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時間管理に悩んでいる人,忙しいわりに肝心のことができない人におすすめのTEDトークを紹介します。
タイトルは、We’re Overcomplicating Time Management(私たちは時間管理を複雑にしすぎている)。
時間管理のコーチで起業家のSamantha Lane(サマンサ・レーン)さんのトークです。
シンプルな時間管理
収録は2025年、動画の長さは14分、動画のあとに抄訳を書きます。
◆TEDの説明はこちら⇒TEDの記事のまとめ(1)ミニマリスト的生き方の参考に
シンプルなトークですが、時間管理の基本や本質に立ち返るヒントになります。
時間管理に疲れて燃え尽きる
私たちはタイムマネジメントを複雑にしすぎています。
いまたくさんのアプリ、プランナー、生産性ハック(秘訣)があります。
でも、私たちは依然として時間をうまく管理できません。
これが一番だと新しいツールが出てくるたびに、より複雑になりTo-doリストの見た目が変わるだけです。
生産性やワークライフバランスは、もはや文化的な強迫観念になっています。
皆、必要以上に物事を難しくしてツールに溺れています。そのため私たちは燃え尽きます。
Censuswideの調査によると、2025年、アメリカの従業員の66%が燃え尽き症候群に苦しんでいます。
この割合は若い世代ほど高く、25歳から34歳の83%がバーンアウトを訴えています。
複雑すぎるタイムマネジメントのせいで、逆にネガティブな結果になっているのです。
でも、タイムマネジメントは、実はそれほど複雑ではないと言ったら、皆さんは信じてくれるでしょうか?
ワーカホリックだった私
かつて私は、極度にパニック状態で、慢性的に打ちのめされていたワーカホリックでした。
あまりにひどくて、2年ほど目のけいれんが止まらなかったほどです。
実際、私は、かろうじて機能している壊れた列車のような状態でした。
ある時、会社支給の燃料カードがあるのに、ガソリンスタンドのすぐそばで、ガス欠を起こしたことがありました。
スタンドに行かなかった理由は、単に会議に遅れそうだったからです。
プランナーや通知があっても、私はタイムマネジメントという捉えどころのないスキルを身につけられませんでした。
手術を受けて考え方が変わった
でも、29歳の時に開胸手術を受けたとき、すべてが変わりました。
それは、胸がへこんでしまう症状(漏斗胸)を治すための手術でした。 この症状のために、うまく呼吸できなかったんです。
私は5時間の手術を受けることに同意し、4週間は仕事ができないとして計画を立てました。
残念ながら、4週間経っても体調は回復せず、ブドウ球菌感染症になってしまいました。
完全に回復するために1年以上かかりました。間違いなく人生を変える経験でした。
手術はある意味失敗だったけれど、私の時間の考え方を変えたという意味では成功でした。
回復している間に、タイムマネジメントは思っていたほど複雑ではないと気づきました。
時間管理の3つのポイント
時間管理の鍵は3つのシンプルな言葉です。
・優先順位をつける(Prioritize)
・計画を立てる(Plan)
・守る(Protect)
胸の感染症で再入院した日のことを、今でもはっきりと覚えています。
診察の後、病院の受付から電話がかかってきて「9階に病室の準備ができました」と言われました。
今ならそれがどれほど悪い兆候だったか分かります。
普通、病室がすぐに用意されることなんてないからです。
足を引きずりながらロビーを行き、点滴を始めるために1時間の処置に耐えた後、自分の体がシャットダウンしていることに気づき、死ぬのではないかと不安になりました。
その瞬間、自分が重要だと思っていたすべてのことが、実はそうではなかったと突然気づいたのです。
病院のベッドに座りながら、祖母に電話をしなかった時、母とランチに行かなかった時、手を止めて夫にキスをしなかった時のことを考えました。
友人と散歩する代わりに遅くまで働いたこと、サボったヨガのクラス、見逃した夕日のことを思いました。
