物が多すぎる部屋

ミニマルな日常

物だらけの部屋で暮らしていると、生活の質が落ちる理由(その1)~リソース編

どれも気に入って買った物。そりゃあ、少し多すぎる気もするけど、なぜ、捨てなきゃいけないの?

そんな疑問を持つ人に、多すぎる物が人生にもたらす問題を紹介します。

今回は不用品にリソースを奪われる話を書きますね。

リソースは、何かを達成したいときに使えるものすべてです。



時間を取られる

物を引っ張り出したり、整理したり、どこに置こうか考えたり、片付け方を探したり、収納グッズを買ったり。こんなふうに、数があればあるほど、物の管理に時間を取られます。

当たり前のように、大量の物を持って暮らしている人は、管理に時間を取られていることに気づきません。

私も、昔は気づいていませんでした。

先日も書きましたが、若い頃の私は、土日のどちらかを使って、掃除や整理整頓をするのが常でした。

「こんなものだ」と思っていましたが、せっかくの休日を、コンスタントに不用品の片付けに使って馬鹿だった、もっと早く捨てておけばよかった(と言うより、あんなに買うんじゃなかった)と今になって思います。

大事な物だったら、まだいいのですが、私が片付けていたのは、不用品ばかりでした。

いらない物のために、限りある時間を使っていたのです。

平日の夕方も、朝、脱ぎ散らかした服をよく片付けていました。

出勤前に、何を着ようか迷って、着たり脱いだりしているうちに、床の上に積み重なった服を拾っていたのです。

私は特殊ケースかもしれませんが、物がたくさんあると、多かれ少なかれこういうことが起きます。

先日、娘の家に掃除の手伝いに行きましたが、娘は服をたくさん持っているため、洗濯が大変そうです。

洗濯機や乾燥機を回すだけだから、とても簡単な作業のはずですが、一度にたくさん洗うため、ランドリーバスケットの中に洗濯物や、きれいになった服の山ができます。

娘は、衣類はすべて裏返して洗うので、洗い上がった衣類を表に返すのがけっこう手間だし、そのあと、所定の場所に戻すのも大変でしょう。

私のように、着るものが少なめだと、洗濯物をためたくても、ためることができないので、管理がとても楽です。





場所を占拠される

物がたくさんあると、置き場所やしまい場所を用意しなければなりません。

よって、スペースを奪われます。

隙間収納をしなければならないなら、物にスペースを取られすぎています。

スペースは、自分が思う以上に大事なものです。

シンプルに暮らすために余白を取ることを意識したい7つのもの。

多くの人は、持たなくていい収納家具や収納雑貨を持っています。

中身がなければ、収納家具は不用です。

もちろん、日頃使う物を、すべて外に出しておくくことはできないので、何らかの収納スペースは必要ですが、日本家屋には押入れが、洋風の家もクローゼットや収納棚がついています。

今、使っていない物を手放せば、作り付けの収納スペースで十分足りるんじゃないでしょうか?

国土の狭い日本では、スペースはとても貴重なもの。

年に1度、使うか使わないかぐらいの物をしまうのに、そんな貴重なスペースを使ってしまっていいのでしょうか?

「物がありすぎて、ヨガマットすら敷けない」というお便りをもらうことがありますが、自分が持っている物と、自由に暮らせるスペースを天秤にかけたら、スペースのほうが重要だとわかるはず。

