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買い物依存を克服するヒント:時間をどう使うか(TED)

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買い物習慣を見直したい人におすすめのTEDトークを紹介します。

タイトルは、How to regain control of your shopping addiction(買い物依存を克服する方法)。

スピーカーは、消費者心理の分析の専門家、Nadia Morozova(ナディア・モロゾヴァ)さんです。

買い物依存を克服する

収録は2024年の9月、動画の長さは12分、動画のあとに抄訳を書きます。

買い物という行動を感情と時間の面から読み解く内容です。





買い物には時間がかかる

買い物は必要な作業でしょうか、それとも有意義な時間でしょうか?

買い物というと、お金の使い方が話題になりますが、それに費やした時間についてはあまり考えません。

買い物に費やす時間についても賢く選択する必要があります。

2010年、オンラインでの買い物が始まったとき、人々はこのサービスに夢中になりました。

時間を節約できると信じていたからです。しかし、オンラインで食料品の買い物に60〜80分かけることを、果たして「時短」と言えるでしょうか?

デンマークの哲学者セーレン・キルケゴールは、実存心理学の創始者の一人ですが、時間の感覚は本質的に主観的であると指摘しました。

これは、購買の意思決定を理解する上で重要な考え方です。

過去10年間、オンラインでの買い物は大きく発展し、私たちは時間が節約できると期待してきました。

しかし現実には、年間で約10日間、つまり240時間、14,400分、864,000秒をショッピング関連の活動に費やしています。

この時間は「有意義な時間」と言えるでしょうか?

買い物の3つのタイプ

 
すべての買い物が同じではありません。

満足のいく買い物もあれば、後悔するものもあります。

私の博士課程の研究では、買い物の種類によってその性質やメカニズムが異なることがわかりました。

伝統的な経済モデルでは、人々は非常に合理的な意思決定をしているとされています。

つまり、買うべき商品をリストアップし、店舗やオンラインストアに行き、計画通りに購入し、最も効率的な方法で店を後にします。

でも、実際にそんなふうに買い物をしている人はどれくらいいるでしょう?

私たちはいつも計画的で合理的な買い物をしているわけではありません。

研究から、計画的な買い物(rational)以外に、計画していない購入(unplanned)と衝動買い(impulse)という2つの明確なタイプがあることがわかりました。

計画していない買い物とは?

計画していない購入は、店に入る前には決めていなかったけれど、もともと必要だったものに関係する買い物です。

先月、私は旅行前に、日焼け止めが必要でした。

別の商品を買うためにドラッグストアに行ったとき、手頃な価格の日焼け止めを見つけて、予定外でしたが購入しました。

購買意思決定のメカニズムに関して、私の研究から、消費者が商品を見た最初の5秒間に心拍数が大きく上昇することがわかりました。

ある商品が、潜在的なニーズに即座に響いて、「あっ、これだ!」という瞬間が生まれます。

たとえば、シャンプーを買おうとしているとき、求めているのは、ヘアケア製品を買うことです。

そのニーズに訴える商品は、脳内で即座に反応し、たとえリストに入っていなくても購入される可能性があります。

このような買い物は、消費者が明確な利益を感じるため、有意義な時間と認識されます。

衝動買いとは?

衝動買いは、感情的な判断によって行われることが多いと知られています。

研究では、購買意思決定の最終段階で感情が大きく揺れることがわかりました。

では、衝動買いの決定はいつなされるのでしょうか?

たとえば、シャンプーを見ているときに、新しいマニキュアが目に入り、その色がとても魅力的に感じられたとします。

使うかどうかはわからないけれど、気に入ったので購入します。

この決定は一瞬の感情によるもののように見えますが、実際には商品をカゴに入れる8〜12秒前に購買の決定がなされていると、fMRI研究(脳の活動している部分を画像で可視化する研究)によって明らかになっています。

