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この春から幼稚園に入園するお子さんをお持ちのママから、相談メールをもらいました。入園にさいして、子供が使うものを手作りしたほうがいいのか、既製品を買ったほうがいいか、とても悩んでいる、という質問です。
正直、そんなことはご自身で決めていただきたい、と思います。ただ、手作りは愛情の印という手作り信仰や、理想のママ像にしばられて自分を見失う人が多いので、この記事で回答することにしました。
まずメールを紹介します。お茶菓子という名前の方からいただきました。
入園グッズ、手作りしたほうがいいのでしょうか?
件名:断捨離中なのに
33歳、3歳児と0歳児の男の子を持つ専業主婦です。筆子さんのブログを読んでから毎日家事育児の合間に断捨離しまくっています。順調に断捨離が進む中、大きな悩みにぶつかっています。
悩んでも仕方ないのですが、モヤモヤして断捨離が中断してしまったのでメールしてしまいました。
先日幼稚園の説明会に行き、お道具袋やら入園セットをできる限り手作りするよう言われ、憂鬱です。
手作りに興味がないのでミシンも無いし実家や友人も同じようにミシンも無く借りられるアテもありません。手作りじゃないとママの愛情がなにやらかにやら言われると胸が締め付けられる思いです。
下の子の入園時にも使うとしても2回だけ、そのためだけにミシンを購入し、泣き叫ぶ乳飲み子を放ったらかしてまで手作りにこだわるか、、、既製品を購入してしまうか、手作りにこだわることがそこまで重要なのか混乱してきました。
子への愛情の自己満足ではないかと言い訳して逃げているだけなのか、頭の中がスッキリせず、順調だった断捨離節約が進まなくなりストレスを感じてしまう自分に自己嫌悪なこの頃です。
どうしようもなくグダグダした相談メールを送ってしまって申し訳ありません。読み捨ててくだされば、光栄です。
お茶菓子さんメールありがとうございます。お子様の入園、おめでとうございます。
相談メールと書きながら、「読み捨ててください」ともあったので、どうすればいいのかわかりませんでしたが、今回は相談メールと解釈し、私の考えを述べます。
自分で自分をしばらない
お茶菓子さん、勝手に悩んでいませんか?
グッズは「できるだけ手作りするように」と言われたのですよね?「すべて手作りしろ、じゃないと幼稚園に来てはいけない」と言われたわけではないと思います。
昨今、少子化がすすんでいるので、著名な人気幼稚園はべつにして、ふつうの幼稚園の経営はそんなにらくではないでしょう。だからグッズごときで、入園する子供の足切りをする幼稚園はないはずです。
持参したグッズが幼稚園の規格に合わないから、入園を拒否された、という話は聞いたことがありません。
「できるだけ手作り」なのですから、できないときや作りたくないときは市販品を準備すればいいだけの話です。
ここ、そんなに悩むところでしょうか?
このメールを読む限り、手作りにこだわっているのはお茶菓子さんであり、幼稚園ではないように思います。
ミシンを買って、材料を用意して、となると市販品より高くつきますから、市販品を使う選択は理にかなっています。また、赤ちゃんがいるから作る時間がない、というのももっともなことです。
実体のない手作り信仰は捨てる
「手作りじゃないとママの愛情がない」と人から言われると思うと胸が締め付けられる、というのは完全に他人軸です。
人の目を気にしすぎています。
この考え方には2つの価値観が表れています。
1.手作りしないママは子供に対して愛情が薄い
2.子供に対して愛情のないママと人から思われたくない
2つの価値観の両方とも捨てられます。捨てないまでもちょっと変えたほうがいいと思います。そうしないと、今後、子供が18歳になるまでいちいち苦しい思いをします。
手作りイコール愛情ではない、ということはお茶菓子さんも思っていることですよね?
食事を手作りすると、材料を吟味して、加工食品を避けることができるので市販のおそうざいよりはよい、とは言えます。
しかし、幼稚園で使う体操服入れ、コップ入れ、ハーモニカ入れ、連絡帳入れ、その他さまざまな袋物を手作りしようが、市販品を買おうが、子供に対する愛情とは関係ないですよね?
手作り品はしばしば作る人のエゴの結晶です。作る人が作りたいから作っているのです。
そのあたり、プレゼントと同じです⇒いらないプレゼントを差し出されたときの正しい対応とは?
あるママが、子供に楽しい園生活を送ってもらいたい、という願いをこめて体操服袋を作ったとします。それは愛情や善意からできあがったものです。このママは良いママかもしれません。
しかし、できあがった体操着袋が、子供の全然趣味でない柄で、おまけに口が小さすぎて、異様に出し入れしにくかったら、子供にとっては迷惑な品です。
手作り品ならなんでもベストか、というとそうは言えないのです。
幼稚園児は「この袋は機能性が今いち」という思考ができません。毎回体操服を袋に出し入れするときに、言語化できないストレスをかかえます。
不器用な子だったら、袋に上手に入れられないので、べつのもっと入れやすい大きな袋に体操服を押し込むでしょう。
体操服袋の目的が、家から幼稚園へ服を運搬することであるならば、べつにほかの袋に押し込んでも問題ありません。幼稚園児の持ち物はそんなに多くないので、親が洗濯するとき、すぐに体操服が見つかるでしょう。
さまざまな入園グッズを用意する究極の理由は、子供が園でスムーズに学びを得るのを助けることです。それが実現できるなら、手作りだろうが、市販品だろうが問題ありません。
本当に愛情があるなら、子供が使いやすいものを用意するべきであり、それは手作り品とは限らないのです。
他人軸なママになるとしんどいだけ
「愛情のないママ、と思われたくない」というのはお茶菓子さんの見栄です。どんな見栄をはろうと、本人の自由なので、そんなふうに思ってはいけない、とは言いません。
しかし、そういう考え方をしていると物が増えるし、断捨離も停滞します。実際、今断捨離の手が止まっているように。
自分が子供を愛していて、子供もママを好きならそれでよく、他人がどう思うかは関係ありません。世間的にみてどんなにダメママでも、たいていの子供は自分のママが大好きです。
お茶菓子さんは、「理想のママ像」にしばられて、完璧主義に陥っているのではないでしょうか?
