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お金の管理に関するTEDトークを紹介します。
女性が経済的に大きな力を持つようになった今、これからの時代に必要なのは、お金の管理を人任せにしないことだと伝える内容です。
タイトルは、5 ways women can maximize their finances(女性がお金を最大限に活かす5つの方法)、資産運用管理の専門家、 Sandra Pierce (サンドラ・ピアース)さんのトークです。
お金を最大限に活かすために
収録は2024年の6月、動画の長さは10分、動画のあとに抄訳を書きます。
◆TEDの説明はこちら⇒TEDの記事のまとめ(1)ミニマリスト的生き方の参考に
ユーモアがあり、シンプルでわかりやすいプレゼンです。
女性が多額のお金を握る時代
2023年は「女性の力の年」と呼ばれました。
映画『バービー』、テイラー・スウィフトの〈エラス〉ツアー、ビヨンセの〈ルネサンス〉ツアーとそのコンサート映画。
この3つの女性主導のメガヒットは、記録を次々と塗り替え、女性の経済力に関する従来の思い込みをくつがえしました。
女性の消費は都市や国の経済に大きな影響を与えるようになったのです。
これはまだ始まりにすぎません。
女性たちはこれまでにない規模のチャンスを目前にしています。
「グレート・ウェルス・トランスファー(Great Wealth Transfer 巨額の資産移転)」と呼ばれる現象です。
コンサルティング会社マッキンゼーによると、今後10年のうちに女性が相続または管理する資産は30兆ドルに達します。これは、アメリカの1年間のGDPに匹敵する金額です。
ベビーブーマーが築いた富
この巨額の資産はどこから来るのでしょうか。
ベビーブーマー世代が、これまでにないほどの富を築いてきたのです。
彼らは好景気、株式市場の上昇、自宅価格の値上がりといった恩恵を受けました。
夫が亡くなると、その資産は妻へと引き継がれます。妻は夫より若いことが多く、まだ残りの人生があります。
大きな資産がブーマー世代の女性の手に渡ると、使い方によってや、社会や「女性とお金」に対する考え方を大きく変える可能性があります。
というのも、女性は寄付に積極的で、環境や社会的責任に関わる活動にお金を使う傾向があるからです。
とは言え、こうした変化は、女性自身が自分でお金の運命を決めてこそ起こります。残念ながら、まだそんな状態にはなっていません。
資産管理を夫に任せる女性たち
UBSの最新レポートによれば、既婚女性の56%はいまだに投資や資産運用を夫に任せています。これはブーマー世代の女性に限りません。
ミレニアル世代の半数以上も、同じことをしています。この行動を変えなければ、社会をよりよい方向に変える大きなチャンスをのがしてしまうでしょう。
なぜこれほど教育を受け、成功し、声を上げられるようになった女性たちが、お金に関する重要な決断を他人に任せてしまうのでしょうか。
その最大の理由は、男性のほうが金融に詳しいという思い込みです。驚くことに、男性もそう思っています。
しかし、私の40年のキャリアから言えますが、多くの場合、女性は特に根拠なく、自信がないだけです。夫が金融の天才だからそう思うわけではないのです。
さらに女性たちは「これ以上やることを増やせない」と言います。
調査によれば、女性は家事や介護に、夫より毎日少なくとも2時間多く使っています。
また、父親がすべてを仕切る姿を見て育った人は、夫との関係でも同じようにすることに抵抗を感じません。
私自身、父が家の絶対的な支配者でした。
今も忘れられないのは、母が食料品にお金を使いすぎたと父に叱られた日のことです。
母はいつも買い物の金額を父に報告しなければなりませんでしたが、その日は残りが少なすぎると父が怒鳴りました。すると母は小銭を父の顔に投げつけ、そのまま家を出ていったのです。
性別によって決めつけられる役割
私自身も、お金に関して問題がなかったわけではありません。
大学に進学したときはジャーナリストを目指していましたが、その道には進みませんでした。
ただ幸運なことに、金融の世界を教えてくれるロールモデルやメンターに出会えたのです。この出会いが私の人生を大きく変えました。
そして自分も人の人生を変えられることに気づきました。
「男だからこうするべき」「女だからこうあるべき」といった決めつけから自由になるのは、簡単なことではありません。
結婚して32年経った今でも、私は、夫はベッドを整えたり、食器を食洗機に入れたりできないと思っています。
それでも資産管理にかかわる最初の一歩はとても簡単です。ワインを開けて、「一杯飲みながらお金の話をしない?」とパートナーに言ってみるのです。
夫はきっと驚くでしょう。多くの男性は、妻にもっと関わってほしいと考えています。
人生に直結する決定から、自分が外されたいと思う人はいるでしょうか?
