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読者のお便りに返信します。
差出人は、アートに青春を賭けて努力しているツムギさん。
ツムギさんは「これは必要な買い物」「ちゃんと使うから」と思ってお金を使っているけれど、気がつけば赤字。
赤字でお母さんに借金し、怒られながらも、創作のために材料や道具を買ってしまうとのこと。
ツムギさんのように、無駄遣いではない出費が、いつの間にか暮らしを圧迫していることはよくあるかもしれません。
そんなとき、どうしたらいいのか?
この記事で私の考えをお伝えします。まず、お便りを紹介します。4月のあたまにいただきました。
自己投資と無駄遣いの境界がよくわからない
件名:自己啓発の悪魔・ツムギ
秋田はもうすぐ桜が咲きます。私はというと、大学の3年次の履修条件をクリアできなかったので、それに再挑戦するところです。
最近、自己啓発系のTEDを観ていて、「ああ、これ私だな〜」と感じることがありました。
なぜ自己啓発本は人生を変えないのか?(前編)~1年間本の通りにやってみた
昨年度は、「現状を変えたい!だったら全部やってみよう!」と勢いで行動してみたんです。結果、収支は見事にマイナス。母に2万円借金していて、毎日怒られています(笑)
筆子さんのブログでは、「衝動買いしてしまって困っている」という人が多い印象ですが、私の場合はちょっと違っていて、「必要だから買う」ことがほとんどです。
たとえば、絵の具や糸を買うときは、デザインの構想がすでにあって、なくなった備品を補充する感じ。精神的にも物理的にも「ちゃんと埋める」ために買っているつもりです。
私はアートに青春を賭けていて、それは本気です。でも、夢を追うにもお金がかかるし、家のスペースも狭くて、いろんな意味で苦戦しています。
じゃあ、何がいけなかったのか?
「神アーティストになって、いいねをいっぱいもらいたい」という承認欲求?
それとも、「手に職をつけて、いずれ元を取ろう」という計算?
どっちも当たってる気がして、なんとも言えません。
ギャンブルは大嫌いなんです。パチンコのテーマパークに行った叔母と従姉妹の話を聞いたときは、「大谷翔平の元通訳・一平さんみたいになったらどうするの!」と心の中でキレました。
でもふと、自分のしていることも、もしかしてギャンブル的じゃないか? と思うことがあります。
「いいねがたくさんもらえるかも」「もしかしたらこれで食べていけるかも」――
それって、報酬系への期待であって、確実な成果じゃないんですよね。
私は重度の発達障害があり、社会参加として障害年金をいただいています。
「年金入るとつい無駄遣いしちゃって〜」と言う人を見ると、正直ムカッとします。
私は学業や訓練、就労をがんばっているからこそ、「もっと生産的に生きなよ!」と内心言いたくなります。
でも、「アートは生産的で健全」と思われがちなその道も、冷静に見れば、無駄遣いやギャンブル以上にやっかいな側面があるんじゃないか――そんなふうに思う今日この頃です。
ツムギさん、こんにちは。お便りありがとうございます。
TEDトークの記事を読んでいただき、ありがとうございます。
確かに、自己投資と無駄遣いの線引って難しいですよね。でも、生活をおびやかすほど使っているなら、お金の使い方を見直すべきだと思います。
「意味のある買い物」でも見直すべき
自己投資や創作活動、スキルアップのための買い物は、一見「いいお金の使い方」に思えます。
たしかに、まったく使わない雑貨を買うことに比べれば、ずっと意味があります。
それに意味のあるお金を使うとき、ときにはリスクを取ることも含まれます。
たとえば、
・映画を作るために借金する
・開業のためにローンを組む
・留学や大学院進学のために貯金を使い果たす
こうしたお金の使い方は、目的を持った、意図的な投資として社会的にも認められる場合があります。
でもツムギさんの場合は、少しお金の使い方を見直したほうがいいでしょう。私がそう考える理由は以下の4つです。
1. すでに生活に支障が出ている
「赤字で親に借金」「毎日怒られている」など、金銭面で現実的な破綻が生じています。
投資であっても、生活が持たない状態になっているなら、いったん止り、調整するべきです。これはアートでもビジネスでも同じ。継続できない形での投資は成立しません。
2. 支出と成果のバランスが崩れている
出費に対して、今のところ収入や見返りがほとんどありません。将来回収できる可能性も不透明です。
映画監督が借金しても、上映・配信・講演などの見込み収入が想定できるなら、理にかないます。
でも、ツムギさんはご自身でも「承認欲求かも?」「元が取れるのか自信がない」と葛藤しており、戦略的なプランがないまま支出だけが先行している状態です。
3. 投資のつもりが安心感を得る買い物になっている可能性
構想がある・補充だからOK、という納得のしかたがお金を使う自分を正当化する手段になっているかもしれません。
たとえ買ったものを「使うつもり」でも、不安やモヤモヤを解消するための出費になっていたら、投資とは言えません。
4. スペースの限界・メンタルの負担も発生している
ツムギさんは、過去のお便りで何度も、「家が狭くて苦しい」「ものが多すぎてやっかいです」と書いていました。
物理的なスペースも精神的な余白も、創作活動の糧(かて)です。
それを侵食してしまう支出を続けることは、たとえ意味があっても持続可能な選択ではありません。
夢と現実のバランスをとる工夫
夢を持ち、情熱を注ぐことはすばらしいことです。
でも夢の実現につながる活動を、長く、無理なく続けていくためには、現実とバランスをとらなければなりません。
お金やスペースが限られているときは、意識を少し変えれば、限られた資源をうまく使えるでしょう。
たとえば、以下のような工夫をしてはどうでしょうか?
1. 予算と収納場所に上限を設ける
「今月は材料費は5,000円まで」「この引き出しに入る分しか持たない」といった具体的な制限を決めて、スペースとお金を使いすぎないようにします。
リミットがあれば、「あとひとつくらい買ってもいいか」という衝動買いをしなくなるでしょう。
ツムギさん、今、予算を立てていますか? 材料費など、よく使うものだけでも、だいたいの予算を考えてみてください。
2. 買う前に目的と効果を問い直す
買い物する前に、「これを買えば、今の私の問題は本当に解決するの?」と考える習慣をつけましょう。
答えが「安心はするかも」「なんとなく落ち着く」なら、それは不安をなだめるための消費かもしれません。
「意味のある買い物だ!」と言いたいときほど、冷静に判断しましょう。
3. 自分へのごほうびは、暮らしやすさにする
「がんばっている自分だから、買っていいよね」という思いがあるとき、自分へのごほうびは、「新しいもの」ではなく、「お金の余裕」「片付いた部屋」にしてください。
安心して暮らせる環境が整えば、創作にもより集中できると思います。
おわりに:暮らしを整えることも、創作の一部
自己投資も創作活動も、未来の可能性を広げるための大切な活動です。何より、やっているとき充実感がありますよね?
けれど、未来をつくるには、今の暮らしが安定していることが土台になると私は考えています。
大切なのは「いつか」の未来ではなく、今日の生活です。
「これは無駄じゃない」と信じてした買い物が、結果的に日々の生活を圧迫しているなら、やり方を見直すほうがいいでしょう。
もの・お金・スペース・心の余裕。
そのすべてが、ツムギさんの創作を支えています。
資源が限られていても、工夫次第で夢は育てていけますよ。
これからも、暮らしと創作、どちらも大切にしながら進んでいってください。応援しています。