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選択肢が多い現代、どれがいいのか迷ってしまってなかなか決められないことがあります。
ネットで買い物をしようとしたら、似たような商品がずらりと並んでいて、レビューを読めば読むほど迷う。レストランを探していたら、候補が増えすぎて結局どこにも決められない。
こうした迷いの正体と、すっきり決断する方法を教えてくれるTEDトークを紹介します。
タイトルは How to Make Faster Decisions(もっと速く決断する方法)。
スピーカーは投資家で作家の Patrick McGinnis(パトリック・マクギニス)さんです。
マクギニスさんは FOMO(取り残される不安)という言葉の生みの親としても知られています。
このトークを見ると、FOMOよりもっと厄介な FOBO について知り、迷いを手放す具体的な方法がわかります。
もっと速く決断する方法
収録は2020年。TEDの The Way We Work シリーズのひとつで、長さは約5分。日本語字幕あり。短いので気軽に見られます。
◆TEDの説明はこちら⇒TEDの記事のまとめ(1)ミニマリスト的生き方の参考に
以下に、私がこのトークのポイントを紹介します。
FOMOより厄介なFOBO(よりよい選択肢を逃す不安)とは?
FOMO(Fear Of Missing Out)は、みんなが自分より楽しそうなことをしているのではないか、自分だけ取り残されているのではないか、という不安です。SNSが一般的になるにつれて、よく聞くようになりました。
でも、このトークが注目するのは、もうひとつの厄介な心理です。
それが FOBO、Fear Of a Better Option。日本語に直すと、もっといい選択肢があるかもしれないという恐怖です。
私たちは選択肢がたくさんある時代に生きています。朝のコーヒーより安い靴ひもを1組買おうとしただけで、何千もの商品と何百ものレビューを見なければなりません。
ほかにもっといいものがあるのではと思うと決められない。これがFOBOです。
選択肢がたくさんあるのはいいことのように思えます。
でもFOBOにはまると、あれこれ比べるだけで時間とエネルギーをどんどん使ってしまいます。考えれば考えるほど動けなくなるこの状態を、マクギニスさんは分析マヒ(analysis paralysis)と呼んでいます。
では、どうすればいいのか。
マクギニスさんは、まず決断の重さを見極めることが大事だと言います。決断には3つのレベルがあり、それぞれ対処法が違います。
レベル1:結果がどうでもいい決断は運に委ねる
1つ目のレベルは、 no stakes(結果がどうでもいいもの)です。
たとえば、テレビで何を見るか。何千もの番組があるから迷いますが、何を選んでも数時間後には忘れています。
こういう決断にFOBOで悩むのは、エネルギーの大きな無駄遣いです。
この場合、自分で考えずに何かに委ねることがおすすめです。
選択肢を2つに絞ってコインを投げる。腕時計の秒針がどっちを指しているかで決める。マクギニスさんはこれを、宇宙に任せると言っています。
ポイントは、考える時間をかけないことです。
レベル2:少し影響がある決断は人に任せる
2つ目のレベルは、ちょっとした決断(low stakes)です。
結果はあるけれど、どれを選んでも致命的にはならない。許せる範囲の選択肢がいくつかある、という場面です。
たとえば、仕事で使うプリンターを選ぶ、出張先のホテルを予約する、社員旅行の行き先を決めるといったことです。少しは考える必要があるけれど、数週間もすれば忘れる程度の決めごとです。
対処法は、自分で全部考えるのをやめて、人に任せることです。基準だけ伝えて、信頼できる人にひとつ選んでもらい、その提案をそのまま受け入れます。
あちこちに意見を聞いてまわることはしません。目的は自分の手から手放すことであって、後回しにすることではありません。
こうしたちょっとした決断をさっさと片づけると、本当に大事な決断に向き合うための時間と心の余裕が生まれます。
レベル3:人生を左右する決断はトーナメント方式で
