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乳製品は食べないほうがいいのでしょうか?というご質問をいただきました。この記事で回答しますね。乳製品といってもいろいろありますが、今回は特に牛乳にフォーカスします。
ベジタリアンでなくても乳製品を避ける人が増えている
厳格なベジタリアンは乳製品を食べません。乳製品は動物性食品だからです。しかし、今、ベジタリアンでなくても、乳製品を避ける人が増えています。
アメリカのミニマリストにも、乳製品を食べない人がちらほらいます。
牛乳やチーズは栄養があって、これまで食べるべきものとされてきたのに、なぜ今、食べない人が増えているのでしょうか?
まず、読者の方のメール(一部省略しています)を紹介します。
乳製品は健康によくないのでしょうか?
件名:乳製品について
さくらさんより
私も今、砂糖を抜く、と言ってもご飯の量を減らし、おやつを食べないチャレンジをしています。一年前程からシャンプーや化粧品、野菜などをオーガニックに変え、頑張ってます。
筆子さんは、乳製品も止めておられますが、健康になるには乳製品は不向きでしょうか?毎日摂っている訳ではないですが、チーズや牛乳を3日に一度位は使っております。
出来る限り色々挑戦してみようと思います。まぁ、余りこれは駄目、あれは駄目ばかりでも問題ですね。笑
いつも、為になる記事をありがとうございます。よろしくお願いいたします。
さくらさん、お便りありがとうございます。現在、乳製品の摂取は賛否両論あります。この記事では私の考えを書きますね。
また、お便りにあるように、あまり「これはだめ」ととらわれないほうがいいです。ストレスになると、そっちのほうが健康によくありません。
乳製品はカルシウム源としておすすめの食品?
アメリカの農務省(USDA:United States Department of Agriculture)は国民の健康を守るために、何をどのぐらい食べたらいいのかガイドラインを提示しています。
昔はフードピラミッドという、ピラミッドの形で、下にあるものほどたくさん食べよ、というものでしたが、今はマイプレートというお皿の形をしたガイドラインです。
皿の半分は野菜と果物(野菜多め)もう半分は穀物とタンパク質。皿の隣に小さい丸が書いてあって乳製品です。
アメリカは肥満大国なので、お皿の半分以上は野菜にしろ、小さめの皿を使え、盛り付けも控えめに、乳製品は低脂肪か無脂肪にしろ、糖分の多い清涼飲料水はやめて水にしろ、などと注意書きがあります。
乳製品は脂肪分が多いけれど、それさえ取り除けば、カルシウムが摂れる食品だから毎日ちゃんと食べてください、という指導です。
実際、みんな牛乳を日常的に飲んでいます。水のように毎日飲む人も多いです。
しかし、一部の専門家は、牛乳やヨーグルトはむしろ健康に悪い、と言っています。
牛乳といってもいろいろ
一口に牛乳といっても、牛の育て方、その製品の加工の仕方で変わってきます。抗生物質をばんばん打っている牛の乳は危険でしょうし、加工度の高い牛乳も食品添加物がいっぱい入っていて、毎日飲むのはよくない気がします。
オーガニック志向の人の中には、加工乳を摂りたくないので、農家に言って、生乳を買う人もいます。
私は、牛乳は嗜好品として扱うべきだと思います。コーヒーやケーキ、チョコレート、タバコと同じ扱いです。牛乳は脂肪分が多いハイカロリーな食品だからです。
では、低脂肪乳が良いのかというと、低脂肪乳もあまり飲みたくありません。デカフェコーヒーや、ダイエットコークなどと同じで、ある食品から、一定の栄養分を取り除くのは、不自然なことだからです。
現在は低脂肪乳が人気ですね。カナダにはホモ牛乳(普通の脂肪分)、1%、2%とあって、家族はいつも1%の牛乳を飲んでいます。
人間だけが大人になってもほかの動物の乳を飲んでいる
牛乳反対派の人の理由で多いのが、もう育ちきってしまった人間が、ほかの動物の乳を飲むのは変である、というものです。
確かにそんなことをしている動物はほかにいません。
人間も牛も哺乳類です。哺乳類というのは、子供を乳で育てます。しかし人間以外の哺乳類は大人になったら、もう乳を飲みません。自分で餌を取りにいけるからです。
人間の子供は、生まれつき、母乳(乳糖、ラクトース)を消化できる、消化酵素、ラクターゼを持っています。これがあるので、牛の乳も消化できます。
