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去年の夏、実家で母と一緒に、母のものを生前整理した様子をお伝えするシリーズ。5回目は、紙袋の断捨離です。前回、ふつうのバッグでしたので、今回も袋物つながりにしました。
信じられないかもしれませんが、母はあまりにも袋物をたくさん持っているので、ふつうのバッグの部と、紙袋の部に話を分けなければならないのです。
実はもう1つ、レジ袋の部もあります。残念ながらレジ袋は断捨離しきれませんでした。
袋物を集めるために生きているのですか?
母は、普通のハンドバッグやポシェットをいくつか持っています。数えていませんが、断捨離前は30個以上あったと思います。
さらに、買い物用のトートバッグ(ショッピングバッグ)みたいなものが5つぐらいあり、エコバッグも4~5個持っています。
加えて、粗品でもらった未使用のエコバッグや、折りたためる袋物が4~5個あり、さらにショップからもらった紙袋を箱にいっぱいためていました。
いくら「ファッションに合わせてバッグを持ち替える」とか、「人に何かさしあげる時に紙袋を使う」と言っても、過剰じゃないでしょうか?
「バッグ集めが趣味である」とか、「人生の目的の1つが、ありとあらゆる袋を集めることである」と思われても仕方がありません。
ところが、母はバッグ集めが趣味というわけではないのです。何も考えず、ごく普通に暮していたら、いつのまにかバッグがたまってしまっただけなのです。
バッグは粗品やおまけ、付録によくついてくるし、店で物を買えば、特にこちらから何らかのアクションを起こさない限り、気づくと手にはレジ袋か、ショップのロゴの入った袋を握らされてしまうからです。
袋物好きの日本人⇒なぜ日本人は必要以上に袋、ケース、バッグをたくさん持っているのか?
1回買い物すれば、袋がセットでついてきますから、家に袋をためておく必要なんてありません。たとえ今日断捨離を決意して、袋と名のつくものをすべて捨てたところで、その後、またいつものように暮し始めたら、すぐに袋がたまります。
その袋、何のためにとっておくのですか?
実は、母と断捨離しているとき、Huluという動画配信サービスに入って、よく映画を見ていました。2週間、お試しとして無料で見られたからです。
そのとき、是枝裕和監督の2008年の映画、「歩いても 歩いても」を鑑賞しました。
これは年老いた両親の家に成人した子供たちが集まるホームドラマですが、お母さんがやっぱり台所に紙袋をたくさんためているのです。
夏のある日、長男の命日に久しぶりに親の家に家族全員がそろって、仏壇にお参りしたり、ご飯食べたり、おしゃべりをします。
台所で年老いたお母さん(樹木希林)と長女(YOU)が、お母さんのためてる紙袋についてちらっと話すシーンがあります。
娘はごちそうの残りをタッパーに入れて持って帰るのですが、それを入れる袋を取り出そうとして、たくさんの紙袋を発見するのです。
娘「こんなにたくさんどうするの?」
お母さん「何かの時にないと困るからさ」。
娘「紙袋がこんなに必要な時ってどんな時よ?あい変わらず冷蔵庫はいっぱいだし」。
お母さん「いっぱい入ってると安心するのよ」。
娘「冷蔵庫はね、お母さん、安心するためじゃなくて、物を冷やすために…」
つまり、このお母さん、特に何かの目的があって紙袋をためているわけではないのです。この点、私の母と全く同じだし、物をためがちな人に見られる傾向だと思います。
家にガラクタをためこんでいる人は、特に目的意識を持って、ストックしているわけではないのです。「もしかしたらあとでいるかも」なんて思っているだけ。でも、実は、それは後付けの理由ではないか、と最近筆子は思うようになりました。
実は、こういう人たちは、その場で「捨てる」という決断をするのがいやなので、先延ばしにしているだけなのです。
というのは、どんなささいなことを決めるにも、少しばかり心的エネルギーが必要だからです。
