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自分らしいミニマリストになればいい、という主旨のTEDトークを紹介します。
タイトルは、You Can Be a Minimalist. Yes, You! (あなたはミニマリストになれる。そう、あなた!)です。
講演者は作家の Christine Platt (クリスティーン・プラット)さんです。
あなたもミニマリストになれる:TEDの説明
Think you can’t be a minimalist? Think again! Author and Afro Minimalist Christine Platt offers guidance on how to focus less on the aesthetics of mainstream minimalism and more on intentional living.
ミニマリストにはなれないと思っていますか? 考え直してください。
作家でアフロ・ミニマリストのクリスティーン・プラットは、よくあるミニマリズムの見た目(外観)に意識を向けるのではなく、意図的な生活にフォーカスするよう伝えます。
動画の長さは13分です。字幕はありません。動画のあとに抄訳を書きます。
☆TEDの説明はこちら⇒TEDの記事のまとめ(1)ミニマリスト的生き方の参考に
この人、作家ですけど、話し方もうまいですね。
私はアフロ・ミニマリスト
『自分のことを自分で定義しないと、他人の描く自分という幻想につぶされて、生きたまま食べられてしまう』。
If you don’t define yourself for yourself, you’ll be crushed into other people’s fantasies of you and eaten alive.
私の好きな作家、オードリー・ロードの言葉です。
2016年、ミニマリズムの旅路を始めたとき、私は、白人ミニマリストの殺風景な見た目にまどわされたりしない、と決めました。
私は作家で、アフリカ文化の美と歴史は、私の人生の核です。
ミニマリズムの主流に合わせるために、自分の文化を捨てることなんて考えられませんでした。
実際、そんなことはしていません。
私の家には、色鮮やかな物や布があります。メイソンジャーには、カラフルな端切れを入れ、毎日、自分の先祖を思い出し、感謝しています。
無彩色の服もいくつか持っていますが、私の服のほとんどは、アフリカのプリントや、カラフルなジャンプスーツです。
だから私は、アフロ・ミニマリストとして知られています。
自分のために、ミニマリズムを実践する黒人女性です。
意味のある物だけを持つ生活
私は630スクエアフィート(およそ59平方メートル)のアパートに16歳の娘と住んでいます。観葉植物をたくさん置いています。
フォークやナイフを1本ずつしか持たないミニマリストではありません。4本ずつ、つまりフルセット持ってます。
自分の持ち物の数を数えたことがないから、何本あるかはわかりません。
ただ、私が持っている物はすべて、理由があってそこにある物で、それぞれが、役割を果たしています。
私にとってミニマリズムは、見た目を整えることではなく、実際に行動することです。
数年前は、物をたくさん持っていた
2016年、私はすごくたくさんの物を持っていました。小物、雑貨、服、靴が家にあふれていました。
つけないアクセサリーがたくさんあったし、小さなバッグをそれより大きなバッグに入れて、それをもっと大きなバッグに入れて隠していました。
とにかく、物がいっぱいでした。
そういう物を買った理由は、いろいろで、「必要だから」という理由以外のすべての理由からです。
人は両親からお金の使い方を学ぶ
子どものとき、どんなふうに育てられたかで、人のお金の使い方が決まります。
買い方を見れば、私たちの親(世話をしてくれた人)が、何を優先しているかわかりますね。
何を犠牲にして、何を買うか。
そうやって、自分にごほうびを与える方法を学びます。
親は、「買うべきだ、自分はこれを買うのに値する」と思って子どもに物を買い与えます。
自分や子どもたちを喜ばせるために。
親の行動を見ているうちに、私たちは、自分がどうお金を使うべきか学ぶのです。
必要な物を買うのではありません。
私たちのほとんどは、必要な物(ニーズ)とそのスペアはもう十分持っています。
