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今の若い世代は、できるだけものを持たず、シンプルな暮らしを好む傾向があります。
かつては、「いいものを長く使う」「親の持ち物を受け継ぐ」という考え方が当たり前でした。高価な家具や食器、趣味のコレクションなど、「子どもや孫がいつか使うだろう」と思って、大切に取ってある人も多いでしょう。
しかし、「将来、娘や息子が使うかも」と思って取っておいたものが、実際には受け継がれずに処分されることも珍しくありません。
もし「大切なものだから残しておきたい」と思っているものがあるなら、本当に次の世代の家族にとって価値のあるものなのか、一度立ち止まって考えてみませんか?
この記事では、若い世代がものを持ちたがらない理由を考察します。その理由を知れば、今まで大切にしてきたものを手放す勇気が持てるかもしれません。
「もしかすると、家族にとっては必要のないものかもしれない。」
そう気づいたとき、手放す決断をすれば、自分の暮らしも快適になるし、家族の負担を減らすことにもつながります。
1.住環境の変化:コンパクトな住まいに合わせた暮らし
昔と今で大きく変わったのが住まいの広さです。
かつての日本では、一軒家や広い間取りのマンションが一般的でした。しかし、今の若い世代はよりコンパクトな住まいを選ぶ傾向にあります。
・都市部ではワンルームや1LDKの賃貸が主流 → 収納スペースが限られる
・仕事の都合で引っ越しが多い → 大きな家具や荷物は邪魔になる
・家を持たず、賃貸暮らしを続ける人も増加 → できるだけ「身軽」でいたい
こんな傾向が見られるのではないでしょうか? 小さな住まいでは収納が少ないため、大きな家具や大量の食器を引き継ぐ余裕はありません。
実家の大きなダイニングテーブルや和箪笥(たんす)。あなたにとっては思い出深いものでも、若者にとっては邪魔なものになってしまうかもしれません。
都市部への人口集中、住宅価格の高騰、働き方の多様化など、様々な要因が重なり、若い世代はコンパクトな住まいを選択せざるを得ない状況にあります。
限られたスペースを有効活用するためには、大型家具や大量の荷物はどうしても邪魔になってしまうのです。
昨年の春、サポート付き高齢者専用のマンションに引っ越した私の母は、30年近く一軒家で一人暮らしをしていましたが、マンションに移る前に、結局たくさんのものを手放すことになりました。
母は、ベッドやテーブル、仏壇など大きな家具を手放した後、コンパクトな部屋に合うものに買い替えました。
2.シンプルな暮らしを好む:「持たない自由」を選ぶ若者たち
私(昭和34年生まれ)が若い頃に比べて、今の若い世代は、「必要最低限のものだけを持ち、スッキリした暮らしをしたい」と考えている人が多いと思います。
私が若い頃には、シンプルライフやミニマリストという言葉を聞くことはまずありませんでした。
実際、ものを持たないと色々なメリットがあります。
・掃除がラクになる:ものが少ないとホコリがたまらず、散らかったあとの片付けも簡単です。
・ストレスが減る:余計な持ち物を管理しなくて済むので心の負担が減ります。
・時間に余裕ができる:探し物をする時間や、物を整理・管理する時間が減るため、より有意義なことに時間を使えるようになります。
「いつか使うかも」「捨てるのはもったいない」と思うかもしれませんが、若者は本当に必要なものだけを持つことが、快適な暮らしにつながると考えているのではないでしょうか?
