スケッチブック

ミニマリズムの参考書

最終更新日: 2017.11.27

「脳が冴える15の習慣」(築山節著)から学んだこと:便利すぎるから不幸せになる

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アンチエイジングシリーズ。今回は、若々しい脳を保つのに参考になる、その名も「脳が冴える15の習慣」という本を紹介します。サブタイトルは「記憶・集中・思考力を高める」です。この3つの力、誰でも、高めたいと思っていますよね?

著者は築山節(つきやまたかし)という脳神経外科の先生。著書はたくさんあって、amazonで見たら全部で13冊。その中で、1番売れているのがこの本です。2006年に出版されましたが、いまだに売れているロングセラーです。

「ぼんやりした脳は生活習慣を改善することによって活性化できる、そのためには、こんなことをやるといいよ」というのが15個書いてあります。

8年前に買った本ですが、今も時々読み返しています。この本で知った2つのことを意識してやるようにしたら、私は前より前向きな人間になりました。



遅起きで超ズボラ主婦のときは頭がぼんやりしていた

私がこの本を手にとったのは2008年の2月。今は早起きしている私ですが、当時の私は遅起きで、超ズボラ主婦でした。

翌年の2009年に「これではいかん」と思い、断捨離をがんばり始めるわけですが、その直前はすごくだらけきっていたのです。

1つ目の習慣「脳を活性化させる朝の過ごし方。足・手・口をよく動かそう」の最初に

毎日同じ部屋にいて、同じような生活をし、会う人も限られている。そういう生活を続けていては、脳の若々しい状態を保つことはできません。

とあります。

「これって私のことじゃん」

そう思いました。

専業主婦ですから、会う人は極端に限られていたのです。具体的には夫と娘のみ。洗濯物を干しているときに、隣近所の人を目撃することはありましたが。

当時の私は49歳。ほとんど家にいました。37歳のときに生んだ娘は小学校6年生の頃。

このぐらいの年になると、もうそんなに手はかかりません。だから自分の時間はしっかりあったはずです。

しかし、パーキンソンの法則が働いて、時間があればあるほど、仕事をだらだらとやっていました。

パーキンソンの法則とは⇒さっさと断捨離を終わらせるコツ:パーキンソンの法則から学ぶ

気づくと1日はあっというまに終わり、夜遅くまであれこれぐずぐずやっていた私は、寝るのも遅かったのです。翌朝は家族3人の中で1番遅く起きるという、主婦とは思えない生活をしていました。

ふつう主婦って家族の中で1番最初に起きますよね?

べつに専門家に「若々しい脳を保つことは難しい」と言われる前から、このままだと、脳はだんだん働かない方向に行くとうすうす感じていました。本を読んで、「やっぱりそうだったか」と確信を深めました。

だらけた生活をしていると本当に脳がぼけてきます。これは私の体験から断言できます。

私は自分の脳のビフォー、アフターしか知りませんが、築山先生はたくさんの患者さんを診て臨床体験が豊富なはず。その先生が本に書いているのですから、これは真実でしょう。





早起きが私を変えた

本に提案されている15の生活習慣は、どれもわりと当たり前のことです。

ですが、こういう当たり前のことを実行に移すのが一番むずかしいのです。生活習慣を整えるのって地味な行いですから。

人はどんなことをやるときも、基礎的な当たり前のことを無視しがちです。何かすごい裏ワザみたいなのがあるのかなと思ってしまうのかもしれませんね。

生活習慣を整えることそれ自体はそこまで難しくないと思います。本に書いてある習慣は「本来人間の送るべき生活」という気がします。

ただ、これまでの習慣から切り替えて、新しい生活にしても、ある程度継続しないと変化が見えません。多くの人は、それが待てず「もっといい方法があるのでは?」と目移りしてしまうのです。

あるいは、脳がすっかり鈍感になってしまい、小さな変化に気づくことができない体になっている人もいるでしょう。

ズボラ主婦だった私は15の習慣を読んで、「いいね、こういう生活できたらいいね」と思いました。私の理想の生活だと思いました。

脳が冴える15の習慣

まずは、できることから取り入れていこうと、読んですぐに以下の2つをやることにしました。

●早起きする

●雑用には前向きに取り組む

早起きすることにしたのは、脳を活性化するには生活のリズムを作ることが必要だと知ったからです。

脳に刺激を与える前に、脳にある種の安定を与えないといけないらしいのです。毎朝ほぼ同じ時間に起きて、太陽の光を浴びます。仕事は脳が活発に動いているときに行い、夜はできるだけ早く寝るのがベストです。

