読書する人

TEDの動画

なぜ読書が重要なのか?:リタ・カーター(TED)

読書、特にフィクションを読む重要性を伝えるTEDトークを紹介します。

タイトルは、Why reading matters(なぜ読書は大事なのか?)

講演者は脳の働きや医療が専門のジャーナリストで作家のRita Carter(リタ・カーター)さんです。



読書の重要性:TEDの説明

Speaking is already in our genes. But reading is not. Until about 100 years ago most people didn’t do it all. When we read fiction especially, we create new pathways in our brain. Reading 30 pages of fiction every night gets the pathways thicker and thicker. Our brain needs a workout just like our body.

話すことは、遺伝子に組み込まれています。しかし読むことは違います。100年ほど前までは、ほとんどの人は、全くものを読みませんでした。

特にフィクションを読むと、脳に新しい回路ができます。毎晩、30分フィクションを読めば、その回路がどんどん太くなります。

身体と同じように、脳にもワークアウトが必要です。

収録は2018年の2月、動画の長さは14分半。英語を含めて7カ国語の字幕あり。日本語の字幕はありません。動画のあとに抄訳を書きます。

☆TEDの説明はこちら⇒TEDの記事のまとめ(1)ミニマリスト的生き方の参考に

とても興味深い内容ですね。





フィクションを読むと人生に役立つ

想像力が豊かになり、記憶力があがり、人間関係を改善し、あなたをよりいい人間にする方法。しかもほとんどお金がかからず、すでに誰もがしていること。

それが読書です。

といっても、教科書や参考書、生活のために読むべきものを読むのではなく、フィクションや物語を読むことです。

ほかの人の視点から、物事を見て、登場人物と気持ちや行動を共有する読書。

そうした読書は、よく言えば、「楽しみ」、悪く言えば、「時間の無駄」ですよね。

私の母は子供のとき、読書が大好きでしたが、あるとき、父親に、読んでいた小説本を取り上げられ、「何か読まねばならないなら、せめて役に立つものを読め」と叱られたそうです。