私は大間違いをしていました。これが、時間に対する考え方の最初の原則を学んだ時です。
私たちは優先順位をうまく付けなければなりません。何が重要なのか見極める必要があります。
1日の過ごし方が人生の過ごし方
手術後の数ヶ月間、ワークショップに参加し、アニー・ディラード(アメリカの作家)の「その日の過ごし方が、人生の過ごし方である(”How we spend our days is, of course, how we are spending our lives)」という言葉を学びました。
この事実に私は打ちのめされました。
なぜか私は、「毎日が自分の人生そのものだ」と気づいていなかったのです。
かつての私は「金曜日までなんとか持ちこたえれば」とか「夏になれば落ち着く」などと言っていました。
おそらく皆さんも、似たような「半分だけ正しい嘘」を自分に言い聞かせたことがあるでしょう。
アメリカ国立保健研究所によると、35%以上の人が、家族や友人と、もっと多くの時間を過ごせばよかったと願っています。
80年以上にわたり参加者を追跡したハーバード大学の成人発達研究により、長く幸せな人生を予測する最も重要な要因は、身近な人間関係の質であるとわかりました。
私は、一番重要なことに人生を使おうと決めました。
日常でやりたいことをするには?
それでも、まだメールを送り、生活費を払い、洗濯をしなければなりませんでした。
そこで私は考えました。
しなければならないすべてのことを管理しながら、どうすればやりたいことに時間を使えるだろうか?
インターネットからターゲット(小売店)の棚まで、解決策を探しました。
この問題を解決できる方法やアプリ、ツールがどこかにあるはずだと思ったんです。
そして前と同じように、さらに多くのツールを手に入れてしまい、前と同じように、どれもうまくいきませんでした。
ある日、すっかり疲れ切っていましたが、雑記帳の裏に1週間の計画を立ててみました。
各曜日を表すボックスを描き、すでに予定が決まった時間を書き込みました。そして残ったスペースに、その週にやりたいと思っていたタスクをスケジュールしました。
1週間を俯瞰してみると、どこで自分が成功し、どこで失敗するよう設定しているか分かりました。
ある締め切りは思っていたほど遠くないことや、いくつかの会議の間隔が近すぎることにも気づきました。
そうやって、未来がストレスでいっぱいの現在になる前に、未来を修正することができたのです。
先手を打てたのは気分がよかったけれど、事前に1週間全体を見るのはちょっと大変な気もしました。
そこで、今日だけが見えるように紙を折り畳んでみたら、これなら管理できると思いました。
次の週も、その次の週も同じようにしました。
毎週の予定をチェックするというシンプルな習慣が役立つと感じました。
時間は有限だから
優先順位をつける、計画を立てる、守る。
時間は有限です。
多くの人は、時間を無限だと考えがちです。だから、「あとで」「しばらくしたら」「いつか」といった言葉を使います。
でも、1日は24時間しかなく、何日残っているかも分かりません。
時間を「10分」「4時」「木曜日」といった言葉を使い、具体的に測定できる単位として見ることができれば、これまでとは違う形で時間を管理できます。
このやり方を通じて、私は計画することは、時間の単位をどのように意図的に配分するか主体的に決める技術だとわかりました。
アメリカ心理学会によれば、計画を紙に書いて見えるようにすると、時間の使い方が上手くなり、本当に大事なことに時間を使えるようになるそうです。
紙に書くことは、ダブルブッキングも防いでくれました。
紙は突然鳴り出したり、新しいメールで気を散らしたりしません。だから、紙で計画するのはやりやすかったのです。
集中でき、タスクを完了させる力を与えてくれました。
紙に書きながら計画を立てることは、私の人生を「反応するもの」から「主体的に生きるもの」へ変える、金曜日の儀式となりました。
その結果、より少ない労力でより多くを達成できるようになりました。
プライベートでも仕事でも、本当に重要なことに集中できるようになりました。
