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好きなことを楽しむためにものを買うのは、決して悪いことではありません。けれども、その楽しみが、いつの間にか自分の足かせになることがあります。
この記事では、その落とし穴と、そこから抜け出すヒントをお伝えします。
楽しむために買う
ある読者の方から、こんなお便りをいただいたことがあります。
私はずっと保育園に努めていて子育てもバタバタでした。介護や孫の保育を機会に退職し、これまでの沢山好きなものを買う、楽しむことが大事というような意識あって、その事も筆子さんのブログに出会うまで気がつきませんでした。いつももっと欲しい!新しい洋服が欲しい!という気持ちがあるし、でも収納しなければと沢山収納のグッズを買ったり収納のブロガーさんの本を買ったりでした。
この方のように、生活や人生を楽しむために買い物してたら、ものを持ちすぎてしまい、かえって生活しにくくなっている人は、たくさんいると思います。
私自身も若い時は買い物が好きで洋服や雑貨をいっぱい買いました。仕事の帰りによく買っていましたが、気晴らしやストレス解消になっていたと思います。
ですが、そうやってものをたくさん集めても、心は満たされませんでした。むしろものが増えすぎて、部屋が散らかり、クレジットカードの明細を見るのもゆううつでかえってストレスが増えていました。
幸せになるためにしている買い物が、逆に自分を苦しめていることがあります。
少しだけ軌道修正して、本当に自分を満たす選択をしてみませんか?
「好きなことを楽しむ」は悪くない。でも…
もちろん、好きなことを楽しむのは大切です。誰に迷惑をかけるわけでもなく、自分の気持ちを明るくするために趣味のものや洋服を買う。これは決して悪いことではありません。
むしろ、好きなことがある暮らしや好きなものを集める生活は、豊かな人生の一つだと思います。だから私は、ものを買うことが悪だとは思いません。
ただ、「楽しむために買う」が、行き過ぎてしまうことがあります。
たとえば、好きな色の服を毎シーズン買い足したくなったり、部屋をきれいにするために買った収納グッズが、家の中に増えすぎていたり。最初は楽しみだったはずの行動が、気づけばストレスの原因になっていたなんて経験はありませんか?
好きなことを楽しむという、もともとはポジティブな気持ちが、知らず知らずのうちに「やめられない買い物」や「減らせないもの」と結びついてしまうと、逆にストレスが増えます。
その買い物を本当に心から楽しんでいるのか? それとも楽しもうと無理しているのか?
立ち止まって自問してみると、買い物していても実はあまり楽しくないことに気づくかもしれません。
何かに急かされて買い物をしていないか?
買い物は、元々自由で気楽な行動です。「これがほしい」「これが似合いそう」と、自分の気持ちを満たしてハッピーになるための行為。しかし、いつのまにかその買い物が、「しなければならないこと」になってしまうことがあります。
というのも、買い物が楽しいのは新しいものを手に入れるという期待のせいで、ドーパミンが分泌しているからです。「わくわく → 買った → 思ったほどでもなかった → また次を探し始める」というループにはまっている人がたくさんいます。
買い物で気分があがるのはドーパミンのせい。この仕組みを知って無駄遣いを防ぐ。
たとえば、季節の変わり目。「そろそろ春だから、新しい服を買わなきゃ」「今年らしい色のバッグが欲しい」と感じますよね。雑誌やSNS、通販サイトの特集を見て、買わないと置いていかれるような気がしてしまい、楽しむより、トレンドを追いかけることが目的になります。
あるいは、「自分を磨くため」「暮らしを整えるため」と思って買ったものたちが、まったく使われず放置されていることはないでしょうか?
