クイーンズタウン

TEDの動画

人生で本当に必要なものは3つだけ:マチアス・ルフェーブル(TED)

ニュージーランドに住んでいるミニマリスト、マチアス・ルフェーブル(Mathias Lefebvre)さんによるTEDのプレゼンを紹介します。

タイトルは What do we truly need in our lives? (人生において本当に必要なものとは?)

Mathias はカタカナで書くと「マチアス」「マティアス」となりますが、本人が名乗っているのを聞くと「マタース」と書いたほうが近いです。

彼の別名(芸名?)はマチアス・ピアノマンです。



必要なものは3つのみ

マチアスさんはベルギー生まれですが、現在はニュージーランドのクイーンズタウン在住。週に2、3回、湖に向かってピアノを弾きながら暮らしています。クイーンズタウンは、南島にある湖畔に面した街です。

講演の収録は2014年。18分43秒ですが、最初の3分ぐらいはピアノの演奏です。日本語字幕がないので動画のあとに抄訳をつけます。

※TEDの説明はこちら⇒TEDの記事のまとめ(1)ミニマリスト的生き方の参考に

私の人生に必要な3つのものとは?

こんにちは。私はマチアス。クイーンズタウンのピアノマンです。

アップライトピアノをカートにのせて、街のいろんなところに運んで演奏しています。

いつもは湖に向かって音楽でストーリーを語っていますが、きょうは皆さんに向けて、言葉で私の物語をお伝えします。

この物語は、食べ物、寝る所、愛に関する話です。

結局、私が人生で必要なのはこの3つだけなんです。それがわかるまで時間がかかりましたが、きょうは手短かにお話しましょう。

学校を卒業後、旅に出て食い詰める

私はベルギー出身。故郷で学業を終えたあと、そのまま就職するのは何だか違う気がして旅に出ました。

アフリカ、南米、アジア。ニュージーランドにたどり着いたときには一文無しに。最後に140ドルおろしたことを覚えています。

所持金はそれだけ。このとき、本当の旅が始まったようなものです。

自分が逃げたいと思っていたことに引き戻されました。

節約してカツカツの暮らしをし、仕事をするはめに。ある食堂で働き始めましたが、この仕事がもう嫌で嫌で。まるで奴隷だと感じてました。

でも、お金がなかったので、しぶしぶ働きました。なんとか3週間持ちましたよ。

ある日、自転車で出勤途中、前のタイヤがはずれて、ひっくり返り、自転車の下になりました。

血を流しながら食堂に行きました。このとき、これは単なる偶然ではないと思いました。

嫌いなことを無理にやっていたから、怪我したんじゃないだろうか、バチがあたったんだ、と思ったのです。

だから仕事をやめました。

仕事をやめたらシフト(変換)が起きて突然自由に

このとき、すごく特別なことが起きました。シフト(変換)です。

すべてが逆さまに、180度変わったんです。

私はいつも、不安(insecurity)でいることを怖れていました。不安がどんどん募って、不安が増えすぎて、不安の山が崩れたのです。

そして私は恐怖から自由になりました。

不安でいることを怖れるのをやめたら、ものすごく自由になったんです。突然、自分のやりたいことを追求できるスペースと自由が生まれました。

今思うと人生で一番いい時でした。怖いものは何もない、仕事もない、おまけに仕事で貯めた1200ドルがあり、ものすごく金持ちな気分でした。

この世の春みたいな感じ。ようやく自分のやりたいことができる気がしました。

私がやりたかったのは、食物を育てること、山歩き、ピアノを弾くことです。

実際にそうしました。野菜を育て、山歩きをし、ピアノを手に入れました。

ずっとやりたかったピアノの演奏を始めた

ピアノを習ったことは一度もありません。音楽のレッスンを受けたことも。実家にピアノがあり、ちょっとさわったぐらいです。

当時ワナカにいましたが、恋人が75ドルで中古のピアノを買ってくれ、毎日3~4時間弾きました。

長年の「弾きたい気持ち」がわっと押し寄せてきて、弾きたくてしょうがなかったのです。曲も作りましたよ。

そして、ピアノを街中で演奏することを思いつきました。

中古のカートを買い、ピアノをのせて、友だちとカートを押してワナカのタウンセンターまで運んで演奏。

すごくみんなに気に入ってもらえました。素晴らしい気分でしたね。

しかも想像以上にお金を稼げました。自分の好きなことをして、必要なお金が手に入るなんて、すごいと思いました。

そんなふうに、週に2、3日、外でピアノを弾くことにして、3年たちます。今や自分で作った曲を演奏したCDも4枚あり、演奏している場所で売っています。





これが私の生活です。嫌なことは何もしていません。

仕事のために、時間通りに、行きたくもない場所に行って、やりたくもないことをやらなくていいわけです。

そんなにいろいろ必要ないとわかった

この物語から私が学んだことは、自分にはそんなにいろんなものは必要ないということです。

食べないと生きられないから食べ物は必要です。

そして、家と呼べる安心して眠れる場所、それから、一緒に何かやったり話をする友だちも必要。

だから、本当に必要なものは3つだけ。

食べ物、寝る所、愛情(food, shelter and love) 。これだけなんです。

他に必要なものなんてあまりないわけです。仕事もお金も必要ない。

食べ物は自分で作ってるし。家も自分で作ることができる。そこで他の人と楽しく過ごせばいい。

今、クイーンズタウンで家を借り、パートナーと食物を育ててます。グーグルで作り方を調べながら。別に難しくないです。誰でもできます。

安全で新鮮なオーガニックフードです。

本当に必要なのは土地だけだ

だから、本当に必要なのは土地だけとも言えます。

ところが、土地を手に入れるためには、お金を払わなくちゃならない。お金を得るためには、昔の自分のように嫌いな仕事をしなくちゃならない。

これって、なんかおかしいな、と思うんです。

なんで住む場所を手に入れるためにお金を払わなくちゃならないのでしょうか。だって、土地は1つだけでしょう。この地球だけ。他に行く場所ないし。

ここにもうあるのに、どうしてお金を払って土地を買わなくちゃならないのか?

