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ミニマム思考

物のない豊かさについて~ミニマリストは出家した僧侶ではない

ミニマリストに関する誤解を解くシリーズ。今回は、ミニマリストは都市型修行僧である、という説に反論してみます。

あるところに、ガラクタをたくさん持ちすぎていたマキシマリストがいました。そんな暮らしがいやで、物をがんがん捨ててミニマリストになりました。家の中はがらーんとしています。

それはとても荒涼としたスペースで、どう考えても「居心地よさ」とか「楽しい暮し」とか「生きる喜び」が感じられません。

ミニマリストって、世俗を捨てすぎているんじゃないの?自分もほかの人も否定してるんじゃないの?

ミニマリストは一部の人に、こんなふうに思われているようです。



ミニマリストが登場したテレビのクリップを偶然見ました

昨年、日本のテレビで、あるミニマリスト一家の生活の様子を紹介したクリップをインターネットで見る機会がありました。

その家は4人家族。家はすべてフローリングのようでした。普通に家具を入れれば、北欧風の素敵なインテリアになりそうなお宅です。

対面キッチンで、食卓として使っているカウンターには椅子が3つだけ。お母さんはカウンターの向こうで給仕をしつつ、立ってケーキを食べていました。

息子2人(中学生ぐらい)は毛布にくるまって床に寝転がって小さなゲーム機をにぎってゲームをしていました。

お父さんは床に座って、床に置いたノートパソコンに向かっていました(これは目に悪いのでおすすめしません)。

これを見た友だち(物を持たないタイプ)は、「これはやりすぎ。ここまで来たら、『持たないここと』に執着している」と言いました。

確かにそう思われてもしかたのない物のなさ加減でした。けれども、住んでいる本人たちが実際どう思っているのかはわかりません。「居心地がいい」と思っている可能性は高いです。

ミニマリストの家は、住人が「物は少なくあるべきだ」と思って減らしたのではなく、もっと心地よく暮らしたいと思った結果、物が少なくなったのではないでしょうか?

ミニマリズムは厳格な暮しではない

テレビやインターネットは、ミニマリストの何もない部屋を見せることを好みます。言葉でいろいろ説明するより、何もない部屋を見せたほうがインパクトがあるからです。

しかし、ミニマリズムは「何もない部屋に住むこと」ではありません。ましてや、スパルタな生き方でもありません。

スパルタとは、古代ギリシアの国家です。ここは軍事国家で、人々は子供の頃から、きびしく教育され、共同で食事をしていました。娯楽のない社会だったようです。

ミニマリズムは、こんなきびしい、世俗の楽しみを否定した生き方ではないし、生活に必要なものが欠乏した状態を求めるわけでもありません。

そこに「何もないこと」が大事なのではなく、本人にとって適正な数の物があり、物の数が適正だから、より暮らしが豊かになるのだと思います。

そしてその暮らしは、そこに住む人によって違うのです。自分の家の様子とちょっと違うからと言って、「あれはよくない」「人間らしくない」「変だ」と短絡的に反応するべきではないでしょう。

物がないことの豊かさに注目してほしい

物が何もないと、「貧しさ」を感じる人が多いと思います。けれども、以前紹介したピーター・ローレンスの部屋のように、家具がないと、朝になれば大きな窓から陽光が入り、夕暮れになると、その光ははちみつのように、次第に柔らかくなります。

ピーター・ローレンスの部屋⇒ミニマリストの部屋公開~最小限のモノで生活して40歳でリタイヤした男

こんな光を感じられることは、とても豊かでぜいたくな暮らしだと思うのです。





テレビや雑誌でミニマリストの部屋を紹介するときは、余計な家具や物がないことで生まれる豊かさにもっとフォーカスしてほしいと思います。

どうも日本のメディアの報道はミニマリストの部屋の物のない様子が、他の人と違っている、その「特異な点」のみを取りざたしているような気がしてなりません。

アナウンサーは、口では、「ミニマリストという生き方が注目されています。自分にとって本当に必要なもの、好きなものだけを持つ新しいライフスタイルです」と言っています。

けれど、その裏で「ほら、この人たちの家は、ふつうの家と違いますよ。とっても変わっていますね、だからニュースで取り上げました。でもここまではしたくないですよね、無理ですよね、というか、こんなことして楽しいんでしょうか?」というメッセージを感じてしまうのは、考えすぎでしょうか?

数年前、日本一長寿で、ギネスブックにのったおばあさんのニュースを見たことがあります。老人ホームに住んでいる115才のおばあさんです。

その日は誕生日で、おばあさんは自分の好物の鯖寿司をリクエストしました。カメラは鯖寿司を食べるおばあさんの様子をじっと見せていました。そばでカメラマンがバチバチ写真を撮っていました。

そのニュースは、「長生きできて、こんなに元気でおめでたいこと」を伝えるのではなく、何か珍しい動物を紹介している印象を受けました。

ミニマリストもこのおばあさんと同じで、珍しい動物なのです。そんな視線を私は感じます。

☆こちらでもミニマリズムに関する誤解を解いています⇒ミニマリズムに関するよくある誤解を解く。ミニマリストはモノを悪者にしている?

ミニマルライフは多様な生き方の1つにすぎない

当然のことながら、ミニマリストは珍しい動物でも新種の動物でもありません。単に1つのライフスタイルを生きる人達です。

その生き方は、楽しみを否定するものではありません。自分たちにとって余剰な物や行動を削ぎ落として、より楽しく豊かな暮らしを追求するものです。

ミニマルライフの楽しみは、物をどんどん捨てることではなく、残したもので豊かな人生を紡いでいくところにあるのです。

物が少ないので、1つ1つの行動が味わい深いものになるでしょう。たとえば、電気炊飯器を使わず、土鍋でご飯をたけば、水加減、火加減に心を配り、「ごはんを炊く」という行為がより奥行きの深いものになります。

お風呂に入るときだって、まわりにシャンプーや石けん、その他がごたごたと並んでいないから、お湯の色や湯気に気づくことができます。

こういうことは、シンプルだけど、とても心愉しいことなのではないでしょうか?

生活の楽しさとは、大きなソファーに、クッションをいくつも並べて、選びきれないほどたくさんあるチャンネルの放送を映し出す、大きなスクリーンのテレビを見ることだけではないのです。

ソファもテレビもクッションもケーブルテレビのチャンネルも、1つ1つは「楽しみのための物」かもしれませんが、それがありすぎると、かえってストレスの元に感じてしまう人もいます。

物が少ない、気が散らない部屋に住むのが心地よいと感じる人もいるわけです。なぜなら、そのような空間の主役は「物」ではなく「体験」だから。

どんどん新しい物を家にいれるのではなく、あえて物を入れずに、体験を楽しむことがミニマリズムの1つの醍醐味です。

そこにあるのは「修行」とか「挑戦」という厳しいものではなく、シンプルだけど、もっと愉快な、気持ちが軽くなる、愉しい生活なのです。





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