最近、外部の収納スペースを利用する人も増えていますが、お金がかかるので、本当に大事な物だけをしまったほうがいいですよ。

手間が増え、体力を奪われる

物の管理に手間がかかり、体力を取られます。

手間といえば、汚部屋の人がいるのと同じぐらい、部屋の中を美しく整えるのが好きな人がいます。

今、物を捨てる本も人気のですが、物を収納する本もよく読まれています。

インスタグラムでも、物をきれいに収納した様子や片付け方を見せているアカウントにアクセスが集まっているでしょう。Netflixにもお片付けのショーがあります。

皆、物を美しく収納しさえすれば、暮らしの質があがると思っているかのようです。

所持品を、使いやすく美しい収納をすることに、異論はありません。そのへんに散らかしておくよりいいでしょう。

本当に必要な物を収納しているのなら。

ガラクタを美しく収納する罠にはまっている人の7つの特徴~ある意味、汚部屋の主より始末が悪い。

いらない物まで収納している人に言いたいことがあります。

不用品を収納することに使っている手間を、捨てるほうにも使ってください。

なぜなら、不用品は、収納するより、捨てたほうが、よほど楽な人生になるから。

多くの女性が、収納に血道をあげるのは、自分がガラクタを持っていることに気づいていないからだと思います。

もう1つ、収納をがんばるのは、なんとかして、所持品や自分の環境をコントロールしたい気持ちの現れでしょう。

私たちは、環境や状況を自分がコントロールしていると思いたいので、大事な物もそうでない物も、バリバリ収納してしまうのです。

環境をコントロールしているという気分を味わいたいなら、収納より捨てるほうが効果的ですよ。

お金が出ていく

物の管理には費用が発生します。

損得勘定に敏感な人は、不用品をなかなか捨てません。

「全然着ていない服だけど、高かったから、捨てるのはもったいない」と若い頃買った、ブランドものの服をいつまでも持ち続けるような人です。

しかし、着ない服を持ち続けると、コストがかかります。

損得勘定をするなら、このコストについても考えるべきです。

自分のリソース(場所、時間、管理の手間など)は、すべてお金に換算することができます。

わかりやすいのは場所です。

月々、高い住宅ローンを支払って手に入れつつあるマイホームを、不用品の倉庫にするなんて悲しすぎます。

時間も、オポチュニティコスト(機会費用)を考えれば、相当、無駄にしています。

オポチュニティコストは、ある行動を選択したせいで、やることができなかった行動から得られたと考えられる最大の利益です。

毎日、不用品の整理整頓や収納に使っていた時間を、アルバイトに使っていたら、現金が手に入ります。勉強に使っていたら知識やスキルが手に入ります。

人付き合いに使っていたら、豊かな人間関係やネットワークが手に入ります。旅行に使っていたら体験が手に入ります。

不用品をキープする生活を選んだ人は、現金、知識、スキル、人間関係、経験を失ってしまうのです。

損得勘定に敏感な人ならわかるでしょうが、資本主義社会においては、時間や知識、スキル、人間関係は、けっこうお金に直結しています。

つまり、「服を捨てるなんてお金がもったいないから、全部取っとく!」という選択をした人は、ものすごくお金を損しているんです。

まあ、人付き合いをしたところで、豊かな人間関係が得られない可能性もありますが、オポチュニティコストは、最大の利益を想定するので、「何かいいもんが手に入ったはずだった」と考えておいてください。

そうそう、今は、物を捨てるときにも、お金がかかります。廃棄にかかる料金は、今後ますます高くなると思います。

精神的なエネルギーの枯渇

最後は、精神的エネルギーの損失です。

精神的エネルギーと書くとわかりにくいですが、心のキャパシティと考えてください。

私は人の精神的エネルギーは無限ではないと考えています。

一度に、記憶や思考できる分には限りがあります。

ワーキングメモリ(作業記憶)をうまく使って目の前のゴールを達成する(TED)

きのう、心のガラクタの掃除をおすすめしましたが⇒片付けがうまくいかないときは基本に戻る~行き詰まったらやってみること(その1)

頭の中にガラクタがたくさんあると、今の自分にとって重要でないことや、無意味なこと、どうでもいいことを考えるのに意識を使ってしまって、肝心のことを考えられなくなります。

何が肝心かは、その時々で違います。

たとえば、

・のんびり穏やかな心持ちでいたい(リラックス)。

・幸せを感じていたい

・前向きにやる気をみなぎらせていたい

・美しいものを見てうっとりしたい

・仕事や家事にしっかり集中したい

・周りの人に対する愛情を感じたい

・ぐっすり眠りたい

こんなふうに、いろいろなりたい気分があるわけですが、いつも部屋の中に不用品がたくさんあると、なかなかこうした気分にはなれません。

なぜなら、ストレスがたまるから。

視覚的ノイズによるイライラ、やることをちゃんとやれていないことによる自己嫌悪、いつも整理整頓に追われる徒労感、人に汚部屋を知られたくない恥の気持ちなどは、みなストレスとなり、あなたの心のキャパシティを奪います。

もちろん、物の管理をしているときも、あまり楽しいことは考えられません。

片付けても片付けても散らかる、捨てても捨てても片付けが終わらない。こんな焦りに支配されていますからね。

要するに、物がたくさんあると、心の平安が得られません。

視覚的ノイズによるストレスは、自分では気づいていないかもしれません。

視覚的ノイズ(見た目のごちゃつき)を極力なくすコツ(その1)~飾り物を減らす。

オープンシェルフに、いろいろな物がごちゃ~っと詰め込まれていても、人はその光景に慣れます。

しかし、慣れたからといって平気なわけではありませんよ。

ためしに、どこか一箇所、徹底的に片付けて、スッキリさせてください。

気持ちも、スッキリ軽くなり、爽快感を感じるでしょう。

ふだんは、この気持ちを感じさせないほど、重苦しいものを、視覚的ノイズが、あなたの心にもたらしているのです。

■関連記事もどうぞ⇒なぜ物が多すぎると、人の生活は不自由になるのか?

****

今、必要以上に物を所有して、始末にあえいでいる人はたくさんいます。

誰しも、わざわざ不幸になるために、物を買ったりはしません。

物があれば、もっと便利になる、幸せになる、とポジティブな結果を見込んで、買ったはずです。

ところが、物がありすぎると、その逆のことが起きるのです。

不用品は捨てたほうがいいですよ。





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