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脳を活性化して、自分のポテンシャルをあげたい、将来認知症になりたくない、そんな人の参考になるTEDの動画を紹介します。
タイトルは Make Your Brain Smarter: It’s Not What You Think(頭をよくしましょう。その方法はあなたが考えているようなやり方ではありません)。
プレゼンターは認知神経科学者のサンドラ・ボンド・チャップマン教授です。
プレゼンでは自分の脳をできるだけ健康に保ちつつ、老化させない方法が語られています。いったん脳が衰えても、若返らせることができるそうです。
その方法は意外とシンプルです。
Make Your Brain Smarter: It’s Not What You Think
収録は2013年、長さは11分18秒です。独立イベントで字幕がありません。動画のあとに、抄訳を書きます。
☆TEDの説明はこちら⇒TEDの記事のまとめ(1)ミニマリスト的生き方の参考に
もし脳が身体と同じように元気でありつづければ、今ごろは、人の寿命は脳の寿命の倍になっています。
幸い、肉体の健康に関してのさまざまな発見を、脳にあてはめ、脳をより健康にし、思考を向上させることができるようになりました。
病気や怪我がなければ、生涯に渡って脳を元気に保てるのです。
10年前に、脳をよりよくできると誰かが言ったら、私は「まさか、SFじゃあるまいし」と思ったでしょう。ところが今やそれは科学的に可能なのです。
脳にまつわる神話
まず脳に関する間違った考え方を正さなければなりません。
長い間、私たちは頭のよさは生まれつきで変わらないし、知能指数などのテストで測定されるものなんだと思っていました。
でもIQは、脳が達成しうる最高値を測定するためのテストではありません。
会社の経営者に、「どうやって最も優秀な人をやとっているんですか?」と聞くと、「IQ、GPA、SATの結果や、出身校、取得している学位をみて決めます」なんて答えます。
でもこうした試験の結果からでは、その人が成功するかどうかなんてわかりません。
頭のよさとはは、テストの成績ではかれる単純なものではなく、もっと独創的でクリエイティブで、洞察録があり、機知に富んだものなのです。
頭をよくする方法
ではどうすれば頭がよくなるのでしょうか?
頭のよさは前頭葉で決まります。前頭葉はCEOのようなものです。意思決定をするときや、計画をたてるとき、問題解決をするときにさまざまな司令を出します。
前頭葉は脳内でもっとも面積が大きく、もっとも最後に完成する脳の部分で、25歳で成長が終わります。もっとも早く衰える部位でもあり、40歳ごろから老化していきます。
けれども、必ずしもこうなりません。前頭葉の衰えを止めて、若返らせることができます。
科学者は脳を若返らせる方法を発見しましたが、これは脳科学者にとっても、あなた自身にとっても、ひじょうに大きなできごとです。
脳のすべての健康面を変えることができます。脳内の血の流れをよくしたり、神経回路の結びつきを強化したりできます。
人は20代になると、10年毎に2~3パーセント、脳血流を失ってしまいます。けれども、数時間で、脳血流を8~10パーセント増やせます。
これは本当にすばらしいことです。
脳を若返らせるには?
では、どうしたら脳を若返らせることができるのでしょうか?
脳の画像を撮影し、脳がどう変わったら、認知の活動が変化するかわかってします。
これから、脳を活性化する方法をお伝えします。この方法を私はブレインパワーと呼んでいます。
1.シングルタスク(The Brain Power of 1)
1つのことだけに集中し、1度に2つのことをやらないようにします。気が散らないようにするのです。
2.重要なことを2つだけやる(The Brain Power of 2)
やることリストにたくさん書いてあったら、それを眺めて、もっとも重要なことを2つだけやるようにします。その日にもっとも大きな変化をもたらすタスクです。
脳がいちばん元気なときにそのタスクをやってください。
ゾウを捕獲しようとしている最中に、ウサギを追っかけて1日を台無しにしてはいけません。
3.深い思考をする(The Brain Power of Deep)
次に深い思考をします。これは一番脳に変化をおこしますが、もっとも努力を要しますね。
あらゆるソースから情報をとりいれ、すでにもっている知識にブレンドし、抽象的な考えや、一般的な考えを総合します。
日に10、20、30回と考えてください。テレビや会話から得た情報を意識的に合成します。
4.情報を減らす(The Brain Power of Left)
情報の量を減らします。たくさん情報を入れすぎると脳がフリーズします。
5.クリエイティブな思考をする(The Brain Power of Innovative Thinking)
脳は刺激を受けるのを好みます。やっていることから刺激を得られると、脳の回路の接続が早くなります。
脳は「いつもどおりの状態」や「自動運転状態」を嫌います。
無意識にいつもと同じことをやていると、脳は老化していきます。
番外:健康的な生活
ヘルシーな食事をとり、睡眠もとり、運動します。
脳によくないこと
以上のことはとてもシンプルだし、理にかなっています。
ではなぜ、みなこれをやらないのでしょう? なぜなら、知らなかったからです。
頭をよくすることができると知らなかったし、頭のためにいいと思ってやっていたことが、実はよくないからやめなければいけない、ということを知らなかったのです。
たとえばマルチタスク。この社会の頭痛の種です。
リサーチによれば、マルチタスクは、脳や肉体の健康を害し、ストレスを増やします。
完璧なまでに何かを覚えようとすることが、知能を向上させると考えていました。ですが、暗記は理解とは違います。
現代の教育で起こっていることを見てください。情報を機械的に覚えようとすればするほど、深い思考力が損なわれています。
それから、いつも脳トレをしているのが、脳にいいと考えがちですが、誤解です。
脳には休息する時間が必要です。気づきを得たり、よりエネルギーを得たり、生産的になるには休憩が必要なのです。
目の前の仕事を片付けるのに追いまくられていると、1日の終わりに新しいことを思いつくことなんてできません。
頭をよくすることは本当に可能
脳のパフォーマンスをあげるトレーニングに参加したルークは1週間、12時間のコースを終え、「脳が生き返ったようです(I feel like I have undergone cognitive resurrection)」と言いました。
肉体を健康にするやり方や、恐怖を克服する方法は知っていたけど、脳を強く、よくすることができるなんて知らなかった、とも言いました。
学生時代の成績はよくなかったルークですが、今は頭がよくなり、大学に戻り、成功への道を歩いています。
あなたはどうですか?
