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シンプルライフをめざして毎日がんばっていらない物を捨てているが、家族は勝手気ままに家の中に物を持ち込む。義理の両親は子供のおもちゃやおやつをどんどんくれる。それもジャンクフードばかり。
こんなときは、家族と交渉する必要があります。
今回は、家族と平和的に交渉を進める方法を考えてみました。
この記事を書こうと思ったのは、あるお問い合わせがきっかけです。まず、メールを引用しますね。
季節の飾り物の処分に困っています
アガサさんより。
件名:シーズンものについて
以前、メールをいたしましたが、あれから食器を相当処分し、文房具も大量に自治会に寄付いたしました。
今では重複したものがあると気持ち悪く感じてしまうほどです。
ところで、処分できないというか断捨離対象外になっているものが、シーズンの飾り物です。お雛様、兜、クリスマス関係のものなどです。
その中でも兜はセット全部で畳一畳分くらいありまして、これは義父母が息子のために買ってくれたものですがたぶんこれからも飾る機会はないと思います。
夫は孫が使うと言っていますが、息子は結婚もしていませんし、古い物をもらってくれるとは思えません。
遺品整理に残してしまっていいものか悩んでいます。
筆子さんならどのようにされますか?アドバイスお願いします。
アガサさんからは以前もお便りをいただいているのですが、私(57歳)より5~6歳上と伺っております。だから「遺品整理」などという言葉が出てくるのでしょう。
このメールに対しては、私は以下のようにお答えしました。
ご主人が反対しているそうですが、機嫌のいいときに、
●息子はまだ結婚すらしていないし、男の子の孫が生まれる可能性は低いし、生まれたときの住宅事情のせいで飾ることができない可能性は充分ある。
●しまいこんでいても、兜を有効活用できない(死蔵品である)。外に出せば、使ってくれる人の手に渡るので、兜としてもうれしいのではないか。
●先の暮らしのことより、今の暮らしを楽しむべきだ。
などなど、私がいつもブログに書いていることと、アガサさんが、処分したいと思っているその理由を一緒に、ご主人に話してください。
ご主人の了解を得てから処分した方がいいと思います。
私の返答に対して、アガサさんから、「兜を捨てることにした。夫の了解を得られるように徐々に説得する」という返事が来ました。
そこで、今度は、家族を説得する方法を考えよう、と思ったわけです。
他人の行動はコントロールできません。人心掌握術にたけている政治家などいますけれど。
必要以上に、相手を自分の思いどおりに動かそうとしても自分が消耗するだけ。私はタメコミアンの夫を相手に、何度も勝手に自爆しました。ですが、あきらめずに交渉することは大事です。
断捨離にあまり協力してくれない夫、親、義理の両親、子供を説得したいときは、こんなふうにやってみてはどうでしょうか?
ステップバイステップで書きます。
ステップ1:まず、自分の意見をしっかり準備
交渉する前に自分の考え、要求、論点などはすらすらしゃべれるように準備しておいたほうがいいです。
兜の例で言うと、「兜、邪魔だから捨ててもいい?」だけだと説得力がありません。
私の回答に書いたように、なぜ自分は兜を捨てたいのか、その理由と、兜を捨てるとどんなメリットがあるのか、捨てる方法としてはこんなことを考えている、などは頭に入れておいたほうがいいでしょう。
特に、兜を捨てるとき生じる問題点を解消する方法は考えておいてください。
自分の要求を整理しておかないと、以下のような展開になりかねません。
妻「兜、捨てたいんだけど」。
夫「捨てるって、おまえ、あんな大きいもの、どこに捨てるんだ?」
妻「….わからないけど」。
夫「捨てようがないだろ。孫が使うかもしれないし、置いとけばいいよ」。
これでは、交渉開始後30秒もたたないうちに、終わってしまいます。
ステップ2:相手のニーズに耳を貸す(根回し)
家族関係がとても良好な人はいいですが、愛情が冷えきっているような家なら、交渉を始める前に、相手のニーズに耳をかたむける場を持ってください。
そうすると、相手もこちらのニーズ(この場合は兜を捨てることに承諾を得ること)にこたえてくれる可能性があがります。
よく「欲しいものがあるなら、まずは与えることから始めなさい」と牧師さんなんかが言うと思います。これは本当だと思います。
自分の要求を口にする前に、相手が求めていることを聞いておくと、より交渉をスムーズに展開できます。
みんな忙しいので、「ちょっと話があるんだけど」と言っても、聞いてくれないかもしれません。聞いてはくれても、目はテレビやスマホを見ていてこちらのことは眼中にない、ということがよくあります。