しかし現実問題として、そのようにたくさんの紙袋が一気にいることって、ふつうの生活をしている限りあまりありません。それに、万が一そんな時が来たら、100円均一ショップなどで、すぐさま、ごく簡単に、比較的安価に、いくらでも調達できます。
いつ来るかわからないそんな不思議な日のために、たくさんの紙袋をとっておくのは、全くもって、スペースの無駄遣いなのです。
きれいに整頓して、収納しているとしても、そんなことに手間をかける時間とエネルギーがもったいないです。
ましてや母のように、段ボール箱にくしゃくしゃにつっこんでいたら、せっかく、「紙袋をたくさん使う時」が来ても用をなしません。
もちろん母には、こんな話はしませんでした。ただ、
「こんなにくしゃくしゃな袋は、お遣い物(おつかいもの)には使えないから、もう捨てたほうがいいんじゃない?ついでだから、私が捨ててあげる。きれいなのは、残しておくから」
と言って断捨離しました。
☆ふつうのバッグの断捨離の様子はこちら⇒やはり母もバッグを持ちすぎていた~実録・親の家を片付ける(4)
☆このシリーズを最初から読む方はこちらから⇒実録:親の家を片付ける(1)~まずは自分のものをどんどん捨てる
母の紙袋を断捨離
紙袋は段ボール箱にこのように入れられ、廊下の押入れの上の段の1番手前に置いてありました。
とても手の届きやすい、押入れの一等地に、こんないかにも邪気がただよってきそうな箱を入れていたのです。
中身はくしゃくしゃの紙袋や包装紙。
母の使用目的は、「何かのときのために」。
母はレジ袋もコレクションしていますので、そんな時は、そちらを使えばいいのです。3枚を残してすべて断捨離しました。
大中小の3枚です。
お世辞にもきれいな袋とは言えませんが。
袋を入れていた段ボール箱も捨てたかったのですが、母に「それはやめて」と言われたので、捨てませんでした。収納するものがあると、またガラクタがたまってしまうのに。
箱は残す代わりに、半年とか1年ごとに中身を確認して、時々捨てるように言っておきました。まずやらないとは思いますが。
最初に全部捨てれば、こんな見なおし作業をやる必要はないし、汚い段ボール箱を、押入れの一等地に置いて、運気を下げることもないのですが、母の希望ですからしかたありません。
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ミニマリストとしては、紙袋など1枚もなくても、人生はとどこおりなく進む、と言いたいところです。
もちろん確固たる用途があり、週単位、あるいは月単位で確実に消費しているのなら、とっておいてもいいと思います。
使用済みの紙袋の使い道で私が思いつくのは、ゴミ箱やゴミ袋として使うことでしょうか。紙袋を持って、家中を歩き、断捨離するものを袋にポイポイ入れるのはおすすめです。
私の娘はこんなふうに紙袋を使っています⇒たまったショップの紙袋の意外な使い道を娘に教わる
「特に使い道はないけど、いつか使うかもしれないし、きれいだからためている、大きさごとに分けて、見た目を素敵に収納するのに尽力している」、というのは、いただけません。
実は、驚くべきことに、紙袋専用の収納ボックスや、ペーバーバッグ・ケース、紙袋ストッカーというものが市場に出ています。紙袋を捨てれば、こんなもの使う必要なんて何もないのに。
この続きはこちらから⇒ただの掃除と断捨離の違いとは?~実録・親の家を片付ける(6)
☆エピローグ
母にメールで、今、ハンドバッグや手提げ、ポシェット、エコバッグなどをいくつ持っているか、ちゃんと数えて教えて、と聞いてみました。
その返事は、
「ハンドバッグやショッピング袋など23ぐらいだよ」
だそうです。う~ん。
母はべつにファッションに合わせてバッグを持ち替えるわけでもないのに、どうしてこんなに持っているんでしょうかね?
やはり日本に住んでいると、粗品、おまけ、プレゼントなどで、袋物をもらう可能性が高いので、意識して自衛しないとすぐにたまってしまうのでしょう。