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TEDの動画

最終更新日: 2018.08.20

ひどい会議から世界を(あるいは自分だけでも)救う方法(TED)

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無意味な会議に、貴重な時間を奪われたくない人の参考になるTEDの動画を紹介します。

タイトルは How to save the world (or at least yourself) from bad meetings 「ろくでもない会議から世界を(せめて自分だけは)救うには?」です。

プレゼンターは、情報セキュリティの仕事をしている、デイビッド・グラディ(David Grady)さんです。

仕事に関するプレゼンですが、職場だけでなく、日常生活でも役立つ内容です。



しょうもない会議から世界を救う方法:TEDの説明

An epidemic of bad, inefficient, overcrowded meetings is plaguing the world’s businesses — and making workers miserable. David Grady has some ideas on how to stop it.

意味もなく、効率的でもない、やたらとたくさんある会議という病(やまい)が、世界のビジネスにはびこり、働く人々をみじめな気分にさせています。

デイビッド・グラディは、この状況を押しとどめるために、いくつか案を持っています。

収録は2013年の10月。動画の長さは6分40秒。日本語字幕あり。英語字幕や、字幕なしがよい方は、プレイヤーで調節可能です。

とてもユーモアのあるプレゼンです。動画のあとに抄訳を書きます。

☆トランスクリプトはこちら⇒David Grady: How to save the world (or at least yourself) from bad meetings | TED Talk

☆TEDの説明はこちら⇒TEDの記事のまとめ(1)ミニマリスト的生き方の参考に

だまって椅子を持っていく人には怒るのに

想像してみてください。

月曜の朝、会社に来ました。

仕事を始めようと思ったら、廊下の向こう側で働いていいる、見覚えのある男が、自分のオフィス(cubicle)にやってきて、あなたの椅子を持っていってしまいました。

何も言わずに。

なぜ、椅子を持っていくのか、いっさいの説明もなく。

あたりには、ほかにもたくさん椅子があるのに、なぜ、よりによって、あなたの椅子を持っていくのか、その理由も言わず。

これから仕事をするのに椅子が必要だという事実を無視して。

こんな状態に、あなたはがまんなどしないですよね。文句を言うはずです。

その人のあとを追いかけ、「なぜ、僕の椅子を持っていくんだ?!」と言うでしょう。





会議で時間を奪う人には何も言わない

さて、今度は火曜の朝です。あなたはオフィスにいます。(パソコンの)カレンダーに、会議の誘いが表示されます。

廊下の向こうで仕事をしている顔見知りの女性からです。

よく知らない案件に関する会議です。くわしい議題の説明はありません。

なぜ、自分がその会議に呼ばれるのか、ちゃんとした説明はないのです。

それなのに、あなたはその会議に出ることを承諾し、会議室に出向きます。

やたらと非生産的な会議を終え、オフィスに戻ったあなたは、デスクの前で、こう言います。

「やれやれ、会議に取られた2時間を、返してもらいたいもんだ。椅子も返してもらいたいし」。

無意識に承諾してしまう病気(MAS)にかかっている

毎日、私たちは、ふだんはとてもよい人達である同僚に、このように、盗まれているのです。

私が話しているのは、オフィスの家具より、もっとずっと大事なもののことです。

あなたの時間の話です。

いまや私たちは、世界規模の恐ろしい病(やまい)にかかっています。

MAS(マス:Mindless Accept Syndrome 無意識に承諾してしまうシンドローム)です。

MASの代表的な症状は、カレンダーに案内が表示されたとたん、その会議に出ることを承諾することです。

不随意運動(ふずいいうんどう)です。カレンダーがピンとなったら、クリックし、その会議が、自分の予定に入ります。

「行かなくちゃ、もう始まってる」。

こんなふうに。

会議は大事ですよね? コラボレーションすることは、どこの企業の成功にも欠かせません。

適切に運営された会議は、前向きで、行動に結びつく結果を生むものです。

ところが、グローバライゼーションとインフォメーションテクノロジーのおかげで、私たちの働き方は、近年、ずいぶん変わりました。

おかげで、誰もがみじめな気分です。

会議の進行役が、へたくそだから、みじめになるのではありません。

MASのせいです。無自覚に、受け入れてしまう病気のせいです。自分で種をまいた結果です。

世界中で、MASがはびこっている

世界中に、MASが蔓延している証拠があります。

数年前、YouTubeに動画を投稿しました。この動画で、最低のカンファレンスコール(電話会議)を演じてみせました。

5分間に、ろくでもない会議において、人々が憎んでいるすべてのことを盛り込みました。

会議の進め方をまったく知らない議長が登場します。なぜ、自分がこの会議に参加しているのか、わかっていない人々も出てきます。

それぞれの行動のせいで、コラボレーションするはずが、何もかもが無茶苦茶になります。

そして、皆、怒りながら、その場を立ち去るのです。

おもしろいんですけどね。

ちょっとだけお見せしますね。

~~~[動画が写し出されます]~~~~

私たちのきょうのゴールは、あるとても重要な提案について、全員の合意を得ることです。グループとしての意思決定を…

プルプルプル(呼び出し音)

はい。誰ですか?

こんにちは。ジョーです。きょうは自宅から仕事なんで。

ああ、ジョー。参加してくれてありがとう。いま、話していたところだよ。たくさんの人とつながっているから、出欠を取るのは飛ばして、本題に入るところなんだ。

きょうのゴールは、あるとても重要な提案について、全員の合意を得ることで、グループとしての意思決定を…

プルプルプル

はい。誰ですか? あれ? 音が聞こえたと思ったんだけど。

~~~~

こういうこと、よくありませんか? 

