スマホを見ている人

TEDの動画

時間の奪い合い:ソーシャルメディアのコスト(TED)

SNSを使いすぎている人におすすめのTEDトークを紹介します。

タイトルは、The Battle for Your Time: Exposing the Costs of Social Media(あなたの時間を奪う争い:ソーシャルメディアのコストをあばく)。

プレゼンターは、学生(若者)に、テクノロジーとうまく付き合う方法を教えている、Dino Ambrosi (ディノ・アンブロージ)さんです。



SNSのコスト:TEDの説明

Do we truly comprehend how much of our time and attention is given to technology? In his talk, Dino Ambrosi reframes how we think about our relationships to devices, and shares his ideas on how to create healthy digital habits.

私たちがテクノロジーにどれほど時間と意識を注いでいるか、わかっているでしょうか? このトークで、ディノ・アンブロージは、デバイスとの関係を考え直し、健全なデジタル習慣を築く方法を伝えます。

動画の長さは11時半。収録は2023年。字幕はないので抄訳を参考にしてください。

人生の残り時間を◯で表しているので、そこはぜひ、動画で確認してください。

シンプルなメッセージ(だけどひじょうに重要)なので、わかりやすいと思います。





人生の残り時間

この図は、18歳の人が90歳まで生きるときの残り時間を、1ヶ月を1つの◯で示したものです。

よく見ると自分が思っているほど多くないと気づくでしょう。

残念ながら、このうち、3分の1は、睡眠で消えます。

126ヶ月は学業に費やされ、運転(通勤・通学)に18ヶ月、料理やそれを食べることに36ヶ月、その他の用事に36ヶ月使われ、トイレに行ったりするのに27ヶ月使います。

すると、残りは334ヶ月。

18歳の人の残り時間

やりたいことは、この334ヶ月でやります。

この時間をどう過ごすかが人生の質を決めます。この時間は消費するだけでなく投資するものでもあります。ここで何をするかが、あなたという人を決めるからです。

ここで自問してください。

この自由な時間に何をやりたいか?

これまでやったことないどんなことをしたいか?

どんなふうに過ごしたいか? 投資する価値のある活動は何か?

TikTokをえんえんと見たり、Netflixを一気見したり、ゲームをしたりすることに使いたいとは思わないでしょう。

長いスクリーンタイム

しかし、今日、アメリカの18歳の人は、自由時間のうち、平均で93%、スクリーン(モニター)を見ることに使っているんです。

これは、学校で見ている時間を含んでいません。

悲しいですよね。90歳になったとき、18歳になってからこれまでの時間をずっとそんなふうに使って、本当にやりたことができなかったと考えるなんて。

もう1つ自問してほしいことがあります。

26年間のスクリーンタイムが、いったい自分に何をもたらすのか?

いったい何に時間を投資しているのか? それが自分をどう変えるのか? 

モニターばかり見ているるとどうなるか?

長時間のスクリーンタイムは、メンタルヘルスの問題に関係があると証明されています。

たとえば、うつや不安症などです。

近年、テクノロジー(スマホなど)を使いすぎると認知にも影響があることがわかってきました。

スクリーンを見ているとき、私たちは、たくさんの異なった情報の間を常に行ったり来たりします。

TikTokの動画の長さの平均は15秒で、ウェブにあるページ、1ページを見る平均時間は15秒かそれ以下です。

1日平均、8時間39秒の間、15秒ごとに注意を向ける先を変えていたら、慢性的に気が散る人間ができあがります。

それが自分のキャリア、人間関係、本当に大事なことを追求する能力に、どんな影響を与えるか考えてください。

スクリーンを見ることに時間を費やしすぎると、メンタルヘルスや認知の問題以外にも困ったことがあります。

あらゆるソーシャルメディアは、私たちが何を信じるべきかメッセージを送っていますから。

ソーシャルメディアは、自分自身や世界に対する見方に影響を与えるのです。

ソーシャルメディアは人の信念を変える

ソーシャルメディアは、自分の価値は、自分が他人にどう見えるかと、休暇に何をするかで決まると教えます。

人生における意味ある瞬間はすべてカメラにおさめ、SNSでシェアするべきだと訴えるのです。

さらに、一時的に社会的承認を与える1000人のほうが、人生がうまくいっていないときも、あなたのことをとても気にかけてくれる数人の人より価値があるとも、伝えています。

Snapchatは、人間関係は、コミュニケーションの頻度で決まると教えます。そこでどんな言葉がかわされるかは関係なく。適当にとった写真にキャプションをつけて投稿すれば、スナップチャットではポイントがつきますからね。

Twitterは、言うべき価値のあることは何でも、一定の文字数まで減らすべきだと伝えています。

世界は黒か白で、どんなことについても、深い情報を得るより、頻繁にアップデートされるほうが重要だと教えます。

本が伝えるメッセージ

こうしたプラットフォームが伝えるメッセージと過去の技術(メディア)が伝えるメッセージを比べれば、自分が失っているものに気づくでしょう。

書物は、この世界が複雑で、理解するには時間がかかるというメッセージを送っています。

本は、他人の立場に立ち、その人の視点になって物事を見るべきだと教えてくれますし、一度に1つの思考に集中することを強います。その結果、私たちは注意を向けられるようになるのです。

書物にある文字は、コミュニケーションは頻繁である必要はないと伝えます。重要なのは、それが深いことである、と。

ソーシャルメディアの商品は?

