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なぜ変化はこんなに怖いのか? どうしたら変化から可能性を引き出せるか?(TED)

予期せぬ変化に翻弄されないコツを教えてくれるTEDトークを紹介します。

タイトルは、Why Change Is So Scary — and How to Unlock Its Potential(なぜ変化はこんなに怖いのか? いかに変化の可能性を引き出せるか?)

認知科学者の、Maya Shankar(マヤ・シャンカー)さんのトークです。



変化から可能性を見つける:TEDの説明

Unexpected change like an accident, an illness or a relationship that suddenly ends is inevitable — and disorienting. With a heartfelt and optimistic take on life’s curveballs, cognitive scientist Maya Shankar shares how these challenging moments can inspire transformation, offering three questions to ask when facing uncertainty, so you can let go of rigidity and embrace change.

事故、病気、突然の関係の終わりといった予期せぬ変化は避けられず、混乱を引き起こします。

人生が突然投げるカーブに対して、認知科学者のマヤ・シャンカーは、心から、そして楽観的に、こうした変化の瞬間がどんなふうに変革を促すか説明します。彼女は、不確かなことに直面したときに、硬直せず、変化を受け入れることを助ける自問すべき3つの質問をシェアします。

収録は2023年4月。動画の長さは13分半。英語字幕あり。動画のあとに抄訳を書きます。

☆TEDの説明はこちら⇒TEDの記事のまとめ(1)ミニマリスト的生き方の参考に

☆トランスクリプションはこちら⇒Maya Shankar: Why change is so scary — and how to unlock its potential | TED Talk

とても聞き取りやすいアメリカ英語で、構成もわかりやすいです。

考えてみると、シャンカーさんは、ずいぶん大変な目にあっていますね。





バイオリニストになる夢

子供のとき、バイオリンこそが、私の人生そのものでした。

学校から急いで戻ると何時間も練習。

土曜には朝の4時に起きて、母とニューヨーク行きの列車に乗り、ジュリアードで学びました。

ティーンエイジャーのときは、イツァーク・パールマンのプライベートレッスンに招かれ、コンサートバイオリニストになる夢に1歩近づきました。

でも、15歳になったある朝、難しいパッセージを猛練習していたとき、指を延ばしすぎて、手の腱を痛めてしまったのです。私の夢の終わりです。

この話をしたのは、誰にでも、こんなふうに予想もしていなかった変化が訪れるからです。

事故、病気、突然終わる人間関係。

私はバイオリニストにはならず、認知科学者になりました。

そして、変化にどう向き合うかに興味をもち、過去20年間、人間の行動科学を研究しました。

今は、A Slight Change of Plans(ア・スライト・チェンジ・オブ・プランズ 計画のちょっとした変化)というポッドキャストのホストもしています。

このポッドキャストでは、人生が変わる体験をした人にインタビューしています。

なぜ変化は恐ろしいのか?

変化は恐ろしいものです。不確かなことで満ちていて、人は不確かなことが大嫌いです。

電気ショックを受ける確率が100%あると言われたときより、その確率は50%だと言われたほうが、人はストレスを感じます。

不確かなことに対応するより、必ず悪いことがあるとわかるほうがましなのです。

変化が、なんらかの喪失を意味するのも、怖いポイントです。

変化とは古い様式から新しいものへ移ること。だから、自分で選ばなかった変化を体験すると、人生が前より制限の多いものになると感じがちなのです。

でも、この考え方にとらわれていると、重要な事実が見えなくなります。

思いもしなかった変化が訪れるとき、私達の中に永遠に続く変化が起きることがあります。

変化が終わったあと、別の人間になるんです。自分にできること、自分が価値を感じること、、自分を定義するものすべてが変わるのです。

この内的変化に注意を向ければ、自分を制限するのではなく、広がることができます。

きょうは、大きな変化が起きたとき、自問すべき3つの質問をお教えします。

変化が訪れたとき、どうしても、失ったものに意識を向けてしまうので、これから伝える3つの質問をして、手に入れられるかもしれないものを見つけてください。

質問1:どんなふうに自分の能力が変わるか?

