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過去の嫌な記憶と決別する方法を教えてください、という読者の質問に答えます。
何があったか知りませんが、昔起きたことを夢に見て、それがすごくリアルで不快である、とのことです。
質問はこちらの記事に書いています⇒悪夢を見ないようにする方法。嫌な夢、怖い夢はこうして減らす。
この方の場合、無意識に見る夢で不快なことがらが出てくるので、心の奥底まで掃除をする必要があるかもしれません。ですが、昼間の生活で、辛い思い出を手放すことができれば、悪夢がおさまる可能性もあります(私の希望)。
問題が深刻な時は専門家に相談してください
この記事では自宅で自分でできることを紹介します。
そのトラウマ(心の傷)が深刻だったり、外傷後ストレス障害(PTSD)が疑われる場合、プロに相談してください。
精神科医、臨床心理士、セラピストなどから、認知行動療法を受けてみてはどうでしょうか。認知行動療法は薬は使わないので、副作用の心配がありません。
認知行動療法についてはこちらに書いています⇒認知行動療法(CBT)を使って片付けられない思考を手放す方法。
医者に行くほどじゃない、できるだけ自分でなんとかしたい、というときは以下の7つの方法から、やれそうなことを試みてください。
1.問題は過去じゃなくて今だ、と考える
過去のいやなことと決別したい、と思ってもうまくいきません。なぜならその過去に起きたことを思い出して辛い気持ちでいるのは今だからです。
嫌なことが起きたのは確かに過去です。しかし、その一件を思い出して、どんよりしているのは現在の自分です。まあ、過去にも嫌な気分でいたでしょうが。
「問題は過去にあるのではなく、今にある」と考えると、「別に過去にあったことと無理に決別しなくても、なんとかなるんじゃないか」と考えることができます。
過去は変えられませんが、今、この瞬間なら変えられます。
今、過去の一件についてうじうじ考えているから、今、不幸なのです。
現在の自分の感情をどうにかすることにフォーカスします。
2.起きたことに意味を与えているのは自分だ、と考える
自分の身にふりかかったことを、「嫌なことだ」とか「べつにどうってことないことだ」「しかたのなかったことだ」とさまざまな意味や解釈を与えているのは自分です。
起きたことそのものに、いい悪いはない、と言えます。
こう書くと、読者の方から、「東日本大震災で被災した私は不幸じゃないんですか」とか、「テロリストに支配されている国の子供たちはどうなるんだ」というメールが来たりします。
それは確かにすごく不幸なことだし、運の悪いことです。
しかし起きてしまったことは変えられません。今をもっと楽しく生きるためには、過去の解釈や定義を変えるしかないと思います。
1つの事件が起きたとき、それに関係した人の数だけ、その事件の解釈があります。
もし可能なら、過去に起きたことを「あのときはああ思ったけど、別に嫌なことじゃなかったんだ」とか、「あのときはすごく悔しかったけど、相手の立場にたったら、ああいうふうになるしかなかったのかもしれない」というように解釈を変えてください。
過去の再定義についてはジェーン・フォンダの動画が参考になります⇒60歳以降は可能性に満ちている「人生の第3幕」ジェーン・フォンダ(TED)
3.過去にあったことを封じ込めず思い出して紙に書く
つらいことを封じ込めるのではなく、あえて引っ張り出して、思い出せるだけ思い出してください。具体的に詳細に思い出すために、紙に書くといいです。
何か嫌なことがあったとき、「とにかく嫌だった」「とにかく怖かった」「どうしようもなく悲しかった」という強烈な感情のみを思い出して、それにふりまわされることがあります。
そうした感情をとりあえず脇におき、起きたことを冷静に振り返ってみると、「それが起きた日から20年後の今、そこまで恐怖を感じるべきものであるのか、そもそも、もう終わってしまったことなのに今さらどうしようというのか」と客観的に考えられるようになります。
嫌な記憶があるその事件について、できるだけ詳しくノートに書きます。その事件が、どのように今の自分に影響を与えているのかこれまた詳しく書きます。
今の自分はそのことについてどんなふうに感じているのか、どんなふうに反応しているのか。それは自分の日々の暮らしや、人生にどんなインパクトがあるのか、じっくり考察してください。
うまく言語化できない人は、まずはふつうの日記を書くことから練習するといいです。その日あったことと、それに対する自分の気持ちなどをつらつらと軽く書いてみます。
日記をつけているうちに、ふと、「きょうはあの日のこと書いてみようかな」という気になったら、書いてみましょう。
日記のすすめ⇒日記を書くことは心の断捨離に効果的。10年日記を使っています
モーニングページも同様の効果があります⇒ネガティブ思考改善にモーニングページがいい~今月の30日間チャレンジ
