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外見に対する悩みを手放し、自分らしく生きるためのヒントが得られるTEDトークを紹介します。
タイトルはStop hating your body; start living your life(自分の体を嫌うのをやめて自分の人生を生き始めよう)。
ボディイメージの活動家で、「ボディ・イメージ・ムーブメント」の創設者、Taryn Brumfitt(タリン・ブルンフィット)さんの講演です。
自分の体を嫌わない:TEDの説明
“You are fat”… “You are ugly”… “You are disgusting”.
That’s what millions of women around the world say to themselves in the mirror every day. That’s what Taryn said to herself every day before she realised that her body is not an ornament; it’s the vehicle to her dreams.
This talk explores the global issue of body loathing and what we can do to change our own perspective and the unrealistic standards that surround us.
和訳:あなたはデブ、醜い、気持ち悪い。これは世界中で何万人もの女性が毎日鏡の中の自分に言っている言葉です。
タリン自身もかつて毎日自分に言い続けていた言葉でした。自分の体は飾りではない。夢を叶えるための大切な乗り物なのだ、と気づくまでは。
このトークでは、世界的な問題である「自分の体への嫌悪」を掘り下げ、それに対する私たちの視点を変え、社会に蔓延する非現実的な美の基準を見直すために何ができるのか探ります。
この講演は、途中にセクシーで「魅力的なボディを持つ女性」のビデオが紹介されているせいか、年齢制限があるので、記事に埋め込むことができません。
YouTubeで閲覧してください。
(60) Stop hating your body; start living your life | Taryn Brumfitt | TEDxAdelaide – YouTube
長さは14分20秒、収録は2016年10月。日本語字幕もあります。以下に抄訳を書きます。
自分の体が嫌いだった
あなたは太ってる。あなたは気持ち悪い。あなたは醜い。シワが多すぎる。ひどいそばかす。かなり攻撃的に聞こえますよね?
でも、こうした言葉が私たちに毎日浴びせられています。そして、多くの人がそれを信じ込んでいます。私もそうでした。
ほんの数年前、私は鏡の前に立ち、自分にこう言いました。「あなたは太っていて、醜くて、見苦しい」
私は、自分の価値が見た目で決まると思っていました。
だから、自分の体が大嫌いでした。
外科医へ行き、下着姿になって「助けてください。私の体は壊れています」言いました。医者も同意しました。
医者は私のお腹の脂肪をつかみ、「これを取り除くべきですね」と言いました。そして、私の胸を汚れたティッシュのように持ち上げて、「ここにあるべきです。直しましょう」と言ったのです。
医者は私のお腹が3人の子供を宿し、胸がその3人の子供に4,000回の食事を与えたことを知りませんでした。
でも、私はとても喜んでいました。壊れていると思っていた体を直してもらえるのだから。
壊れていたのは体ではなく考え方だった
でも、今になって気づいたのですが、変えるべきだったのは私の体ではなく、私の考え方だったのです。
多くの人々が、「あなたは十分ではない」という否定的で暗い声にしばられています。
皆さんも同意してくれると思いますが、この内なる声を抱えて人生を歩むのは大変ですよね。
今日、私は皆さんを責めたり、気分を害したりするためにここにいるのではありません。
私は皆さんに考え方を変えるようお願いするためにここにいます。
人々がパーソナルトレーナーや友人、美容師と交わす会話は、体に関して否定的なものが多いです。
女性にとって、この内なる声を聞くことはそれだけで十分に悪いことですが、私たちは街を歩くとき、「このままではだめです」伝える大きな看板を見ます。
通り過ぎるバスには、魅力的な女性の写真が載っています。雑誌、テレビ、映画、そんなイメージがどこにでもあります。
女性にとって、これは本当の戦いです。本当に大変です。
人を破壊するメッセージ
これらのメッセージは私たちに壊滅的な影響を与えます。
私たちは自分自身を全面に押し出し、素晴らしい能力を活用することができず、足を引っ張られています。
私たちは「あなたは十分ではない」と伝えるメッセージを信じ込んでしまいます。
理想的な体型やメディアが美しいと決めた基準に合っていないとき、唯一の選択肢は自分の体と戦い続けることです。
「老化のしるしと戦え」「シワに逆らえ」「問題のある部分を隠せ」と。
赤ちゃんを思い浮かべてみてください。ぷくぷくした、太ももにえくぼがあるかわいい赤ちゃんです。
とても愛らしいですよね?
