挑戦する人

ミニマルな日常

所持品の数や、捨てたものの数にこだわりすぎてはいけない理由。

不用品の片付けをするさいに、数にこだわりすぎるとかえってうまくいきません。

その理由をお伝えしますね。



数にこだわるとは?

不用品の片付けにおいて、数にこだわるとは、どういう状態なのか?

持ち物は100個以内にしなければいけない(101個はアウトで、100個はセーフ)、衣類の数は100枚以内におさまれば、どれだけ服を買っても大丈夫、1000個捨てたから暮らしはシンプルになったぜベイビー、ワンインワンアウトさえできていれば、シンプルライフをキープできている

こんな考え方が、数にこだわった状態です。

ワンインワンアウトとは?⇒物を減らすのに、ワンインワンアウト(1つ買ったら1つ出す)は本当に効果があるか?

1000個捨てとは?⇒持たない暮らしに近づく1000個捨てチャレンジの楽しみ方。

数値目標の入ったルールにこだわっている状態とも言えます。

片付け以外でも、私たちはノルマや売上目標、フォロワーの数、いいねの数、ランキングの順位、売上枚数、体重、預金残高など、数字にこだわる傾向があります。

ブログならアクセス数に。

では、なぜ数にこだわってはいけないのでしょうか? その理由を3つ紹介します。





不健全な執着を生む

数にこだわりすぎることは、しばしば、不健全な執着に発展します。

まじめで完璧主義的傾向のある人ほど危険です。

そして、日本人の多くは、まじめで完璧主義だと思います。

数年前に部屋の中がカオスになってすごく悩んでいた人の相談に回答しました。

物の置き場所が決まらず部屋がカオスです。どうしたらいいですか?

この人は、物はあまり持っていません。

すべての物を数え上げていて700個以内です。

ご本人も別のメールで書かれていましたが、セサミストリートに出てくるカウント伯爵みたいに、何でもかんでも数えています。

そうする理由は、これ以上物を増やしたくないから。

だから、家中の物を数え上げ、その数字をスプレッドシートに入力していました。

「もう絶対物を増やせない。むしろ減らすべき」という自分ルールに対する強烈な執着のせいで、部屋がカオスになっていたのです。

自分で勝手に作ったルールに、本人はとことん縛られていました。

それもこれも、物を数えて数字を出し、エクセルなんかで管理しているからです。

数にこだわって不幸になった典型的な例だと思います。

本来の目的を忘れる(優先順位を見失う)

数にこだわると優先順位がぐしゃぐしゃになります。

たとえば、所持品を100個にするというルールにこだわったとしましょう。

すると、本来のゴール(そもそも片付けている理由)や、優先すべきことがわからなくなります。

ここに断捨離好きの主婦、P子さんがいます。

部屋をスッキリさせて、家族全員、のびのびと暮らしたい。そのためには、断捨離がいいらしい、よし物を捨てよう、まず、ブログを読んで捨て方とか見てみよう。

数年前、そう、P子さんは思いました。

P子さんは、ブログや片付け本を読んでいるうちに、所持品を100個にした人がいることを知ります。

100個チャレンジをして人生を変える・デーブ・ブルーノ(TED)

「なるほど、100個にすればいいのね」。

P子さんは、所持品を100個にするという目標を掲げ、ガンガン捨て始めました。

筆子ジャーナルに決意表明のメールも出しました。

しかし、自分の行く手をはばむ者がいます。

夫です。

なにかというと、夫がいらないものを義理姉のところからもらってくるのです。

もういらなくなった子供のおもちゃ、義理姉家では使わないという石けんやタオル、義理姉が趣味で作っている衣類や小物をどんどん自宅に運び込む夫。

子供は子供でやたら絵本やおもちゃを散らかします。

「ちょっと、こんなもの、もらってこないでよ!」「こら、散らかしたものはちゃんと自分で片付けなさい!」

P子さんは、だんだん夫や子供の行動を取り締まる断捨離警察のようになっていきました。

家庭には不穏な緊張が漂い、P子さんもイライラすることが増えています。

断捨離をして、楽しく暮らすはずが、100個捨てにこだわったあまり、逆の結果を生んでしまったのです。

数値目標に集中してしまうと、本来の目的を忘れてしまいます。

目先の成果だけを追い求める

数にこだわりすぎると、目先の成果だけを追求するようになります。

とりあえず100個にすればいい、とりあえず、1000個捨てればいい、とりあえず、衣類は50着以下にすればいい、そうすれば、何もかもが解決する、というように。

するとどうなるか?