現在の先進国の子供の多くは母乳を1年ぐらい飲んだら、あとは牛乳に切り替えて、今度は牛の乳を飲んで成長します。
酪農や工業が発達する前、人が狩猟をして生きていたとき、人間の子供は母乳しか飲んでいなかったし、大人になれば牛乳の摂取はやめました。
ヨーロッパで牛乳を飲み始めたのは19世紀の半ばとごく最近です。バターとチーズはその前からありましたが。
そのため、進化論的な見地にたつと、人が健康のために牛乳を飲む必要なんてない、ということになります。
ほかの哺乳類の動物は成長したらラクターゼが消滅しますが、人間は大人になっても持ち続けます。たまになくなる人もいますが、こういう人は、子供の時は平気だったのに、大人になってから牛乳を飲むとお腹の調子が悪くなります。
子供でも、牛乳の乳糖に耐性がない体質の人がいます。飲むとおなかがゴロゴロしたり。これはもともと牛乳が人間の乳ではないからです。
戦後になって、牛乳を飲み始めた日本人は、ヨーロッパやアメリカの人に比べて、牛乳の消化を苦手とする人が多いです。
そういう人は無理に牛乳を飲まなくてもいいです。もちろん牛乳が嫌いな人も。
また大人はもう育ちきっているのだから、牛乳なんて飲む必要はない、と私は思います。味が好きなら嗜好品として楽しめばいいのであって、健康のために無理に飲むことはない、と考えています。
実際、牛乳を全然飲まなくてもふつうに生きている人はいっぱいいます。中国やインドの田舎に住んでいる人は飲んでないはずです。牛乳をいっぱい飲んでいるのは、いわゆる先進国の人たちです。
生活習慣病が多いのも先進国です。
牛乳はどうしても必要なものなのか?
私が子供のころ、給食に必ず牛乳がついていました。最初はまずい脱脂粉乳だったそうですが、このあたりの記憶はないので、普通の牛乳だったと思います。瓶に入ってました。
主食は食パンでした。食パンに牛乳に、日本風のおかず。変ですよね?現在の給食はふつうにご飯が出てると思いますが。
炭水化物は常に食パンで、たまにカレーうどんでした。透明のパッケージにゆでたうどんが一人分ずつ入っているので、それを器にあけて、上からカレーをかけて食べていました。とてもおいしいと思って食べていました。カレーうどんの時も、牛乳が添えられていました。
私は給食は苦手ではなく、なぜ、パンなのか、特に疑問も持たず、普通においしく食べていました。ですが、考えてみれば、日本の給食だから、主食は米になるのが自然ですよね?
戦後、アメリカで小麦粉と原乳が大量に余っていたので、GHQが学校給食として使うことにしました。
もちろん、この時代、日本には何もなく、栄養失調の子供たちがたくさんいました。そういう子たちを助けるための学校給食なのでありがたい話です。
ですが、学校給食が軌道に乗り始めたあとも、アメリカ側は日本にメニューを自由に決めさせてくれなかったんですね。
アメリカ政府は、学校給食が浸透すれば、将来的に日本はアメリカの小麦粉と牛乳の大市場になる、と思っていたのではないでしょうか?実際その通りになりましたね。
日本の子供たちは、牛乳の消化能力が低く、下痢になる子供もいっぱいいたそうです。
カルシウムは牛乳を飲まなくても、緑黄色野菜に入っているし、わかめやひじき、大豆製品、骨ごと食べる魚にも入っています。昔の日本人はそういうのを食べて、元気に暮らしていました。
別にカルシウム源として牛乳を飲むことはないんです。
牛乳を飲むとかえってカルシウムが減ってしまう
牛乳とカルシウムについて考える場合、2つの問題があります。
1.そもそもカルシウムはどのぐらい摂るべきなのか?摂り過ぎるとまずいのでは?
2.牛乳によってカルシウムは充分に摂れるの?
カルシウムを摂り過ぎてもよくない、という意見もありますが、今回の記事では、カルシウムは健康によい、という前提で書きます。
確かに牛乳にはカルシウムが豊富に含まれていますが、それを身体に取り入れたとき、なぜかカルシウムが減っている、という現象が起きています。
乳製品をたくさん摂っている国の人の骨折は、別に減っていません。むしろ増えています。アフリカや東南アジアなど、乳製品の消費が少ない国のほうが、骨粗しょう症が少ないです。
乳製品にはいっぱいカルシウムが入っているはずなのに、なぜ骨粗しょう症になってしまうのでしょうか?