でも、もしあなたが25歳で、ぷくぷくした太ももにえくぼがあったら、それは大きな問題です。
このとき、選択肢は2つしかありません。外科医のもとへ行き、脂肪吸引を受けるか、少なくともジムの会員になることです。
または、多くの人々がそうしているように、人生から距離を置き、小さくなって隠れることもできます。
太ももを隠し、ショートパンツを決して履かない。
私のように、手を振った後も揺れる腕を持っているなら、タンクトップやノースリーブのドレスを決して着ない。
ビキニ姿の自分の体が嫌いなら、ビーチに行ったり、子供たちとプールで楽しむことを避けてしまう。
本当に自分の体が嫌いなら、愛する人との親密な関係を断つこともできます。
これが、毎日多くの人々が選んでいることです。
世界にはびこるボディ・シェイミング
ボディ・シェイミング(体型を批判すること)や自己嫌悪、否定的な感情は誰にでもある普遍的な問題です。
私たちはまともな考え方を見失ってしまったのだと思います。
「ここ」が問題なのだと、周囲から押し付けられ、恥をかかされてきました。
今から、私が制作したドキュメンタリー『Embrace(抱擁)』の短い映像をお見せします。
[ビデオ:街やメディアにあふれる魅力的な体つきの女性たちと整形手術の様子など]。
もう私たちは十分に耐えてきました。
メディアは私たちを思いどおりの状態にしてしまいました。
飢えと欲望をかき立てられ、「買って!」と言われるたびに、その商品を欲しくなるように。
実際に私たちは買ってしまいます。
でも、はっきり言います。 これは悲劇ではありません。
私が本当の悲劇だと思うものを、これからお話しします。
本当の悲劇とは?
教育を受けるために学校へ行った少女たちが、拉致され、誘拐されました。
多くは暴行され、多くは殺され、一部の子は帰ってきましたが、全員が戻れたわけではありません。
私は3人の子どもの母親として、朝、子どもを学校に送り出し、夕方迎えに行ったとき、そこに子どもがいない状況を想像することすらできません。
子どもたちは、自分の意志に反して連れ去られました。
もっと恐ろしいのは、彼女たちがすぐ近くにいるかもしれないのに、家に連れて帰ることができないという現実です。
これこそが悲劇です。大きすぎるお尻は悲劇ではありません。
行くあてのない人々、帰る家もなく、世界から見捨てられたと感じている人々。
これは胸が張り裂けるような現実であり、悲劇です。ひたいのしわは悲劇ではありません。
世界では、3秒に1人の子どもが、食べ物を得られずに命を落としています。
息子が学校から帰宅し、「ママ、今日のお弁当、足りなかった」と言ったとき、私は息子を座らせて、おなかいっぱい食べさせようとします。
食べものを与えることができないために死んでいく我が子を抱く痛みなんて、想像することさえできません。これが悲劇です。
でも体重は違います。
人々が自分の価値や健康を判断するために立つこの小さな箱(体重計)はものすごくパワーがあります。
一方で、若い少女や女性が毎日売春を強いられています。それなのに、多くの人々は、体の脇にある数本の線のように重要でないことに夢中になっています。
家がない、希望がない、食べ物がない、選択肢がない。これが悲劇です。
その悩みは重要ではない
体型への不満のすべてが悲劇ではない言っているわけではありません。
私はこの目で、体型に対する不満のせいで、自殺し、うつ病や不安に苦しむ人々の胸が張り裂けるような話を見たり読んだりしてきました。
これが悲劇ではないとは言っていません。悲劇です。
でも、歩くときにすれる太ももや、下着の上に垂れ下がるお腹、4,000回の食事を与えたためにしぼんだ胸は悲劇ではありません。
背中の脂肪も、試着したジーンズに大きなお尻が入らないことも悲劇ではありません。
世界中の何千人もの人々に、こう質問をしました。「死ぬ前に、何を考えていますか?何を思っていますか?」
誰一人として、「自分のお尻が大きいこと」「セルライトのこと」「ストレッチマークのこと」と答えた人はいません。
