燃え尽き症候群の女性

TEDの動画

最終更新日: 2025.02.1

仕事にしばられない生き方~TEDトークで学ぶ、人生の取り戻し方

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仕事が大きなストレスのもとになっている人に見ていただきたいTEDトークを紹介します。

現代社会では、多くの人が、仕事=自分と考えがちです。

この考え方が、気づかないうちに働きすぎにつながり、人生を制限して、心身のバランスを崩す原因になっているかもしれません。

今回紹介するTEDトーク 「How to Reclaim Your Life From Work(仕事から人生を取り戻す方法)」 では、ジャーナリストの Simone Stolzoff(シモーヌ・ストルゾフ)が、仕事とアイデンティティの関係を見直し、より豊かでバランスの取れた生き方を提案します。



仕事から人生を取り戻す:TEDの説明

Where do you draw the line between work and life? Writer Simone Stolzoff explores the problem with defining yourself by your job — and shows what it takes to reclaim your time and sense of meaning beyond the office.

和訳:仕事と人生の境界線をどこで引きますか? 作家のシモーヌ・ストルゾフは、「仕事=自分」と考えることの問題点を掘り下げ、職場以外の場所で時間と意義を取り戻すために必要なことを紹介します。

撮影は2024年の10月、動画の長さは8分30秒、動画の後に抄訳を書きます。

☆TEDの説明はこちら⇒TEDの記事のまとめ(1)ミニマリスト的生き方の参考に

身近な例がたくさんあって親しみやすい講演です。

仕事が重要視される社会

ホステルでチリの男性に会ったときのことです。

「あなたは何をしていますか?」と聞いたら、「仕事のことですか?」と聞かれました。

アメリカでは人に初めて会った時「あなたは何をしていますか?」とまず言います。

小さい時から、この習慣が身につきます。

「大人になったら何になるの?」と子供に聞きますよね。まるで仕事が私たちのたったひとつのアイデンティティであるかのように。

このことについて私は何度も考えました。私は職業に関するジャーナリストです。

“The Good Enough Job” というタイトルの本も書いています。

仕事とアイデンティティの関係について何百人もの人と話をしました

でもプロのライターになる前は、22歳の詩を学ぶ学生で、将来何をしようか考えていたんです。

当時、私の好きな詩人のアニス・モジガニ(Anis Mojgani)にインタビューする機会がありました。

彼にこう聞きました

「アニス、自分の愛することをしなさい。人生で1日たりとも働いてはいけません」というマントラをどう思いますか?

彼の答えが忘れられません。

「自分の好きなことを仕事にする人もいれば、余暇に自分の好きなことをするために仕事をする人もいる。どちらが偉いとは言えないよ」

彼の言葉の最後の部分が鍵だと思います。

私たちは「仕事とアイデンティティが同じ人」を尊敬するのが好きな社会に生きています。

ところが私のアイドルでありプロの詩人が「昼間の仕事を持っていても別にかまわない」というのです。

仕事と健全な関係を持つには?

仕事と健全な関係を築きたいなら、単に「時間の使い方」としてワークライフバランスを考えるだけでは不十分です。

大切なのは、自分のアイデンティティをどのように構築するか。仕事は私たちの一部ですが、それがすべてではありません。

誤解しないでほしいのですが、好きなことを仕事にすることが悪いわけではありません。

私たちは人生の多くの時間を仕事に費やしており、その時間をどう使うかは重要ですよね。しかし、今の私たちの仕事との関係は、うまくいっているとは言えません。

最近の調査で、世界中の労働者の48%がバーンアウト(燃え尽き症候群)になっていることが明らかになりました。48%、つまり、この部屋にいる人の半分にあたります。

バーンアウトについて話すとき、その根本的な原因について話すことはありません。

でも1週間のバケーションやセルフケア、境界線を引くことでは解決できない理由があるんです。

もし本当に仕事との関係を変えたいならもっと掘り下げなければなりません。

それは私たちのアイデンティティから始まります。

私たちは単に「仕事をする人」ではありません。親であり、友人、市民、アーティスト、トラベラーです。

投資家がポートフォリオで複数の株を持つことでリスクを分散するように、私たちも人生において意義やアイデンティティの源を多様化すれば、より豊かで安定した生き方ができます。

時間の聖域を作る

では実際どうすればいいのでしょう?