これは、脳が休みたいときにきちっと休ませ、活動したいときに自分も仕事をするということ。

このような生活のリズムがあると、脳のパフォーマンスも安定してきます。実際、このリズムで生きると肉体的にも疲れません。

この本を読んでから早起きに切り替えてはや8年。早起きの度合いもいろいろ変えてきました。早起き人間になって、1つだけ確実にわかったことがあります。

それは、平日、週末など関係なく、毎日一定の時間に起きるほうが、結局体が楽である、ということです。生活時間のリズムを崩すと、体のリズムも崩れてしまいます。

本には、生活のリズムを失うことは「ボケの入り口」と怖いことが書いてあります。

逆に言うと、生活のリズムさえ整えれば、自分の脳のパフォーマンスはかなり改善されるのです。

リズムを整える方法は、寝る時間と起きる時間をほぼ一定にし、睡眠時間をしっかり取るだけ。睡眠の大切さについても、本に書かれています。

前頭葉を鍛えることを意識したら日々が楽しくなった

この本を読むまで、私は脳の前頭葉について考えることはありませんでした。「脳を鍛えるためには、前頭葉の力を高めることが大切」と読み、そうか、前頭葉というものがあるのか」と意識するようになりました。

前頭葉はその名の通り、脳の前のほう(おでこの上あたり)にあり、入力された情報をどういうふうに処理するか、各方面に指令をだしています。脳の司令塔と呼ばれています。司令塔は、軍隊や組織の指揮をとる部署や人のこと。

この部分が人間の行動の意思決定をしています。これ1つでやってはいませんが、意思決定におけるかなり重要な役割を果たしています。

前頭葉のパワーが弱っていると、感情系の欲求に支配され、自分を律することができず、どんどん楽な生活へ流れていきます。

軟弱な前頭葉の持ち主は、「やればできるのにやれない人」です。

潜在的な能力は充分あるのに、「面倒くさい」「もっと楽をしたい」という欲求に負けてしまうので、結果的に自分の力を出し切ることができません。

まあ、もともと人間は楽なほうに流れますよね。しかし、前頭葉がしっかりしていれば、自分を律することができるのです。そういう意味では、前頭葉は、ほかの動物と人間を分ける肝の部分でもあります。

やわな前頭葉を持っていると、人から命令されないと動けない受け身な人になります。考えなくてすみますから。ですが、この状態は、実は本人のためにはなりません。本人は「楽ちんだ」と思っているかもしれませんが。

人は、主体的に生きないと幸せになれないので、前頭葉はしっかり鍛えておくべきなのです。

主体的だと幸せになる理由はこちら⇒心の中がからっぽだと、人は物で埋めたがる。豊かな心はこうして作る

私はすごいめんどくさがり屋でしたから(今も基本はそうです)、この本を読んだ頃は、前頭葉は相当弱っていたと思います。

前頭葉を鍛える方法の1つは、日常的な雑用を面倒くさがらずにこなしていくこと。「面倒だな」と思うことも、コツコツやることで、強い意志を持って、主体的な行動ができる人に変わっていくのです。

この本を読んでから、細々とした雑用も後回しにせず、「これは脳のためだ」と思って、早め早めに動くことを心がけました。家事にも前よりは前向きに取り組みました。

すると、脳がぼんやりしていたときより、毎日が楽しくなってきました。思考がクリアになるということは、人生が楽しくなるということなのです。
* * * * *
前頭葉の体力低下は、私だけの問題ではありません。現代人の前頭葉は多かれ少なかれ弱っているようです。というもの、生活が便利になりましたから。

家事をするときは家電や調理雑貨があり、仕事をするときはパソコンやスマホがあります。昔の人みたいに、面倒なことをしなくてもよくなりました。

便利な社会になったのに、なぜかみんな不幸せそうな顔をしているのは、便利すぎて、前頭葉を鍛えるチャンスが失われてしまったからではないでしょうか?

便利さばかりを追い求めると、不用品が増えるだけでなく、幸せ度もさがってしまうのです。





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