ある人は、片付け本を買いまくり、即効性のあるテクニックの収集のみに努めます。

テクニックばかり追い求めると、浅く学ぶことしかできないので、応用力が身につきません。

そのため、ちょっと変わったことが起こると、すぐに挫折したりリバウンドしたりします。

断捨離するときは、家に入れる量を抑えるべきなのに、そのことに気づかず、以前と同じように買い物を続け、「おかしいわね。なんでスッキリしないのかしら?」と悩みます。

ある人は、数合わせのみにこだわります。

所持品の数をキープするために、本当はまだ有用で捨てるべきではないバッグを無理やり捨て、新しいバッグを買うという、エコでない行動をします。

ある人は、断捨離のプロセスを楽しむ心の余裕を失います。

なかなかきれいにならない部屋を見て、うつうつとして、「断捨離しているのに、どうして人生バラ色にならないの?」と自分や他人に八つ当たりします。

人によっては自信を失います。

目先の成果だけを追い求めると長期的視野に立てないので、同じミスを何回も繰り返すことになります。

先日も書きましたが、断捨離において大事なのは、そこからなにかを学んで、生活をよい方向に変えていくことです。

片付けで一番大事なことは、どれだけたくさん捨てたかではない。

数さえ合えば一件落着、という態度でいると、学ぶ機会を得られません。

ちまたのルールは誰かのルール

このように、数にあまりこだわりすぎるべきではありませんが、ちまたには数値目標があふれています。

目で見てわかりやすい指標である数字はいろいろなところで使われていますよね。

生活雑誌には、バスタオルの数は、家族の数X2とか、家に残す紙バッグ大小でそれぞれ2枚、といった数の目安がのっていることが多いでしょう。

数字の目安を知りたいと思う人が多いから、そういう数字がのっているのだと思います。

しかし、こうしたルールは、万人にあてはまるものではありません。

私のようにバスタオルなんてそもそも使わない人もいます。

逆に、バスタオルのコレクションが楽しくて仕方がないとか、TPOに合わせて使い分けている人もいるかもしれません(私には想像しにくいのですが、バスタオルのふわふわ感が好きで、日によって違うバスタオルを使いたいとか、そういう理由で)。

ちまたに出回っている「数のルール」は、あなたのことや生活なんて何ひとつ知らない人が適当に作ったルールです。

そのルールにしばられるべきではないのです。

大事なのは自分はどう思うか?

数にこだわるべきでないとしたら、あなたは何にこだわるべきか?

自分の価値観や居心地よさにこだわってはどうでしょうか?

1年に1回も使わない食器がたくさん入っている食器棚について自分はどう思うか?

上から下までびっしり物が詰まっている押入れを見てどう思うか?

買っては捨てて、買っては捨ててを繰り返す生活は、自分が本当にしたいことなのか?

これまで出席した結婚式の引き出物をすべて持っている生活は本当に豊かなのか?

こうしたことにこだわるのは、実はめんどくさいことです。

なぜなら、正解がないから。

数にこだわっていれば、100個はまるで101個はばつです。

何も考えなくても答えがでます。

しかし、価値観にこだわろうとしたら、まず自分の価値観を確かめる必要があります。

人によっては、この作業はしんどいでしょう。

時間をとって考える必要がありますから。

しかし、自分の価値観に沿った生活をすれば、心が満たされます。

自分の価値観に沿った暮らしをするには?:心を満たす方法(その2)

遠回りに思えるかもしれませんが、自分の気持ちを優先した断捨離をしたほうが、求めているものを手に入れやすいのです。

関連記事もどうぞ⇒今すぐ断捨離をやめたほうがいい4つのケース。

****

数にこだわりすぎないすすめを書きました。

断捨離をするための1つの企画(プロジェクト)として、数値目標を決め、そこをめざすのはいい方法です。

しかし、その目標の達成がゴールでないことは、忘れないでいてください。





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