これらを考え合わせると、スクリーンタイムのオポチュニティーコストは、計り知れないとわかります。

自分に残っている自由時間の93%をスクリーンタイムに使いたいと思っている人なんていません。つまり、私たちがスクリーンを見るのことに使うに値すると思っている時間と、実際にそうしている時間には大きな違いがあるのです。

これは偶然ではありません。そうデザインされているのです。これは人の幸福とは根本的に相容れないインセンティブを備えたビジネスモデルのせいです。というのも、皆さんは、ソーシャルメディアが売っている商品だからです。

ソーシャルメディアが無料なのは、ユーザーをお金にできるからです。

SNSは、広告主が、ユーザーの未来の行動を変えることを助けて、お金を得ています。

時間やお金の使い方を変え、誰に投票するかさえ、変えます。

こうするためにSNSは2つのことをしなければなりません。

ユーザーに関する情報をできるだけ集め、どんな広告なら影響を与えられるか見つけること。

そして、その後、その広告をできるだけたくさん見せること。

つまりソーシャルメディアが無料なのは、みなさんが、自分の時間を料金として支払っているからなのです。

ソーシャルメディアの収益は、ユーザーがどれだけ長く、タイムラインをスクロールするかによって決まります。

そして、各ソーシャルメディアは、みなさんの自由時間をどれだけ奪えるか競争しています。

ソーシャルメディアに支払っている金額

ここで、思考の実験をしてみましょう。

自分が好きなソーシャルメディアにお金を払うとしたら、1月(ひとつき)いくら払いますか?

5ドル、10ドル、20ドル?

TokTokのようなアプリに実際どれだけ支払っているか計算してみましょう。

みなさんの1時間は20ドルの価値があるとします。

月に30日、1日2時間使ったら、TikTokに1ヶ月1200ドル払うことになります。

こう考えると、たいていの人たちが、ソーシャルメディアにお金を払いすぎていることに気づくのです。

節度を持って使うべき

ソーシャルメディアから価値を引き出せる方法はあるでしょうか?

そうするためには2つのことをしなければなりません。これらのサービスがどんな価値を与えてくれているか考えること、そして、その価値を得るために、どれぐらい自分の時間を使うのが適当なのか考えることです。

ソーシャルメディアに価値がないとは言っていません。SNSはとてもパワフルなツールになりえます。

人間関係を育み、新しい思考を教えてくれ、社会運動の発端にもなるでしょう。

しかし、私たちは、ソーシャルメディアを節度をもって使うことを学ぶべきなのです。

90歳になって、人生を振り返り、FOMOを避けるために、大事なことを失ったとは思ってほしくありません。

ここにある自由時間は、みなさんにとって一番大事なリソースです。ただで誰かにあげないでください。

//// 抄訳ここまで ////

補足

opportunity cost オポチュニティコスト、機会コスト:ある選択をする際に他の選択肢を放棄することによって生じる機会の損失。

FOMO Fear of Missing Out、取り残される不安。他の人が参加している楽しいイベントや何かに参加しているのに、参加しそこなうことに対する不安や焦燥感。

詳しくはこちらをどうぞ⇒SNS依存に注意。FOMO(フォーモー:取り残される不安)を捨てる方法

ソーシャルメディアに関するほかのプレゼン

ソーシャルメディアはやめなさい:カル・ニューポート(TED)

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SNSの恐ろしさ

若い頃、誰でも自分を無駄にしがちだし、それが全くの無駄であるかというとそうとも言えないと思います。

私も、これまでずいぶん無駄な、やらなくてもいいことをしてきました。

ただ、ソーシャル・メディアに時間を使いすぎるのは、私のようなインターネットのない時代に青春を送った人が、時間を無駄にするのとは、ちょっと違います。

ソーシャルメディアは時間を無駄にすること以上に、精神的に落ち込ませるのが問題です。

SNSのおかげで、昔は知るよしもなかった、世界中の人々の活動や暮らしぶりが簡単に共有できるので、他の人と自分を比べたり、承認欲求が暴走したりします。

とくに若いうちは、自分軸が定まっていないから、いとも簡単に他人と自分を比べて自己肯定感がさがリ、ひどいときは、自分の価値を感じられなくなります。

ソーシャルメディアがメンタルの病気を引き起こす要因はこのへんにあると思います。

毎日SNSを使っていて、ネガティブな気分になることが多いようならいっそ全部やめるか、時間を決めて使うか、自分と自分をとりまく状況を客観的に見ながら利用するかしたほうがいいです。

そうすれば、不安も、余計な物も増えません。

****

私はソーシャルメディアは合わないので、ほとんど利用しないのですが、使わなくても特に不便はなく、世の中に取り残されてめっちゃ不幸ということもありません。

世の中イコールソーシャルメディアではないので、ソーシャルメディアに時間を使いすぎている人は1度デジタルデトックスをしてみてください。

スマホ疲れしてませんか?~簡単デジタルデトックスで心の余裕をとりもどす

毒が抜けて、新しい世界が見つかるかもしれません。





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