ラビ・エイブラハム・ジョシュア・ヘッシェルは、ユダヤ教の安息日(シャバット)を「時間の聖域(Sanctuary of Time)」と表現しました。

物理的なサンクチュアリを作るよりも、時間のサンクチュアリを作るんです。

最初のステップは皆さんのアイデンティティを分散させて、時間の聖域を作ることです。

仕事をしていない時間を作りましょう。

ただ単に仕事時間を減らすというより、もっといい境界線を作ります。

時間の聖域にはインフラが必要です。

例えば新しい言語を学ぶ時間をカレンダーに書き込んだり、子供と遊んでいる時はスマホを飛行モードにしたり。

そうやって仕事が皆さんの「何もないスペース」を埋めないようにします。

別のアイデンティティを強化する

次のステップは、時間の聖域を、自分が育てたい別のアイデンティティを強化する活動で満たすことです。

たとえば、「今この瞬間に向き合う父親」「コミュニティの庭師」「アマチュアの音楽家」など。

それは一見シンプルに思えるかもしれません。しかし仕事以外のことに意味を見出したいのなら、実際に仕事以外のことをする必要があります。

大がかりなことをする必要はありません。

本を執筆している時に、私はものすごく野心的なワーカホリックたちと話をしたことがあります。

「アイデンティティを分散させろ」と言うと「じゃあ私は1年間に52冊本を読む」とか「マラソンに出る」なんて言うんです。

せっかくの余暇を別の仕事に変えてしまうこともあります。

小さなことから始める

まずは小さなことから始めましょう。

例えば親友と週に一度散歩するのはどうでしょう? あるいは夕食後、10分間だけピアノの練習をするとか。

3つ目のステップはあなたが何の仕事をしていようが全く気にしないコミュニティに参加して、仕事以外のアイデンティティを強化することです

私はバスケットボールが好きなんですが、週に一度試合を一緒にする人たちは、私が1週間に何文字書こうが、本がどれだけ売れようが、全く意に介しません。

彼らが気にするのは、私が時間通りやってきて試合に参加するかどうかだけ。

週に一度、試合をすることは、私が単に経済的価値を生み出すためだけにこの地球上に存在しているわけではないことを思い出させてくれます

多様なアイデンティティは仕事にも役立つ

皮肉なことに、アイデンティティを分散させるとビジネスにも役立ちます。

リサーチによれば色々な興味を持っている人の方が、よりクリエイティブで革新的に問題解決をします。

趣味を持つことは充電する最もいい方法の一つで、そのおかげで職場に戻った時、生産的になれます。

多様なアイデンティティを持つことは、不況や解雇といったストレスの多い状況に直面したときにも役立ちます。

私は著書の取材で、仕事をまるで家族のように大切にしていた人々に話を聞きました。

彼らの多くはパンデミックの際に突然解雇されてしまったのです。

「仕事=自分」だと思っている人が職を失ったとき、「一体自分は何者なのか?」 という問いに直面することになります。

仕事以外のアイデンティティを持つことには、ビジネス上のメリットだけでなく、倫理的な意味もあります。

よりバランスの取れた自分を作り、強固な人間関係を育み、健全なコミュニティ、さらには持続可能な社会を作るためには、仕事以外の人生にも投資する必要があるのです。

私たちは、単に「よりよい労働者」になるために働く時間を減らすのではありません。「よりよい人間」になるために、仕事以外の時間を大切にするべきなのです。

広く世界に貢献する

これは、私たち個人の問題にとどまりません。

子どもたちに「自分の価値は肩書きで決まるのではない」と伝えることにもつながります。

「価値のある仕事」が必ずしも履歴書に書けるものであるとは限らないことを再認識することでもあります。

そして何より、私たちはひとつの組織の利益に貢献するだけでなく、もっと広い世界に貢献する責任があるのだと示すことが大切なのです。

次に誰かと出会ったとき、「あなたは何をしていますか?」 という言葉に、ほんの二言加えてみてください。

「あなたは何が好きですか?」 と。

料理が好きかもしれません。書くことが好きかもしれません。それを仕事にしているかどうかは関係ありません。

「あなたは何が好き?」という問いかけは、それぞれが自分自身を、自分の言葉で定義する機会を与えてくれるのです。

////抄訳ここまで////

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静かな働き方

このトークの内容をより詳しく知りたい時は、シモーヌ・ストルゾフさんの著書を読んでみてください。

英語のオリジナル版はこちらです。

仕事が人生の全てではない

仕事を頑張りすぎて、疲労が溜まっている人におすすめのトークを紹介しました。

内容を簡単にまとめると、以下のようになるでしょう。

・仕事をアイデンティティの中心に置かないことの大切さ

・仕事以外にも自分の価値を見出すための具体的な方法

・「何をしているの?」ではなく「何が好き?」と問いかける姿勢

多くの人が仕事を頑張るのは、このトークでも語られていた社会的な価値観、さらに経済的な必要性、個人的な動機のせいだと思います。

社会的な価値観は「仕事=人生」という考え方。経済的な必要性は言うまでもなく生活費を稼ぐために。個人的な動機は達成感や自己成長、生きがいを求めて。

ですがトークで言っていたように多くの人が働きすぎて燃え尽き症候群になっていますし、日本では過労死まで起きていますよね。

仕事が大きなストレスのもとになってる人もたくさんいます。

仕事を頑張ることは、一見美徳のように思えますが、よく考えてみると自分や家族のためになっていないことも多いんです。

もしあなたが働きすぎてストレスをためているなら、仕事が人生の全てではないという考え方をぜひ取り入れてください。

別にバリバリ仕事をしなくても、お金をたくさん稼がなくても豊かな人生を送ることはできます。

自分が本当にしたいことを考えて、職業人以外のアイデンティティもぜひ、見つけてください。それがもっと幸せな人生につながると思います。





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