女性はすでに多くの分野で大きな成果を上げてきました。
1920年に参政権を勝ち取って以来、今ではかつてないほど多くの女性が政治の意思決定の場に立っています。
宇宙にも行き、ノーベル賞も受賞しています。
だから、お金の管理を人任せにする習慣を断ち切ることもできます。
そして、ここでいいニュースがあります。
主導権を握りつつある女性たち
すでに44%の女性が夫の後ろに隠れることをやめ、自分で投資を管理したり、夫と一緒に運用に関わるようになっています。
私は長年、そのような女性たちが自信をつけ、お金の面だけでなく人生全般で主体的になっていく姿を間近で見てきました。
自分ひとりで抱え込まなくてよくなった男性たちも、以前よりストレスが減っています。
「グレート・ウェルス・トランスファー」は、私たちの目の前で起こっています。
たとえば、アマゾンの創業者ジェフ・ベゾスと離婚後、マッケンジー・スコットは1900以上の慈善団体に総額165億ドルを寄付しました。
けれど、社会を変えるのに、巨額の資産は必要ありません。
私にはこんなクライアントがいます。
彼女は最近夫を亡くし、「ずっと、寄付先を決めるのは夫の役割だった。でも今度は私の番です」と語りました。
私たちは、彼女の母校の工学部に進学する女性のための奨学金を2つ設立しました。
この基金には、彼女がこの世を去った後も資金が供給されるようにしました。
さらに彼女は、同じ境遇の女性卒業生たちと、少人数で話をするようになりました。そして最近、大学から「初めて女性からの遺贈や基金のほうが男性を上回った」と報告を受けたと連絡してきたのです。
お金の管理に強くなるための5つの方法
これまで私は主にブーマー世代やミレニアル世代の女性について話してきましたが、実際にはお金を自分で管理することは年齢や性別を問わず、すべての人にとって大切なことです。
ここで、誰にでも役立つ5つのステップを紹介します。
ステップ1:棚卸しをする
資産と負債をリスト化し、自分のお金に関する最大の心配を見極めましょう。多くの人にとって、それは、自分が生きている間、手持ちのお金で足りるかということです。
ステップ2:金融プランを立てる
行きたい場所にたどり着くには、どう行けばよいか知っている必要があります。長期的に経済的な安心を得られる人とそうでない人を分ける最大の要因は、計画を立てているかどうかです。
ステップ3:アドバイザーを活用する
一流のアスリートを思い浮かべてください。ゴルフ好きなら、ほとんどのプロが複数のコーチを持っていることをご存じでしょう。ひとりで全部できないからです。
ステップ4:配偶者がアドバイザーと会っているなら、一緒に行く
質問をし、話を聞いているうちに、少しずつ知識がついていきます。後になって、行ってよかったと思うでしょう。
ステップ5:シンプルに考える
お金を3つに分けて考えてください。
流動性:今後5年以内に使うお金。安全に、すぐ取り出せる形で確保。
遺産:子どもに残したいお金やチャリティに寄付したい資産。
長期性:老後の生活を支えるために長期投資できるお金。
難しいのは行動すると決めること
偉大な飛行家アメリア・イアハートはこう言いました。
「最も難しいのは行動を決めること。そのあとは、ただ粘り強さが必要なだけ。」
もし大勢の女性が、お金が与えてくれる力に目覚めたらどうでしょうか。想像してみてください。どれほど大きなことを成し遂げられるか。
私は確信しています。あなたならできます。女性であることは、それだけでスーパーパワーを持っているんです。
//// 抄訳ここまで ////
お金に関するほかのプレゼン
自分のお金は自分で管理する
家庭の資産管理を夫任せにしないことをすすめるトークを紹介しました。
結婚していなくても、自分のお金の管理は自分でやったほうが、自分のためになります。
以前、男性の読者から、妻や同居している義母の買い物依存に関する相談メールをもらったことがあります。
彼らは、エクセルできっちり資産管理をしていました。
この場合、自分ひとりで管理せず、成人した家族全員で家計を管理していれば、妻や義母が買い物依存にはならなかったかもしれません。
お金の流れが見えていれば、「今月はここにいくら使っている」「この出費は本当に必要か」ということが自然と意識にのぼるので、無駄遣いや買いすぎは減ります。
逆に「家計の全体像が見えていない」「誰かに任せきり」という状況だと、お金は底なしにあるように感じるので、買い物依存になりやすいのではないでしょうか?
そもそも、人任せにしているせいで、主体的に生きられないストレスが増えて、買い物に結びついているかもしれません。
・家計も暮らしも人任せで、自分は決定に関与できない。
・職場や家庭で主体性を発揮する場が少ない。
・やりたいことや気持ちを抑え込んでいる。
こうした状況だと、人は「自分でコントロールできる感覚」を得るために、手っ取り早くそうできる行動、たとえば買い物に走りやすくなります。
買い物は「自分で選んだ」「自分で決めた」という感覚を味わえるからです。
買いすぎるのは、主体性や自由を実感できないことの裏返しともいえます。
そこで、家計管理や自分のお金の管理を「自分ごと」としてしっかりやっていくことが、浪費を防ぐのに効果的だと思います。
もちろん、精神的にもラクになり、より充実感を感じられます。