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今週のTEDのトピックは「砂糖」です。
ふだん私たちがいかにたくさん砂糖を食べているか、砂糖をあまり食べないライフスタイルに変えるにはどうしたらいいのか教えてくれる動画です。
甘い物が大好きで、コンビニのお菓子の食べ比べが趣味だから、砂糖に関する記事は全部スルーしている。
そんな方も、自分はともかく、子どもたちの未来のために読んでほしいと思います。
タイトルは Sugar…it’s not so sweet (砂糖…実はそんなに甘くない)邦題は、『なかなか甘くない「砂糖」の話』。プレゼンターはカルガリー・アヴァンシーノ(Calgary Avansino)さん。
カルガリーさんは、元ファッション雑誌ヴォーグの編集者で、現在はウエルネスに関する仕事をし、ヘルシーなライフスタイルを提唱しています。
なかなか甘くない「砂糖」の話・TEDの説明
20% of all 10 year olds in the UK are obese, and another 15% are classed as overweight.
Scientists believe that ten years from now, between 20% to 50% of the entire world’s population will be classified as obese.
In this passionate talk, Calgary informs and inspires us to make better choices, in a way that will resonate with you for a long time to come.
This talk will resonate with you for long after you watch it as Calgary inspires you to make better choices.
英国の10歳児の20%が肥満で、15%は太り過ぎです。
10年後には、世界中の人の20~50%は肥満になると科学者はみています。
カルガリーは、来るべき未来のために、よりよい選択をすべきだと、情報を提示し、情熱的に語っています。このプレゼンを見れば、長期に渡って、よりよい選択をするモチベーションが得られるでしょう。
動画は16分です。収録は2016年4月、場所はイギリスのロンドン。日本語字幕があります。英語や字幕なしがよい方はプレイヤーで調節してください。
動画のあとに抄訳を書きます。
自分は砂糖を食べていないと思っている男の子
2週間ほど前、カリフォルニアの学校で砂糖に関する話をしました。その後、6歳のかわいい男の子が来て、こんなふうに言ったのです。
「でも、ぼくは心配ないよ。だって砂糖食べないもん」。
そこで彼にいつも何を食べているのか聞いていました。
朝ごはんは白いパンにジャム。おやつはポテトチップス、ランチはランチャブルパック(ランチセット)、夕食は白いパスタにクッキー。
「僕は、クラスで一番健康だよ」。
彼はこう言いました。この男の子の話は、またあとでします。
10年後は世界の20~50%の人が肥満に
2016年の4月現在、世界で19億人が、太り過ぎとみなされています。BMI値が25以上の人です。
6億5千万人が肥満です。BMI値が30以上の人です。
英国の10歳児の20%が肥満で、15%は太り過ぎ。世界で4億人が2型糖尿病を患っています。
すでにとても悲しい状況ですね。
ですが10年後はどうでしょうか?
少なく見積もっても、世界人口の20%が肥満になる、と考えられています。多くの専門家の数字は50%です。
2025年までには、10人のうち1人が2型糖尿病になります。肥満とは無縁と思われている国、中南米や中国、中東でも肥満や生活習慣病が増えています。
ということは、20~50%の人は、しっかり働いたり、動いたりできず、幸せや満足も得られないのです。
この会場には100人います。1列は10人。10人のうち半分は肥満で2型糖尿病や心臓病、その他の生活習慣病になる、というわけです。
これは、公衆衛生上大問題です。けれども、防ぐことができるのです。
100年前の食事はこんなふうだった
100年前は肥満問題はなかったのに、どうしてこうなってしまったのでしょう?
ライフスタイルがずいぶん変わったせいです。ですが、きょうは、食べ物や食べ方についてお話します。
もちろん、もっと運動したほうがいいです。子どもたちも、ゲームばかりせず、屋外で遊ぶべきです。
ですが、私がお話したいのは、いま、私たちが食べている物のことです。
100年前の人の食卓に何が並んでいたか?
地元産の肉や、地元産かつ旬の果物や野菜、たいてい自分が知っている人から買ったものがのっていたでしょう。
加工食品のおやつはなし。いえ、おやつそのものがありませんでした。
自宅で食事を作り、家族で食べていました。すべてリアルフード、大地で太陽の光をあびながらできた食品です。
現代人の食事は加工食品が多い
いまの食事はどうでしょうか?