こちらをお読みください⇒完璧主義を克服する7つの具体的な方法。
どこまでが自分の見栄で、どこからが真の愛情なのか、線をひくことはできません。さまざまな感情が入り混じっていますから。
これから子育てしている間にいろいろなことが起こり、そのたびに悩むと思います。
そのとき、「世間にどう思われようと、私は自分のやり方で、子供を愛していこう」と自分なりの指針を持っていれば、そこまでうだうだ考え込まなくてもすみます。
視野を広く持つ
お茶菓子さんは、「できるだけ手作りで」と言われたのを、「どうしても私が手作りしなきゃいけない。そうしないと愛情のないママと思われる」と思い込んでいるようです。
しかし、これは1つの考え方であり、世の中には別の考え方もたくさんあることを知ってください。そうすれば、1つの思考でガチガチになって苦しんでいる世界から抜けられます。
幼稚園グッズはそんなにいろいろ必要なのか、園に言われた指示をそのまま守らなければいけないのか?
こんなふうにもう1つ上の視点に立つこともできます。
園の言うことが100%正しいわけでもないし、園に言われたことを1から10までそのとおりにする必要だってありません。
指定された幼稚園グッズを用意しない、という選択肢もあります。
手作り品と市販品の中間のグッズもあります。手作りを代行している業者に制作を頼めばいいのです。「入園グッズ 手作り 代行」といったキーワードで検索すれば制作してくれる店が出てきます。材料(布地)を持ち込むこともできます。
ただし、こういう人たちはプロですので、すごくきれいな袋ができあがります。手作りのちょっとださい感じがあまりないかもしれません。
すごく上手に作ってありますが、「手作り」には変わりありません。
あくまで手作りにこだわるなら、こういうサービスを利用すればいいでしょう。
そもそも、「母親の手作りで」と幼稚園が言っているのかどうか疑問です。この世には母親のいない子供だっていますから。シングルパパも増えているご時世です。
そんな時代に「母親の手作り」を強いる幼稚園は幼稚園のほうが間違っていますから、気にすることはありません。
おまけ:娘のために用意した入園グッズ
最後に娘が入園するときに私が用意したグッズを紹介します。2003年8月の終わりのことです。
私の州では、法律的には子供は(ほぼ)6歳になったら小学校に入らなければいけません。その後中学を出るまでが義務教育です。
たいていの子供が小学校に入る前に1年間幼稚園にいきます。娘の行った幼稚園は小学校と同じ校舎でした。幼稚園に入園イコール、その小学校に入学した形です。
入園前にサプライリスト(必要なものを書いた紙)をもらったのでそろえました。何を用意したか、当時の日記にすべて書いてあるので転記します。
当時と今ではレートが違いますが、1カナダ・ドル100円で考えてください。
・バービーのバックパック $12ぐらい
・ティッシュ230枚入りの箱 $2.30
・鉛筆2本(友達のバースデーパーティのおみやげ)
・のり(学校の隣の公園で拾った)
・クレヨン(ひねり出すタイプ12色セット。$4.99)
・お絵かき用シャツ(お下がりのスモック。赤いチェック)
・うわばき(プレイスクールで使っていた17センチの靴。楽天の店舗で500円ぐらい)
プレイスクールとは幼稚園の前に行っていた保育園みたいなものです。当時極貧だったのもあり極力お金を使いませんでした。
JAのちょきんぎょペンケースは懸賞でもらったもので、リストには書いてありませんでしたが、鉛筆とのりを入れました。
娘は私が用意したスモックを着るのを嫌がっていました。日本の園児向けゆえ立派すぎたからです。ほかの子のお絵かき用シャツは、古ぼけた大人のワイシャツやTシャツでしたから。
最初に必要なのはこれだけ。おって必要なものは通達する、と言われましたが、特に何もありませんでした。
工作で使う空き箱や古雑誌を用意するぐらいだったと思います。幼稚園ではまともな勉強はしないので、そんなに物も必要ないのです。
サプライリストに書いてあった袋物はバックパックのみ。大型の絵本が入る口の大きなものを、という但し書きがありました。
「さまざまな袋を手作りで」などと細かい注文を出すのは地球上のごく一部のエリアでの話なのです。
ある程度まわりに合わせることも必要かもしれません。ですが、何もかも厳密にきっちりしなくても、子供はふつうに育ちます。子育てではもっと大事なことがあると思います。だから、そんなに悩まないでください。