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上手に節約する方法を教えてくれる動画を2つ紹介します。
ともに、行動科学者のWendy De La Rosa (ウエンディ・デ・ラ・ローサ)さんの、Your Money and Your Mindシリーズから選びました。
このシリーズは、短い動画8本から成っているので、英語の学習素材としても、すきま時間の気分転換としても、最適です。
支出を予算内に収める3つのコツ
1本めは、予算をオーバーしないちょっとした工夫です。
タイトルは、Can’t stick to a budget? Try these tweaks instead (予算内におさめられない? こんな調整をしてごらんなさい)。
■予算内に収めるには? TEDの説明
Budgeting is the best way to get your spending under control, right? Behavioral scientist Wendy De La Rosa says there are actually better ways to limit your purchases — and get more satisfaction from them.
予算を立てることは、支出を抑える一番よい方法ですよね? 行動科学者のウエンディ・デ・ラ・ローサは、支出を抑えながら、買い物からより満足を得られるもっといい方法を伝えます。
収録は2021年の1月、長さは4分、自動生成される英語の字幕あり。動画のあとに抄訳を書きます。
☆TEDの説明はこちら⇒TEDの記事のまとめ(1)ミニマリスト的生き方の参考に
英語はとてもわかりやすいです。
予算どおりになんてできません
率直に言います。たいていの人は、予算をたててもうまくいきません。
数日間や数週間は予算どおりにできるかもしれません。ですが、そのうち予算のことを忘れてしまい、お金の流れを把握するのをやめてしまいます。
これが現実。
というのも、ほとんどの予算は固定されているので、人生における大きな決断をしない限り、どうすることもできません。
家賃、通信費、車のローンは払わないわけにいきませんよね。
ですが、今日お伝えしたいのは、多くの人が、もっと少額の、毎日のように発生する支出で苦労していることです。
たとえば、外食代、デリバリーサービス、買い物。
1つずつ見ていきましょう。
外食費の節約
私のリサーチからわかったことですが、外食費は、人々がもっとも後悔する支出です。
外食費より不満が残る支出は、銀行の手数料だけ。
外食費の予算を計上したり、月に100ドルだけ外食に使おうと決めるのではなく、私が『頻度予算』(frequency budget)と呼んでいる方法を試してください。
つまり、金額に意識は向けません。金額を追うのはむずかしいし、ときには不可能だったりします。
そうではなく、外食をする回数を制限します。「ノー」と言うほうがずっと簡単だし、外食の回数を追うのはむずかしくありません。
人間は人と過ごすのが好きですが、外食は、そうするのにぴったりの機会です。
もし、人と一緒に時間を過ごしたいのなら、一石二鳥の方法があります。
外食する代わりに、友人とピクニックをしてください。ワークアウトのクラスに申し込んでください。
人付き合いが発生するほかのどんな活動をしてもかまいません。ただ、一晩に50ドル(約5500円)、70ドル(約7700円)と使わないで行います。
きちんと計画を立てれば、お金を使わずに、人と何かしたい欲望を満足させることができます。
デリバリーサービスにお金を使わない
次にデリバリーサービスです。
最近の調査からわかったことですが、デリバリーアプリ(出前・宅配アプリ)から注文すると、店で食べるより、7~91%余分にお金を使います。
いろいろな手数料が発生するからです。
同じものを注文しても、レストランで食べるより、アプリで注文して食べるほうが高くつくのです。
この時期、デリバリーで注文する人がどんどん増えています。
デリバリーアプリの登場で、ファストフードはもはや一番手軽に済ませる食事ではなくなりました。
こうしたアプリを使って注文すると、いろいろな料金が上乗せされます。
もっともおすすめなのは、デリバリーアプリをスマホから完全に削除すること。
「削除はやりすぎだ」、と思うなら、ほかにも、アプリを使うハードルをあげて、買うスピードを落とす方法があります。
前もって少額だけ使えるように設定したデビットカードにアプリを紐づけたり、アプリが目にふれないようにしたり。
買い物を控えるには?
