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TEDトークスから、よりよい人生のインスピレーションになるおすすめの動画を紹介しています。今回は心理学者のショーン・エイカー(Shawn Achor)のThe happy secret to better work です。
タイトルの直訳は、「よりよい仕事への幸せな秘密」。日本語のタイトルは「幸福と成功の意外な関係」です。
ショーン・エイカーは「ポジティブ心理学」というのを研究しています。
「幸福と成功の意外な関係」動画の説明
We believe that we should work to be happy, but could that be backwards? In this fast-moving and entertaining talk, psychologist Shawn Achor argues that actually happiness inspires productivity.
私たちは、幸せになるためにはがんばるべきだと信じています。しかし、これは反対ではないしょうか?ペースの早いおもしろいプレゼンで、心理学者のショーン・エイカーは、実は幸せであるから生産性があがるという持論を展開しています。
プレゼンの主旨は、成功の先に幸せがあるのではなく、幸せだから成功する、ということ。さらに自分の脳を幸せな状態、つまりポジティブにするためのトレーニング法を、5つを教えてくれます。
このプレゼンは2011年のカンファレンスのもの。わりと有名なのでご存知の方も多いかもしれませんね。
時間は12分ほどですが、彼は早くしゃべっているので情報量はけっこうあります。プレイヤーのCCを押すと日本語の字幕が出ます。
お時間のない方は、動画のあとの要約にすすんでください。ショーンはたくさんジョークを言っていて、そこがおもしろいのですが、これを全部訳していると長くなるので冗談はカットします。
※英語やほかの言語のトランスクリプトはこちらで確認できますす⇒Shawn Achor: The happy secret to better work | TED Talk | TED.com
TEDとは?⇒⇒ミニマリズム~何もしない時間、何もないスペースを作ってより充実した人生を TEDは英語の勉強にもなります。
ベッドから落ちた妹に、おまえはユニコーンだと言った
私は7歳のとき、5歳の妹、エイミーと二段ベッドの上で遊んでいました。妹は誤って、ベッドから落ちました。
妹は床に四つん這いになっていました
私はあせりました。妹と静かに安全に遊んでいろと、と両親に言われていたのですから。
妹は痛そうな顔をして、今にも声をあげそうでした。そこで私は言ったんです。
「待て、エイミー、泣くな。どういうふうに床に落ちたか見た?人間はそんなふうに四つ足で着地しないよ。エイミー、おまえはユニコーンだと思うよ」。
口からでまかせですが、エイミーは混乱しつつも納得したようです。泣かないでユニコーンとしてまたベッドにあがってきました。片足が折れてましたが。
私たちは気づいていませんでしたが、妹はポジティブ心理学を実践したのです。これがきょう私がお話したいことであり、毎日私が研究していることです。
グラフの上のほうにある異常な値に注目する
まずこのグラフを見せたいと思います。
実はこれはでたらめなグラフです。
グラフの上のほうに1つだけ赤い点があります。特異な点です。でも問題にはなりません。消せばいいのですから。だって、明らかに異常な値です。この点があると、私のデータのつじつまがあわなくなります。
経済学、統計学、ビジネス、心理学のコースでは、「こういう異常な点を除外しろ」と生徒に教えます。
平均値を求めるのです。ですが、私は人の幸せや、生産性、エネルギー、創造性を生み出す潜在的な力を研究しているので、平均を求める科学から見ると異端ともいえることをしています。
科学者は問題に対して、平均値を答えます。
もし誰かが平均より下だと、心理学者は喜びます。というのもそれは抑うつ傾向にあるか、障害があるか、あるいはその両方という意味ですから。
心理学者のビジネスモデルは、誰かがある1つの問題のためにセラピーに来たら、実は問題は10個あると思わせ、何度もセラピーに通わせることです。
必要なら子供時代までさかのぼります。しかし、最後には患者を「ノーマル」にします。ノーマルというのは平均的ということです。
単なる平均を研究したら、ずっと平均的なままだとポジティブ心理学では考えます。そこで、グラフの上のほうにある異常な点を削除するかわりに、こう問いかけるわけです。
「なぜある人達は、知能、運動能力、音楽能力、創造性、エネルギーレベル、困難に対する回復力で、平均よりずっと上なのだろうか」、と。
そういう異常なケースを削除するのではなく、研究するのです。そうすれば、世界中の会社や学校で、人々を平均より上にあげるだけでなく、全体の平均を高くすることができるかもしれないからです。
脳が世界を見るレンズが現実を決める
ニュースを見ると、ほとんどの情報がネガティブです。脳は「世界はほとんどネガティブなことで埋まっている」と考えてしまいます。
これは「医学部シンドローム」を引き起こします。医学部の1年生は、さまざまな病気の症状を読んでいるうちに、突然、自分もその病気にかかっていると思ってしまうのです。
