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食費2万円説に対する筆子の見解を教えてください。
こんな質問をいただきました。
この記事で回答します。まずメールをシェアしますね。差出人は、にゃとこさんです。小見出しは私が入れました。
食費が2万円の話はどこから来たのですか?
件名:食費2万の都市伝説について
にゃとこと申します。どうぞよろしくお願いいたします。
最近気になることをネット検索する際には、「筆子」を検索ワードに追加しております。
おかげさまで、知りたいことがドンピシャでヒットする確率が格段に上がりました。
ありがとうございます。
今回は、筆子さまに直接聞いてみたいことがあり、お便りさせていただきました。
食費が2万円ってどうよ
知りたいことは以下3点です。
1.食費2万円/月というのは誰がいつ頃言い出したか、もしご存知でしたら教えてください。
2.海外(筆子さまがお住いのあたり)では、こういった「ナントカ費、月〇ドル」のようなものはありますか?
3.日本で食費月2万円、のようなものが流行る(囚われる)理由について、筆子さまの見解があれば教えていただけると大変うれしいです。
「食費月2万円」というフレーズを雑誌やブログ、テレビの情報番組などでたまに目にするのですが、こんな無意味なだけではなく、有害ですらあるフレーズが一体どこから来たのか気になる出来事があったので、自分でも調べてみたのですがハッキリしませんでした。
25年前、学生時代や就職した当初は聞いた記憶がないですが、そもそも気にする必要もなかったためかもしれません。
10年前、30歳~35歳のころには、テレビや雑誌でよく聞いたり読んだように思います。
(テレビ番組で、芸人さんやタレントさんが月1万円生活!、のようなものもありました)
税務会計を仕事にしていますので、
そもそも食費ってどこからどこまでを集計するんだ、とか
もらった米や野菜は時価で加算しないと比較にならないだろう、とか
外食は原価相当分は食費に入れないとおかしいだろう、とか
給食費、社食、お小遣いから出す昼飯代はどうするんだ、とか
まあ突っ込みだせばキリがないこの「食費2万」伝説をハナからバカにしていたのですが・・・。
友人と食費の話題で気まずい雰囲気に
先日、学生時代からの友人3人と数年ぶりに会う機会があり、その際に食費の話題で気まずい空気になりました。
友人の1人(Aとします)が「最近物価が高くて月2万でおさまらない」と愚痴を装った自慢を始めました。
いつものことなので、通常は他の2人も適当に「高いよねぇ、でもAちゃんは3万円までいかないなんてすごいね~」と持ち上げつつ流すのですが、今回は「月2万とか栄養が心配」「節約より収入を増やす方がよくない?」と微妙な雲行きになりました。(すいません、言葉ではただよう険悪感があまり出ませんね)
Aちゃんは人の悪口は絶対言わないですし、こちらが困っていれば体を張ってくれる優しい人です。たまの節約自慢くらいなんでもないです。
ただ、他の2人が、ここ数年どうしても食費がかかってしまうことを知らなかったのはまずかった・・・。
2人はそれぞれ介護食の配食サービスが必要だったり、お子さんの発達障害からくる偏食と格闘中だったりで、けっこうな額を食費に使っていました。
うちも夫が肉体系危険労働公務員なので、値段は気にせず質も量も必要なだけ食べさせると決めています(仕事中に体力が続かなかったり集中が切れたり筋力が低下したらホントに死ぬので)。
そのことはオープンにしていますので、2人も私には気軽に話せたのだと思います。
高食費組の3人とも食材は無駄にしていませんし、他の出費はきっちり抑えています。
要は、支出超過にさえならなければ、収入の範囲で何にどれだけ使うかなんて人それぞれですし、2人にも常々そう言ってきました。
それで2人とも納得していると思ったのですが、私も含めてやっぱり心のどこかで気にしていたのかもしれません。でなければ、Aちゃんに対してあれほどピリピリはしなかったのではないか、と。
食費月2万伝説のようなことを気にするのは日本人特有の現象なのか、海外にも似たようなことはあるのか、なぜ食費月2万が主婦(主夫)の心をつかんだのか、とても不思議に思い、また興味がわいたので、筆子さまの意見を伺ってみたくなりました。
お忙しいところ恐れ入りますが、よろしくお願いいたします。
にゃとこさん、こんにちは。お便りありがとうございます。
いつもブログを読んでいただき、うれしいです。
順番に質問にお答えします。
1.誰がいつ言い出したか? 知りません。そもそも、食費2万円という目安も、このお便りで初めて知りました。
それは都市伝説ではなく、単に、にゃとこさんの周りでだけ認知されている話ではないでしょうか?
2.ありません。住宅費は収入の何%におさめるのが理想、とか、収入の10%は貯蓄に回そう、といった話は、雑誌やWebにのっています。
こちらの記事で紹介している⇒貯金したいが、旅行にも行きたいので悩んでいます←質問の回答。
50/30/20予算ルール、みたいなものはあります。手取り収入の2割を貯金し、5割を生活費にあて、3割を好きなものに使うといいよ、というルールです。
質問3の答えは長いので、項目を立てます。
日本で食費2万円説がはやる理由
先ほども書きましたが、この話、本当にはやっているのでしょうか? そして、みんながそれを指針に食費の節約に励んでいるのでしょうか?