今日のトピックは、フィクションを読むことは、意外にも、他のどんな本を読むことより、人生に役立つということです。

いくつか脳科学から得られた証拠を紹介しますね。

セオリー・オブ・マインド

まずニューヨークの2人の心理学者、デイヴィッド・キッドと、エマヌエル・カスターノの2013年の研究からいきましょう。

彼らは、被験者に、いろいろな本からとった短い文章を読んでもらいました。

ある人たちはノンフィクションを読みました。説明書や学習用の本など。

別の人たちは、スリラーを読みました。物語の中で何が起きているかはわかるものの、登場人物の気持ちの描写が少ない本です。

別の人たちは、いわゆるフィクションを読みました。今日私が、お話題ししている、登場人物の視点から読める本です。

文章を読んだあと、被験者に、いろいろな表情をした人々の写った一連の写真を見せ、写真に写っている人物の考えていることを聞きました。

これは、「セオリー・オブ・マインド(心の理論)」と呼ばれるテストで、直感の能力を調べるものです。

それは、他人の表情や身振りから、その人が考えていることを見抜く力。

この力があれば、たとえ一瞬でも、私たちは他人の視点から世界を見ることができます。

人の気持ちがわかると世界が広がる

この能力は、自分の世界を広げてくれます。

自分がいるのとは違う場所で、違うことをし、違う見方で世界を見ることを想像できますから。

この能力がない人は、かなり不利です。とくに社会生活において。人間関係を築くのに苦労します。

しかも、想像力が乏しく、いろいろなことを想像できません。

この能力がないと、自分の枠から外に出られないのです。

この点については、べつに学術論文を読まなくても体験からわかるでしょう。

数年前、私は、さまざまなメンタルの問題をかかえたグループの読書会に参加しました。

重いうつ病や不安症の人たちが始めた読書会です。

私が参加したときは、すでに読書の効果が出ていました。

読書が人生を変える

ある集まりで「嵐が丘」というイギリスの小説を読みました。

ヒロインのキャシーが、退屈で年老いたリントンと、荒々しいけれど刺激的なヒースクリフのどちらと結婚するか決める場面ですが、こんなやりとりがありました。

~~~読書会での様子~~~

「私がヒースクリフを見捨てるようなことがあったら、この地球から、リントン家の人は、残らずとけていなくなってしまわなくてはならないでしょう」(本の朗読)

- フェイ、これって理想の状態ですか? あなたもキャサリンと同じ気持ちになりたい?

- もちろん。

- いつもそんな気持ちでいたいわね。以前はそう感じていました。いつも幸せで、それが、何週間、何ヶ月と続きました。

- とても美しい考えです。ある瞬間、キャサリンは、「私はヒースクリフだ」と感じたのね。同時にそれは、とても危険なんです。

- 彼女は、偽りの見かけを持っている人と結婚しようとしています。

- リントンから見ても、そう思えますね。キャサリンと結婚しても、彼女は別の誰かを愛していると知ることになる。いずれはわかるはずです。

- 心の底では、キャサリンはヒースクリフと一緒になりたいのよ。

- ある意味、彼に性的に惹かれていると思います。熱情を持っています。その気持ちに忠実になるべきね。

~~~~~~

皆の話を聞きながら、小説を読むというごくシンプルな行為が、彼らの人生を変えたと思いました。実際、命を救ったのです。

読書中の脳の動き

私は、小説を読むことが、人々に大きな影響を与えるとき、脳でどんなことが起こっているか調べました。

実際に脳で起こっていることを説明しますね。

脳は、ニューロンでできていて、それが、つながって回路を作り、無限に電気が行き来していることはご存知でしょう。

この電気の流れが、私たちの思考、感情、気持ちです。

神経回路の一部は、遺伝子に組み込まれているので、どの人の回路もよく似ています。

左側の図にあるのは、誰の脳にも共通しているものです。目から入った情報が、視覚野に行きます。

脳には2つの半球があり、つながっているので、それぞれの半球で連携を取っています。

話すことは自然にできるようになる

話すことと読むことの違いを簡単にお話しします。この2つはずいぶん違いますよ。

話すことは、遺伝子に組み込まれていて、生まれつき、神経回路ができています。

話をしている人々の中に、赤ん坊を置けば、赤ん坊はごく自然に話し始めます。

でも、読むことは違います。

赤ん坊を図書館に置いても、読み始めません。読み方を教えなければならないのです。

人は、少なくとも10万年は、話をしてきたので、脳の中にその能力が組み込まれています。

読むことは、おそらく5000年前に始まりました。しかも、100年ほど前までは、ほとんどの人は、全くものを読んでいなかったのです。

よって、読むことは、もともと組み込まれている回路、つまり直感的なものを使っているのではないので、毎回、読み方を学ばなければなりません。

つまり新しい神経回路を作るわけです。個人的な回路です。

人は新しい体験をするたびに、記憶や新しい習慣ができ、もともと備わっているものに加えて個人的な神経回路を作っていきます。

読むときも、同じことをしなければなりません。

話す神経回路は最初からある

これは話をしているときの脳の様子です。

犬を見たら、その情報はすぐに脳の後ろの部位、視覚野に伝わり、その後、前に移動し、言語を司る部分である青い部分に到達するまでに、見たものの記憶が蓄積され、その情報を意味する言葉を見つけます。

情報が、赤い部分の、ブローカ(大脳の運動性言語中枢)に行くと、その言葉の言い方を記憶できます。

その後、モーターにあたる緑の部分が、唇や舌に情報を送り、言葉を発するよう指示します。

こうして発話は起こります。

先ほどもお話ししたとおり、これはごく自然な反応で、すでに神経回路ができています。

読むときは脳に負荷がかかる

しかし読むことは、全く別のプロセスをたどります。

抽象的な記号が書かれたものを見たとき、脳ははるかに多くの仕事をしなければなりません。

読むことを学ぶとき、脳内の、異なるたくさんの部分で、新しい回路を作らなくてはならないのです。

赤い部分、または点灯している部分が見えますよね。

それは、はっきりとした簡単な道ではありません。何かを読んでいるとき、とても複雑なネットワークが作られるため、脳に負荷がかかります。これは全体的な体験とも言えます。

ふだん使わない脳の部分を使わざるを得ないのです。

フィクションを読むと同じ体験ができる

読書がこんなに広く行われている理由の1つは、本の中で誰かが何かをすると、たとえば、命がけで走ったり、叫んだり、怯えたりすると、読者の脳の中で、自分自身がそうした時と同じ部分が活性化されるからです。

