悪い親

TEDの動画

最終更新日: 2024.03.10

すべての親が「いい親」ではない(TED)

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よくない親に育てられた人に見てもらいたいTEDトークを紹介します。

タイトルは、Not all parents are good すべての親がいいわけではない(TED)

心理学者のDr. Sherrie Campbell (シェリー・キャンベル博士)のプレゼンです。

キャンベルさんの専門は、人々が有害な人々とのつながりを断つこと、つまり毒親とのつながりを断つを助けることです。



よくない親もいる:TEDの説明

It seems taboo to say the words “bad parents” out loud because all we are indoctrinated to know is the good parent. And make no mistake, we also see good parents all around us. However, in our culture it is mis-assumed that all parents are good, which is simply not true for so many.

「悪い親」という言葉を大きな声で言うのはタブーのようです。というのも、私たちは皆、「いい親」のことだけを教え込まれるからです。周囲でも、いい親ばかり見かけます。

私たちの文化では、すべての親がいい親だと思われていますが、多くの人にとって、それは真実ではありません。

収録は2023年の10月。動画の長さは11分。投稿されて日が浅いので自動生成の英語字幕のみあります。動画のあとに抄訳を書きます。

☆TEDの説明はこちら⇒TEDの記事のまとめ(1)ミニマリスト的生き方の参考に

キャンベルさん自身が、問題の多い家庭で育ったので、ものすごくはっきり語っています。





親ならいい親なのが当たり前?

Googleで「親」という言葉で検索すると、見るからに理想的な家族の写真がたくさん出てきます。

両親がやさしい笑顔で赤ん坊の寝顔を見ている姿、気持ちのいい秋の日、両親と手をつないで歩いている小さな子ども。

家族で、クッキーを作っている写真。こうした写真を見ると、とても心が温まりますよね。

何時間スクロールしても、幸せな写真ばかりで、親に世話をしてもらえず泣いている子どもの写真はでてきません。

雑誌、テレビのコマーシャル、有名なシットコムでも、幸せな家族があふれています。

こうした写真とは全く無縁の家庭で育ったとしたら、あなたはどう思うでしょう?

私はこんな幸せ家族のファンタジーの中で生きたことは一度もありません。

両親はよい両親ではありませんでした。「悪い親」と声高に言うのはタブーのようです。誰もが、「よい親」だけを教え込まされますから。

でも、すべての親がいい親だというのは、多くの人にとって真実ではありません。

4人に1人が両親と縁を切りたがっている

アメリカの4人に1人が、生涯のある時期に、両親と縁を切りたいと願っていることを知っていますか?

つまりこの会場の聴衆の25%が、そうなんです。驚きますよね。

親からの精神的な虐待のサバイバーであり、この分野の心理学の専門家である私は、この統計の影に、子どもを精神的に虐待して操る親たちに苦しんできた未成年、そして成人した子どもたちの知られざる物語を知っています。

人は頭がいいですよね。虐待する人がいることはわかっています。宗教的リーダー、医者、政治家、起業家、教師、コーチ、スポーツ選手や俳優、音楽家が、公の場で虐待をしたニュースを聞くと、そういう人たちを非難します。

どれほど社会的な地位が高くても、子どもを虐待する人たちのもとに、子どもは置いておけないとわかっています。

ところが、親のこととなると、悪い親が虐待をして、子どもたちにとって危険だという事実を受け入れ難いんです。

親の虐待が明るみに出ようが出まいが、「親がそんなにひどいことをするわけがない」と思い込み、親のほうを守ろうとする傾向があります。

悪い親がいることを受け入れたくない私たち

でも、悪い親はいます。そうした悪い親は、子どもたちにとって有害なことを、私たちは受け入れられないんです。

そして、子どもたちに、一生涯、子どもを虐待する親のもとにいるように言います。

なぜ、そんなことをするのでしょうか? なぜいつも、親にいじめられている状態を許すのでしょうか?

見ず知らずの他人に対しては、親よりも高い基準で、子どもに接することを求めているのは、この社会の悲しい現実です。

赤の他人が子どもに害を加えると、その人は、職やライセンスを失い、刑事責任を問われます。

ところが、親は「親である」という理由だけで、同様の、いえ、はるかにひどい虐待ができる公的なフリーパスを持っています。

親がそんなことをするのを許すなんて、筋が通らない話です。

たぶん、私たちのすぐそばで、家族の中でもっとも罪のないメンバーである子どもたちに対して虐待が起こっていることを認めるのはあまりに難しいのでしょう。

悪い親のもとで育ってすごくつらかった

私自身が、そういう罪のない子どもの1人です。重度の機能不全に陥った両親のもとで育った私にとって、人生はとても辛いものでした。

両親と呼ばれる人たちの、予測不能で、一定しない、感情の起伏のために、夜、起こされました。両親のそばにいることは、ストレスがいっぱいで、とても繊細な綱渡りをする技術を身に着けざるを得なかったのです。