そんなことは、私にはとても信じられません。信じられませんが、それが本当だと仮定して、私が思いつく理由を書きます。
1.日本人は自分の頭で考えない傾向が強い
日本にはマスコミやSNSの言うことを何でも鵜呑みにする人がたくさんいる、というのが理由の1つです。
自分で考える習慣がないのです。
1ヶ月の食費が2万円なんて、一人暮らしでも無理じゃないですか? それとも、日本はそんなに食品が安いのか。
確かに、定食屋さんは安いですよね。喫茶店のランチとかも。いろいろとおいしそうなものがトレイにのっていて、ワンコイン、なんて写真をネットで見ると、「日本っていいよね」と思います。
私が一人暮らしだったとしても、2万円にはおさまりません。まあ、私はオーガニックフードとナッツをよく食べているので、食費が高くなりますが。
つまりこの説は、にゃっとこさんの言うように、真に受ける必要のない、暇つぶしにネタとして楽しむにはいいかもね~、といったものです。
2万円を本当に信じて、骨身を削って節約に励むとしたら、きっとそれは学校教育のせいです。おのれの頭で考えさせることを鍛える授業がないから。
最近のカリュキュラムは知りませんが、私が学生の頃は、教科書の内容を、どの学科もまんべんなく記憶して、試験当日にうまくアウトプットできる人が、よい大学に進学しました。
そうやって入った大学は、入学は難しいのに卒業がとても簡単だから、大学でしっかり勉強することより、次のステップである就職にエネルギーを注ぐ学生がたくさんいます。
もちろん、覚える前に理解して、考えて、という過程があるから、こうした作業をするのが、全くの無駄だとは言いません。
しかし、教科書の中身のインプット⇒アウトプットスキルに偏重しすぎると、応用力や思考力が育ちません。
こんなカリキュラムになってしまったのは、戦後の教育のせいでしょう。
西洋の人たちが、日本が2度と、世界に向かって戦争をしかけないように仕組み、それがうまくいったと言えます。
2.日本は島国だから
島国の人は、その島の中だけでうまくやれば、一生幸せに暮らすことができます。
ここに住む人たちは、一般に、自国の思想や方式に依存し、排他的なので、価値観の多様性が育ちません。
多様性がないから、「月に食費が2万円」と聞いたときに、でも、こんな場合やあんな場合もあるよね、そもそも、あの家と我が家は違うよ、と考えることができません。
島国では、ホモジニアス(均一で同じであること)な面が強いので、そうじゃない国より、同調圧力も強いでしょう。
「もちろん、うちは2万円を目指してるわ。みんな2万円にすべきって言ってるよ、え、あなたのとこ、2万円じゃないの?」と、2万円じゃない人にプレッシャーをかけ、2万円じゃない人は、「2万円にしなきゃいけないのかなあ」と不安になります。
2020年に、日本では、鬼滅の刃(きめつのやいば)という漫画や映画が大ブームになりましたよね?
私はこの漫画を読んだことがありませんが、私の数少ない友人たちの何人かが、年賀状にこの作品のことを書いていたし、ネットでもよく見かけたので、「ああ、流行ってるんだな。日本全国、この漫画の話で持ち切りなんだろう」と思いました。
2020年の一番の話題は、新型コロナウィルスでしょうが、私の感覚では2番めは、Black Lives Matter(ブラック・ライブズ・マター)運動です。
島国で、そこに住む民族も単一ではないものの、気持ち的にほぼ単一である日本人には、インターナショナルなニュースが伝わりにくいので、それも、多様化を妨げています。
もちろん、今、インターネットで世界のどこのニュースだってリアルタイムで入手可能です。
しかし、日本では、実用レベルの英語を使える人が少ないし(島国に住む限り使う必要がないため)、そもそもそんなニュースに興味をもつ理由もないので、グローバルな視点が育ちません。
マスコミの人たちは、海外ニュースを訳して流しますが、人間は、自分たちが見たくないものは見ないので、価値観の多様化を嫌う日本人にとって耳障りのいいものか、あるいは、極端に違っておもしろニュースになるものを好んで取り上げると思います。
食費が2万円、とか、老後の資金は2000万円、などとわかりやすい数字で表すのは、日本人はみな均質で、同じような生活環境で生きているはず、という前提があるからです。
ほかにも理由は考えられますが、大きなものとしてはこの2点です。もう1つ、平和でひまだから、という理由もあります。
円安と高齢化が進み、日本の将来は暗いのですが、島国の人は、島の中のことしか見ないので、あまり、危機感がありません。
のほほ~んと暮らしているから、SNSで炎上するネタに強く影響されるのだと思います。
それと日本はずっとデフレだったから、インフレになって食品の値段があがるという現象を、にわかに受け入れることができず、「食費は2万円が妥当」という考え方にいつまでもこだわってしまうのかもしれません。
自慢する人はほっとけばいい
にゃっとこさんは、Aさんの自慢のせいで、その場がぎくしゃくしたことを残念に思っているようです。
友人4人の間に険悪な空気がただよったのは、食費2万円説のせいではありません。
Aさんのいつもの自慢に対する、他の人の対応のまずさによって生じたと思われます。
自慢する人はほっとけばいいんです。
自慢する人は、承認欲求の強い「かまってちゃん」です。
かまえばかまうほど、自慢がエスカレートします。次回会ったときも、きっとAさんは、「2万円が~むにゃむにゃ」と言うでしょう。
きのうも、話題にしましたが⇒いつも私に意地悪をする人に、仕返しするのはありですか?←質問の回答。、自慢しいはある種のエナジーバンパイヤです。
自慢する人に、自らえさを与えてはいけません。動物園のおりにある、「エサをあげないでください」という札を、Aさんにもぶらさげましょう(もちろん頭の中で)。
もし、今後、4人でうまくやりたいなら、自慢はさらっとかわしてください。
「月2万円でおさまらないわ~」と言われたら、「あ、そう」と答え、すぐに次の話題に移るのです。
Aさんの自慢がどうにもこうにもしゃくにさわるなら、正論をぶちまけるのもありですが。その場合は、この記事を読んでもらうといいでしょう。
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