もちろん程度の差はあります。

さもないと、私たちは、読んだことをすべて実行してしまうでしょう。ふつうは、そうしないよう抑制できます。

これは、人の脳のスキャンです。左は実際に行っているときのパターンで、右は、それを読んでいるときの図です。

ごらんのように2つはとても似ています。ただ1つ違うのは、読んでいるときは、実際に行動しているときほど強烈に反応していないことです。

読書で重要なのは、登場人物の頭の中で起きていることを学ぶだけでなく、自分自身もある程度体験していることです。

この2つは大きく違います。

誰かが苦しんでいるのを見たり読んだりすると、自分が痛みを感じている時と同じ脳の部分が活性化します。

人によっては、とても強く感じるので、実際に痛いと言います。

怒りなどほかのどんな感情も同じです。とても複雑で知的な感情でも同様です。

毎晩小説を読むと脳の構造が変わる

さて、次にお話しするのは、今年になって発表された、アメリカのエモリー大学の研究です。

本やフィクションを読んでいるとき、少なくとも一時的に、他人の感情に敏感になることは、これまでの研究からわかっています。

エモリー大学の研究者たちは、この現象が実際に脳の中で物理的に確認できるかどうか調べることにしました。

彼らは、大勢の学生に、とてもおもしろくて刺激的な小説を読んでもらいました。ロバート・ハリスの「ポンペイ」です。

学生たちに、一晩に30ページ、5日続けて読んでもらいました。

本を読む前に脳のスキャンをとり、それを基準値として、毎晩本を読むたびに、翌朝、脳のスキャンを行いました。

すると、毎日違いが見られたのです。

これはその違いを表す図ですが、毎晩、小説を読む進めるごとに、神経回路が太く、密になっていきました。

ごらんのように、回路は、言語野だけでなく、脳のあらゆる場所にできています。

要するに、研究者たちは、学生たちの脳に運動をさせたのです。

実際、脳のスキャンをしたら、学生たちが、本の中の人と同じ体験をした場合に見られる脳の状態になっていました。

実際にその体験をして、それが、脳の構造の一部になったのです。

フィクションを読むと共感できる人になる

要するに、私は前の講演者と同じことを言いたいのです。

脳は身体と同じようにワークアウトが必要ですが、フィクションを読むことは、最高のトレーニングの1つだと思われます。

それは自分のためになるだけでなく、社会全体にとってもいいことです。というのも、脳は筋肉のようなものですから。

本を通じて、他人の視点に立ち、他人を理解し、共感すればするほど、社会はより共感に満ちたものになるのです。

//// 抄訳ここまで ////

フィクションを読む・補足

リタ・カーターさんの著書の1つです。

翻訳版もあるようです。

嵐が丘

ポンペイの四日間

読書や小説に関するほかのプレゼン

嫉妬を語る叙事詩(TED)

哲学が生きることを助けてくれる(TED)

時間管理の哲学~より有意義な人生にするために(TED)

「恐怖」が教えてくれること:カレン・トンプソン・ウォーカー(TED)

自分の創造性を解放しよう:イーサン・ホーク(TED)

脳のワークアウトをしよう

今、YouTubeなど、動画を手軽に見られるので、文字を読む人は減っています。

しかし、多少は脳に負荷がかかることをしないと、どんどん脳が衰えます。

脳も肉体の一部であり、臓器の1つなので、運動が必要なのです。

運動をしないとどんなことになるのか。運動不足の6つの弊害

脳のワークアウトとして、読書を読むことが効果的なのはうれしいですね。

楽しみながら、運動できてしまうのですから。

本というと、ハウツーやマニュアル本のほうが人気があり、小説などより、自己啓発書のほうが役に立つと思っている人も多いかもしれません。

自己啓発書(片付けや貯金の本)を読んでも何も身につかず、本ばかり買ってしまう問題。

しかし、実際に役立つのはフィクションのほうです。

何事も、「手軽な楽しみ」は、その場限りで、あとに残るものがありません。

ふだん本を読まない人も、1日30分ぐらいはフィクションを読んでみるといいかもしれません。

神経回路が太くなっているのを実感することはできませんが、語彙が増えるので、世界の見え方が変わります。





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