ポッドキャストでクリスティーヌという女性にインタビューしたことがあります。クリスティーヌは、とてもまれな自己免疫疾患をわずらい、24歳のとき、失明しました。

当時クリスティーヌはベトナム料理の作り方を学んでいましたが、ごく簡単な料理ですら、作るのが大変になりました。

ある日、ピーナツバターとジェリーのサンドイッツを作るのに、すごく苦戦しました。

うまくできなかったサンドイッチを捨てながら、クリスティーヌは将来のことを考えて絶望的な気持ちになりました。

でも、彼女は1人暮らしだったので、料理をしなくてはなりません。

はじめてオレンジを上手にスライスできたり、焦がさずにスクランブルエッグが作れたりしたときの喜びを思いながら、以前にもまして料理に打ち込みました。

そのうち、料理ではいろいろな感覚を使うことに気づきました。

にんにくがこんがり焼けたのが見えなくても、匂いやフライパンの中の音で判断できます。

クリスティーヌは、目が見えなくなったとき、自分で料理するしかなかったから料理していましたが、そのうち、料理というチャレンジに立ち向かうのが楽しくなりました。

彼女は、その後どんどん難しい料理に挑戦し、「マスターシェフ」というテレビ番組に、はじめての盲目の参加者として参加し、優勝しました。

クリスティーヌは本当にすごい人なんです。

このエピソードから、思いがけない変化に見舞われたとき、自分に問いかける最初の質問が引き出せます。

「この変化によって、どんなふうに自分の能力が変わるか?」

ある変化にどう対応するか予測するとき、私たちは、今の自分はずっと変わらないと考える傾向があります。

心理学者、ダン・ギルバートの研究によれば、私達は、将来自分がどれほど変わるのか、その変化を過小評価しています。これまで、自分がどれだけ変わっていたかわかっているのに。

今のこの自分が、ずっと続くと思ってしまうのです。

でも、思いがけない変化や課題に出会った人は、変わります。

違う人になるんです。

今、クリスティーヌは世界的に有名なシェフで、The Blind Cook(盲目のコック)と呼ばれています。テキサスにレストランを3つ持っています。

そして、視覚がなくても、できそうなことにどんどん挑戦して、週末はスノーボードやロッククライミングをしています。

クリスティーヌは、こんなふうに私に言いました。「以前はこんなことは夢にも思っていなかったし、もし、今、目が見えるチャンスがあったとしても、盲目のままでいることを選ぶだろう」と。

質問2:どんなふうに価値観が変わるか?

次の質問は価値観に関するもので、フロレンス・ウイリアムスという科学ジャーナリストとの会話がヒントになりました。

5年前のある夜、フロレンス夫妻は、友人を招いてディナーパーティをすることにしました。

フロレンスがサラダの準備をしているときご主人が、親戚からのEメールを見せるために、自分の携帯を彼女に手渡しました。

でも、彼はうっかり違うEメールを見せてしまったんです。フロレンスが見たのは、自分の夫が、ほかの女性にながながと愛の告白をしているメールでした。

フロレンスの25年にわたる結婚は終わりを告げ、彼女は失恋により、心身ともに打ちのめされました。

フロレンスはもともと、課題を解決する人だったので、自分の失恋を解決するべき問題だと捉え、失恋から立ち直る1年間のプランを考えました。

彼女はいろいろなことをしました。荒野を一人旅したり、いろいろなセラピーを受けたり、失恋美術館にも行きました。

こんなふうにありとあらゆることをしてみましたが、1年たっても、フロレンスの傷は癒えませんでした。

その結果、彼女は、新しい哲学を取り入れるしかありませんでした。

失恋は解決すべき問題ではなかったかもしれないし、「閉鎖」が答えではなかったのでしょう。

ダッチャー・ケルトナーの研究によれば、閉鎖的認知(cognitive closure)と呼ばれるもの、つまり明確で決定的な答えにたどりつきたい欲望ですが、この欲望を追い求めすぎないほうが、喜びや美を感じる能力が拡大します。

長年彼女が大事にしていた、ゴールに達成したいというマインドセットから自由になったとき、フロレンスは、未知のものに思いがけない喜びを見つけられるようになりました。

つまり2つ目の質問は、「この変化は、自分の価値観をどんなふうに変えるか?」です。

突然の結婚の終わりにより、フロレンスは人生に対する考え方が永遠に変わりました。

人生は、解かなければならないパズルではなく、思いがけないものを発見する旅になったのです。

今、フロレンスはハイキングに行き、静かに座り、風を感じ、頂上を目指します。

もう5カ年計画は立てません。自分の失恋についてすべての回答が得られなくても、心地よくいられるようになったのです。

質問3:自分を定義するものがどう変わるか?

