ページに広告が含まれる場合があります。
時々書いている汚部屋脱出シリーズ。
きょうは、ガラクタに無駄に込めている思いを手放すすすめです。
物にいちいち思いを込めず、物は物、ガラクタはガラクタと、物と感情を切り離してください。
そうすれば、もっとガラクタを捨てることができます。
捨てないから汚部屋になる
なぜ汚部屋になってしまったのか?
その理由を問うと、「私は整理整頓が苦手だから」とか、「仕事や育児で忙しくて片付ける暇がないから」と言う人が多いのですが、根本的な原因は、物が多すぎることです。
物が増えてしまった原因は
1)供給(買い物、もらいもの、拾いもの)が多すぎる
2)不用になったものをいつまでも捨てない
この2つです。
つまり、供給を減らす一方で、すでに持っているもののうち、不用品をせっせと捨てれば、汚部屋の程度にもよりますが、半年もすれば、かなりきれいな部屋になると思います。
供給を減らす方法は、買い物習慣の記事でたくさん書いているので、それらを読みながら、少しずつ買い方を変えていってください。
この本もおすすめ⇒筆子の新刊『買わない暮らし。』(6月16日発売)著者による内容紹介。現在予約受付中です。
この記事では、「不用品の捨てなさすぎ問題」の解決法として、ものと感情を切り離す方法を紹介します。
できるだけ、物は物、感情は感情と分けて考えてください。
人間は物に思いを託す
人の感情はとても豊かで複雑です。思いのすべてを言葉にすることはできません。
だから、私たちは、とりあえず、そのへんにある物理的なものに気持ちを込めます。
これはイマジネーションがあるからできることで、その能力を駆使できることはとても素晴らしいことです。しかし、イマジネーションの力は、使い方を間違えると自分を苦しめる結果になります。
「鰯(イワシ)の頭も信心から」ということわざがあります。イワシの頭ですら、それを信じている人にとってはひじょうに貴重なものである、いったん信じてしまえば、どんなものでもありがたく思えるという意味です。
汚部屋にガラクタをいっぱいためこんでいる人は、本来なら、切り捨てて生ゴミとしてさっさと捨てるべきイワシの頭をたくさん持っているようなもの。
ゴミなのに捨てないのは、それが大事だと信じているからです。
この信念を変えれば、ガラクタが少ない部屋になります。
物に込めている思い
人がものに託している思いのうち代表的なものを4つ紹介します。
いま、部屋の中で山積みになっているものに対して、あなたがどんな思いを託しているのか考えるヒントにしてください。
1)特定の記憶、体験にまつわる感情
写真や記念品など思い出の品は、特定の思い出のトリガーとして機能します。
忘れたくないできごと(そのできごとを体験したときの感情)があり、その気持ちを好きなときに味わいたい。
多くの人が、思い出品をたくさんもつのはそんな理由からでしょう。
しかし思い出品がたくさんありすぎて、大半がガラクタになっているとき、好きなときに好きな感情になんてなれません。
いまのあなたは、部屋が汚く、視覚的ノイズが多い中で暮らしており、ストレスにさいなまれています。
視覚的ノイズ(見た目のごちゃつき)を極力なくすコツ(その1)~飾り物を減らす。
「美しい思い出を象徴するものたち」は、あなたに自己嫌悪をつのらせるだけです。
2)自分自身(アイデンティティ)
昔もらった賞状やトロフィ、資格を取得するためにがんばって解いた問題集やノート、大昔の給料の明細(私が新卒で入った会社では、現金で給料をもらっていた)、好きでたくさん集めたフィギア、自分で組み立てたプラモデル、修学旅行先で買った金平糖の入っていたガラス瓶。
こうした品物は、自分という人間を表すものであり、分身のようなもの。
辛い時や悲しい時に見ると元気になれる。だからみんな宝物。
捨てると自分がなくなってしまいそう、がんばった私が消えてしまいそう。
そう言いたくなる気持ちはわかります。
辛い時に眺めてほっこりできるものがあるのは素敵なことです。
だけど。
だけど、そんなにいくつもいりますか?
というより、辛い時にすぐに取り出すことができますか?
そもそもどこにあるかわからないし、検討がついたとしても、ガラクタの山の中に手や頭を突っ込んで探さなければならないのでは?