最初に話した男の子の食事と似ています。
朝食は箱に入っているシリアル。高フルクトース・コーンシロップがたっぷり入っています。
おやつは小袋に入っているもの。ランチは、ファーストフードのドライブスルー。
午後のおやつはチョコレートバーにコーラ。夕食は、電子レンジで5分で調理できるもの。それにデザートがつきます。
ポイントは加工食品ばかりでリアルフードがないということ。
リアルじゃないフード(unreal food)の中で、もっとも問題なのが砂糖です。この砂糖についてきょう、お話したいと思います。
砂糖、砂糖、砂糖。そこら中にあります。
スーパーで、生鮮食料品のエリアから一步でれば、あとは、砂糖がいっぱい入った食品が並んでいます。
加工食品と砂糖は、仲のよい夫婦のようなもの。この2人は切っても切れない間柄。熱烈に愛し合っています。
この夫婦が、病気や肥満問題を引き起こしているのです。
それも、人が思う「甘い物」のせいだけではありません。砂糖は、お菓子やスイーツ、清涼飲料水だけに入っているわけではないのです。
平均的イギリス人は1日小さじ20杯の砂糖を食べている
砂糖は、入ってないように思えるものにも入っています。
ドレッシング、パン、乳製品。すべてです。
イギリスのごく平均的な人は1日小さじ20杯、砂糖を食べています。
WHOや医者、科学者によれば、人間の身体は、1日小さじ7杯、つまり30グラム以上の砂糖は、うまく代謝できません。
小さじ6杯という人もいます。子どもは小さじ5杯です。
平均的なイギリス人は1日小さじ20杯も砂糖を食べています。1日です。小さじ7杯以上摂るべきではないのに。
グラム数ではなく小さじで何杯か話しますね。グラムで言うとわかりにくいですから。
食品表示もレストランのメニューもグラムで書いてありますが、イメージしにくいです。
小さじならイメージしやすいですね。
小さじ1杯、4グラムと覚えておいてください。
イメージできれば、子どもに食べさせているシリアル1杯にどれぐらい砂糖が入っているかピンと来ます。
ふだんの食事でどれほど砂糖を摂っているか
ちょっと実験してみましょう。
ここに砂糖が小さじ20杯分あります。みんなが1日に食べている量です。実際は、7杯にしたいわけです。
まず、まったく健康的でない食事にどのぐらい砂糖が含まれているか見てみましょう。
とは言え、世界中のたくさんの人が、これが不健康な食事だとは思っていません。
砂糖の量をチェックすると、
甘いシリアルをお椀に1杯:砂糖小さじ3
デーニッシュパン:小さじ5
午前11時に飲むコカ・コーラ:小さじ10
フライドチキンサンドイッチ、ハニーバーベキューディップ、チップス:小さじ6
3時のキットカット:小さじ2.5
ダブルチーズバーガー、フレンチフライ(ケチャップを添えて):小さじ3
ジントニック:小さじ3.5
アイスクリームをお椀に1杯とクッキー数枚:小さじ9
皆さん、笑ってますけど、これは多くの人の現実ですよ。合計、小さじ42杯分の砂糖です。
1日の限度はどれだけでしたっけ?