これは感情という引き金に従う瞬間です。

SNSに影響を受ける買い物

この話がなぜ重要なのかというと、私が博士課程を終えた直後にパンデミックが始まり、同時にTikTokで働き始めたからです。

この時、コミュニティが私たちの生活に果たす重要な役割を日々目の当たりにしました。

そしてコミュニティコマース(SNS上のつながりや共感を通じて生まれる購買行動)が急速に発展し始めました。

オンラインコミュニティが新しいレシピのアイデアを広め、店頭から材料が消えるほどの影響力を持ったことを、あなたも聞いたり体験したりしたことがあるでしょう。

実際、70%以上の消費者が「ソーシャルメディアが購買意欲を刺激した」と答えています。買い物をするつもりがなかったのに、です。

私の研究チームは、ソーシャルメディアに触発された購買の63%が、計画していなかった買い物であることを突き止めました。

この傾向は、さまざまな商品カテゴリーにおいて一貫して見られました。

たとえば、お気に入りのSNSを見ていたとき、あるクリエイターがバーチャルウォーキングチャレンジの体験をシェアしていたとします。

SNSでそのチャレンジの投稿を見た人は、世界中を旅しながら運動に取り組む様子に共感し、もともと「運動したい」と思っていた気持ちを刺激されて、この投稿をきっかけに参加を決めました。

こうしたコミュニティからの刺激によって生まれた買い物は、ユーザー自身が「時間の使い方として価値があった」と感じています。

つまり、新しい購買スタイルが登場したせいで、「それは有意義な時間だったか?」という問いがますます重要になってきたのです。

その答えは、常に主観的で、状況によって異なります。

あるときは、SNSからインスピレーションを得ることが楽しいかもしれませんし、別のときには、友人と一緒に本屋で書棚を見ながら過ごす時間のほうが心地よいかもしれません。

意識的に買い物するには?

さて、冒頭の問いに戻りましょう。

私たちは年間14,400分を買い物に費やしていますが、その時間の使い方についてはあまり考えていません。

では、どうすればもっと意識的に時間を使えるでしょうか?

たとえば、友人と本屋で小説の棚を眺めながら過ごす時間が喜びをもたらし、面白い会話のきっかけになるなら、予期せぬ本との出会いは週末のハイライトになるかもしれません。

仕事帰りに甥の誕生日プレゼントを探して何軒もおもちゃ屋を回ることは、面倒に感じるかもしれません。甥が欲しがるおもちゃも馬鹿げたものに思えるかもしれません。でも、甥の喜ぶ顔を見れば、すべてが報われるでしょう。

見知らぬブランドの似たような靴を2足見つけ、レビューを1時間かけて読み比べ、結局どちらも買ってしまうこともあります。私の話ですが、有意義な時間とは言えませんでした。

こうしたエピソードは、買い物が時に疲れるものであり、エネルギーも時間も消耗することを思い出させてくれます。

その買い物が、自分にとってよかったかどうかを知る方法

キルケゴールの理論は、時間の主観的な認識が私たち自身の真実であることを示しています。

同じ体験でも、ある人にとっては「有意義な時間」であり、別の人にとってはそうではありません。

人生の多くのことと同じように、すべての買い物が同じではありません。最終的には、時間・お金・そして私たちの主観的な経験が織りなすバランスの中で意味づけされます。

私は、買い物体験を評価するための3つの視点を提案します。

1.実際にかかった時間を計測する

オンラインショップのページを開いた瞬間にタイマーをスタートし、購入が完了した時点で止めます。

意外と長くかかっているかもしれません。

計測しないと決めるなら、あなたは、時間ではなく、別の価値を求めていたのかもしれません。

2.買い物に替わる時間の使い方を考える

店舗を見て回ったり、広告の多い動画を見たりする代わりに、もっと喜びを感じられる活動があるかもしれません。

3.その買い物体験が有意義な時間と言えるか、自分に問いかける

次に買い物をするときは、こう考えてみてください。今の時間、本当に価値があったのか、と。

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買い物にはお金だけでなく時間も投資する

このトークで印象に残ったのは、買い物はお金だけでなく時間も使っているという点です。

以前、ものをたくさん買っていたころ、私も買い物に相当な時間を費やしていました。

カタログをすみずみまで眺めたり、雑誌で次に欲しい商品を探したり、店頭で商品を見比べたり、オンラインでお得情報を探したりといった具合です。

実際にものを買う時間より、探して迷っている時間のほうが長かったと思います。

今は必要なものしか買わないので、買い物に使う時間は格段に減りました。

その結果、他の大事なことに時間を使えるようになっています。

必要以上に買い物していた頃は、時間を無駄にしているという感覚はあまりなく、むしろ楽しい時間だと思い込んでいました。

でも結局は疲れてストレスになり、ものも増えていました。しかも、そうやって買ったものの大半を捨てました。

今回のトークを聞いて改めて、買い物で使うのはお金だけでなく、時間もたくさん使うと思いました。

お金だけでなく、大切な時間をどう使うかも意識しながら、買い物に向き合っていきたいですね。





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