無駄な会議にうんざりしている人々の声

動画を投稿してから数週間のうちに、12カ国、50万人の人が閲覧しました。

3年経っても毎月数千人の人が見ています。再生回数は100万近いです。

世界でも、有名な大企業からこの動画を新人教育に使いたい、という申し出をもらったこともあります。複数の会社からです。

「だめな会議」がどういうものか教えたいんだそうです。

こうした企業の申し出や、再生回数が、MASが蔓延している証拠として不十分だというなら、実際にいただいたコメントを紹介しましょう。

“OMG, that was my day today!” 「うっそー。まさに、今日が、こうだった」

“That was my day every day!” 「毎日こうだよ」

“This is my life.” 「僕の人生だ」

ある男性はこう書いていました。

“It’s funny because it’s true. Eerily, sadly, depressingly true. It made me laugh until I cried. And cried. And I cried some more.”

「おもしろい。だって本当のことだもん。気味が悪いほど、悲しいほど、うつうつとなるほど真実だ。 笑いすぎて泣いた。泣いた。まだ泣ける」。

別の人のコメントはこうです。

“My daily life until retirement or death, sigh.”

「僕の日常だ。退職するまで、いや、死ぬまで。は~っ(ためいき)」

どれも、本当のコメントですよ。実に悲しいことです。

自動的に受け入れるのをやめるには?

こうしたコメントに共通しているのは、みな、「自分たちは無力で、会議に行くしかない。行ってうんざりして、次の日もまたその繰り返し」と、信じきっていることです。

ですが、私たちは、無力ではありません。

MASを治す方法は、私たち自身にあります。文字通り、自分の指先に。

これを私は、No MAS!(ノーマス)と呼んでいます。高校で習ったスペイン語のおぼろげな記憶によれば、その意味は、「もうたくさんだ。止めろ」です。

ノーマスの仕組みを説明します。ごく単純なことです。

まず、今度、よくわからない会議の誘いがあったら、「仮(tentative)」のボタンをクリックします。

そうしていいんですよ。そのために、このボタンがあるんですから。「たぶん(maybe)」のボタンでもいいです。

すぐに承諾しないとき用のボタンなら何でもいいです。

その後、会議の誘いを送ってきた人間に連絡をとって、以下の話をしてください。

●その人たちの仕事をサポートできてうれしい

●会議のゴールは何か聞く。

●どんな形で、自分がそのゴールの達成に協力できるのか聞く

こんな行動をしっかりして、礼儀を忘れずにいれば、人々は、もう少し考えてから、会議の招集をかけるようになるでしょう。

みなさんも、もっと考えてから、誘いを受けるかどうか決められます。

みんな、議題のリストを送付するようになるかもしれません。メール1本ですむような話をするのに、12人呼んでカンファレンスコールをするようなこともなくなるでしょう。

みなさん自身が行動を変えれば、ほかの人も、行動を変えると思うのです。

椅子だって返してくれるかもしれません。

ノーマス!

/// 抄訳ここまで ////

単語の説明

cubicle  ブース
ひろいスペースをパーティションなどで仕切ったボックス、スペース

make a stink  文句を言う、騒ぎをおこす

pop up  不意に画面に出てくる

involuntary reflex  不随意の反射
意志に基づかない、不合理な反射・運動のこと。医学的には、正常な状態では起きない反射で、治療の対象になるもの。

self-inflicted  (傷・苦痛などが)自分で招いた

moderator  議長

roll call  出席確認、点呼

OMG = Oh my god/gosh !
驚きを表す表現。「なんてこと!」「ちょっと聞いてよ!」「あ~びっくり!」など、文脈によっていろいろな訳語が考えられます。

tentative  仮の

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自動的な行動に気づいて、少しずつ変えていく

グラディさんのプレゼンを紹介したのは、仕事の話をするためではありません。

何も考えず、無意識に受け入れてしまうMAS的行動は、どんな人もよくやっている、と思ったからです。

「これがあるのは当たり前」「これを買うのは当たり前」と、検証を加えることなく、自動的に、従来のやり方に従っていることがそうです。

部屋に物がたくさんたまっているものの、すっかりその光景がふつうになってしまい、自分がガラクタに囲まれているのに気づかないのもそうです。

人に何か頼まれると、深く考えず、「イエス」と言ってしまうのもそうですね。

ノーと言えない人は、とりあえず、イエスと言うのが、あたりまえになっています。自動的な行動になっているのですね。

たとえ、「すぐにノーと言ってしまう」ということに気づいていても、「仕方がない」とあきらめています。

自分はそうするしかない、と思い込んでいるのです。

もし何か、不満を感じていたり、うんざりしていることがあるなら、その原因は、自分のマス的行動にある、と考えてみてはどうでしょうか?

その状態を自覚し、ほんの少し、自分の行動を変えるだけで、少しずつ生活が変わっていきます。

*****

電話会議のギャグ、おもしろいですね。

動画を見ているときも、訳しているときも、笑いが止まりませんでした。

最近、YouTubeや各種SNSで、ライブストリーム(ライブ配信)というのがあります。これは映像や音声をリアルタイムで配信するものですが、ほかのユーザーも参加できるようになっています。

で、このライブに人が参加するたびに、主催者が、「ハロー、〇〇」と挨拶することがあります。

私はこれがとてもうっとうしいです。

挨拶はいいからさっさと本題に入らんか、と思います。

仕事ではないので、みんなけっこう気ままな時間にやってきて、気ままに去っていきます。いちいち挨拶していたら、始まるものも始まりません。

そんなわけで、ライブストリームを生で見ることはありません。参加している人は一体感があって楽しいと思いますが。





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