次は買い物です。「決して買い物をしてはだめ」なんて言いません。
私が言いたいのは、自分を幸せにするものを買うことです。
人のためにお金を使ったり、体験するためにお金を使ったり、時間を作るためにお金を使ったりすると、幸福度があがると、リサーチからわかっています。
買い物セラピー(retail therapy、リテイルセラピー)が楽しいのはわかっていますよ。
ですが、買い物に使うのと同じ金額のお金を、誰かのために使えば、より幸せになれるのです。たとえそれが5ドル(約550円)のTシャツでも。
Tシャツを買うなら、自分にではなく、友人に買ってください。寄付してください。あなたが、本当に好きでサポートしたい場所に。
経験にお金を使ってください。これまでやったことがないことをやってはどうでしょう?
仕事が忙しくて、疲れているなら、時間を買いましょう。
近所の高校生を雇って、芝刈りをしてもらいます。誰かにお金を払って家の掃除をしてもらいます。
こういうサービスは少々高いかもしれません。でも、時間を買う価値は十分あります。
このようにちょっとしたことを変えると、節約できるばかりか、お金を使うことから、もっと幸せや満足感を得られます。
それは、ギルティープレジャー(guilty pleasure)や後悔が少ない人生です。誰だってそういう生活をしたいですよね?
/// 抄訳ここまで ////
なぜ、まずいお金の使い方をしてしまうのか?
2本目は、Why we make bad financial choices — even when we know better(なぜ私たちはまずい金銭的選択をするのか? もっとましな方法を知っているのに)。
このシリーズの1本目です。
We all know we should spend less and save more, yet many of us struggle to do this and we blame ourselves. Turns out, our environment is what we really need to change, and behavioral scientist Wendy De La Rosa explains why.
私たちは支出を抑え、もっと貯金すべきだとわかっていますが、多くの人が、そうすることに苦労して、自分を責めています。
実際は、もっとも変えたほうがいいのは私たちの環境です。行動科学者のウエンディ・デ・ラ・ローサがその理由を説明します。
収録は2021年1月、長さは3分37秒。字幕はありません。
わかっていてもできない
いつも日焼け止めをつけなさい。
バランスのとれた食事をしなさい。
1ペニーの節約は1ペニーの稼ぎ。
みな、子供のときこうしたことを学んでいます。親や、G.I.ジョー(テレビ番組)から。
でも、知っていても、日焼け止めをつけ忘れたり、ポテトチップスを一気食べしたり、入ってくる見込みのあるお金より、ずっとたくさんのお金を使ってしまいます。
なぜでしょう?
知識があっても行動は変わらない
2年前、イェール大学の2人の教授が、『G.I.ジョーファラシー』という新語を作りました。
『知識を得れば、勝ったも同然だ』という考え方は間違っていることを説明する言葉です。
たいていの場合、知っているだけでは、実際にはできません。
情報が行動を変えるとは限らないのです。
行動経済学者として、家族がよりよい経済の決断をすることを助けている私は、多くの人が、お金に関する知識(ファイナンシャル・リテラシー)を学んだあとも、お金をうまく使えず苦労しているのを見ています。
自分の経済状態をよくするためにすべきことは、皆、ちゃんと知っています。
それはごく単純な方程式。
より多く貯めて、使うほうを減らすだけ。
でも、そうするのは難しい。言うは易く行うは難しです。
読まない雑誌にお金を払っていた
私もそういう経験がありました。
読まない雑誌を購読していたことがあったのです。購読をキャンセルすべきだとわかっていました。
全然読まないのに、毎月口座からお金が落ちていました。
予算の見直しをするたびに、そのことを確認していたのに、キャンセルしませんでした。
実際にキャンセルするまでに2年かかりました。
皆さんも、キャンセルしたほうがいいとわかっているサブスクリプションがあるのではないでしょうか。
