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充実した人生を送るインスピレーションを与えてくれるTEDの動画を紹介しています。
今週は、ジョナサン・フィールズ(Jonathan Fields)さんの、Turning fear into fuel (直訳:恐怖を燃料にすること)です。
彼は、起業家、ブロガー、マーケッター、パブリックスピーカーです。
恐怖を克服する方法とは?
何かをやろうとしても、うまく行かなかったらどうしよう、と恐怖が先にたって、進めないことはよくあります。けれども、この恐怖を、自分を奮い立たせるものとして使うことができる、というのが彼の主張です。
恐怖を感じてフリーズしている時、3つの質問を問いかけることで、うまい具合に恐怖が燃料になります。
収録は2010年、動画は18分。独立イベントのせいか、日本語の字幕がありません。動画のあとに抄訳を書きます。
※TEDの説明はこちら⇒TEDの記事のまとめ(1)ミニマリスト的生き方の参考に
イントロダクション:この世で一番恐ろしいことは?
さまざまな調査によると、人が4番目に恐怖を感じることは「死」、1番怖いことは「人前で話すこと」、1.1番目に怖いことは、「日曜の朝、コーヒーを飲む前に講堂で隣り合わせた人に、ハローと言うことです。
ナイン‐イレブンの年に人生観が変わった
2010年は、私にとってきわめて重要な年でした。
こんなことがありました。
●娘が生まれて初めて父親になった。
●ヨガセンターを開くために、ニューヨークのとあるビルのフロアのリース契約をした(自分は投資会社の弁護士だったので、この業界での経験、評判、投資してくれる人、顧客、何もかもゼロの状態だった)。
●ナイン‐イレブンが起こった。(リース契約をした翌日に、アメリカ同時多発テロが発生)。
2010年の9月11日、私の頭の中は2つの考えで占められていました。
◯知り合いの中で、ワールドトレードセンタービルで働いている人は誰だったっけ?
◯こんな時期に、ヨガセンターを始めるのか、俺は?
数時間後、2人の子供(2歳半と9ヶ月の男の子)を持つ友人が、WTCで亡くなったことがわかりました。彼は家を買ったばかりでした。
妻と、その人の家に向かいました。たくさんの人がいましたが、夜になり、ほかの人たちは、皆帰り、亡くなった友人の奥さんと自分と妻、そして子供たちが残りました。
妻と友人の奥さんは、私に、友人の長男(2歳半)の部屋に行って、本を読んでくれ、と頼み、自分たちは9ヶ月の男の子を寝かしつけに別の部屋に行きました。
私は階段を静かにのぼりました。いったいこれから何が起きるのかさっぱり想像できずに。ドアを開けたら、ネルのパジャマを着た男の子がひざに本をのせてぽつんと待っていました。
男の子は、「おじさん、誰?ここで何しているの?」という表情でした。私は、彼を安心させなければならないと思いました。本を読み始めたら、子供は少しずつリラックスして、そのうち眠りにつきました。
この時、私の何かが変わりました。
「これで終わりなんだ。友達は、朝、出勤するとき、自分が家に戻ってこないなんて夢にも思っていなかったはずだ。でも、もう返ってこない。これが人生なんだ」。
そう思ったのです。
いつかは死ぬのだから、やりたいことをやるしかない
あとになって考えてみると、このとき私が感じたことは、2005年にスティーブ・ジョブズがスタンフォード大学のコメンスメントのスピーチで語っていたことです。
Remembering that you are going to die is the best way I know to avoid the trap of thinking you have something to lose. You are already naked. There is no reason not to follow your heart.
いつか自分を死ぬんだ、ということを思い出すことは、自分が何かを失ってしまうと考えるワナを避ける最善の方法です。
あなたたちは、すでに丸裸なのです。自分の心のままに行動しない理由などどこにもないのです。
その日、家に戻って、「大金を投じて、ヨガビジネスをやるのか、俺は?」と考えましたが、「やるしかない、これが人生だ」という気になりました。
恐怖や不安はなかったかというと、もちろんありました。とてつもなく。
自分にこんな質問を投げかけました。
Do I launch my company or walk away? (ビジネスを始めるのか、それともやめるのか?)Do I rise above fear and anxiety? (俺は、恐怖と不安に打ち勝つのか?)
2歳半の男の子の部屋で過ごしたあとの自分の答えは、「イエス」でした。
結局、ヨガスタジオは大成功。7年の間に、ニューヨークのみならず、国レベルでも、とても繁盛しているスタジオになりました。
ビジネスの成功よりもっと大事なことは、私は、ほんとうにたくさんの人の人生にかかわり、影響を与えることができたことです。すばらしい経験でした。
2009年にこのビジネスは人に売りましたが、この経験を通して、私はこんな疑問を持ちました。
ある人は、恐怖に足がすくんで前に進めないのに、なぜある人は、恐怖に打ち勝ち、前進できるのか?その違いはいったい何なのか?こうして私は恐怖を味方につける方法を考えることになったのです。
自分が恐れているものを明らかにする
恐怖を糧にできる質問の話をするまえに、シンプルな質問をします。これから1枚の写真を見せますが、質問に答えてほしいのです。
靴ひもの色は何色でしょうか?
ほとんどの人は、白と答えますね。ではふたつ目の質問です。女の子のドレスの色は?
実は、白いドレスの女の子の写真をチラリとスライドに写しました。しかし、誰も気づきませんでした。なぜみなさんには女の子が見えなかったのでしょうか?
