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関東地方は梅雨に入り、ムシムシした空気のなかで憂鬱な人も多いと思います。この記事では、湿度が、私たちに与える、悪影響を詳しく解説します。
湿度とは何か?
まず、湿度とは何か、おさらいしておきましょう。
簡単に言うと、湿度は、空気中にどれだけ水蒸気が含まれているか、その割合を示す指数です。
水蒸気は、水が蒸発して気体になったものです。チャンスがあれば、いつでも水に戻ります。
教科書で空気の成分を見ると、ほとんどは窒素で78%ぐらい、酸素が約21%。その他、1%にアルゴン、二酸化炭素、ネオンなどさまざな気体が含まれています。
これには、水蒸気が入っていません。
というのも、水蒸気は、時刻、場所、高さ、気温などさまざまな要因でその量が大きく変動するからです。そこで、水蒸気を除外した空気である、乾燥空気(湿度0%状態、乾き空気とも言う)に水蒸気を加えたものが、空気全体です。
では、実際、空気中にどれぐらい水蒸気があるのかというと、平均、0.25%ぐらいだそうです。位置的には、アルゴンと二酸化炭素の間です。
空気全体から見ると、容量的にはとても少ない、その他1%部分が、大気の質を決め、人の生活に大きな影響を与えます。その他部分に入っている水蒸気も影響力があります。
湿度の計算方法
大気中の水蒸気の量は変動が激しいため、いくつか計算の仕方があります。
ふだん天気予報で話している湿度は相対湿度と呼ばれるものです。
これは、空気1立法メートルの中の水蒸気の量と、その温度における飽和水蒸気量との比率を表したものです。
と書いても、よくわからないと思います。
わかりやすく言うと、その温度においてい、空気に入り込める水の量(飽和水蒸気量)に対して、どれだけ水蒸気があるか、ということです。
飽和水蒸気とは、この温度のとき、その空気の中に含ませることのできる水蒸気の最大値です。
温度があがればあがるほど、飽和水蒸気量は大きくなります。
気温が高い方が、水蒸気が多いのです。だから冬は、空気中にあまり水分が入り込めず、夏はたっぷり入り込めるわけです。
水も、温度が高いと気体になりやすいのでしょう(素人の見解です)。
相対湿度に対して、絶対湿度というのもあります。絶対湿度は乾き空気(空気から水蒸気をのぞいたもの)1キログラムに対して、水蒸気がどれだけあるか示したものです。
湿度が高くなると起きること
湿度が高いと、雨(気温が低ければ雪)が降ります。湿度が100%になったあと、気温が下がると、大気中にいっぱいあった水蒸気が水に変身して、空から降ってきます。
梅雨時に、むしむしして雨が多いのはあまりに大気中に水分が多いからです。
洗濯ものも乾きにくくなります。大気中にすでにかなり水蒸気があるため、洗濯ものの水分が空気中に溶け込みたくても、溶け込む余地がないからです。
こうやって考えると、梅雨時に洗濯ものが乾かなくても、あきらめがつくと思います。物理的な要因で乾かないのですから、嫌だと思っても仕方がありません。
さて、高湿度状態が続くと、私たち人間にとっては、いろいろと迷惑な影響があります。それを、
●健康に与える影響
●住宅に与える影響
●その他の影響
の3つに分けて説明します。
健康に与える影響
1.不快に感じ、気力が損なわれる
湿度が高いと、実際暑いし、体感温度もあがるので、疲れやすくなります。暑いから体温があがり、体はよけいな熱を放出しようと、汗をかきます。
しかし空気中に水蒸気が多いため、汗が出ても、すぐには蒸発せず、あまり涼しくなりません。
体の熱を逃がすため、血管は広がり、皮膚の表面により血を流します。すると脳や内臓に回る血液(栄養分)が減るので、全体的に力が入らず、頭がぼんやりします。
必要以上に体温と体感温度があがるため、体はよけいな仕事を強いられ、しかも、それがなかなかうまくいかないので、人は不快に感じるのです。
湿度があがって、ハッピーになっていく人はいません。
2.関節炎など持病の症状が悪化
湿度が高いと、関節炎やリューマチの痛みがひどくなる人がいます(個人差あり)。こういう人は、自分の痛みから、「きょうは雨が降るかもしれない」とわかったりするそうです。
また、喘息がひどくなる人もいます。
