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怒ってばかりいると暮らしの質が下がります。余計な怒りは手放しましょう。
怒りが行動の原動力になることもあります。「見返してやる!」という気持ちがモチベーションになる人は多いようです。
しかし、やたらと怒ることは、デメリットのほうが大きいです。あなたの人生から大切なものを3つ奪います。
その3つは
1.良好な人間関係
2.家事、仕事における良質なパフォーマンス
3.健康
詳しく説明しますね。
1.怒りのせいで人間関係が損なわれる
怒りという感情が人間関係にダメージを与えるのは、誰でも想像つくでしょう。
怒ってばかりいる人のそばにいたいと思う人はいませんから。
怒りは、以下のようなパターンで、人とのつながりを断ちます。
1)怒りを心のなかに溜め込んだ場合
頭に来ても、それを外に出さず、心の奥底に溜め込む人がいます。この場合、相手とケンカになることはありません。
しかし、自分で自分を孤立させてしまいます。
怒っているときは、人の輪に入りたくないですから。
「さみしいなあ」と思うことが多いのなら、もしかしたら怒りの感情(誰かや何かを許せない気持ち}を引きずっているのかもしれません。
2)怒りを相手にぶつけた場合
誰かのせいですごく頭に来て、その怒りを相手に直接ぶつけた場合、平和的な解決にいたることはまずありません。
怒りをぶつければ、相手も怒りを返してきます。よほど穏やかな人や、怒らないことを信条にしている人でないかぎり。
たいていの人は売られたケンカは買うでしょう。
単なる感情の行き違いが大々的なケンカにエスカレートします。するとますます怒りがわいてきます。
3)怒りを関係のない人にぶつけた場合(八つ当たり)
怒ったとき、当事者に訴えず、手近にいる人に八つ当たりすることもよくあります。
人は、人間に対してだけ怒るわけではありません。天候に怒る人もいるし、ちょっとした不運(電車に乗り損ねたとか)に強く怒る人もいます。
太陽に向かってケンカをいどむわけにもいかないので、人は、自分の子供や奥さんに八つ当たりします。
八つ当たりされた人は例外なく不愉快になります。
10年ぐらい前のこと。私はものすごく態度の悪い、プロ意識に欠けたタクシーの運転手に出会いました。
帰宅してから、この件について夫に「ちょっと!ひどいと思わない」とガンガン訴えていました。
しかし、そのうち夫が、「たまたま態度の悪い運転手にあたったぐらいでそんなに怒るな!」と怒り始めました。
以上のように、誰に怒りをぶつけても、別の怒りが生まれ、マイナス感情が増殖します。そんな状態で、良好な人間関係が得られるわけがありません。
2.家事や仕事のパフォーマンスの著しい低下
怒りは行動の質も落とします。
1)冷静さを失う⇒パフォーマンスの低下
フランスのことわざに、「怒りは危険な助言者」というのがあります。
怒っているときはとても感情的になっているので、冷静な判断ができない、だから怒っているときは何もやらないほうがいいよ、という意味です。
これは誰でも経験がありますよね。
腹が立っているときは大きなマイナス感情に振り回されているのだから、客観的、理性的な意思決定はできません。
すると、家事や仕事のパフォーマンスが落ちます。
2)集中できない⇒やはりパフォーマンスが低下
怒っているときは、物事に集中できないので、仕事が荒くなります。
イライラしながら料理をしていると、包丁で自分の指を切ったり、鍋に入れるべきものを入れ忘れたり、鍋がふきこぼれたり、ステーキを焦がしたりします。
味付けも適当になってしまうでしょう。
3)クリエイティビティの消失
頭の中が怒りという感情でいっぱいだと、創造性も発揮されません。
頭がカーっとなっている時に、いろいろなアイデアが浮かぶ人はいないと思います。
悲しいとき、嫉妬にかられているとき、ゆううつな時、不安にかられているときも、あまりクリエイティブになれません。
ぼーっと外を見ていたり、無心に何かやっているときに、ふと面白いことを思いついたりしませんか?