脳を強化するつもりがありますか? もし実際に脳を使い始めたら、誰もが、脳内にもっている素晴らしい力を発揮し、社会に大きく貢献できると信じています。
//// 抄訳ここまで ////
動画をより理解するための単語の説明
GPA 成績のこと Grade Point Average 各教科の平均点を出します。
SAT アメリカの大学進学適正テスト Scholastic Assessement Test
frontal lobe 前頭葉
Big Kahuna 大きなできごと、重要なできごと
Kahuna(カフーナ)はもともと、ハワイの波の神さま。アメリカ英語の口語で、big kahuna は「大物」「お偉方」という意味で使われます。
automatic pilot 自動運転状態、無意識な状態
bane 災難のもと、頭痛の種、死をもたらすもの
aha moments 「なるほど!」「そういうことか!」と腑に落ちる瞬間。「そうだったのか!」と思った時、しばしば英語で、Aha!(アハー)と言うことからきています。
脳の老化を防ぐ方法を書いたほかの記事⇒脳の若さを保つ7つの方法~アンチエイジングは頭から
ミニマルな暮らしは脳にもいい
マルチタスクはやらないほうがいいとか、重要なことだけをやりなさい、というのはよくミニマリストが口にする言葉です。
当ブログにも書いています。
シングルタスクのすすめ⇒マルチタスクが脳に負担をかけ仕事の効率を落とす理由。1つのことに集中しよう
優先順位をつけるすすめ⇒人生で解決すべき問題の優先順位のつけ方。何から始めたらいいのかわからない人へ。
自己啓発や成功法則の本にも書いてありそうです。
大事なことに集中して取り組んだほうが、達成しやすいからです。ストレスをためず、質のいい家事や仕事をするために私も心がけていますが、これが脳の健康にダイレクトに結びついていることは意識していませんでした。
この動画を見て、ミニマルな暮らしは脳の健康にもよいのだとわかりました。
もともと私は、ミニマルライフは節約できるので、仕事で高い収入を得られない高齢者の暮らしにあっているのではないかと考えていました⇒超高齢化社会を乗り切る答えはミニマルライフにあった
それに加えて、脳も若く保てるのですから、やはり50歳すぎたら、もうたくさん物を抱え込むのはやめたほうがいいですね。
やっぱりマルチタスクはよくない
マルチタスキングはばたばたして忙しいわりには、1つ1つのタスクの完成度は低いです。それでも、人は欲張りなので、いろいろなことを一度にたくさんやったほうが、どんどん前に進めると思ってしまうのです。
しかし、脳の健康を保ちたかったら、すぐにやめるべきでしょう。
ゾウとウサギの例え話がありましたが、ゾウは自分のなしとげたい仕事で、ウサギはその他のどうでもいいこと、たとえばスマホのチェックなんかです。スマホは本当に、気を散らず元なので、取扱いには充分注意したいです。
私も、スマホをさわることが多くなってきた気がしたので、最近、iPhoneで自発的に何かをチェックするのは朝と晩の2回にしました。
すると、ほんとうにストレスが減りました。iPhoneにはフランス語の辞書アプリが入っているので、実際はもう少し多い回数、さわっていますが。
以前、紹介した「ミニマリズム」というドキュメンタリーで、「ノキアの調査によると、人は1日150回スマホや携帯をチェックしている」と出てきました。
計算してみると、これは6分に1回チェックしてることになります(筆子調べ)。
1日24時間のうち、8時間が睡眠だとすると残りが16時間。この16時間のうち150回チェックしているなら、6分24秒に1回スマホで何かを見ていることになります。
最初「1日150回」と聞いたとき、「いくらなんでもそれはないよね」と思いましたが、30分に1回チェックしている人は、いるかもしれません。これだと1日32回になります。チェックしないまでも、通知の音を聞くことはあるでしょう。
このほんの数秒、数分の邪魔の積み重ねが、脳を疲れさせてしまうのですね。
健康になりたかったらスマホのさわりすぎに要注意です。
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専門家によれば、人の論理的な意思決定にかかわる部分である前頭葉は25歳ごろまで成長を続けます。それならば、あまり若いうちから、子供を生んで育てようとしないほうがいいかもしれません。
子供が子供を生んで育てようとしても、なかなかうまくいきませんから。