こうした問題を解決するのに、もっとも大事なことは、『経済的な安定を得る方法は、教えたり学んだりできるものだ』という考えを捨てることです。
効果がない教育
アメリカではお金に関する教育に毎年7億ドル使っています。
しかし、リサーチによると、この教育を受けて、行動が変わる確率は0.1%だけ。
ゼロではありませんが、ほとんどゼロです。
20の州では、高校で、お金の授業を必須にしていますが、こうしたクラスも、上手に行わないと、生徒の将来のクレジットカードのスコアや、投資するかどうかの度合いにほとんど影響がありません。
将来、お金をうまく扱えるかどうか知るのに、もっと信頼できる指標は、その人が、算数をできるかどうか。
こうしたことから私が学んだのは、行動を変えることは、教育でどうにかできはしないということ。
変えるべきなのは環境
大事なのは環境です。
あなたがお金の使い方で苦労しているのは、あなたに問題があるわけではありません。
環境に問題があるのです。
周囲には、お金を使わせるきっかけが巧妙に仕込まれています。
スマホで見る広告は、より自分に合うようカスタマイズされ、企業のコンテンツは、より興味をそそるものになっています。
すべては、お金を使わせることにフォーカスしています。
これを変えましょう。
環境や、その環境との関わり方を変えます。
このシリーズを通して、ステップ・バイ・ステップでそのやり方をガイドしますよ。
あなた自身が環境を変え、自分のお金の使い方をコントロールできるように。
それぞれのエピソードの最後に、実践的なアドバイスをします。リサーチで実証されたことをもとにした助言です。
今日、支出を減らし、より多く貯める方法です。
明日ではなく、今日です。
そうすれば、未来のあなたが、あなた自身に感謝するでしょう。
/// 抄訳ここまで ////
単語の意味など
cut to the chase さっさと本題/要点に入る
speed bumps 減速バンプ、車のスピードを遅くするために道路に作ってあるでこぼこ。ここでは、アプリを使いにくくするために、自分で設定するハードル
retail therapy リテイルセラピー、買い物をして気分をよくすること
burn the candle at both ends キャンドルを両端から燃やす⇒無理して働く、精力やお金を浪費する
guilty pleasure ギルティープレジャー、罪の意識を伴う楽しみ、よくないとわかっているけどやめられない楽しみ。たとえば、甘いものを食べることなど。
A penny saved is a penny earned 1ペニーの節約は1ペニーの稼ぎ(ことわざ)。すでに持っているお金を節約すれば、その分稼ぐのと同じことだ。ちりも積もれば山となる。
Knowing is half the battle 知識をつけ、準備しておけば、買ったも同然だ、という意味合いで使われます。
お金に関するほかのプレゼン
貯金できない人がうまくお金を貯める秘訣は、行動経済学にあり(TED)
知識を得ることより実践を
このブログのTEDの動画を全部見て、内容を覚えていれば、ウエンディさんの言ったことは、そんなに目新しくはないでしょう。
節約したいなら、自分がやたらとお金を使わずにすむ環境やシステムを作ることが鍵です。
ところが、節約法については、断捨離とも似ていますが、上手なやり方を探すことに時間をかけがちですよね?
きっと、「すごくいい方法や裏技、トリックみたいなものがあるんじゃないか(あってほしい)」という気持ちがあるからだと思います。
日本でもファイナンシャルリテラシーが重要だと言われますが、基本的な算数ができたら、もうそれで十分じゃないですか?
収入の範囲内で、貯金する分を取り除け、残りで生活すれば、貯金できるのですから。
それに加えて、無駄なものや、自分を不幸にするものを買わなければ、もっとお金が残ります。
それができないのは、自分で環境を整えず、周囲に流されすぎるから。
デリバリーアプリを使うとお金を使いすぎる話が出てきましたが、何を買うにもスマホは簡単すぎるので、本当にアプリは削除したほうがいいかもしれません。
自分の意志のちからを過信するのはやめましょう。
それから、コツを学んだら、実際にやってみてください。
実際に行動してみないと、どんな方法が自分に合うのかわかりません。
先週も同じことを書いた気がしますが、試行錯誤が必要です。
いくら知識を身に着けても、やってみないとわからないことがたくさんあります。