なぜなら、そういったことは重要ではないからです。
見方を変えて感謝する
私たちが、生きていて、呼吸をしていて、動けて、できることがある今、この瞬間に立ち返ることができれば。
正しい視点と感謝の気持ちを持つことができれば、誰もが、喜びに満ちた豊かで充実した人生を手にすることができます。
今日、私は視野を広げ、これまでとは違う視点で自分の体を見つめ直しました。
そして、それが素晴らしいものだと気づきました。
その瞬間、私は人生をまったく違うものとして捉えられるようになり、これまでの考えがすべて間違いだったと悟ったのです。
私はずっと、感謝が足りないまま生きてきたのだと。
会場にいる皆さんの中にも、自分の体を否定し、感謝を忘れてしまっている人がいるかもしれません。でも、それも仕方のないことです。私たちは周囲の影響を受けながら生きているのですから。
私たちは社会の価値観に振り回され、自分自身を否定する方向へと導かれてしまっただけなのです。
本来、人生はもっと楽しく、豊かであるべきなのに。だからこそ、私たちに必要なのは、視点を変え、正しい方向に戻ることです。
今日ここにいる皆さんにひとつチャレンジを提案したいと思います。
それは、自分の本当の強さを考えてみることです。
完璧な体を持つことが大切なのではありません。大切なのは、優しさと思いやり、そして困難を乗り越える心の強さです。
見方を変え、自分の体が持つ本当の価値に気づくことができれば、あなたの中に感謝の気持ちがうまれるでしょう。
皆さんの体は飾りではなく、夢を叶えるための大切な乗り物(vehicle)なのです。
//// 抄訳ここまで ////
自分の外見を受け入れることに関するほかのプレゼン
キャメロン・ラッセルの「ルックスはすべてじゃない」に学ぶ本当の幸せ(TED)
自分をブスだと思うことがなぜ悪いのか? ありのままの自分を認めるために(TED)
もっと自分を好きになろう。ラディカル・セルフ・ラブのすすめ(TED)。
もう完璧を追い求めるのはやめよう:イスクラ・ローレンス(TED)
自己否定の思考を手放す
「もっと痩せなきゃ」「もっと若々しくしなきゃ」
女性はよくこう考えると思います。私も、ずっと痩せたいと思いながら、55年ぐらい生きてきました(痩せていたのは幼稚園のときだけ)。
「体重が増えた」「減った」と報告してくれる読者の方も多いです。
よりよい自分になろうとするのは悪くありません。
ただ、メディアで提示される「理想の体型」を追い求めるあまり、自分を否定するクセがついていたら問題です。
タリンさんは、「壊れていたのは体ではなく考え方だった」と言っていましたが、とても共感しました。
・「こうあるべき」という社会の理想に振り回される思考
・「もっと◯◯だったら…」と今の自分のよさを見ないクセ
・「外見や能力が理想と違うから、これをやる資格がない」と決めつける心
私たちが思い切り行動することを邪魔する思考はたくさんあります。
シンプルに暮らすためにものを捨てるだけでなく、こうした思考もぜひ見直してほしいと思います。
体は夢を叶えるための手段
「体は飾りではなく、夢を叶えるための乗り物(vehicle)」というフレーズも説得力があります。
シンプルライフを実践するとき、本来のものの役割を考えます。
自分の体に対しても、同じように考えてみてください。
体は、自分自身を評価されるために存在しているのではなく、
・人生を楽しむため
・大切な人と時間を過ごすため
・自分のやりたいことを叶えるため
こんなことをするためにあります。そう考えると、「あと○kg痩せたら…」と考えて、必死になる時間がもったいないですよね。
完璧な体型を目指すより、心地よく動ける体を大切にする。若さに執着するより、今の自分の経験や知識を活かして生きる。
こう考えると、人生はずっと楽になるし、充実します。
体重やシワを気にするより、今日も元気に動けることに感謝したいですね。