買ったときはあんなにわくわくしていたのに、すぐに魅力があせてしまい、「また新しいのを買わなきゃ」という焦りの種になってしまうことがあります。買い物が、楽しみというより単なるこなすべきノルマになってしまっている状態です。
必要かどうか考えるより前に、「何か買わなきゃ」という気持ちが先走ってしまいます。
収納用品や便利グッズも、楽しむ名目で増える
楽しむための買い物の中でも、特に注意したいのが収納用品や便利グッズです。
「片づけをしたい」「すっきり暮らしたい」という思いのある人ほど、新しい収納ケースを買ったり、おすすめの整理グッズを試してみたりします。
この流れは一見、前向きでよいことのように見えます。けれども、それもまた「楽しみたい」「快適に暮らしたい」という名目のもとに、無駄なものを増やしてしまうのです。
かつての私もそうでした。
雑誌で見た素敵な収納アイデアをまねしたくて、通販ショップで圧縮袋や透明な引き出しをいくつか買いました。でも、すでに部屋の中はものでいっぱいだったので、収納グッズが増えるたびに、「これをどう活用しよう」「どこに置こう」と、毎回考えることになりました。
結局、実際には使わず、買ったままの状態でしまい込んでいました。
ものを減らすどころか、収納というもっともらしい理由をつけて、さらにものを家に入れている。最初は生活を整えるための買い物だったのに、ふたを開けてみれば、買い物を正当化するための言い訳になっていた……そんな経験をした方も、多いのではないでしょうか?
実際は、収納をがんばる前に、そこに入れるものを減らすことを考えた方が、ずっと暮らしは楽になります。
ものが増えると楽しさが減っていく
買い物をすると、そのときは気分が上がります。でも、その楽しさは一時的なもの。あとに残るのは、家の中に増えたものと、その管理の手間です。
たとえば、服が増えるとクローゼットがいっぱいになります。毎朝「今日は何を着よう?」と考えるのが楽しかったはずなのに、多すぎれば逆に迷ってしまう。結局いつも同じ服ばかり着て、他の服はタンスの奥に眠ったままです。
キッチングッズや便利アイテムも同じです。
「これがあれば料理が楽しくなる!」と思って買った道具の出番がほとんどなくて、引き出しの中を占領し続けるため、ほかのものが取り出しにくくなります。そうすると、毎日の料理がかえって面倒になりますよね。
つまり、ものが増えすぎると、
・探す手間が増える
・片づけに時間がかかる
・掃除がしにくくなる
こんなふうに、生活のあちこちで負担が増えていきます。
せっかく楽しみのために買ったものなのに、それがストレスや雑用のもとになってしまうのです。
本当に好きなものが埋もれてしまい、「自分は何が好きだったんだっけ?」と、わからなくなってしまうことさえあります。
買わない選択も、楽しさを増やすことにつながる
買わないという選択が、もっと豊かな楽しみをもたらしてくれる可能性があります。
楽しみたいから買うという考え方の反対は、つらい思いをして節約することではありません。
たとえば、ものを増やさないと決めると、すでに持っているものをちゃんと使う気持ちになります。
新品のまま放置していたワンピースを着てみたり、買ってあったままの本を読んでみたり。
持っていたことすら忘れていたものに目が向き、その中から本当に好きなものを見つけることもあります。
買い物を控えて、家の中が少しずつスッキリしていくと、心の中にもスペースが生まれます。
時間にも気持ちにも余裕ができて、他の楽しみに目が向くようになりますよ。
私自身、服を定番化してから、コーディネートを考える必要がなくなり、時間の余裕ができて趣味を楽しめるようになりました。
買うことで満たすよりも、今あるもので楽しむ。それは、ものに振り回されない自由な楽しさです。
足かせを外して、もっと自由になる
楽しむために買うことは、決して悪いことではありません。
それが気分転換になったり、心の支えになることもあるでしょう。
けれども、その楽しみがいつの間にか、「もっともっと」と買い物を重ねる理由になっていたとしたらどうでしょう?
それはもう、楽しみというより苦しみです。
ものを増やすことより、すでにあるものを見つめ直すこと。本当に好きなものをしっかり使っていくこと。
そうやって見つけた楽しみは、ずっと長く、深く、あなたを満たしてくれます。
たくさん持たなくても、ちゃんと楽しめる。
買わなくても、満ち足りた気持ちになれる。
そんな自由で身軽な感覚をあなたも体験してみませんか?
自分にとって本当に心地いい楽しさとは何か?
この機会に、ちょっと考えてみてください。