7杯ですね。
ヘルシーだと思われている食事の砂糖の量
今度は、多くの人がヘルシーだと考えている食事です。
グラノーラをお椀1杯:砂糖小さじ3
オレンジジュース、コップに1杯:小さじ4
ヘルシーなおやつバーとスムージー:小さじ9
サラダ+フレンチドレッシング:小さじ2
ローファットバニラヨーグルト+生のマンゴのスライス:小さじ14
照り焼きチキン+チャーハン、デザートなし:小さじ3
合わせて小さじ32杯の砂糖です。
びっくりした方もいらっしゃるでしょうね。
たとえ、「この人、私には関係ない話してる。私、コカコーラ飲まないし、お菓子もあんまり食べないし」と思っても、自分で思う以上にたくさんの砂糖を摂取しているのです。
典型的なおやつに入っている砂糖の量
何にどのぐらい砂糖が入っているのか、ほかの例もお見せしますね。
いくつかは楽しみのために食べるスイーツ(treats)です。
「お菓子だから砂糖が入っているに決まってる」と思わないでください。どのぐらいたくさんの砂糖が入っているのか注目してほしいのです。
それはもうたくさん入っていますよ。
週に2、3度、楽しみとして食べる甘い物には、それ1つだけで1日に摂るべき量を超えているものがあります。
グラノーラ、お椀1杯:小さじ4
フルーツ・ナッツバー:小さじ4.5
1日の限度は小さじ7ということを考えながら見てくださいね。
プティフルー(小さいフルーツヨーグルト)。一口サイズなので、1度に1つだけという人はいないでしょう。2つで小さじ2.9杯の砂糖です。
トマトスープ:小さじ4.85
ベイクドビーンズ:小さじ4.9
ツイックスバー(小さいチョコレートクッキーバー)。これも1つで終わる人はいないでしょう。2つで小さじ6。
マーズバー(チョコレートバー):小さじ7.6
午後のおやつだけで、1日のリミットを超えてしまいます。
「ヘルシーな」フレイバードフルーツウォーター:小さじ8.5
ジェリーベイビー(ぐみみたいなお菓子):8個で小さじ10
ラズベリージャム:100グラムで小さじ12
コカ・コーラ:小さじ13.5
レッド・ブル(エナジードリンク):小さじ7
ルコゼード(スポーツドリンク・清涼飲料水):小さじ15.5
私たちは変わらなければなりません。食べ方、食品の買い方を変えなければ。自分たちのためだけでなく家族のために。とくに、子どもたちのために。
砂糖を控えるためにできる5つのこと
食生活を変えるために5つ方法をお伝えします。
1.食品に対する思い込みを捨てる
パッケージに「ナチュラル」とか「ライト(低~)」と書いてあるからといって、身体にいい、と思わない。
いつも食べているから、いつもキッチンにあるから、という理由で、身体にいいものだと思わない。
買い物するときは、必ず原料表示のラベルを見て、原材料を調べてください。
もし、自分には理解できないたくさんのものが書いてあったら、それは棚に戻します。
砂糖がたくさん入っています。戻してください。
2.メーカーがこっそり砂糖を食品に入れている方法を学ぶ
砂糖の名称はたくさんあります。「砂糖(シュガー sugar)」と書いてないからといって、砂糖入りではない、と思ってはいけません。
3.数字を覚える
小さじ1杯は4グラムというのをしっかり覚え、自分や子どものために買い物するときや、子どもに食事を与えるとき、砂糖の量をイメージしてください。
皆さんのゴールは1日小さじ7の砂糖に抑えることです。
それより少ない数字を目指してもいいです。1日の目標は小さじ7杯です。
4.加工食品と砂糖のカップルを忘れない
これがもっとも重要です。
加工食品と砂糖を食べる量を減らさなければなりません。私は自分の本に、’Keep it Real’ (リアルにとどめろ)という題名をつけました。
もっとも大事なことは、皆さんが、リアルフードを食べ始めることだからです。
土壌で育った食べ物です。
人間はリアルフードを食べるようにできています。
できるだけ自炊をすることから始めてください。週末はお子さんと料理をしましょう。余った食べ物をお弁当にしてください。
リアルフードを食べることから始めれば、変わることができます。
5.自分の買うものは自分で決められることを忘れない
もし家族に食べてほしくない物があったら、買わないでください。家の中に持ち込まないこと。
家になければ食べません。
私たち全員が変われば、もっと健康で幸福な未来になります。
あの6歳の男の子も、肥満や太り過ぎにならずにすむでしょう。
単語の説明など
lunchables pack ランチャブルパック
クラッカーやハム、デザートなどランチ一食分がパックになった食品。加工食品の権化と言えましょう。
1990年代に子ども時代を過ごし、いまは大人になった人がランチャブルを食べてみた動画をどうぞ。英語字幕もあります。2分24秒。
昔はこういう食品、なかったようですね。
ランチャブルとその類似品は、けっこう高いので、私は買いませんでした。
娘は小学生のとき、家にお昼を食べに帰ってきていたので、長い間、ランチャブルの存在も目の当たりにしていなかったようです。
そのうちその存在に気づき、これを食べている子どもをうらやましがっていました。
ですが、身体に悪いものだらけです。
billion 10億
body mass index BMI値
詳しくはこちらで説明しています⇒ダイエットで100%を目指すと失敗する~ノーエスダイエットをアレンジしてます
high fructose corn syrup 異性化糖(HFSC)
HFSCの説明はこちらです⇒健康とダイエットの敵~加工食品の3つの害を知っていますか?
