をあげて質問するような話し方をすれば、無礼でアグレッシブな人だとは見られません。

大学の授業中で、よく見かける光景があり、そのたびに私はとても悲しい気持ちになります。

「私の言うことは、たいしたことじゃないし、ばかげていると思うのですが」と始めたあと、すばらしい洞察や質問が続くのです。

すばらしい発言をして、会話に貢献しようととしているのに、なぜ、あやまる必要があるのでしょうか?

小さなときから人を喜ばせるようになる

人を喜ばせることは、根強い問題であり、少女や女性は、ずいぶん小さいときからそうするようになります。

私自身もそうですし、友達もそうです。私が教えている高校や大学の生徒たちも同じです。

とても悲しいことです。だって、もう2012年だし、女性運動の第二の波は、1960年代に始まったのですから。

もうずいぶん前です。私たちが、自分たちのことをちゃんと知り、いかにパワフルになれるか学ぶ時間は充分あったはずです。

ノーというのはとても難しい

問題はノーと言うのがとても難しいことです。

ノーと言ったら、愛されないのではないか、受け入れてもらえないのではないかと恐れます。

ノーと言ったら、拒絶され、友達や家族として受け入れてもらえないのではないかと思います。

自分の真の目的やミッションにそぐわないからノーと言うと、将来の機会を失うのではないかと恐れます。

だから、とりあえず、イエスと言ってしまいます。

断り始めると大きな反動がある

私の経験からも言えるのですが、これまでずっとイエスと言ってきた人が、ノーと言い始めると、大きな反動があります。

周囲の人は怒ります。以前は、みなさんを利用していたのですから。「この人はいつもイエスと言う、イエスが当たり前」と思っているのですから。

ノーと言われるはずがないと思っているところに、ノーと言われると、家族、友人、職場での関係において、たくさんの摩擦が起きます。

心も痛みます。

断ったあとのことを考えてみると

ノーと言い始め、いろいろな反応に出会うと、頭の中で、「もし~したら~だろう」と考えるようになります。

例をあげますね。

もし、最初に提示された給料に対して、ノーと言い、自分の本当に欲しい額、オファーされた額より2万5千ドル多い額を提示したらどうなるだろう? だって、私はそれだけ受け取る価値があるから。

もし、私が、こう言ったらどうなるだろう。私は料理や買い出し、掃除、洗たくが大嫌いだから、家事を平等に分担するのはどうかしら? 私はこれだけやって、この日は私は何もしないからね。

友達にこう言ったらどうなるでしょう? あなたに会いに、街を横断して運転するのはとても大変だから、私の家で会うか、私の家の近所で会うか、中間地点で会わない? だって、もううんざりだから。