ニーズとは、それがないと生きられない物で、ウォンツは、欲しい物です。
必要ではないけど、欲しい物を買うことが、過剰な消費につながります。はい、私は自分の体験を語っています。
セール好きは子どものときから
子どものとき、土曜の午後、母親と買い物に行くのが楽しみでした。
デパートやスリフトショップをまわって、セール品を見つけて買うことほど、楽しいことはありません。
買わずに帰ることが、犯罪みたいに思われる値引き品を見つけることが。
今になってみると、土曜日の買い物は、母のストレス解消でした。忙しい毎日や、数々の責任から逃避する行動だったのです。
私は、大人になっても、お得な商品を見つけてわくわくすることをやめず、バーゲンで買い物することが、私の逃避行動となりました。
だから、家にあんなに細々とした物や、服、靴、バッグががたまったのです。
めちゃくちゃだった私の人生
知らないうちに、ものすごくたくさんの物がたまっていました。
私は、整理整頓は得意だから、一見、私の人生は大丈夫に見えましたが、実際は、ぐしゃぐしゃに感じられました。
着ない服があふれるクローゼットから、その日着るものを見つけられないたびに、「めちゃくちゃだ」と感じました。
イライラし、うつうつとなった私は、家から逃げて、またセール品を見つけては買っていたのです。負のサイクルです。
とうとうある日、私は、ミニマリズムについてもっと調べる気になりました。
ザ・ミニマリストのブログを見る
ずっと、ミニマリズムは白人のやることだと思っていました。だって、ミニマリストの写真にはいつも白人が写っていたから。
初めて、ジョシュア・フィールズ・ミルバーンとライアン・ニコデマスの、『ザ・ミニマリスト』というブログを見たときも、そう思いました。
「また白人のミニマリスト2人が、人に、少ない物で暮らす方法を教えているのね」と。
ただ、この日、私は、必死だったので、2人の言葉を読んで、学びました。そして、初めて、自分が持っている物1つひとつとちゃんと向き合ったのです。
・私が買った物はみな、不幸せに結びついている
・仕事をがんばったから買ってもいいと思ってこんなに買ったんだ
・仕事ばかりしていたから、罪ほろぼしに、娘にこんなに物を買い与えたんだ
胸がいっぱいになり、自分にがっかりし、自分を恥じ、涙が出ました。
それはもう、ひどい気分でした。
まずは、持ちすぎを認めること
今思うと、そういう気持ちになるべきだったと思います。
少ない物で暮らす第一歩は、自分が物を持ちすぎていると認めることですから。
自分にきびしい質問をしなければなりませんでした。
「いつも2本のジーンズをはいているだけなのに、どうして、20本もジーンズを持っているの?」
どうして?
セールで買い物する真の理由を見つける必要がありました。
そして、自分を許さなければなりません。
次に、自分を許す
許すことは簡単ではありません。
バーゲン好きに加えて、自分が「はじめての人である」という重荷もあったからです。
私は、はじめて大学を卒業した人で、はじめて6桁稼ぐことがでた人、家族の中で、欲しいものを何でも手に入れることができるはじめての人なのです。
私はそれを達成することができたのに、なぜ不幸せなのか?
たくさんの物を前に、圧倒され、自分を恥じ、「物が人を幸せにすることなんてめったにない」という当たり前のことを認めざるを得ませんでした。
でも、私は、変わるつもりでした。
安くても、不要ならお得じゃない
マントラも作りました。
あまりに値引きされていて、そのまま買わずに帰るのがためらわれるものに出会ったときに唱えるマントラです。
「必要ないなら、お得じゃない」(It’s not a deal if you don’t need it)
簡単ではありませんでしたが、自分を許しました。
いまでも、このときに感じた気持ちがよみがえります。
「自分が買ったものすべてが、必要なかった」と認めるときは、感情的にならざるを得ません。
ミニマリストになる分かれ目とは?
物を手放すのも簡単じゃないですね。
たとえ必要なくても、使っていなくても、苦労して稼いだお金を使って買った物ですから。
タグがついていて新品同様の物は売ることができるし、ちょっと着ただけのものは、コンサイメントショップ(委託古着屋)に出せます。
でも、そうじゃない物はどうすればいいのか?
使わないし、不要だけど、まだきれいで捨てるには惜しい物はどうするのか?