3つ目の質問は、自分をどう定義するか、アイデンティティに関するものです。

これは、私とバイオリンの物語がヒントになりました。

怪我をしてバイオリンを演奏できなくなったとき、楽器を失ったことだけでなく、自分自身を失ったと感じ、悲しい思いをしました。

ずいぶん長い間、バイオリンは私自身だったから、それがなければ、自分が誰で、何ができるのかわからなかったのです。

後になって、この状態は、アイデンティティの麻痺(identity paralysis)だと知りました。

想像もしていなかったことを体験すると、多くの人が、この状態になります。

自分はこういう人だと思っていたのに、ほんとうにそうなのかわからなくなるのです。

でも、私の中に何か違うものがあると気づきました。自分のアイデンティティという錨を下ろせる、もっと強固なものです。

ここから3つ目の質問が導き出されます。

「この変化は、自身の定義をどのように変えるか?」

バイオリンとの関わりを改めて考えたとき、私が本当に恋しいと思ったのは楽器そのものではなく、楽器が私の伝達手段になってくれていたこと、つまり、バイオリンのおかげで、他の人とつながれていたことでした。

幼いとき、人々の前で演奏し、皆で一緒に、新しい何かを感じている気がして崇高な気分になったことを思い出しました。

今、私は自分のアイデンティティという錨を、バイオリニストになる、科学者になる、ポッドキャスターになるといっと道筋にはおろしていません。

そうではなく、そうした追求を輝かせるものに、アイデンティティを置いています。それは本当に私にエネルギーを与えてくれるものです。

私にとって、それは、人とつながり理解しあうことを愛することです。

自分がしていることではなく、それをしている理由で、自分を定義しています。

変化の中に可能性を見る

好むと好まざるとにかかわらず、予期せぬ変化は皆に訪れます。

そのときは、ほんとうにいやな気分になりますが、自分が内的にどんなふうに変わるか、どんなふうに広がるかに意識を向ければ、嵐を乗り切るのに役立ちます。

最近、私の人生にまた大きな変化がありました。ずっと母親になりたいと思っていたのに、なかなかそうなれず、私と夫は、流産やほかの悲しいことを体験してきました。

でも、私は、きょうお伝えした3つの質問を使って、つらい時期を乗り越えようとしています。

この予期せぬ変化が、どんなふうに私の能力や価値観、定義を変えるか?

まだ考えているところですが、親になることがどんなことなのか、その定義を拡大している未来の自分が見えます。母親になることから求めているものを、ほかの場所で見つけられるのではないでしょうか?

少なくとも、母親としてのアイデンティティに執着するのはやめるでしょう。

そして、自由になります。

変化にはもっと可能性があると考え始めています。皆さんもそうできることを願っています。

//// 抄訳ここまで ////

変化に関するほかのプレゼン

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どうせ避けられない変化なら

予期せぬ変化は、自分ではコントロールできないから、変わることをこばむより、その変化にポジティブな面を見つけて対応するほうがいいですね。

しかし、実際、渦中にいるときは、なかなかそうは思えません。

大きく運命に翻弄されそうになったら、ぜひこのプレゼンを思い出して、どんな小さなことでもいいから、いいことを見つけるようにしてください。

それと、自分で起こす変化にも、よい面を見る練習をしておくと、変化に絶望しにくくなると思います。

不用品を捨てることは、自分から起こす変化ですが、すでに持っているものを手放すのはかなり勇気がいります。

それはきのうまでの自分の世界を手放すことなので、人によっては、相当怖い思いをするでしょう。

しかし、その変化は、いいものをたくさんもたらします。

そういう、わりと安全でハードルの低い変化を積極的に生活に取り入れると、ものすごい変化が起きたときも、乗り越えられるのではないでしょうか?





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