愛している人や家族にこう言ったらどうなるでしょうか? あのね、もう私にそういう話し方しないでくれる? あなたのことは愛しているけど、お断りよ。

境界線や制限をもうけるのはいいことよね。私がどんなふうに扱われたいのか、それを決めるのは私だから、もうそんなことを私に対して、できないわよ。

すると強烈な反動が起きます。

ノーと言うことは自由と解放を得ること

ノーと言うことは、自由や解放を意味します。

ノーと言えば、自分にとって意味のあるものや、大事なものに使うスペースがよりたくさんできるからです。

それに心も穏やかになります。

自分が好きではない仕事やボランティアをすることに対して、ノーと言えば、時間ができます。

自分自身であることをよしとしない人とつきあうことに対してノーと言えば、自分自身でいることを、無条件で受け入れてくれる友達や家族と過ごす時間が増えます。

いやなことにノーと言えば、より自分に正直でいられます。

休憩時間に考えてみてください。より自由になり、自分らしくいるために、ノーと言えそうなことはないかな、と。

ノーというための10のコミットメント

私はユダヤ教の教えの中で育ちました。ユダヤ教には十戒(Ten Commandments)というすばらしい教えがあります。

私は、commandement (命令、掟)という言葉は好きじゃありません。人に命令されるなんていやですよね。

commitment(約束、コミットメント)という言葉のほうが好きです。コミットメントは自分自身やコミュニティ、人々との関係にかかわる言葉です。

自分より大きな存在との関係もあります。信念や運動、人生における主義や目的、なんでもいいのですが、そういうものとの関係にかかわっています。

ここで、ノーと言えるようになるための、10のコミットメントを紹介します。

1)私はノーということを選択できます

人は自分で思っている以上に多くの選択肢を持っています。

2)私は正直になり、自分自身でいます

本当のことを言うとは、ノーと思うときにノーと言い、イエスだと本当に思ったときにイエスということです。

3)自分が必要なもの、求めているものを率直に頼みます

わたしが教えている女子高生や女子大生は、あまり率直ではなく、人を操縦するような態度で、イエスなのかノーなのかはっきり言いません。

自分が求めているものをはっきり言えれば、こんなことは起こりません。

4)恨むことなく、生きていきます

ノーと言えば自由に生きられます。義務に苦しめられずに。

5)休養をとることを大事にします

6)ノーということについて、あやまりません

7)他人を喜ばせるために、自分を損なうことはしません

8)イエスということで、自分のパワーをだめにはしません

9)よくわからないときは時間を取ります

誰かに何かを頼まれても、すぐにイエス、ノーと答えず、よく考えてから答えるようにします。

10)本当にイエスと思うときだけ、イエスと答えます

これは、私自身、毎日、自分に思い出させていることです。

本当にイエスだと思ったときだけ、イエスと答えれば、そのことを大事に扱い、明確に、意図とやる気をもって行うことができます。

最後に、ヒレルの名言を紹介します。1800年前の有名なラビです。彼の言葉はきょう私がお話したことをうまく伝えています。

- もし私が私自身のためにそうするのでなければ、いったい誰が私のためにそうしてくれるのか?

- もし私が私のためだけに存在するのなら、私とはいったい何なのか?

- 今じゃないなら、いったいいつなのか?

ところで、私に犬の散歩を頼んだ友人は、犬を散歩させる人を雇いました。

//// 抄訳ここまで ////

単語の意味

speechify  演説をぶつ、長々とまくしたてる

blowback  反動

divvy up  ~を分ける、分配する

manipulative  人を操縦するような、人をそう仕向ける、腹黒い

resentment  憤り、うらみ、敵意

自分に正直になることをすすめるほかのTED

不安な心(ヴァルネラビリティ)に秘められたパワー:ブレネー・ブラウン(TED)

毎日疲れているあなたに。心の境界線を引いてストレスを減らし、自由になる(TED)

幸せは自分の心の中にある、幸せをアウトソーシングしてはいけない(TED)

もう完璧を追い求めるのはやめよう:イスクラ・ローレンス(TED)

自分のお金の問題についてもっと正直になろう(TED)

他人と比較する文化を超越して生きろ(TED)

自分を知るためにする効果的な問いかけ(TED)

自分の気持ちを尊重することがシンプルライフにつながる

心身ともにシンプルに暮らすためには、相手の喜ぶことを優先するより、自分が喜ぶことをするほうが重要です。

人がどう思うか、ではなくて、自分がどう思うかを優先するのです。

もらいものを断れなかったり、頼まれごとを断れなかったり、相手に自分の意見をはっきり言わなかったりしたあげく、大きなストレスをかかえて、悩んでいる人からよくメールをいただきます。

ノーと言わないせいで、自己嫌悪を感じたり、相手をものすごく恨んだり、相手を極悪人(自分勝手な人、とか)に仕立て上げたりする人もいます。

「別にいいんです、私さえがまんすればいいんですから」と相談メールに書いてくる人がいますが、すごく怒ってるんですよね。

「がまんします」なんて言ってるところからして、すでに快く承諾できていません。

それに、がまんする価値のあることとないことがあります。

最初にしっかり自己主張していれば、こうした悩みの大部分は、回避できるんじゃないでしょうか?

以前、もらいものを押し付けられるのも、ノーと言って断るのも、どちらもストレスです、というメールをもらったことがあります。

その場合、自分のためになる行動を取ればいいですね。相手の機嫌を取るのではなく。

つまり、いらないなら、はっきりノーと言うのです。

買いたくないなら、はっきり、いりません、と言います。

そのときは、ちょっと勇気がいります。 嫌われてしまうかもしれない、関係がぎくしゃくするのがいや、という恐怖を感じるかもしれません。

ですが、あとで文句を言ったり、恨みをいだいたりするより、ずっとましです。

アヴィヴさんが言うように、多くの人は、相手を喜ばすことが、習慣になっています。無意識の行動になっているのです。

もやもやすることが多いなら、自分はしっかり断れているか、自己主張できているか、考えてみてください。

他人がどう思うかではなく、自分がどう思うかを大事にする練習をしていけば、ストレスも軽減されていくでしょう。

*****

manipulative(マニュピラティブ)は訳しにくい言葉です。人の形容に用いるときは、あまりいい意味では使われません。

manipulativeな人は、自分の要求をはっきり言わずに、言動や態度などで、自分の思い通りに人が動くよう操縦するような人です。策士とも言えます。

こういう人を好きな人はいません。

「嫌われたくないから」という理由で、とりあえず、イエスと言ってしまうと、マニュピラティブなことをする結果になりがちです。

あとで、余計な時間やエネルギーを使うことになるのです。

真の意味で、嫌われたくなかったら、正直でいたほうがいいのではないでしょうか? つまらない小細工をすることにエネルギーを使うこともありません。





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