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昨年の夏、実家に帰って母のものを一緒に生前整理した様子をお伝えしています。
前回は、風呂場のすみに打ち捨てられていた、ピジョンのお風呂用おもちゃのカメを捨てようとしたら、いきなりそれが「大切な思い出の品」に変わった話を書きました。
⇒その「思い出の品」は本当に思い出の品なのか?~実録・親の家を片付ける(2)
今回は洋服を捨てる話です。
今はもう実家には自分のものはほとんどないのですが、昨年帰ってすぐのころは、まだ自分の衣類をちょっぴり持っていました。そこで、大量の本を片付ける息抜きに、軽くて捨てやすい服を処分しました。
私にとって本は重くて捨てにくいもの、服は軽くて捨てやすいものです。
服を捨てたのは、母にも少し断捨離してもらいたい気持ちがあったから。母は、大きなタンスや洋服ダンスを全部で4つも持っているのです。
もちろんこれ以外に押入れがあり、衣類をかけるバーまであります。
タンスを外から見ただけで、中につまっている着ない服のネガティブパワーを感じてしまうほどです。
しかし、いきなり「捨てろ」というのはよくありません。まずは自分が捨てている背中を見せることにしました。筆子が捨てれば、母も捨ててくれるかな、と願いながら。
「使い分けは」ミニマリストには禁句
19年前、家を出たとき、私の部屋の時は止まりました。洋服ダンスの引き出しの中に入っているものも全く思い出せません。
おそるおそる引き出しを開けたら、1980年代にフェリシモで買った部屋着と、母が私と娘用に買っておいてくれた服が出てきました。
フェリシモは頒布会なので、似たような柄の服がいくつか集まっていました。こんなものを買ってしまったことを反省しながら、さくさく捨てて行きました。
確か「部屋着の会」とか「コンフォートウエアの会」とか「ワンマイルウエアの会」とかそんな名前の会で買ったものです。
ワンマイルウエアとは、家から1マイル(約1.6キロ)ぐらいの範囲で着る服のこと。部屋着(ホームウエア)に近いけど、街着(タウンウエア)にもなる服。
昔はOLをやっていたので、会社に来ていく服、家でくつろぐ服を、ふつうの人みたいに使い分けていました。なんとなくそうするものだと思っていたのです。
といっても、もとから楽な服が好きだったので、会社の制服(お世辞にもおしゃれとは言えないスカイブルーのジャンパースカート)の下にいつもTシャツを着ており、筆子といえばTシャツ、と思われていたぐらいです。
この「使い分け」しようとする気持ちが服を増やしてしまいます。何も使い分ける必要なんてないのです。
ミニマリストの辞書に「使い分け」はありません。かわりに「兼用する」という言葉を書いておくべきです。
何を部屋着にして、何を街着にするか、それは自分で決めればいいこと。裸で歩かなければ、さほど問題もないでしょう。
現在の筆子は、部屋着も外出着もほぼ同じです⇒ミニマリスト主婦の普段着とよそ行き~少ない服はストレスフリーで生産性があげる すべてワンマイルウエアと呼べるかもしれません。
そんなことを思いながら、古い部屋着はすべて断捨離。次に母が買っておいてくれた服をチェックしました。
ファストファッションはガラクタになる運命を背負った服
数年前に、実家から車で10分ぐらいのところに「ファッションセンターしまむら」ができました。しまむらは、埼玉県の島村呉服店から発展した衣料品のチェーン店。いわゆるファストファッションを売っています。
ファストファッション(fast fashion) の直訳は「早い流行」。デザイナーがコレクションで発表したばかりの最新のトレンドのデザインの服を大量生産し、低価格で売りさばかれる衣料品のことです。
代表的なブランドはスエーデンのH&M、スペインのZARA、アメリカのフォーエバー21、日本のユニクロ。
ファストファッションを提供する企業は、何らかの方法で上手にデザインをコピーしているのでしょう。最先端のデザインでおしゃれな服が安いのです。しかし、ファストファッションなので、どんどんトレンドを追いかけ、回転が早い、早い。商品はどんどん入れ替わります。
ファストファッションについて詳しくはこちらに書いています⇒「真の代償」The True Costはファストファッションの真実を暴く映画 ~これでもあなたは安い服を買い続けますか?
プチプラで、流行のファッションが楽しめると人気なのですが、これこそ、ガラクタを生む大いなる元凶なのです。
安いから、消費者はどんどん買って、ちょっと着てそのへんにポイ。また次の流行の服を買って、ちょっと着て、クローゼットに放置。こうして不要な服がどんどんたまっていきます。そしてあるときドサッと断捨離され、ゴミに。
ガラクタを増やすのは自分ですが、こうしたビジネスを推し進める企業も社会的にどうかと思います。
「みんな喜んで着てるからいいじゃないか」とは言えないはず。もうかればいい、というものでもありません。
ファストファッションはこの「ガラクタを増やすこと」以外にもバングラデシュの劣悪な労働環境のもとで、安い人件費で現地の人に服を作らせていること、生産過程で出る、工場の排水の環境汚染などの問題があります。
しかし、筆子の母はこのような背景は知らないので、「しまむら」で安い服を見ると、ふらふらと買ってしまうようです。以前も「娘に着せろ」、としまむらの服を送ってくれたことがありました。
しかし、しまむらの服は、プリントや飾りなど、余計なものがついているのと、なんとなく若いデザイン(子供っぽいデザイン)なので、娘は全く興味をしめしません。
よく「私はもうベイビーじゃない」と突き返されました。
タンスに用意されていた服も激安すぎて素材はペラペラ。縫製も粗雑。しかもサイズが大きすぎます。処分することにしました。
典型的な安物買いの銭失いです。
以前も安い服を買うべきではないという話を書きました。
こちら⇒「値段が高かったから」といって捨てないとガラクタは増える一方~断捨離マインドを鍛える
ファストファッションを追い求めて、洋服を使い捨てする行為は、安物買いの環境破壊、と言えなくもありません。
流行のファッションを安い値段で楽しむのは悪いことではありません。筆子だって服は安いほうが好きです。けれども、そうすることであまりにもいらない服がたまってしまうようなら、少し洋服の買い方を変えたほうがいいでしょう。
今の時代「安くて手に入りやすいもの」ほど、その生産過程でも、それを消費したあとも、大きなつけを払うことになるのです。
実録・親の家を片付ける、この続きはこちら⇒母もやはりバッグを持ちすぎていた~実録・親の家を片付ける(4)
このシリーズを最初から読む方はこちらからどうぞ⇒実録:親の家を片付ける(1)~まずは自分のものをどんどん捨てる
☆エピローグ:私もユニクロの服を2着持っています。パーカと、ちょっとよそ行きのパンツです。ほかはエスマイルという、綿の服をたくさん取り扱っているワンマイルウェア専門メーカーの服をいくつか。
この店、気に入っていましたが、知らないうちにネットショップがなくなっていました。アマゾンで少し販売しているようです。
名古屋の松坂屋にあるみたいなので、里帰りしたら、また仕入れようかな、と計画中です。