悲しくて、1人ぼっちで、怒りを感じ、毎日、うちのめされながら育ちました。

隠れた精神的な虐待は、物理的な証拠を残しません。でも、このタイプの虐待は、子どもたちの心や魂を壊します。誰も見えないその傷は生涯続くのです。

こうした虐待は、ヨーロッパの5つの国で罪を問われるようになりました。

精神的に虐待する親は確かにいる

残念ながら、多くの人も私と同じような経験をしたはずです。

だから、言いたいのです。あなたが耐えてきた虐待は確かにあったのだと。それはちゃんと起きたことであり、「虐待」と呼ぶにふさわしいものであると。

では、悪い親とはいったいどういう人達でしょう?

一言で言うと、悪い親は残酷です。思いやりの気持ちがありません。

ひじょうに批判的で支配的です。自分たちは決して悪くないと思っています。自分たちは被害者だと思っています。病的な嘘つきで、人を操ろうとします。異様なほど未熟で自己的です。

文化的にオープンで安全な場所で、悪い親たちの性質を話すことが許されないことに、私は驚きを隠せません。

その代わりに、私たちは親の神聖さを守るために、「悪い親」という概念を、消そうとしています。

子どもをこの世に生み出すという物理的な行為に、すっかり染み付いた性格の欠陥や虐待につながる性質をなくしてしまう力があると、私たちが信じていることに唖然とします。

医師として断言しますが、子どもをこの世に送り出したからといって、虐待やコントロールする性格が解消されたり、治ったりはしません。

虐待するのは子どものせいじゃない

悪い親というのは、子どもを持つ前から、虐待をする人たちです。

子育て中、ずっと虐待をし、成人して家を出たあとも、子どもを虐待し続け、罪悪感をもたせ、操り、コントロールします。

この力学において常に変わらないのは、親の方です。

子どもが悪い親を作るのではありません。もともと精神的に虐待し、操ろうとする人々が、精神的に虐待し、操ろうとする親になるんです。

親は神聖なものであるというあやまった信念

では、なぜ私たちは罪のない子どもたちを非難し、責任を押し付けようとする一方で、「悪い親」という考えを共有意識の影の中に隠そうとするのでしょうか?

その答えは、認知的不協和にあります。

「親は神聖である」という信念がとても強いので、自分たちが信じていることに反する証拠はすべて否定してしまうのです。

というのも、私たちの社会的結束は、この信念に依存しているからです。

親は神聖なものという考えは、私たちを安心させます。この安心感にしがみつくために、子どもたちの苦しみを無視し、彼らを育てた親に恥をかかせないようにするのです。

つまり、子どもを保護することより、親の評判や見栄を尊重するわけです。

現実を受け入れて変わろう

では、被害者を沈黙させないために、すべての親が善良ではないという新しい情報を、私たちの文化的現実にどうやって融合させたらいいのでしょうか?

最初の一歩は、受け入れることです。受け入れ難い現実を受け入れることは、意味のある変化を起こす前提条件です。

親が繰り返している過ちが事故ではないということは、目を覚まして見るべき厳しい現実です。

それは親の「よくない性格」の反映なのです。

この種の虐待を隠されたままにするべきではありません。

愛情深い親に育てられたにせよ、精神的虐待を受け、地獄を経験したにせよ、いま、私たちは団結して、共通の意識に意味のある変化をもたらすべきです。

子どもの声を聞く

では、何から始めればいいのでしょう?

まず、子どもたちの声に耳を傾けなければなりません。

幼い子どもたちは、自分たちのためにロビー活動も、本の執筆も、講演も、社会的キャンペーンもしません。

そういうことは、私たちが代わりにやらなければなりません。

さらに、未成年や成年の子どもたちに、生き残るために、親を愛さねばならないという課題があると考えるべきではありません。

子どもたちが自分たちを養う親の手をかんでいるとしたら、それなりの理由があると信じなければいけません。

親の責任を追求する

2つ目は、責任を追求する相手を変えること。

子どもの行動を非難し、責任を追求するのではなく、子どもを虐待している親に問題があると考えるべきです。

そのために、親が変わる必要があるとき、そのことを伝える言葉を作らなければなりmせん。

最後に、親から、自分の人生を守ってきたアダルトチルドレンに、彼らが間違ったことをしていると言うのをやめなければなりません。

たとえば、「休暇に親に会いに行くんじゃないよ。親がつぶれてしまうよ」「母親は1人しかいないんだよ」「親は年をとっていくから、あなたが今すぐ直さないと一生後悔するよ」「あなたは、ちゃんと育ったのだから、親はそこまで悪い人じゃなかったはずだ」といった言葉は、言うべきではありません。