それは、誰も、「その写真を見なさい」と言わなかったからです。
恐怖に囚われているとき、実は、自分では気づいていないこと、自分に問わないこと、見えていないことがたくさんあるのです。そしてそういうもののほうが大事なのです。
私はこれまで何度も恐怖を感じ、どうやって恐怖に対応したらいいのか本も書きました。
恐怖に打ち勝つためには、いったい何を恐れているのか自分に聞くことから始まります。
人が恐れる3つの大きな恐怖があります。
1.失敗する恐怖
2.人にジャッジされる恐怖
3.成功する恐怖
成功を恐れることって本当にあるんですよ。もしこれがまたたく間にうまく行ったら、自分はついていけるのだろうか、と。
「失敗したらどうしよう?」と思うとき、人は勝手に「最悪のシナリオ(Doomsday scenario)を思い浮かべています。
自分は何もかも失う。家も、家族も、国からも追い出され、靴も取られ、というように。
私たちは、同じことを何度も何度も考えると、それしかないと信じてしまいます。「そういうことしか起きないのだ」と。ほかのオプションがあることに気づかず、身動きがとれなくなります。
しかし、もう2つ別の質問をすれば、恐怖を捉え直し、前に進むことができます。
恐怖に打ち勝つ3つの質問
1.もし失敗したら?
もし失敗したらどうなるのか、具体的にリアルな想像をしてください。その後、「どうやって、そこから立ち直るか?」という質問もしてください。
この質問に対しても、最初の質問と同じように時間をかけて、対応策を練ってほしいのです。
立ち直る方法を考えるだけで、かなり恐怖に打ち勝つことができます。なぜなら、この世で取り戻せないことなどほとんどないからです。
失敗したら、ダメージはあるし、しばらくはつらいでしょう。でも、失敗から回復することは可能なのです。
2.もし何もしなかったら?
チャンスがあるのに、自分が恐怖のために何もしなかったらどんな結末になるのか思い浮かべてください。
5年後、10年後、20年後、30年後に、やはり恐怖のために、それをやらなかったら、人生はどういうふうになるのか?
もし、今、ちょっと不幸せだったとして、そのまま何年もたったら、やはりちょっと不幸せのままでしょうか?
実のところ、今の状態がそのままスライドすることはありません。人生には摩擦がつきものです。
人生は、アップダウンしながら、少しずつ止まろうとします。
止まらないように、私たちは、潤滑油やエネルギーを加えなければなりません。
何もせずに放置したら、時がたつにつれて、どんどん事態は悪くなっていくのです。
「もし何もしなかったら、自分はどこに向かうのか?」という質問をしてください。
3.もし成功したら?
最後の質問は、「もし成功したらどうだろう?」です。
やりたいことがあり、100%成功するとわかっていたら、やってみる、という人は手をあげてください。
半分ぐらいの人がやり、半分はやらないのですね。
目を閉じて、5年後、自分がやってみたいことをすべてやっている状態を思い浮かべてください。
怖くてできない、と思っていたことがすべてできてしまった状態です。それはどんな状態でしょうか?どんな気持ちですか?リアルに思い浮かべてください。
そのイメージにスピンをかけてください。
ヘレン・ケラーはこう言っています。“Life is either a daring adventure or nothing”(人生は、力強く冒険するか、何もしないかのどちらかです)
私もそう思います。
後悔しながら暮らしたくないし、恐怖のために何もせずに時間を過ごすのはいやだし、自分の娘にそんなことを教えたくもないのです。
もし、これまで恐怖のせいで、ずっとやらずに、心の奥のほうに押し込めていることがあったら、引っ張りだして、3つの質問を問いかけてください。
もし、失敗して立ち直ったら?もし何もしなかったら?もし成功したら?
——–抄訳ここまで———–
☆スティーブ・ジョブズのスピーチはこちらで紹介しています⇒スティーブ・ジョブズのスタンフォード大学卒業式のスピーチからミニマリストが学んだこと
恐怖のせいで捨てられなかったらこうする
この動画で紹介されていた3つの質問は、断捨離するときも使えます。物が捨てられないのは、ほぼ恐怖のせいですから。
捨てるときの失敗とは、あとで必要になることだと思います。
しかし、たとえあとで必要になっても、また手に入れればいいだけなので、まったく問題はありません。
それより、捨てずに放置するほうがよっぽど問題です。
「捨てずにこのまま置いておいたらどうなるのだろう?」という質問と、「もし、これを捨てたらどんないいことがあるのだろう?」という質問をしてください。
捨てないままでいると、今感じている「邪魔だ」「不便だ」という気持ちは解消されず、部屋は使いにくいまま。
また、ジョナサンさんが言っていたように、事態は少しずつ悪い方向に向かうと思います。
捨てることに成功したあと、どんな気持ちになるかは、簡単に想像できるでしょう。
さっぱりすっきりして、身軽になるし、捨てることに成功した達成感でうれしいものです。
もし、捨てたあとどうなるのか想像できない人は、以下の記事を参考にしてください。
意外と知られていない、シンプルライフが人を幸せにする3つの理由。
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日本では、きょうは9月12日ですが、北米はまだ9月11日です。2001年9月11日から、ちょうど15周年ですね。
2歳半だった男の子も今は17歳半に成長しているでしょう。
15年前の9月11日は火曜日で、娘のプレイスクールが始まる日でした。プレイスクールは、幼稚園の前に行く、保育園のようなものです。
それまで、娘は家にばかりいたので、プレイスクールでちゃんとやっていけるのだろうか、と思っていたその朝、この事件が起きました。
そのときもうすぐ3歳だった娘は17歳になり、大学に通い始めました。
どんでもない失敗や、すごく壊滅的なことが起きても、命さえあれば、人は生き続けるのだと思います。そして時は確実に刻まれていきます。
何をしてもしなくても、同じように15年たってしまうのです。