「兜、捨てるよ、いいよね?」と言っても、相手の目と耳はテレビに集中しているので、「うん」と生返事。
実際に兜を捨てたあと、「あれ、ここにあった兜どこにやった?」と糾弾されるかもしれません。相手は返事をしたことを覚えていないので、「勝手なことばかりして」と怒ってしまうのです。
このような事態を避けるために、交渉を始める前に、家族が困っていることに思いやりの気持ちを寄せてください。
具体的なやり方ですが、直近で家族に頼まれていたことがあったら、「この間頼まれたあれだけど、やっておいたよ」と言ってください。
「おお、ありがとさん」。
と言われたら、「他に何かない?困ってることとか?心配なこととか?」と切り出してください。
「そういえば、今こんなことで困ってるんだけど、こんなことが不安なんだけど」と相手が話しだしたら、ひとしきり聞いてあげればいいのです。
その問題を解決する必要はなく、聞いてあげるだけで大丈夫です。
兜の交渉はこの時にやる必要はありません。まだ準備段階です。
ステップ3:実際に要求を口にする
根回しが終わり、家族間に良好ムードが高まった頃を見計らって、兜を捨ててもいいか、交渉します。
相手の機嫌のいいとき、心に余裕のありそうなときに、ステップ1で準備したことを話してみます。
話をするときは、礼儀正しく、静かに、しかし自信を持って話してください。
ステップ4:相手の意見をよく聞く
一通り自分の要求を述べたら、相手の意見も聞くようにしてください。交渉がうまい人は、一方的に自分の意見を述べる人ではありません。
デール・カーネギーの本だったと思うのですが、相手の意見をじっくり聞くことができる聞き上手な人は、どんな仕事についても成功する、と書かれていました。
たぶん、そうだと思います。たいていの人は、いつも自分の話をしたくてうずうずしていますから。それと、今、忙しい人が多いので、家族の話をあまりじっくり聞かない傾向があります。
人から好かれたかったら、とにかく相手の話を聞くことです。
私は夫に対してこれをあまりやらないので(夫が結論を先に言わない蛇行運転的なロジックを使うため、聞いていると頭がぐらぐらする)、交渉が決裂してしまうのです。
私は苦手ですが、あなたは家族の言い分をとことん聞いてください。ここは忍耐が必要です。
相手の意見を聞いているあいだに、思わぬ解決策が見つかることもあります。
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ステップ5:相手にとってのメリットを強調
何かを捨てる交渉をするときは、捨てたあと、相手にもメリットがあることを強調してください。
人は、自分にメリットがあることじゃないと、興味を持って聞いてくれません。それはあくまで他人事になってしまうのです。
奥さん(母親)が一生懸命断捨離しているのに、家族がまったく意に介さず、100均でどうでもいいものを買ってきてしまうのは、「妻が何かごそごそやっているようだが自分には関係ない」と思っているからです。
たとえば、今、兜が押入れのスペースをどーんと取っているとします。
兜をどかしたら、ご主人の部屋で邪魔になっている、雑誌のバックナンバーを兜があったスペースにしまうことができる、すると、ご主人はもっと部屋を広く使える、日当たりがよくなる、など、ご主人のメリットを強調してください。
そんなにうまくメリットが見つからないかもしれませんが、自分のメリットより相手のメリットにフォーカスしてみてください。
部屋をもっと広々と使えることは、家族全員の利益に通じますので、このあたりを強調するとよいのではないでしょうか?
実際、いらない物を減らすことはこんなメリットがあります⇒物を捨てたらこんないいことありました~断捨離で得られた5つのメリット
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こんなふうにうまくいかないかもしれませんが、一度の交渉でうまく行かなくても何度か繰り返してください。自分の意見を押し付けようとすると、交渉が決裂するので、粘り強くやることが必要です。
ポイントは感情的にならないことと、この交渉で得たい結果を忘れないことです。
家族間で泥沼の争いが起きることがありますが、あれは皆が感情的になるからです。あまりに近い間柄だから、遠慮がなくなるのです。積年のうらみなども噴出するのかもしれません。
この交渉で得たいものを見失ってしまうと、「論争に勝つこと」が目標になってしまうので気をつけてください。
断捨離は家族の幸せのためにやることですから。