たぶん、ある時ある人が、地球の一部を囲むフェンスを作ったのです。

そして、「この場所は僕のだ」と言ったのです。そうしたら、他の人も、どんどんフェンスを立てて、自分の場所を確保しました。

地球上にフェンスがいっぱいできて、誰かの土地になってしまった。

次の世代の人は、土地なしで生まれるから、働いて生きるのに必要な土地を買わなくちゃならない。

これって、まるで奴隷制に思えるんです。

現在、私達が生きているのは競争社会。きちんと暮らすためにお金を稼がなくてはならない。

でも、もっとシンプルにみんなで協力し合って生きられると思います。ただ、そうするためには、みんな心の中にあるフェンスを取外さなければならない。
私たちは、一緒に楽しく暮らすことを怖れています。だからフェンスを作って自分を守っている。

自分を守るためにフェンスを作っているのに、実際は、競争することになって、かえって不安になっているのです。

競争はやめて協力しよう

クイーンズタウン

私とパートナーの間に、女の子が生まれたばかりです。4ヶ月になりました。

娘にこの人生のことを聞かれたらどうしようか心配しています。

「この世は競争社会だよ。スペースが限られている。個人主義なんだ。

そのせいで不安や恐怖がいっぱい。欲張りな人が増えている。いやな仕事をして、お金を稼ぐしかない。

ストレスいっぱいでうつになるかもしれないけど。だから、せめて自分の好きなことをやるしかない」

なんて言わなきゃいけないのかと。

実際、今、みんなこういうふうに生きています。だけど、娘には、こう言いたいのです。

「この世界ではみんな協力しあってる。食物を育てたり、家を立てる場所もいっぱいだよ。

自由だしね。お金も仕事も必要ない。安心して、健康で質の高い暮らしができる。

創造的なことはいいことだから、とても楽しく生きられるよ」。

こういうこと、実際にできると思うのです。すべては私たちの手にかかっています。この世界を回しているのは私たちだからなんだってできます。

そこで、皆さんに考えてほしいことがあります。

人生で本当に必要な物が何なのか。

もし私が、物質的な物が必要だと思ったら、他の人と競争して、この地球上に、少しでも場所を獲得しなければだめだ、と思うでしょう。

けれども、私が必要なのは、愛情であり、楽しい時をすごすこと。だから、協力しあう世界に住み、他の人と分かち合いたいと思います。

あなたに必要なのは何だと思いますか?

—- 抄訳ここまで —–

マチアス・ピアノマンのオフィス

マチアス・ピアノマンがどんなふうに毎日ピアノを演奏しているのかよくわかる動画(1分45秒)を紹介します。

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『ものは少なく、幸せは多めに』~グラハム・ヒルに習う「小さく暮らす」メリット

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あえて不安定になってみることで自由になれる

クイーンズタウン

マティアスさんの話でおもしろいと思ったのは、2つあります。

1つは、手放したら自由になったということろ、

不安だから仕事をしていたけど、不安になることを恐れる気持ちを捨てたら自由になったと語っています。

何かを守ろうとしていると、かえってすごく不自由になるのではないでしょうか?

持っているものを手放すのは不安ですが、それこそが自由なのだと思います。

つまり、お金や物を両手でがしっと抱え込むのではなく、ばーっと手放せば、失う心配がなくなるので自由になるのです。

そういうものを解放すると、別のもっといい体験をしたり、愛情を感じたり、何かを学ぶことができます。

いろいろな物を失うまいと必死にためこんでいても、そこに成長や変化はないでしょう。

幸せを求めているなら、あえて不安定なところに出ていくべきではないか、と私は考えています。

どのみち、この世に安住や安心はありません。

不安な世界にいくのは怖いけれど、そうしない限り、新しい機会にも恵まれないのです。

足りないと思っているからフェンスを作る

もう1つ印象に残ったのはフェンスの話です。

安心するために心のフェンスを作っても、そのフェンスのせいで競争することになってかえって不安になっている、というのは皮肉な話です。

なぜフェンスを作るのかというと、「足りない、限られている」と思うからです。

確かに地球のスペースは有限ですが、自分の場所として確保しなくても、みんなで一緒に住む、という発想をすれば、競争は起きません。

先週紹介したTEDの動画で引用があった、スティーヴン・ライトの「僕は貝のコレクションを持ってるけど、世界中の海岸に置いているんだ」という発想です。

この動画です⇒物を捨てるとやりたいことができる人生になる(TED)

自分の物として確保しなければならない、と必死にがんばってしまうのは、「足りないマインド」のせいなのです。

足りないマインドとは?⇒こんな考え方が貧乏を引き寄せる。お金がたまらない恐怖のマインドとは?

本当はたくさんあるのに、「足りない」と思うと、できるだけたくさん自分の物にしなければならない、という強迫観念に囚われます。そこで、必死で働いてお金を作り、いろいろな物を買い集めます。

いったん買い集めると、今度はそれを失いたくないので、不安になってしまう、という図式です。

物が大事だ、と思うと、そういう負のループに入ってしまい、心安らぐ時がありません。

いきなりマチアスさんみたいに自由に生きるのはハードルが高いと思います。けれども、「これはすごく大事なものなんだ」と思い込んで抱えているものをちょっと手放してみてはどうでしょうか?きっと今よりストレスの少ない、心踊る日々になるんじゃないかと思います。





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