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所持品を減らして、もっとシンプルに暮らすために、ワンインワンアウト(One in One Out)をするとよい、とよく言われます。
私もおすすめしていますが、こうした、自主的に設定するルールは、使い方によってはうまくいかず、シンプルライフにするつもりが、かえって複雑な人生になることがあります。
ワンインワンアウトは物を減らすのに効果がありますが、やり方に注意が必要です。
ワンインワンアウトとは?
ワンインワンアウトを知らない方のために説明すると、何か1つ物を家に入れたら、同じような物を1つ家の外に出すことです。
外に出すために、通常処分します(寄付したり、売ったり、ゴミとして廃棄します)。
食べ物であれば、優先的に食べます。
なぜそんなことをするかというと、これ以上物を増やさないためです。
1つ入ったら1つ出すメリット
ワンインワンアウトをすると以下のようなメリットがあります。
・手持ちの物を見直せる
特に断捨離や片付けを心がけていなくても、何かを捨てるために、所持品を目視することになるので、「あら、私、やたらと黒いタートルネックのトップス持ってるわね」とか、「タオル多すぎるかも」「今年はジャケット買わなくていいね」などと気づきます。
多すぎると思えば、たいていもっと捨てます。
・手持ちの物の数が増えない
厳密にやっていれば、とりあえず数は増えません。
・捨てそびれない
たとえば、スマホを機種変更したら、古いスマホをさっと捨てられます。
・収納スペースが物であふれない
入った物とほぼ同じ物を同じ数だけ捨てていれば、物で埋もれた生活にはなりません。
・家に入ってくる物に対して、意識的になれる
物の流れに意識が向きます。⇒物を捨てられないと悩んだら、3つの流れを意識してみる。
不用なもらい物を断ろうとしたり、環境について考えるようになったりもします。
・何か買う前に多少は考えるようになる⇒意識的な買い物ができる
捨てる物を探すとき、「私、同じような物ばかり買っているな」と気づけば、今後は買い方が変わります。また、捨てることは苦痛を伴うので、むやみやたらと物を買わなくなります。
・捨てたいと思っているのに、なかなか捨てられない物を捨てることができる
物をためこむだけの生活から抜け出すことができます。
・時間や心のエネルギーなど、ほかの有限なリソースもうまく配分できるようになる
Aを取れば、Bを失うこことになるワンインワンアウトをやっていると、リソースの配分に意識が向きます。
たとえば、仕事や用事を頼まれたとき、イエスと言えば、それは何かにノーということになる、と考えられるようになります。
ワンインワンアウトが特に効果を発揮するケース
以下のような人には、ワンインワンアウトをおすすめできます。
・すでにある程度、物を減らした人
・ワードローブなどで、自分のスタイルや定番が決まり、それを維持したい人
・これ以上、物を増やしたくない人
・いらないとわかっているけど、捨てられない物がいっぱいある人
・何かが入ったら、同じ物か似たような物をちゃんと出せる人
・入ったら、すぐに出せる人(先延ばししない人)
すでに所持品を減らし終わったスッキリした状態を維持するのに役立ちやり方です。
なぜ死蔵品が家の中にたまるのか?:今度こそ減らす、リバウンド防止編
私も、過去にワンインワンアウト/ツーアウト/スリーアウトをやったことがあり、これをやるとうまく物を減らせると感じていました。
現在は、歯磨きグッズなどの消耗品を、使い終わったタイミングで新しい物を購入しているだけだし、今年は買わない挑戦もしているので、ワンインワンアウトを意識しているのは、書籍だけです。
私の買わない挑戦について⇒買わない生活を継続するために私が心がけていること。
そんなふうに、効果を感じ、いまも実践しているワンインワンアウトですが、読者のお便りを拝見していて、人によっては、うまくいかないときもあると気づきました。
ワンインワンアウトがうまくいかないケース
ワンインワンアウトには以下のような弊害もあります。
・買い物の言い訳になる
ワンインワンアウトの実践が、買い物をする免罪符になっていると、買い物習慣が改まりません。