人格に大きな問題がある親に育てられた子どもは、生涯、いろいろな問題に苦しむことになります。

私もたくさん悪口を言われました。「シェリーは好きだけど、彼女のメッセージには同意できないわ」とか。

私こそが、私のメッセージです。私のメッセージが私を選びました。

私が、精神的な虐待をする両親を選んだわけではありません。

私のような子どもはどこへ行っても、裁かれ、非難されます。

親が子どもをチェックインし、子どもたちはそこから逃れられません。

私たちが親を選べなかったときですら、親のほうが、私たちを選んだのです。

アダルトチルドレンが、親との縁を切ることを非難するのは、すでに裂けている傷をさらに深くするようなもの。誰もそんなことに加担したくありませんよね。

だから、今度誰かが家族の集まりに出ないと言ったら、理解と優しさを示しましょう。

親との間に境界線を引いて新しい人生を築く

年齢にかかわらず、子どもはすべて境界線を引き、もっと違った新しい人生を生きる権利があります。そうすれば、何世代にも渡って続くトラウマを、いま止めることができます。

私は家族をこわしたくて、こんな話をしているのではありません。そもそも、すでにこわれている家族をこわすことなんてできません。

世代間トラウマを止める運動に参加したい、親と縁を切ったアダルト・チルドレンのためにこの話をしています。

あなたや私の中にいる子どもたちに話すためにここにいます。

もっとずっといい扱いをうけるべきだった子どもたちです。

「血のつながりのある家族の絆はこわしてはいけない」という一般的な考え方を越えて、DNAを理解するときが来ています。

DNAを“Do Not Abuse.”(虐待するな)と捉えましょう。

ネルソン・マンデラは言いました。「社会の子どもの扱い方ほど、その社会の魂を鋭く明らかにするものはない」と。

//// 抄訳ここまで ////

言葉の説明

cognitive dissonance 認知的不協和。信念と行動が矛盾しているときに感じる不快感。この不快感を解消するために、人は、情報を取捨選択したり、その解釈の仕方を変え、信念と行動を一致させようとする。

accountability 説明責任、説明義務、現状を関係者に説明する責任や義務。

Adult Children アダルト・チルドレン 問題のあった家庭環境で育った大人。子どものころに体験したストレスやトラウマが、大人になってもずっと影響を及ぼす。

家族の絆に関するほかのプレゼン⇒自分にとって毒になる家族関係にどう対処するか?(TED )

隠さず受け入れる

「親は子どもを愛しているから、子どもに悪いことをするはずはない」という、みなの共通認識(ある種の夢)があるせいで、精神的に虐待されている子どもたちを救うことができないから、認識を改めようというのがキャンベルさんの言いたいことです。

確かにそうですよね。

「そんなことあるはずない」という気持ちは、「そんなことあってほしくない」という気持ちから来ることが多いです。

そんなことあってほしくないから、そうあってほしいことと違うことが起きていると人はそれを隠そうとします。

家庭でも学校でも職場でも。

ですが、この「隠す行為」は、あまり関係者のためになりません。特に、被害者というか、一番弱い立場の人にとっては。

隠したところで、それはなくならないし、現実は何も変わらないからです。

だから、つらくても、隠さず、それが起きていることを受け入れたほうがいいです。

これは、ガラクタの扱いにも言えます。隠してもなくならないから、「ああ、ガラクタがあるんだ」と受け入れて、「では、このガラクタをどうするか?」と考えるのが問題解決につながる道だと思います。

先日、お母さんに叱られてばかりいたから後悔する癖がずっと続いていたという読者のお便りを紹介しました⇒過ぎたことをぐるぐる後悔するのはやめる。アクションプランも考えた。

これは、親のせいで受けてしまった大きな傷でありトラウマだと思います。

後悔したり、自己嫌悪したりすることがくせになっている人は、ずっとそうしてきたから、それが当たり前だと思っているかもしれません。

ですが、もっと楽しい気持ちで生きる人生があることを知ってください。

子どもは「私が悪いんだ」と思う構図になっていますが、キャンベルさんの言うように、親が圧倒的に悪いことはふつうにあります。

未熟すぎる人間は子どもを作ったからと言って、いきなり成熟した人間にはなりません。

そういう親と、物理的に縁を切ることができないなら、せめて精神的に縁を切ってください。

それは悪いことではありませんから。





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