抗生物質は別として、この毎週の計画こそが私の命を救ってくれました。
急な仕事を断ることができた
上司も私の変化に気づきました。
こんなことがあったんです。
甥のクロスカントリー大会に行くために、いつもより10分早く退勤しようとしていたとき、上司がオフィスにやってきました。
その日の仕事は全部終わっていたし、早く出勤もしていたので、10分早く退社することは問題ないと思っていました。
上司が、「飛び込みの用件が入ったんだけど、対応できる?」と言いました。
私は凍りつきました。どうすればいいか分かりませんでした。でも、自然に「ノー」と言っていました。
上司は、「分かった、いいわよ。マットにやってもらうわ。ありがとう」と言って出ていきました。
私は自分でもびっくりしました。
計画を守ること
これが、私のシンプルな時間管理の仕組みの3つめのポイントを発見した瞬間でした。
立てた計画を守らなければなりません。
私たちは断ることができるし、時にはそうすべきです。
時間は有限なので、何かに「イエス」と言うことは、他の何かに「ノー」と言っていることになります。
それは常にトレードオフ(引き換え)です。
会議にイエスと言うのは、報告書の作成にノーと言うこと。もうドラマをもう1話見ることにイエスと言うのは、1時間余分に睡眠を取ることにノーと言うことなのです。
仕事や人生で一番大事なことを決め、それをできるよう計画を立てたら、その計画を守らなければなりません。
計画を守ることは、自分自身を守ることでもあります。
今、皆さんは家族、組織、コミュニティにとっての「資産」です。
もし時間管理がうまくいかずに燃え尽きてしまったら、皆さんは「負債」になってしまいます。
時には、自分自身を守り、他の人のための活動を続けられるように、「ノー」や「今は無理です」と言う必要があります。
シンプルな時間管理で今に集中する
優先順位を決め、計画を立て、その計画を守る。
毎回、簡単にはできないかもしれませんが、本質はシンプルなんです。
人生や仕事で、一番重要なことを決めてください。その活動に集中するための計画を立て、その計画と、それを実行する自分の能力を守ってください。
これを続けていきます。
手術を受け、はじめて紙に1週間の計画を立てたときから10年以上が経ちました。
私は今でも毎週、次の7日間で人生と仕事において大事なものを決める時間を取って、計画を立てています。そして、今日に集中できるように計画を折り畳み、今この瞬間を大事にしています。
かつての私は、より生産的になれば、もっと今に集中できるようになると考えて、物事を複雑にしすぎていました。
私はこのシンプルなやり方を通じて、今日という日にしっかり向き合うことが、自分を生産的にすると気づきました。
「今この瞬間にいること」か「生産的であること」のどちらかを選ぶ必要はないのです。
複雑な時間管理をやめれば、今この瞬間に集中し、かつ生産的であることができるのです。
時間管理に関するおすすめのプレゼン
時間がないんじゃなくてやる気がないだけ。大事なことに時間を使う方法(TED)
どんなツールでも変わらない、時間管理の基本
サマンサさんがこのトークでシェアしている時間管理のフレームワーク:Prioritize(優先順位)、Plan(計画)、Protect(守る)は、時間管理の基本原則です。
どんなに高度なAIツールでも、昔ながらの紙の手帳でも、彼女が使っている紙きれでもツールを問わない不変の原理原則と言えます。
この3つさえできれば、時間はうまく管理できます。
ただ、優先順位を決めるのと、計画を守ることは、ツールは絶対やってくれず、自分で考えて行動しなければなりません。
ここが難しいから、人は、さまざまなツールに頼ろうとするのではないでしょうか?
ツール以前に重要なのは、優先順位を決めることです。
ツールや仕組みが複雑すぎるとかえって優先順位が見えなくなります。
新年から新しい手帳を使う人も多いかもしれませんが、時間は有限で優先順位を立てる必要があることを、改めて心に刻んでください。
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