3つ目のレベルは、大事な決断(high stakes)です。
どの家を買うか、どの仕事を受けるかなど、長い目で見て人生に影響を与えるものです。こういう決断は、さすがにコインを投げるわけにはいきません。
マクギニスさんは、3つのステップを提案しています。
まず、自分にとって何が大事なのか、基準をはっきりさせます。次に、それぞれの選択肢について情報を集めます。そして、トーナメント方式で比べていきます。
まず、直感でいちばんよさそうなものをひとつ選びます。これが本命です。残りの選択肢を、本命と1対1で比べます。基準に照らして負けたほうを消す。また次の選択肢と比べて、負けたほうを消す。これをくり返して最後のひとつに絞ります。
ここで大事なルールがあります。一度消した選択肢は、絶対に復活させません。消したものに何度も戻ると、またFOBOのループにはまります。
どうしても決められないときは、5人以下の信頼できる人に相談します。奇数にしておくと、意見が割れたときに多数決で決まります。
そして、決めたら覚悟を決めることが重要です。
テクニックの話のあと、マクギニスさんは視点を大きく広げて締めくくっています。
世界には、戦争や貧困のせいでそもそも選ぶことすらできない人がたくさんいる。選べること自体が、恵まれたことなのだ、と。
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ドラマも買い物もルール化~私の迷わない仕組み
トークの中で、テレビで何を見るかはどうでもいい決断の例として出てきましたが、私も似たようなことで迷って、疲れていた時期がありました。
動画サービスを開いて、あれこれプレビューをチェックして、レビューを読んで、やっと決めたと思ったら30分ぐらいたっていました。今でもうっかりするとこの罠にはまりそうになります。
私は毎日1時間、韓国ドラマを見ると決めています。せっかくの視聴時間なのに、選ぶだけで30分使ってしまったら、楽しむ時間が半分に減ってしまいます。
だから今は、動画サイトを開いて一番左に表示されたものを見る、と決めています。本についても同じで、AIに読書リストを作ってもらい、上から順番に読んでいます。
あえて自分で選ばないほうが、時間を無駄にしません。
食料品の買い物も、ルールを決めてしまいました。
オーガニック食品の専門店から、毎週ほぼ同じものをデリバリーしてもらっています。
チキンかひき肉をメインにして、サーモン、ブロッコリー、ミニピーマン、きゅうり、アボカド。毎回ほぼ同じ内容です。
引っ越してすぐは、いろいろな料理に挑戦しようかなと思った時期もありましたが、結局シンプルな方法に戻りました。
毎週の買い物で迷うストレスがなくなって、とてもラクになりました。
初心者のための献立の立て方のコツとストレスにならない考え方。
完璧な正解を探すより、早く決めて前に進む
選ぶのに時間をかけないようにしてから気づきましたが、いつまでも決断しないほうがデメリットが大きいです。
私の趣味は語学ですが、長年語学の教材選びでも、FOBOにはまっていました。
もっといいテキストがあるのではないか。もっと効率のいいアプリがあるのではないか。そうやって探しているあいだ、肝心の勉強は一歩も進みません。
教材を選ぶのに時間をかけるより、まあまあのテキストをさっさと買って1週間勉強したほうが、はるかに上達します。やっていくうちに、自分に合うかどうかはわかりますからね。
逆に言うと、やってみないとうまくいくかどうかわからないというのは、多くの場合に言えることです。
ものが少ないシンプルな暮らしは、FOBOにならない方法の1つです。
持ちものが少ないということは選択肢が少ないということ。服が10着しかなければ、朝、何を着るかで迷う時間はほとんどありません。キッチンの調味料が厳選されていれば、夕飯の味つけもすぐ決まります。
迷う時間が減ると、そのぶん本当にやりたいことに使える時間が増えます。
私のように完璧主義で、もっともいい選択肢を探しすぎてしまう人は、ミニマリストになってしまうのがおすすめです。














