医学的な原因はしっかりわかっていませんが、気圧が低くなり、湿度が上昇すると、炎症を起こす物質であるヒスタミンが増えると考えられています。
ヒスタミンについて⇒意外と知らない花粉症やアレルギーを悪化させる7つの生活習慣 「1.なんでもギリギリにならないと手をつけない先延ばしグセ」のところで説明しています。
3.更年期障害の悪化
気圧や湿度のせいで、更年期障害がひどくなる人がいます。
更年期障害の人は、体温の調節をしている、自律神経が乱れているのですから、体温調節を正常にしにくい梅雨時に、症状がひどくなるのは、当然と言えましょう。
ただ、更年期障害の症状には個人差があるため、気温や湿度の影響を受けにくい人もいます。
更年期障害について⇒どうやって更年期の症状を乗り越えたか、という質問にお答えします
4.カビが繁殖し、人によってはアレルギー症状が出る
カビについてはこちらをどうぞ⇒カビはなぜ生える?対策する前に知りたいカビの基礎知識
5.ダニが繁殖する
ダニも、湿度が高いところを好みます。こういう小さな生命体は、たいてい湿度の高い環境を好むのです。
ダニの死骸や糞(フン)はほこりになって、やはりアレルギー症状を起こします。喘息や鼻炎のような症状です。
疥癬(かいせん)という、皮膚が傷んだり、湿疹のようなものができる病気もあります。体を刺す迷惑なダニもいます。
住宅に与える影響
6.家の柱が痛む
湿度が高いと、カビなどの小さな菌が繁殖しやすくなるのは先に書いたとおり。カビは木材を直接破壊はしません。ですが、木材腐朽菌(もくざいふきゅうきん)は木材をエサとして繁殖し、その名のとおり、木を腐らせてしまいます。
木材腐朽菌が繁殖した場所の見た目はカビのような感じです。リアルきのこみたいなものが生えることもあります。画像検索すると、けっこう不吉な写真がたくさん出てきます。
7.床や壁、家具が痛む
木材腐朽菌に侵されなくても、床、壁、家具がダメージを受けます。
木は、熱と水蒸気を加えると曲がる性質があります。この性質を利用した、「曲げ木」という木工技術は古くから使われています。
椅子やギターなどを作るために、木を曲げるとき、蒸気を当てるのです。
温度と湿度が高い場所に、木製の製品を長く置くと、微妙に曲がってくることがあります。
フローリングの床の上を歩くと、ギシギシする(床鳴り)のは、床板が、ほんの少し、反り返っているからかもしれません。
また湿度の影響で、木製家具の塗料がはがれることもあります。
壁紙を貼る時に使った接着剤や糊の跡が変色して、壁のしみのようになることもあります。水分がたまるとこの現象がおきます。
もちろんカビがついても、壁は変色します。
☆湿度を下げる方法はこちらで特集⇒梅雨時の湿気対策:お金をかけず簡単に部屋の湿度を下げる9つの方法
その他の影響
8.髪がひろがる
昔、OL時代に、梅雨時になると、髪が大きくふくらむ人がいました。と言っても、本人がそう言っていただけで、私はさほど気にしたことはありません。
ですが、実際に湿度が高いと、髪の毛の水分が増え、髪の毛が膨張し、うねりが出る人がいます。傷んでいるところ(キューティクルがはがれているところ)から水分が入るのです。
髪の組成が少し変わって、全体的に髪が広がるというかボリュームが出ます。
逆に、髪に入りこんだ水分の影響で、髪が細い人は、ぺしゃんこになったりします。これはその人の髪の性質によります。
梅雨時になるとヘアスタイリングに苦労する人が多いのですが、対策はあります。
髪が傷んでいると、ふくらむのですから、健康的な髪をキープすればこの問題に悩むことはありません。
健康な髪の作り方⇒きれいな髪はこうして作る。ヘアケア製品に頼らない髪のお手入れ法
湯シャンもおすすめ⇒湯シャンのやり方や効果を書いた記事のまとめ
9.コストがかかる
湿度の影響で、住宅や家具がダメージを受けてしまえば、修理するのに当然お金がかかります。
また、全体的に人はどんよりモードになるので、仕事の能率が落ちるため、企業にしても、自営の仕事にしても、いつもよりコストがかかってしまうでしょう。
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このように、いろいろ面倒なことを引き起こす湿気ですが、ある程度防止することはできます。