いいですか。このような物を処分することが、ミニマリズムになるかどうかの分かれ目です。
不用品を捨てたとき、こういう物が残ったので、もうひとつの大切な質問をしました。
「不要な品物を、捨てたくないからという理由だけで、あとどれぐらいの期間、持ち続けるのか?」
人に親切を送ろう
今でも、捨てにくかった、黒いジャンプスーツのことを覚えています。
とても素敵なデザインで、完璧なパワースーツ(元気になれるスーツ)でした。
ただ、もう何年も着ていなかったのです。ほかにも、たくさん完璧なパワースーツを持っていたから。
ようやく、このスーツを捨てたとき、本当にいい気分でした。
もうこの服は、クローゼットにかかったままにならないし、本当に必要な人が着てくれるから。
必要じゃなかった物を買うのに使ったお金を、取り戻すことはできません。
でも、誰かに親切にすることは、いろいろな形でできます。
私がやっている1つの方法は、ミニマリズムに至った体験を、オンラインでシェアすることです。
万が一、「一般的でない、ミニマリズムへのアプローチ法」を知りたい人がいたら、役立つかも、と思って始めたのですが、ミニマリストや、ミニマリストになりたい人が、世界中から、私のサイトに来てくれました。
皆、私のやり方を気に入ってます。アフロ・ミニマリズムは、私のミニマリズムですが、皆さんのミニマリズムの旅は、私とは違うでしょう。
自分らしいミニマリズムへの旅
それは、必要なものと、喜びを与えるものを手に入れる生活への変換であり、自分の経済状態を見直すきっかけです。
物を手にいれることに、意識を向けすぎず、大事なことにフォーカスすることです。
主流のミニマリズムの見た目にとらわれず、意図的な生活を実践することを心がけてください。
あなたもミニマリストになれます。あなたも、あなたも。まず、物を持ちすぎていると認め、自分のしたことを許します。
必要な物だけを持って、いらない物はほかの人にあげましょう。
ミニマリズムに向かうとき、最初に紹介したオードリー・ローズの言葉を覚えておいてください。
自分のことは自分で定義しないと、ほかの人の描く自分像につぶされ、生きながら食べられてしまう。
今度、ものすごく値引きされた物に出会ったら、私のマントラを思い出してください。
必要ないなら、お得じゃない。
//// 抄訳ここまで ////
単語の意味など
diaspora (家族などの)離散、(他国へ離散していく)移住者、その人たちの言語、文化
six figures 6桁稼ぐ、年収10万ドル以上( 感覚的には年収1千万円以上)の人
consign 委託する 状態のいい古着を売っている店(コンサイメントショップ)に、委託して売ってもらう
make or break point 成否を決めるポイント、運命の分かれ道
recoup (お金、損失など)を取り戻す
pay it forward 恩送りをする、(お返しではなく)最初に、他人に親切にする、誰かから受けた親切をほかの人に渡す、つなぐ
define は 「定義する」なので、そのまま訳しましたが、ようするに、自分はこういうミニマリストである、自分はこういう生き方をしたい、自分が大事なものはこれこれだ、と自分で考えて、決めて、そういう生き方をすることです。
The Minimalist の2人については以下の記事に詳しく書いています。
『minimalism 〜30歳からはじめるミニマル・ライフ』の感想~50歳のおばさんにも使える方法
ミニマリズム(Minimalism)というドキュメンタリー映画の感想
物を持たないと、より豊かに生きられる。ミニマリストの体験(TED)
捨てる生活が夢を叶える。ミニマリストに学ぶ手放す技術(TED)
ミニマリズムに関するほかのプレゼン
たくさんありますが、5つだけリンクします。
ミニマリズム~何もしない時間、何もないスペースを作ってより充実した人生を
物を持たないシンプルライフだからこそ人生が楽しくなる(TED)
人生で本当に必要なものは3つだけ:マチアス・ルフェーブル(TED)
見かけにとらわれないように
日本でも、ミニマリストに特定のイメージを持っている人はまだいるかもしれませんね。
がらんどうの部屋(たいてい北欧風)に住む人、白いシャツ着ている人、無印良品使っている人、というように、特定のビジュアルをイメージすることが多いかもしれません。
ミニマリストではありませんが、「物を減らせ」と言っている近藤麻理恵さんのサイトは、禅(Zen)の雰囲気があるので、東洋的なイメージを持っている人ももしかしたらいるかもしれません。
実際は、ミニマリズムは、ライフスタイルであり、生き方、考え方なので、その人の部屋の様子や服装は、千差万別です。
レス・イズ・モア(Less is more)の真の意味とは?何もない部屋に住むことがミニマリストの目的ではない
見た目から入ろうせず、「大事なものを大事にするために、不要な物を削ぎ落とす」という考え方から入ったほうがいいと思います。
大事なものは人によって違うので、生活の形も、さまざまです。
まあ、少ない物で暮らしていれば、服装はこざっぱりしたものになっていくとは思いますが。
「ミニマリストの部屋にある素敵な物」は、実際は、売り手側が何かを売るために、意図的にメディアで紹介しているだけなので、そういう物を集めようとすることは、ミニマリズムではありません。
「有名ミニマリストが持っている物を部屋に置けば幸せになれる」と思い込み、そろえようとするのは、それこそ、他人の定義した自分像に飲み込まれる行為です。