3)安心感・癒やし
オープンシェルフに並べたかわいい人形やおしゃれな雑貨。
眺めているといい気分になれる。安心できる。
好きな色の服で埋め尽くされたクローゼット、大好きな食器が並んでいる食器棚。
好きなものをいっぱい持つことは、自己表現でもあります。
お気に入りのものに囲まれていると安心感や満足感が得られると信じている人はたくさんいます。
まあ、嫌いなものに囲まれているより、気分はいいでしょう。それは認めます。
ですが、あなたは本当にそれらのものから安心感を得ていますか?
どんなに好きなものでも、ある程度、秩序がある中で並んでいないと安心感よりストレスのほうが増えます。
お気に入りすぎるものをいっぱい持ってしまうと、それを失う心配や恐怖も引き受けなければなりません。
4)誰かとのつながり
使いもしない贈り物をずっと持っていて、このまま一生持ち続けてしまいそうなのは、その贈り物の中に、くれた人の愛情や好意がいっぱい詰まっていると感じているから。
これを私にくれたのは、私のことを大事に思ってくれている証拠。そう信じているから。
ギフト品はあなたと大事な誰かとの関係の象徴です。
つまりそれは物というより、くれた人の愛情そのもの。
せっかくもらった愛情を捨てるのは、その人との縁を切ってしまうこと。
そんなことはできない。
そう思ってギフト品を捨てない人が大勢います。
あなたが感じているその「縁」は、実は一方通行で、向こうはなんとも思っていない可能性もあります。
相手は、「こういう日には、こういう人たちに、贈り物をするのがあたりまえ」という思い込みによって自動的にものを配って歩いているだけかもしれません。
買い物が好きすぎて、自分の物はもういっぱいあるから、贈り物を買って買い物欲を満たしているだけかもしれません。
すべての贈り物が「愛あるもの」ではない:ガラクタの出どころを見極めよう(その3)
誰かとの縁を大事にするのはいいことですが、本当に縁を大事にしたいなら、ガラクタの整理に明け暮れるより、実際に会いに行ったほうがいいと思いませんか?
・・・4つのガラクタに紐づいているそれぞれの感情は、ガラクタをキープする理由になるでしょうか?
あなたは、「私は大切な思い出や自分自身、安心感を大事にしている」と言うかもしれません。
しかし、実際は、自宅の管理が大変になり、生活しにくくなり、無駄にスペースや時間を奪われ、セルフイメージまで下がっています。
そんな犠牲を強いてまで、「大事なもの」を持ち続けたいですか?
感情と向き合う
限りなくガラクタに使いけれど、捨てにくい。
そんなものは例外なく、そのアイテムに対してある感情が紐づいています。
それは、どんな感情なのか、少し考えてください。
その感情がとても大事なら、文章にするといいですよ。書き出すときにまた思い出すので記憶が強化されます。
思い出を誘発するのは物品や写真だけに限りません。
音(音楽)、香り、場所、共通の体験をした人も思い出のトリガーとして作用します。
そうしたトリガーについても、一緒に書いておくといいでしょう。
まあ、そこまでして忘れたくない思い出は、特に努力しなくても、必要なときに勝手に出てくるんじゃないですか?
というか、これからもいちいち思い出さないと何かとても困ったことがあるんですか?
私は思い出はこころの中にあるから、ものは必要ないと考えています。
この考えに同意できないとしても、すべての思い出をキープしようとする行動が、はたして健全か、現実的か、自分や他の人のためになっているか考えてください。
■関連記事もどうぞ
物に感情移入しすぎて捨てられない人におすすめする気持ちの整理の仕方、5選。
思い出は心の中にあるから物はいらない。こう割り切れない時の気持ちの整理の仕方。
思い出品に執着がありすぎて、部屋がスッキリしないときはこうしてください。
*****
何かを捨てようとするとき、「だめ、これは大事なもの」と直感が教えてくれた、だから捨てない。
こんな決断をする人はたくさんいます。
でも、その直感、信じていいのでしょうか?
直感は、本能的な反応なので、人の心理的傾向(たとえば損失回避とか授かり効果とか)に強い影響を受けています。
物を捨てられないのは恐怖のせい~損失回避と、授かり効果の心理をさぐる
ものに紐づけている感情を、文字通り紐解いて調べてください。
そして、風通しのいい部屋にしましょう。