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「誕生日に、一生もののプレゼントを贈りたいから、ほしいものを考えておいて」と言われたけど、どんなものがいいでしょうか、という質問をいただきました。
この記事で回答します。
まずメールをシェアします。こうさんからです。
一生もののプレゼント
件名: 一生モノのプレゼントとは
いつも楽しく拝見しています。
御意見をお聞きしたく、初めてメッセージをお送りします。
90代の祖父母から、私の30歳の誕生日に一生モノの何かをプレゼントしたいからほしいものを考えておいてと言われました。
はっきりした価格帯はわかりませんが、ある程度高価なものを想定していると思います。
贈る側にも喜んでもらいたいのですが、どんなものがあるでしょうか?
私は実家住みの独身OLなので、貯金はそこそこ貯まります。欲しいものは自分で買える環境です。
ただ、もともとあまり物欲が無く、性格上実用的なものや安いものが好きです。
自分のお金の使い道としては、旅行、習い事(語学)、好きなアーティストのライブ等であり、一生モノのプレゼントをもらうようなものにつながりません。
今あるものを上質なものに変えて使い続けるのが良いかと思うのですが、結婚しても歳をとっても使えるものとなると、やはり腕時計が無難でしょうか。
もちろんそれも良いものの、欲しいブランドがあるわけでもなく今の腕時計にも満足してます。
他に着物、何らかの革製品、専門書、楽器等も考えていますが、手入れできるかや飽きないか自信がありません。
自分のお金なら失敗してもいいと思って好きに買えそうですが、プレゼントとなると悩んでしまいます。
ただでさえ人からの貰い物は苦手で、彼氏へのリクエストもいつも温泉旅行やテーマパーク、食べ物です。
自分がモノを貰うことに重さを感じるため、誰かにプレゼントを選ぶのも渡すのも大変苦手です。
話がずれてしまいましたが、私がプレゼントを貰うことで祖父母に喜んでもらうのが1番なのはわかっています。
でも後悔はしたくない自分のわがままな気持ちもあります。
どのように捉えたら良いかアドバイス頂けたら幸いです。
こうさん、お便りありがとうございます。いつもブログを読んでいただき、うれしく思います。
こうさんには4つの選択があります。
1.物はいらない。その気持ちだけで充分だよ、と贈り物を辞退する。
2.おじいさん、おばあさんと一緒に誕生日を祝う⇒一生ものの思い出になる。
3.高い物ではなく、気に入って使える物をもらう
4.毒にも薬にもならない「一生もの」をもらっておく
順番に説明しますね。
1.贈り物を辞退する
メールを拝見する限り、それが一生ものであろうと、1年しか持たないものであろうと、いまのこうさんは、特に欲しい物がないようです。
それに、もともと物をもらうのは苦手みたいです。
それならば、プレゼントを辞退するのが一番簡単です。
「私がプレゼントを貰うことで祖父母に喜んでもらうのが1番なのはわかっています」と書かれていますが、そうとは限りません。
べつにもらわなくてもいいのです。
こんなふうに言ってみてはどうでしょうか?
「私ももう30歳で、しっかり大人だよ。いつまでも、おじいちゃん、おばあちゃんに誕生日プレゼントをもらい続けるのも変じゃない?
仕事をしてるから(してますよね?)、欲しい物は自分で買えるしね。それに自分が欲しい物はもうみんな揃っているの。
これからは、誕生日プレゼントのことなんて心配しないで。そんなことより、ふたりともいつまでも元気で長生きしてね。それがわたしの一番ほしいものだよ」。
2.一緒にお祝いをする(体験を共有する)
場所はどこでもいいですが、おじいさん、おばあさんを交えて、誕生日のお祝いをしてください。
ケーキぐらいは買ってもらってもいいかもしれません。
おじいさんとおばあさんに誕生日をお祝いしてもらった記憶が、一生残ります。
私の経験では、一生変わらず使い続けられる物はなかなかありません。私は、まだ59年しか生きていませんが。自分が持っているもので一番古いもの、ずっと前からあるものは、自分の身体以外は、さまざまな記憶だけです。
物理的な物は劣化するし、流行が変わるし、持ち主の生活環境も変わるし、好みも変わります。
持ち主は、どんどん年をとっていくので、時計、バッグ、衣類など身につけるものを使い続けることはなかなかありません。30歳のころ身につけたものを、90歳になっても身につけられるか、という話です。
人の生活は変わる話⇒人は変わり続ける。未来の自分に対する心理:ダン・ギルバート(TED)
もちろん、先祖伝来の物や、代々伝わっている家や物、古い文化財はあります。
こうした物が、時を越えて受け継がれているのは、持ち主が、「これは受け継いでいこう」と決め、ある程度、時間やエネルギーを注いでいるからです。
まめに洗浄したり、修理したり、古くなったら、リフォームするなどして、メンテナンスにお金をかけなければなりません。
本当はいらないけど、捨てられなくて、ずるずるとリソースを消費し続けて持っている場合もあります。
