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シンプルライフな人たち

映画『365日のシンプルライフ』の感想:「物を捨てる」映画ではなく、大切な物を選ぶ話

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シンプルライフをめざして、物を捨てているけど、気づくとまた物が増えてる、ということはよくあります。

もともと物が多すぎて、「捨てても捨ててもまだある」という気分になることも。そんなふうに最近、「断捨離疲れがひどくって」、というあなたにおすすめの映画を1つご紹介します。

その映画のタイトルは

『365日のシンプルライフ』
原題はTAVARATAIVAS

『365日のシンプルライフ』はこんな映画です

フィンランドの2013年制作の映画です。

去年の8月、日本で地域を限定して小さな劇場で公開開始。好評なので、公開するシアターが続々と増えて、今も日本のどこかで上映されています。

この映画を見たミニマリスト、ダンシャリアン、その他シンプルライフ志向の人が、自分なりに『365日のシンプルライフ』ふうの実験をしているようですよ。

ドキュメンタリーで、主人公の1年間に渡るある実験を描いています。

主人公は、フィンランドのヘルシンキに住む若い男性ペトリ。この映画の監督でもあります。自分の実験を映画にして、世に出したわけです。

彼はなかなか素敵なフィンランド人なのですが、あるとき、物だらけの自分の部屋にうんざりしました。そこでこんな実験を始めるのです。

・自分のすべての持ち物を倉庫にあずける。

・毎日1つずつ、必要なものを倉庫から部屋に持ち帰る。

・これを1年間続ける。

・1年間、食べ物以外の物を買わないようにする。

1年後には、本当に必要なものが365個、彼のもとに戻るのです。

この実験、フィクションではありません。本当にペトリが、自分の生活を撮影しています(ペトリが写ってるからカメラマンは別にいるはずですが)。

すべての物を倉庫にあずけてしまった初日は、彼は原始人みたいに裸です。裸で、アパートの階段を走っておりて、街をつっきって(新聞紙で前を隠しています)、倉庫に第1の物を取りに行きます。

新聞紙って何かと重宝ですよね。いろいろな用途に使えます。

それにしても、彼、思い切ったことをやります。ちょっと真似できないですよ、裸は。しかも、ここフィンランドだし、真冬ではなかったと思いますが、まだ地面に雪が残っている景色が写ってました。

やはり芸術家というのは、とっぴなことをするものです。

予告編がありますのでごらんください。

バックに流れているジャズがおしゃれですね。この映画、コメディだと思いますが、監督のセンスが独特で、少々パンクな映画になっています。前衛映画とまでは行きませんが、途中で「おや?」と思うようなことがちらほら。

映画のオフィシャルサイトはこちら⇒映画『365日のシンプルライフ』オフィシャル・サイト 

筆子がこの映画を映画館に見に行った日のレポートはこちら⇒モノを減らしたい人にオススメの映画『365日のシンプルライフ』鑑賞記

amazonでレンタルできます。

365日のシンプルライフ(字幕版)

ところで、主人公が、物を倉庫に一気にあずけて、自分の人生を強制リセットした理由は、実は失恋なのです。

彼女にふられて、ふっと目をやったら、物だらけの部屋で、ますますうつうつとした気分になったようです。

彼も筆子のように、「物はたくさんあるけど幸せじゃない」状況に対峙したのですね。

筆子の場合⇒なぜ私は断捨離をしてミニマリストになったのか?【1】~物がたくさんあっても幸せではなかった

実際、物って、買ったときは幸せな気分にしてくれるけど、持ち帰って、家に置いておくと、あとはどんどんガラクタ化して、うっとうしくなるばかりです。

そこでふつうの人は、1つ1つ物を手に取り、「いる、いらない、迷い中」なんて考えながら、物を捨てるのですが、彼は、まず全部倉庫に預けて、そこから、1つずつ「必要なもの」を持ってくるメソッドをとります。

全捨てならぬ、全預け。

倉庫を借りるお金(持ってくる順番にもよりますが、少なくとも半年ぐらいは借りている必要がありますよね?)がいるので、多少財力がないとできないワザですね。

ペトリは1日1つしか物をもって来られないから、「いる、いらない」を考えるとき、本当に真剣です。ちなみに、1番最初に持ってきたものはグレーのウール(たぶん)のコート。防寒は死活問題ですもんね。コートはふとんにもなります。

毎日もんもんと悩みながら、物を持ち帰っていたある日、ペトリに新しいガールフレンドができます。これって、断捨離効果でしょうか?

でもガールフレンドができたおかげで、ちょっと物が増えるんです。デートにいる物なんかが。

このガールフレンドとはその後どうなったのか知りませんが、子供ができたら、またまた物が増えますよね。今ごろ、けっこうリバウンドしていたりして。

こんなふうに、この映画は、「物を捨てる」映画ではありません。自分の人生にとって、「必要な物を選ぶ」映画です。しかも、答えは見つかっていません。というのも、ペトリの人生はまだ現在進行形なのですから。

人はモノを消費することによって自己表現している

フィンランドと聞くと、マリメッコやイッタラといった、洗練された雑貨を思い浮かべますが、ペトリの持ち物も、黒、グレー、白を基調としたおしゃれなグッズが多いです。

きっと彼は美的感覚がするどくて、物にこだわりがあるタイプなのでしょう。

ペトリは、インタビューでこんなことを言っています。

自分たちが、最も「モノを消費することによって自分を表現する」世代だと思う

自分の所有している物で、自己表現する、ということです。

この行為には2つの側面があると思います。

1.ステータスシンボルとしてのモノを買う。
2.こうありたい自分のためにモノを買う。

ステータスシンボルとしての物の購入は、「自分はこういう人だと人に思われたいから」という動機で、物を買うこと。何も高いものばかりとは限りません。若く見られたいから、若者の好む物を買ってみたり。

もう1つは、「自分がこうありたい」、という理由で物を買うこと。これは、自分の好きなものだけで、部屋のインテリアをそろえようとしたり、服やバッグなどの持ち物にこだわることです。

たとえば、ゆるりまいさんみたいになりたいから、城山陶器の青いカップを買うとか、マジックソープを使う、というようなこと。

無印良品が好きな人は、必ずしもその商品が本当に必要で買っているわけではありません。無印良品の品物が実現してくれるであろう世界の住人になりたいから買っているのです。

みんな、多分に「その物」がもたらしてくれる時間や、世界のためにお金を払っているんですよね。でも、そういう付加価値をつけてるのは、自分の思い込みや、広告の刷り込みですから、買ったところで、自分の暮しはそんなに簡単には変わりません。

やはり幸せのよりどころは、物ではないのです。
では、本当に幸福な人生に必要なものは一体なんなのか?

そんなことをこの映画は考えさせてくれます。

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