尚、昔あったこと思い出そうとすると、フラッシュバックが起きたり、動悸が激しくなったり、手が震えたり、汗がダラダラ出たり、足がすくんだりといった強い身体的反応が出る場合は迷わず専門家のドアをたたいてください。
4.起きたことから逃げない、今すぐ気持ちの折り合いをつける
起きたこととしっかり向き合ってください。その事件と向き合って、自分なりに折り合いをつけないと先に進めません。
折り合いをつけるとは、過去、あんなことがあってすごく嫌な気持ちになったが、それはもう終わったことであり、今の自分には影響のないことである、と考えられるようにすることです。
時々夢に見る嫌なことを、ニュートラルなことに変えます。感情を強く揺り動かされないごくニュートラルな思い出にしてしまえば、問題は解決します。
夢にみても、悪夢にはなりません。
過去の嫌なことを無理やり忘れるのは不可能です。時々思い出して泣いてみたり、夢に見るたびに、その記憶が強化されます。
「あの件についてはどうしてもあやまってもらわないと気がすまない」などと思ったその瞬間に、より強固な記憶になり、また夢に出てきます。
自分の心に深い傷跡を残したものをなかったことにしようとすると、別の問題が発生します。感情的にほかのことで埋め合わせしようとして、何かに依存したりします。
時間が解決する場合もありますが、今すぐハッピーな気分になるほうを選んだほうが、精神衛生上よいですし、そちらの道を選ぶことは充分に可能です。
相談者さんの過去に起きたことがいったいどんなことだったのかわからないので、折り合いのつけ方はご自身で考えてください。
5.マインドフルネスの実践
マインドフルネスとは、今、この時を生きようとすることです。1番に書いたように、問題は今にあるのですから、今、この瞬間、やるべきこと、考えるべきことに集中してください。
脳は2つのことを同時に考えることができません。
今のことで心がいっぱいだと、ほかのことは思い浮かばないものです。
今を生きる方法⇒マインドフルネスで実現する。今この瞬間を生きて幸せになる4つの方法。
6.過去を思い出させるものを身近におかない
過去の嫌なことを思い出すようなものを身近においたり、過去を思い出すような行動をしないでください。
過去を思い出して涙する人は、自分でも気づかないうちに、その記憶のトリガー(引き金)となるものを身近に持っています。
相談者さんは、「昔の嫌な思い出にまつわるものはすべて処分した」と書いていますが、再チェックをお願いします。
本人が気づかないまま、無意識のうちにトリガーとなるものを身の回りに置いていることはよくあります。
何がトリガーになっているかわからないときは、嫌なことを思い出したときに、どのタイミングで思い出したのか、いつもと違うことをしていなかったかノートに書いてみると、トリガーがわかるかもしれません。
実にいろいろなものが記憶の引き金になります。何かを見たときだけではなく、音、匂いなど感覚を刺激されて思い出すことも多いのです。
思い出の引き金となるものが、物理的な物なら捨てることができます。場所だとそういうわけにはいきません。
7.被害者意識を捨てる
過去の嫌なことが対人関係にかかわることなら、被害者意識を捨てることで、嫌な事件をニュートラルなできごとに変えることができます。
被害者意識とは、自分の身に起きたネガティブなことを、何でもかんでも他人や状況のせいにする心理です。「自分には全く責任がない」と考えてしまいます。
こうした考え方のクセを持っている人は、昔起きた嫌なことをなかなか忘れません。
被害者だと思っているので、損害をつぐなってほしいのです。そのつぐないが得られない限り、この事件を忘れられないのです。
被害者意識の強い人は、自分は他人から何かをもらうべきであり、それが与えられない限り、満たされない、と考えています。
何をもらいたいかというと、
・特別待遇(特に大事にしてもらいたい、注目してもらいたい)
・承認(正しいと言ってもらいたい、素晴らしいと言ってもらいたい)
こんなことです。
過度の承認欲求の捨て方はこちらに書いています⇒強すぎる承認欲求(人にほめられたい気持ち)を手放す方法
たとえば、小さいときに毒親に育てられたとしましょう。それはとても不幸なことです。
同情に値します。親に育てられていたときはまぎれもなく被害者だったでしょう。
ですが、もう大人なのです。もう親からは巣立っています。大人になった今、過去をひきずるか、今を生きるか、それは自分で選ぶことができます。
つらいかもしれませんが被害者ではなく、当事者になるほうを選んでください。自分の感情や行動の責任を自分でとろうと決めたその瞬間に、嫌な思い出から解放されます。
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以上、過去の嫌な思い出を手放す方法を7つ紹介しました。
ただし相談者さんの場合、夢なので、昼間の生活を充実させても、夢は変わらないかもしれません。このあたりは素人の私の手には負えません。
日々の生活がそこそこ楽しくなったのに、相変わらず夢を見るようなら、深層心理や夢、脳の働きについて研究している専門家の方に聞いてください。