現実が私たちを形作るのではなく、脳が世界を見る時に使うレンズがあなたの現実を作るのです。もしこのレンズを変えることができれば、幸福度も変えられるし、教育やビジネスの結果も変えることができるのです。
学費がなくて入学できそうになかったけど、私はハーバード大学に願書を出しました。2週間後軍の奨学金をもらえることになり、入学できました。
ハーバードに入学できてとてもうれしかったです。同級生もきっと同じ気持ちだと思っていました。ところが、違うんです。私は大学に残って、問題をかかえている学生のカウンセリングをしましたが、こういう学生は入学直後は大喜びだったのに、2週間もたたないうちに、そういうことはもう考えないのです。
代わりに、競争、勉強量、苦労、ストレス、不満に意識が向いてしまいます。
ハーバードに入ったばかりの頃、生まれ故郷の友だちが遊びにきてこう言いました。「ショーン、どうしてハーバードで『幸福』の研究なんかするんだ?みんな幸せに決まってるじゃないか」と。
この質問には「幸福の科学」を理解する手がかりがあります。その人の環境を見れば、その人の幸福度がわかると思われていますが、実際は、外的状況を全部知ったとしても、その人の長期的な幸せの10%も予想できないのです。
成功するから幸せになるのではなく、幸せだから成功する
長期的な幸せの90%は、外的状況ではなく、その人の脳が、世界をどんなふうに見るかにかかっています。
これを変えれば、「幸福と成功の法則」を変えることができるし、現実を変えることができるのです。
仕事で成功できるかどうかは知能指数からは25%しか予測できず、75%は、その人がいかに楽天的であるか、社会的なサポートがあるか、ストレスを脅威ではなく挑戦と受け取ることができるか、という観点から予測できます。
病気にかかっていないことが「健康」な状態ではありません。健康になるためには、「幸福と成功の法則」を逆にすればいいのです。
ほとんどの会社や学校ではこう考えています。「一生懸命がんばれば、成功できる。成功すればするほど幸せになる」と。
企業のマネジメントでも子育てでもこういう考え方をしますね。そして行動するモチベーションをあげます。
しかしこれは2つの理由から科学的に間違っているし、逆なんです。
成功するたびに、脳は「成功」というゴールの設定をし直します。よい成績をとったら、さらにもっといい成績をとらなければなりません。よい学校に入ったら、よい仕事につき、さらにもっといい仕事につかなければなりません。
「幸福」が成功の向こう側にあるなら、脳は絶対そこに到達しません。この社会は、「幸福」を自分が認知できる向こう側に押しやっているのです。
実は私たちの脳は逆の順番で動きます。今、その人のポジティブなレベルをあげれば、脳は「幸福のアドバンテージ(happiness advantage)」を感じるのです。ポジティブな状態の脳は、ネガティブなときより、パフォーマンスのレベルがあがるのです。
法則を逆にすればいいのです。今ポジティブになる方法を見つけることができれば、よりたくさんの仕事が、早く、知的にできます。
ポジティブになるとドーパミンが出て、幸せを感じるだけでなく、学習機能をオンにして、違ったやり方でまわりの現実に対応できるのです。
脳をポジティブにする5つの方法
21日間で、脳を鍛えてもっとポジティブにする方法があります。以下のトレーニングをすると、脳がよりポジティブに、楽天的になります。
1. 21日間、毎日、何か新たに感謝していることを3つ書く。
2. 過去24時間以内におきた何かポジティブな体験1つについて日記を書く。
3. 運動する。
4. 瞑想する。
5. 何か人に親切にする。
身体を鍛えるように、脳も鍛えれば、幸福と成功の法則を逆にすることができるのです。
・・・・要約ここまで・・・・
筋トレをするように脳を鍛えて幸せになる
ユーモアがあって、とても説得力があるプレゼンです。彼自身が幸せそうだし、この講演を聞いて、オーディエンスの幸せ度もあがっています。
ショーン・エイカーは自身の会社を作って、多くの企業や学校を訪れて「ポジティブな脳になる」トレーニングをしたり、よく講演をしているので話をするのが上手です。
ジョークもうまいのは脳を鍛えたせいでしょうか?
「幸福と成功の法則」と聞くと、自己啓発セミナーみたいなのですが、ショーンは行動心理学を研究して、学問的な裏付けのもとに、「脳を鍛えましょう」と言っています。
彼がコンサルした企業では、実際効果が出ているそうです。本も書いていて、「幸福優位7つの法則 仕事も人生も充実させるハーバード式最新成功理論」という訳で、出版されています。
ミニマリストとしては、現代人は、1度にたくさんのことをやろうとして、文化的なADHD( cultural ADHD)に陥っていると話していたのが印象に残りました。
あれこれ手を出しすぎると、結局何もできないのです。
私自身、タスクを1つずつこなすほうが、仕事がはかどります。毎日2分間の瞑想をして、さらに集中力を鍛えたいと思いました。
それと、毎日新しいことに感謝するというのもやってみます。考えてみると、私は毎日同じことに感謝しているのです。
「ああ、天気がよくてうれしいな」とか「きょうも水がおいしいな」とか。毎日新しい、何か別のことに感謝するのが脳を鍛えるコツですね。
ついついネガティブなことばかり考えてしまう人や、仕事がうまく行ってない人は、5つのトレーニングのうちどれかをやってみてはどうでしょうか?
お金も時間もかからないのですから。