動画に出てきた甘いおやつで、日本人になじみがなさそうなものの画像をとってみました。
上から
プティフルー、ジェリーベイビーズ
レッド・ブル、ツイックス
マーズバー、ルコゼード
ツイックスやマーズバーはキャンディバーと呼ばれるものです。
チョコレートとねっとりしたもの(カラメル)とクッキー記事が合体したもので、子どものみならず、大人も好きです。
しかしとてつもなく甘く、食べるとすぐに歯が溶けそうな思いにとらわれます。
私はもともと苦手なお菓子です。
健康になりたいならリアルフードを食べる
「砂糖は身体に悪いから食べないほうがいいんじゃないの?」とおせっかいながら何度もこのブログで記事にしました。
砂糖の記事⇒砂糖の害について書いた記事のまとめ
前回の記事で紹介している映画もおすすめです⇒砂糖をやめるのに1年かかった:読者の砂糖断ち体験談。
しかし、大部分の人がスルーしていると思います。
コンビニやスーパーにはいつもおいしそうなスイーツの新商品が並びメディアも喜んで話題にしている。実際食べてみるとおいしいし、ふだんは和食を食べているから私には関係ない。
あれは、アメリカの話よ。
みんな大げさに言いすぎじゃないの?
ほかの人も甘い物、食べてるし。
と思っている人も多いのではないでしょうか?
ですが、よくよく調べてみると、思いのほか加工食品を食べていると思います。
「ダイエット用のおやつ」とか。
一度、自分が1日小さじ何杯砂糖を食べているか、調べてみるといいかもしれません。
いまは元気かもしれませんが、中高年になったとき、早くガタが来ると思います。
いま年配の人が子どものときは、加工食品や砂糖まみれのお菓子はありませんでした。
私が子どものときも、かろうじてセーフでしょうか。
あまりに昔すぎて忘れましたが、小学校高学年になってから、友達の家でマルシンハンバーグやインスタントラーメンを見てびっくりしました。
それ以降に生まれた人が、老人になったとき、いったいどんなふうになっているだろう、と思います。
私は見ることはできませんが。
カルガリーさんも言っていましたが、人が食べているからといって、コンビニにおいしそうに並んでいるからといって、自分も食べなければならないわけではありません。
これまでずっと食べてきたからといって、今後も食べなければならないわけでもないのです。
やたらとネガティブな人(砂糖とうつは関係あり)、本当に健康になりたい人、老後の医療費を抑えたい人は、1日小さじ7杯という数字について真剣に考えたほうがいいでしょう。
カルガリーさんの言うように、リアルフードの割合を増やすといいかもしれませんね。
カルガリーさんの本は、日本のアマゾンでも扱っています。
kindle版あり。
筆子の最近の砂糖抜き事情
この記事を書いたときから、まじめに砂糖抜きをしています⇒砂糖断ちをするとどんな効果があるのか? 筆子の場合。
きょうで38日目です。
もともとそんなに砂糖を摂っていなかったので、あまり大きな変化はありません。
38日の間に、2回、夫が調理に使った砂糖入り食品を食べました。
白いパスタと市販のパスタソース、それにガーリックトースト(白いパン)です。とはいえ量は少なかったので、1日小さじ7は超えていないと思います。
あと、1回、エド(Edo、日本食のファストフード店)で、テリヤキチキンというのを食べ(ご飯は玄米にしてもらった)、それに甘いテリヤキソースがかかっていました。
カルガリーさんは、照り焼きチキンとチャハーンは小さじ3と言っていたので、小さじ4あたりでしょうか。
かなり激甘に感じました。
体重も変わらない感じです(つまりやせていません)。
ですが、砂糖をやめると、買い物がラクになります。加工食品や箱入りのよけいなおやつは全部NGなので、そういう物が並んでいる棚に行って迷う必要なし。
野菜、魚、肉、豆腐、豆などタンパク源、それに玄米を買えば終わりですから。
買い物は格段にラクになるので、その意味でも砂糖断ち、おすすめです。
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TEDの記事は長いので読むのがしんどい、というご意見をいただきました。
もっと簡単な要約を書くのにとどめたほうがいいでしょうか。
ご意見ありましたら、またメールください。