1つの意見として、肉や乳製品などの動物性食品を食べ過ぎると、からだが酸性になりすぎる、というのがあります。
健康な人の血液の中のpHは7.4前後あたり。pH(ペーハー)とは水素イオンの濃度のことで、酸性とアルカリ性の度合いを14の数字で表します。pH7が中性です。
肉、砂糖、脂肪分の多い食品はみな酸性食品です。野菜や全粒穀物はアルカリ性食品です。この2つをちょうどいいバランスで摂取していれば大丈夫です。
しかし酸性食品を食べすぎると、体内が酸性に傾き、疲れやすくなったり、その他の原因がよくわからない不調が出ます。
酸性になると、身体は「こりゃ、いかん」と思ってアルカリ性に戻そうとします。
このとき、野菜を食べていればいいのですが、日常的にお菓子やジャンクフードを牛乳や清涼飲料水と摂っていると、身体は骨からカルシウムなどのミネラルをとって、アルカリ性に戻そうとします。
牛乳はカルシウムが入っているけれど、同時に動物性脂肪が高いので、飲めば飲むほど、カルシウムがなくなるのは、こんな理由からではないか、というわけです。
また牛乳に含まれているカゼインという物質が凝固剤のような役割をはたし、カルシウムの吸収を阻害している、という説もあります。
カゼインはリンパをつまらせ、他の病気を誘発するとも言われています。
もちろん、人のからだが食べものをどういうふうに代謝するかは、さまざまな要因を考えなければなりません。
そもそもカルシウムばかりいくら摂っても、骨粗しょう症は防止できません。ビタミンDがなければ、カルシウムを吸収できないからです。
ですから、カルシウムの吸収について、考えるべき要因はたくさんあります。他に食べているもの、ちゃんと運動しているのか、生活環境なども考慮に入れるべきです。
ですが、動物性食品の摂り過ぎがよくないのは事実なのです。
☆骨粗しょう症について⇒更年期からは要注意。骨粗しょう症になりやすい人とは?
不自然な乳牛の飼育
人間の母乳もそうですが、もともと牛は自分の子供を育てるために乳を出します。昔の牛は、子牛のために、必要なだけミルクを出していました。
ところが今の乳牛は、人間に飲ませるために、大量に出しています。
牛の妊娠期間はだいたい人間と同じ。ただ、子牛を産んだあと、すぐにまた妊娠可能です。そして2歳になるともう母親になれます。生涯(10~12年)で、7~10頭の子牛を生むそうです。
人間のお母さんより、ミルクを出す機会は多そうですが、それにしたって毎日毎日出せないですよね?
自然に生きている牛は、草をのんびり食べていますが、これだけだと大量にミルクが出ません。だから、乳牛は、本来は食べない、栄養をパックした穀物や飼料を与えられています。
この飼料(配合飼料)のベースは麦やとうもろこしですが、他にも保存料やビタミンやらたくさんの化学的に合成された成分が添加されています。抗生物質を打たれている可能性もあります。
乳牛は、このような異様に栄養満点の不自然な餌をたべ、次から次に子牛を生むことになり、妊娠中もミルクを出しています。このミルクには牛の女性ホルモンがたくさん入っています。
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つまり今の牛乳は、昔、アルプスの少女ハイジがのどかにしぼっていたヤギの乳とは全然違う、効率のみを追い求めた工業的に生産されている食品と言えるのです。
動物愛護に熱心な人が、「これはひどい」というのもわかる気がします。
もちろん、こういう酪農に反対して、もっとのんびり乳牛を育てている農家もいますが、少数です。
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子供はまだ成長過程なので、牛乳を飲んでもいいでしょう。でも飲めないのを無理に飲むことはありません。
大人はもういらないと思います。ましてや、50歳すぎて、基礎代謝がさがっている私には。
カルシウムなら他の食品から摂れますからね。
このような理由から、今は乳製品は断っています。もともとここ10年ぐらいは、ほとんど牛乳は飲んでいませんでした。ヨーグルトは食べていましたが。
乳製品をやめてから1年半ぐらいになりますが、特に問題は出ていません。もっと年をとってから「骨粗しょう症です」と言われる可能性はありますから、その時はまた考えを変えるかもしれませんが。
アメリカの農務省のガイドラインを作っている専門家の中には、酪農業に従事している人もいます。みんなが牛乳を飲まなくなったら困る人です。
こういう「大人の事情」はどんな食品にもあります。砂糖や加工食品が健康によくないのに撤廃できないのは、食品産業やメーカーから圧力があるからです。
確かに、ある食品を「健康に悪い」なんて政府が公式に宣言したら、その産業は大打撃です。
こういう産業にたずさわっている人だって、家に帰れば子供もいるだろうし、生活していかなきゃならないので、路頭に迷わせるようなことをするべきではないと思います。
そこで、消費者が、こういう事情を汲みとって、今はインターネットもあるので、いろいろ自分で調べて、食べるものを選ぶしかないでしょう。
政府が大丈夫だと言っているし、みんなも食べている…だからといって、必ずしも健康にいいわけではないのです。