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「買い物しすぎて後悔…」そんな経験、誰にでもあるかもしれません。
今回は、そんな読者のお便りを紹介します。
買い物依存ぎみだったという読者、まゆかさんは、「欲しかったのは、ものではなく思いどおりにできる感覚=万能感だった」と気づいたそうです。
たしかに、買い物はものを手に入れるというよりも、心理的なニーズを満たす手段になっていることがあります。
そのニーズのひとつが、自分が状況をコントロールできているという気持ち。
この記事では、おたよりに返信する形で、万能感を求めて繰り返してしまう買い物習慣を見直すヒントをお伝えします。
まず、お便りをシェアしますね。
買い物依存ぎみだったけど
件名:欲しかったのは物ではなく万能感
去年12月にパソコンを捨てたメールを送ったまゆかです。
それから、断捨離は進んだのですが、また買い物(合計すると月収の4倍程)をしてしまい、後悔していましたが、ふと昨日「私が欲しかったのは、物ではなくてお金を使った時に得られる万能感だ」と気づいたのです。
実生活で色々あり、思うように行かないことも多い中で、買い物だけは「全て自分の思うように出来る」唯一の事柄だったのです。
買い物依存が深刻でしたが、この気づきを大切に無駄買いしません。
これからもブログ、note(以前記事買いました!)楽しみにしています。カナダの夏は暑いのでしょうか?日本はもはや亜熱帯です。お体に気をつけてお過ごしください。
まゆかさん、こんにちは。お便りありがとうございます。
近況を知ることができてうれしいです。noteも読んでいただき感謝します。
最近、買い物を通して、自分が本当に求めていたものがわかったのですね。
よかったです。
返信を希望されていたので、万能感を求めてする買い物について、私の考えをお伝えしますね。
買い物で得られる万能感とは?
買い物は、思いどおりにできる感覚=万能感を手軽に得られる行為です。
選ぶ、決める、手に入れる──その一連のプロセスは、日常生活では感じにくい「自分でコントロールできている」という感覚を、瞬時に与えてくれますよね。
現実は、仕事、家庭、人間関係、お金、健康など、自分の力だけではどうにもならないことがたくさんあります。
そんななかで、「買うかどうかを自分で決められる」という場面は、ちょっとした安心感や満足感をもたらしてくれます。お金を払って欲しいものを手に入れるのも、気分がいいことです。
誰にもじゃまされず、制限も受けず、自分のタイミングで自分の欲しいものを選ぶ。その瞬間だけは、すべてが自分の手の中にあるように感じられます。
その高揚感が、買い物に気分転換以上の喜びを感じさせると思います。
日常で無力感や抑圧感がたまっているとき、買い物はそれを一時的に解消してくれる手軽な手段です。
気分が落ち込んでいたときに買い物をして、気持ちが軽くなった、前向きになれた、という経験がある人も多いでしょう。
しかし、その感覚を繰り返し求めてしまうと、あとで買いすぎてしまったと後悔し、その不快感を埋めるために、さらに買い物に走るという悪循環が生まれます。
その万能感は、気休めにすぎない
確かに買い物をすると、「私が私の意志で思いどおりにしている」という感覚を得られます。
しかし実際は、逆に状況にコントロールされていると考えることもできます。
よくよく考えてみると、買い物で得られる「万能感」は、本当の意味での自信と主導権とは違うからです。
・現実は変わっていない
私たちは買い物によって現実や状況を変えているわけではありません。
仕事がうまくいかない、人間関係がつらい、お金の不安がある──そうした根本の状況は何も変わらないまま、買い物で、気分だけを一時的に変えています。
・選んでいるようで、実は流されているだけかもしれない
日常生活の多くは、与えられた選択肢の中から自分で選びながら進んでいくものです。
だから、「選んで買う」という行為自体は自然なことです。
ただし、買い物における「選んだ感覚」は、広告やセール、SNSの影響など、外からの刺激によって作られていることが少なくありません。
それに気づかず「自分で決めた」と感じているとすれば、それは本当の意味での主体的な選択とは言えないでしょう。
・その「万能感」は一時的なもの
何かを買って得た「思い通りにしている感覚」は、長続きしません。
時間がたつと高揚感は消え、また何かを買いたくなります。
・自己嫌悪や後悔につながる
買い物で一時的に気分が晴れても、「また無駄遣いしてしまった」と感じるなら、根本的には満たされていない証拠です。
このように、買い物で万能感をいくら味わっても、状況は何も変わらないどころか、お金が減り、後悔がつのるので、自分のためにはならないんです。
万能感を得たいという気持ちの背景にある本当の欲求に気づくことができれば、そこから抜け出す道が見えてきます。
自分の暮らしを自分で整える:本当のコントロール感を得るために
本当のコントロール感は、買い物のように外から刺激を得て気分を変えることで得られるのではなく、暮らしや行動を、自分の意志で整えていく中で育っていきます。
たしかに買い物は、手軽に気分転換できます。けれども、一時的な万能感を何度も得ることは、根本的な充足感にはつながりません。
本当の意味で状況をコントロールしたいなら、自分の内なる声に耳を傾け求めている状況を得るために、できることから少しずつ動いていくほうが効果的です。
たとえば、こんなふうに自問するのはどうでしょう?
・自分は、何に不安や不満を感じているのか?
・その状況を変えるために、自分ができることがあるだろうか?
こうして、課題を明確にし、次は解決するために具体的な行動を始めます。
たとえば、
・予定を詰め込みすぎて疲れているなら、1つだけやらないことを見つける
→「ちゃんと休む」という選択も、主導権を取り戻す行動のひとつです。
・家の中が散らかっていてイライラするなら、引き出しをひとつだけ整える
→ 目に見える変化が、自分にもできるという実感につながります。
・ずっと後回しにしていた手続きやタスクを10分だけやってみる
→ 放置していたことに向き合うだけでも、「自分が動いた」という感覚が得られます。
・もやもやしている人間関係があるなら、気持ちを紙に書き出して整理してみる
→ すぐに伝えられなくても、自分の考えを明確にすることで、受け身ではない意識が生まれます。その後、必要なら相手と距離を取るなど、関係性を変える努力をしましょう。
このように、状況を改善するために小さな行動をすると、確実に望む生活に近づくし、買い物よりも、現状に主体的にかかわっている感覚を感じられます。
このプロセスは、他人の評価に左右されません。買い物のように一時的な満足で終わることもありません。ゆっくりですが、確実に、自分の軸を育てるのに役立ちます。
「どうにもならない」と感じるときは、できることからやってみる。本当の意味での満足や自信は、自分の手で状況に向き合うことでしか得られないのです。
どうしてもやめられない。買い物依存症ぎみの人が、自分で克服するためにできること。
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買い物で得られる「思いどおりにしている感覚」は、ほんの一瞬、現実を忘れさせてくれるかもしれません。
けれども、それを続けていると、お金が減り、部屋が散らかり、気持ちはますます不安定になるでしょう。つまり、逆に暮らしのコントロールを失っていきます。
気づいたときが、暮らしを整え直すタイミングです。ものや予定を見直したり、自分の本音に耳を傾けたりすることこそが、自分が主導権を握る暮らしにつながります。