「持っているだけで安心」という考え方は、若い世代にはあまり通用しないのです。
情報過多な現代において、若い世代は「何が本当に必要か」を常に問い、取捨選択する力を養うことを求められています。
ものにあふれた生活ではなく、本当に大切なものだけに囲まれたシンプルな暮らしを追求する。そうした暮らしが豊かな生き方だと考える人が増えているでしょう。
ミニマリストとは何か、持たない暮らしのメリットを書いた記事のまとめ。
3.デジタル化の影響:持たなくても困らない時代に
以前は、家の本棚に並ぶ本やアルバム、レコード、DVDが大切なコレクションでした。
しかし、今の若者にとっては、これらの多くがデジタル化によって不要になりました。
たとえば、昭和の時代は百科事典を家に置くことが「知的な家庭の象徴」とされ、多くの家庭で揃えられていました。特に1970〜80年代には、訪問販売や教育熱の高まりもあり、百科事典は「子どもの学力向上のために必要なもの」と考えられていました。
私の実家にも平凡社の百科事典があったので、暇な時に拾い読みしていました。
しかし、今となっては誰も百科事典を欲しがりません。インターネットの普及により、調べ物はスマホやパソコンで簡単にできる時代になり、百科事典は「重くてかさばるだけのもの」となってしまったのです。
ほかにも、こんなものがデジタル化されました。
・本や雑誌 → Kindleや電子書籍アプリで読む。
・写真アルバム → クラウド保存が主流。
・音楽CDやDVD → ストリーミングサービスで視聴可能。
アナログのものにも良さはあるので、こうしたものを好んで持つのも一つの選択肢です。しかし、それはもはや、趣味の世界と言えるでしょう。
自分の趣味で集めたものを、若い世代が受け継いでくれるでしょうか?
4.経済的な理由:「いいものを長く持つ」より「コスパ重視」
「親が大切にしていた高級家具やブランド食器なら、若い人も喜んで使うのでは?」。こうあなたは思うかもしれません。
しかし、今の若者は「高価なものを長く使う」より、「安くて便利なものを必要なときに買う」という考え方をすると思います。
消費スタイルはこんな風に変わっています。
・家具はIKEAやニトリで手軽に購入する。 古い家具より、組み立て式のシンプルなものが人気。
・洋服もトレンド優先。高級ブランドより、ユニクロやファストファッションが主流。
・家電もサブスク化。必要な期間だけレンタルする文化が広がる。
経済的な不安や将来への不透明感から、若い世代は「所有」よりも「利用」を重視する傾向にあります。
必要な時に必要なものを手に入れ、不要になれば手放す。そんな柔軟な消費スタイルが、彼らにとっては合理的なのです。
「高かったから捨てられない」という考え方は、若い世代にはあまり響かないかもしれません。
シェアリングエコノミーがシンプルライフにもたらすもの(前編)
今のうちに手放すことを考えよう
ここまでの話を読んで、「じゃあ、私がずっと大切にしてきたものはどうすればいいの?」と思ったかもしれません。
答えはシンプルです。
「若い世代は、あなたのものを欲しがらない」
この事実を受け入れて、次のアクションを考えてみましょう。
すなわちそれは、処分することです。
今すぐできそうなこと:
・まず自分がどれだけ古いものを持っているか現状を調べる → あまりの多さに手放す気になるかもしれません。
・家族に「本当に使う?」と聞いてみる → 「いらない」と言われたら、潔く処分を考えましょう。
・写真に撮って思い出だけを残す → 物理的に持たなくても、思い出は消えません。
・リサイクルや寄付を活用する → 必要としている人に届ければ、罪悪感が軽減します。
世代間の価値観の違いを理解し、不要なものは思い切って手放す。これが、あなたにとっても、若い家族にとっても、最善の選択となるでしょう。
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あなたが思っているほど、若い世代はものを欲しがらないという話をしました
自宅に眠っているものを、本当に大切にしてくれる人は、家族や親族ではなく、今それを必要としている人ではないでしょうか?
家の中に置いたままでは、必要な人の手に渡りません。
「捨てる」のではなく、「未来の家族の負担を減らす」「今、必要な人に渡す」と考えると、断捨離のハードルが下がります。
まずは、手放したいものを見つけることから始めてみましょう。
自分とは違う世代の考え方があることを認め、お互いを尊重し合いながら、より良い未来を築いていきましょう。