免罪符とは、カトリック教会が献金などをしてもらうかわりに、一時的に罪を免除してくれる証明書です。転じて、罪や責めを免れるためのものを免罪符と呼びます。
どれだけ買っても、同じ数だけ出せばいいんだ、そうすれば部屋はきれいなままだし、私の人生はシンプルだと考えてしまうとこういうことが起きます。
そもそも、物が増えてしまったのは、物を買いすぎたからなので、買い方を変えないかぎり、いくらワンインワンアウトをしても、暮らしはシンプルになりません。
「替わりの物を捨てればいいから」と物をどんどん買うのは、捨てる手間とゴミを増やす行為です。
・数にフォーカスしすぎる
数合わせにこだわる人は、ワンインワンアウトをすることでストレスが増えます。
ミニマルライフというと、所持品は100個だけとか、服は50着のみといった、わかりやすい形でメディアで紹介されることが多いため、「◯◯個」になればいいのね、と思い込んでしまう人がいます。
読者の中には、エクセルで物の数を把握している人もいます。把握するのはべつに悪くありませんが、ともすると、暮らしやすさを無視して、数字上でつじつまを合わせることだけをがんばってしまうのです。
私のように数字(貯金高、体重etc.)に鈍感な人がいる一方で、さまざまな数値にかなり敏感な人もいます。
数合わせにこだわっていると、コートを買って、靴下1足を捨てて満足し、クローゼットの中はいつまでも満杯状態のままという事態も起きます。
また、人からプレゼントをもらうと、「どうやって捨てよう?」といきなりストレスレベルがあがることもあります。
・物が減らない
いらない物がたくさんあり、本当は、その8割ぐらいは捨てたほうがいい人が、ワンインワンアウトだけをして安心していると、ガラクタの多い現状から抜け出せません。
・買い物は罪だと思ってしまう
何かを気に入って買うという、ポジティブな行為が、やはり気に入っている何かを捨てる行為に結びつくと、物を買った自分を自分で罰しているかのような気になります。
買い物に依存気味、情緒が不安定、完璧主義の人は要注意です。
・生活がつまらなくなる
現状維持をしたいとき、効果的なワンインワンアウトですが、人の暮らしはずっと同じであるはずはありません。
1つ入ったら1つ捨てることをやっているせいで、暮らしが自然に変化していくのを邪魔してしまったり、自由が失われてしまったりすることもあります。
うまくルールを使うには
うまくワンインワンアウトを適用するために、私は以下のことを心がけています。
・時々、現状を査定する
ワンインワンアウトをやっていることが、自分の暮らしをいいほうに向かわせているか、客観的に見てみます。
理想の暮らしに近づいていると思えばそのまま続行します。
物が全然減っていないなと思ったときは、私は捨てる量を増やしていました。
・ストレスが増えてないか考える
捨てることがストレスになっていたり、罪の意識を引き起こしていたら、いったんやめたほうがいいです。
・何のためにやっているか考える
ワンインワンアウト、1000個捨てチャレンジ、買わない挑戦など、自主ルールを作って行うプロジェクトはいろいろありますが、すべては、理想の暮らしにするための手段です。
手段と目的が入れ替わると、優先順位がおかしくなるので、時々、何のためにこんなプロジェクトをやっているのか、考えるといいです。
・ほかの捨てプロジェクトも組み合わせる
ワンインワンアウトをペースメーカーにしながら、毎日15分ほど、不用品を捨てるとか、月替りで、捨てプロジェクトを変えるとかすると、飽きないし、大きなストレスを感じることもなく、片付けに励むことができます。
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今回は、ワンインワンアウトについて考えてみました。
最近、ワンインワンアウトをするのがつらくなってきた、と思ったら、いったんやめて他のことをしたほうがいいと思います。
このやり方が自分の生活や性格に合わないこともあるので、そういう場合は、無理にすることもないですし、それができないからといって、自己嫌悪を感じることもありません。
自分が楽しいと思える方法をとってください。