たまに、土蔵のすみで何百年も忘れられている物もありますが、こうさんのおじいさん、おばあさんは、「打ち捨てられてしまう物」を贈りたいとは思っていないでしょう。
一方、人の記憶は特にお金をかけてメンテナンスをしなくても、残ります。
もちろん、人は、すべてを覚えてはいません。ですが、「このときは、とてもうれしかった」と、1年に1回、誕生日のときに、30歳の誕生日に体験したことを思い出していると、忘れません。
何かを忘れてしまうのは、思い出さないからです。まめに思い出していると、脳はその記憶を「重要なことだ」と認識するので、なかなか忘れません。
誕生日のときに、全員で記念写真をとって、スケジュール帳や財布にはさんで、まめに見ているとまず忘れないでしょう。
本当に一生残るものを、贈ったりもらったりしたいなら、体験を共有するのが一番です。
関連記事⇒買わない人の贈り物。ミニマリストのクリスマスプレゼント選び
3.気に入って使えそうな物をもらう
プレゼントを辞退するなんて、私にはできない、だって、おじいさんやおばあさんの機嫌を損ねてしまいそうだから、と思ったり(これは本人の思い込みにすぎませんが)、
誕生日に、おじいさんやおばあさんと時間を過ごすことなんてできない、だって彼氏とお祝いすることになっているのだから、といった事情があったりするなら、自分が好きな物、気に入って使えそうな物をもらいます。
おじいさんとおばあさんにしても、何も、こうさんに、一生使い続けてもらえるものを贈りたいとは思っていないでしょう。
すぐにこわれたりせず、孫に長く使ってもらえそうな物、できるだけ孫が気に入って、毎日身に着けてくれそうな物、孫がそれを見るたびに笑顔になってくれそうな物、いつまでもジジババのことを思い出してくれそうな物、
そんな物を贈りたいのではないでしょうか?
「贈る側にも喜んでもらいたい」とありますが、もらう側が喜ぶ物をあげることが、贈る側の喜びですよね。
それは高いものである必要はありません。「高価な物」とか、「一生もちそうな物」という条件をはずすと、こうさんでも欲しいものが出てくるんじゃないでしょうか?
物はあまり買わないそうですが、それでもたまには買いますよね?
私もあまり物を買わないほうですが、5本指ソックス、スポンジワイプ、ディッシュタオル、精油は、使い続けているので、なくなったら買っています。
嗜好品なら、ミックスナッツとハーブティもよく買います。
こうした、ご自身の定番の物をリクエストしてはどうでしょうか?
または、読みたかった本、とか。本は愛読書になれば、かなり長く親しむことができます。手帳や日記帳、ボールペンなどの文具も毎日使うから、いいかもしれません。
ボールペンだって、中身を入れ替えて使えば、長く持ちます。私は7年ペンを一生使うつもりでいます⇒7年持つはずのセブンイヤーボールペン・2017年に買った物
4.毒にも薬にもならない「一生もの」をもらう
1から3番の方法は、おじいさん、おばあさんに自分の気持ちを正直に話し、場合によっては交渉する必要があります。
そうしたくないなら、無難な線の「一生もの」をもらう、という方法もあります。
おすすめはしませんが、もらうのはこうさんですから、こうさんが決めることです。
おじいさんとおばあさんの気持ちを尊重するためにもらうのだから、「自分が好きで使えるものを」と思うとなかなか決まりません。
もらってもあまり気持ちの負担にならないもの、メンテナンスに手間がかからないもの、場所をとらないもの、手放したくなったらさっと手放せるもの(手放しやすいもの、捨てやすいもの)。
こんな条件で考えてみては?
そうすると、革の財布・ポシェット・ペンケース、カシミアのマフラー、万年筆、時計、ネックレス・ブレスレット・指輪・ピアス(貴金属)あたりでしょうか?
趣味の物でもいいかもしれません。アーミーナイフみたいなツール系も、旅行のとき便利だと思います。
一生ものをあげたい祖父母(A)と、そういう物はいらない孫(B)がいて、AもBも満足できる結果にするにはどうしたらいいのか、というのが今回の質問だと思います。
意見が対立するAもBも同じように満足させようとすると、どちらも満足できない結果になりがちです。
話し合って妥協点を見つけるか、それができないなら、どちらかを優先する道をとるしかないないでしょう。
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今回は一生もののプレゼントに関する質問に回答しました。
入れ墨も、一生ものですね。だんだん色があせていきますが。
☆2018/12/26 追記
読者の方から、「入れ墨を一生もののプレゼントとして推奨していらっしゃるのでしょうか?」という質問をいただいたので、追記します。
一生もののプレゼントの例は本文の2番~4番に書いています。
一生持つものとしては入れ墨もある、と書いただけです。
しかし、一生持つであろう入れ墨すら色あせます。本文の2番にも書きましたが、「一生もつものは、記憶ぐらいしかない」というのが私の考えです。