私はスロージョギングやミニトランポリンをしているときに、ブログのネタや、仕事のアイデアを思いつきます。
ミニトランポリンを知らない人はこちらをどうぞ⇒ミニトランポリン歴1年7ヶ月の私が伝える、7つの健康効果
激しい怒りにかられているときは、フロー状態と真逆の状態なのです。
フローについて⇒人を幸せにするのはお金ではなくフロー状態。ミハイ・チクセントミハイ(TED)
4)自責の念にかられる⇒やる気の消失
たいていの人は、ガーッと怒ったあと後悔します。そして罪悪感を感じます。
罪悪感ってすごく嫌な気持ちですよね。とても前向きに仕事に向かえる心理状態ではありません。
自分で自分を責めると、セルフエスティーム(自己評価)もさがるので、自信を失い、これまた仕事のパフォーマンスが落ちます。
セルフエスティームとは?⇒セルフエスティーム(自分を愛する気持ち)が高い人の12の特徴
5)ストレスが溜まる⇒衝動買い
職場で腹立たしいことにあり、それがストレスになって、帰りに衝動買いをする人も少なくありません。
当ブログによく書いていますが、衝動買いは以下の大きなデメリットがあります。
●お金がなくなる
●ガラクタが溜まる
手持ちのお金がドブに消え、ガラクタが残った部屋の中で、タスクのパフォーマンスがあがるとは考えられません。
3.怒りが健康を奪う
怒りのせいで健康も損なわれます。
自分の感情が健康に大きな影響を与えていると気づいていない人がいますが、実は、両者は密接な関係があります。
怒りが健康によくないのはストレスを生むからです。
そもそもなぜ人は怒るのでしょうか?
私は人の行動はみな、進化するためにプログラミングされていると考えています。
究極の動機は種の保存です。
外敵に脅かされたり、攻撃されたとき、人は怒りという感情をパワーにして闘い、自分と自分の仲間を守ってきたのではないでしょうか?
怒ると恐怖を感じたときと同じストレス(アドレナリンやコルチゾール)が分泌されます。「闘争か逃走か反応」(fight-or-flight response)が起きるのです。
この反応については、過去記事に何度も書いていますが、読んだことのない人はこちらの記事をお読みください⇒いかに子どものころのトラウマが生涯の健康に影響を与えるか(TED)「トラウマによって脳が引き起こす反応」のところです。
激しい怒りを感じているときも、からだは闘ったり、逃げる準備をします。
すると心拍数、血圧、体温、すべてが上昇します。
外敵が前にいるときは、この反応の恩恵を得ることができます。筋力がいつもよりパワーアップしますから。
しかし、天気が悪いこと、やたら暑いこと、コンビニの店員の対応が悪いことなど、自分の思い通りにいかないことに出会うたびに、筋力をパワーアップしても、使いどころがありません。
こんなことで暴力事件を起こしたら、大きな代償を払うだけです。
意味もなく、闘うか逃げるか反応を連発すると、心臓に負担がかかります。
頭痛、腹痛、不眠、高血圧、心臓発作、脳出血の原因にもなります。免疫が落ちるので感染症にもかかりやすくなります。
また肺の機能も落ちるという研究もあります。ストレスのせいで、呼吸器系に炎症が起きてしまうのです。
ストレスが多いと副腎疲労が起きて、ホルモンのバランスがくずれ、炎症が起きやすくなるのです。詳しくはこちら⇒副腎疲労(ふくじんひろう)とは?やる気が出ないのはこれのせいかも
ストレスが体調を悪くする仕組みはこちらで説明しています⇒ストレスのせいで頭痛がしたり太ってしまう理由とは?
怒りのせいで、うつも引き起こされると考えられています。うつうつとした状態は、怒りを押し殺している状態か、静かに怒っている状態なのです。
ガーッと起こる人が、ある時はすごく落ち込んだりすることがありませんか? 私の家族、2人ともこのタイプです。
いつも楽しそうな人はつまらないことでやたらと怒らないし、うつうつとしたとしても、すぐに気持ちを切り替え、もとのハッピーな人格に戻ります。
小さなことにむやみやたらと怒るのは、自分の健康を大きく害してしまうのです。
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このように、怒ると自分が損するだけなのです。
「私って怒りっぽいよね?」という自覚がある人は、きょうから少し怒るのを控えてみてください。
それだけで、周囲の状況は何も変わらないのに、今より楽しい毎日になります。
来週は、怒りをコントロールするコツをお伝えします。