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部屋を片付ける時間がなくて悩んでいる人におすすめのTEDの動画を紹介します。
タイトルは、A Simple Strategy For Happiness(幸せになるためのシンプルな戦略)。講演者は、行動科学者のAshley Whillans (アシュレー・ウィランス)さんです。
幸せになるシンプルな戦略:TEDの説明
People feel more pressed for time than ever before. This is because we prioritize earning more money over gaining more time. Ashley Whillans, Assistant Professor at the Harvard Business School, shares simple strategies to overcome time poverty and experience more fulfilling social relationships and satisfying careers.
人々は、かつてないほど時間がないと感じています。
時間を得るより、お金を稼ぐほうを優先するからです。
ハーバード・ビジネス・スクールの助教授である、アシュレー・ウィランスは、時間貧乏を克服し、充実した社会生活をし、満足できる仕事をするシンプルな戦略を伝えます。
収録は2019年、動画の長さは13分。字幕はありません。動画のあとに抄訳を書きます。
☆TEDの説明はこちら⇒TEDの記事のまとめ(1)ミニマリスト的生き方の参考に
大学の先生のせいか、構成や英語はわかりやすいです。
多くの人が時間貧乏
この会場にいる人たちは、世界でももっとも貧乏な人たちです。
お金ではなくて、時間がないと貧乏です。
今日、働いている80%のアメリカ人が、時間貧乏(time poor タイムプア)だと感じています。
毎日やることがたくさんあり、すべてをこなす時間がないのです。
時間がないことは、私たちの幸福や社会生活、健康に、悪影響を与えます。
時間貧乏は、私たちから、笑顔、楽しさ、個人的な幸福を奪ってしまうのです。
なぜ時間貧乏になるのか、どうしたら、これを克服できるのか、お話しします。
時間貧乏になる理由
気を散らす
時間貧乏が増えているのは、昔より、仕事や家事をすることに時間を使っているから、という答えになりそうですが、実際は、そうではありません。
文明の利器のおかげで、私たちは1950年代の人より、余暇がたくさんあります。
つねに、技術とつながっていることが、時間貧乏を生んでいます。
iPhone、タブレット、ノートパソコンを使っていると、余暇の時間が、散り散りの小さな気を散らす時間に変わり、時間が失われしまうのです。
仕事やお金への執着
仕事やお金を稼ぐことに執着していると、時間貧乏になります。
私たちは、時間ではなく、お金が、より幸せをもたらすという、間違ったことを、教えられています。
「お金で幸せは買えない」といいますよね。これは本当です。
お金があれば、悲しみがいやされますが、喜びを買うことはできません。
車が故障したとき、お金をつかって修理すれば、特定のストレスから逃れることはできます。しかし、幸せは、私たちが意識と時間を注いだものから生まれます。
時間を優先すればいいのだが
時間貧乏を克服する方法は、たとえ、仕事やお金を稼ぐことが犠牲になったとしても、自由な時間を持とうと決心することです。
私は、行動科学者で、幸せについて研究しています。とくに、時間にかかわるストレスと不幸の関係について。
長年、仕事をしていてわかったことですが、時間を得ることを優先するのはむずかしいものです。
私自身、休暇中に仕事をしていたりします。
運動が健康にいいと、皆が知っているように、誰もが、時間はもっとも貴重なリソースだとわかっています。
それなのに、私たちは、時間を優先することはせず、幸せや健康を犠牲にします。
人間は余暇を嫌う
では、どうしたら、「時間がない」という気持ちを克服できるでしょうか?
ここで、私が話すのをやめれば、みなさんに5分ほど、時間をお返しすることができます。
でも、そうはしません。
だって、皆さんは、浮いた時間を使って、スマホを見て、無為に過ごしたり、仕事のメールに返信したりするでしょうから。
私たちが、時間を優先せず、自由時間をなくしてしまう理由があります。
人間の脳は、余暇を嫌ってしまうのです。
専門家は、この現象を『無為に対する嫌悪(idleness aversion)』と呼んでいます。
その日の予定を聞かれたとき、「何もないわよ」と笑顔で答えることは、あまりありません。
未来になると時間ができるという錯覚
私たちは、未来になると、今より時間ができると考えがちです。このバイアスを、私は、『いいわよ-しまった!効果(The ‘Yes Damn’ Effect)』と呼んでいます。
何かを人に頼まれるたびに、イエスと言って、未来にどんどん予定を入れ、そのときが来た時、「しまった! いったい私は何を考えていたんだろう?」と思うことです。
未来が現在になったとき、私たちは、「いいわよ」と言ってしまったことを後悔します。
このように、社会や自分の思考が、時間を確保しにくくしています。
時間を持っている人の特徴
世間には、時間貧乏の反対の、時間持ち(time-rich タイムリッチ)がいます。
時間持ちは、そうなるように日々の生活で、小さくてシンプルな決断をしています。
お金より時間を優先
時間持ちは、お金より時間を優先します。もっと充実した時間をもつために、お金を手放します。
有給休暇をすべて取る
彼らは、有給をすべて消化します。
あたりまえのことのように聞こえるでしょうが、そうしない人もいます。
お金を積まれると、そちらを選んでしまうのです。
しかし、有給を取らないということは、時間という贈り物を受け取らないということです。
日々を楽しむ
時間持ちは、日々の体験を楽しんでいます。
フランス人は、食べることに、より時間をかけていますが、その分、ストレスは少ないです。
アメリカン人は、食事を楽しむことより、何を食べるか選ぶ方に時間を費やしています。
時間持ちは、幸せになる活動に時間を使っています。友人や家族と時間を過ごす、ボランティアをする、運動をする、など。たとえ、数分でも。
ボランティアに時間を使うのは、時間がたっぷりあると感じる最良の方法の1つです。
苦手な仕事を外注する
彼らは、苦手な仕事をアウトソーシングしているから、楽しいことをする時間があります。
私のデータによれば、嫌いなタスクをわずか40ドル(およそ4200円)支払って外注するだけで、幸せやストレスの面で大きな恩恵があります。
よけいなことをしない
時間持ちは、スキマ時間をムダなことに使いません。
通勤時間や、スーパーでのレジ待ち時間といった短い時間にできることを、リストにして、有効活用します。
友達にテキストメッセージを送ったり、母親に電話したり、電子書籍を読んだり。
今度、自分に似ている芸能人診断をやりたくなったら、代わりに、友達にテキストを送ってください。
幸福ドル(ハピネスダラーズ)というコンセプト
確保した時間に対して、お金をもらわない限り、時間を優先することはむずかしいかもしれません。
時間の価値は、お金のようにわかりやすく測れませんから。
1万ドル(およそ105万円)の昇給は、想像つきますが、30分の余分な自由時間の価値はわかりにくいものです。
わかりやすくするために、時間の価値をお金に換算する方法を開発しました。
時間を確保することで、どのぐらい幸せになったか換算します。これを私は、幸福ドル(happiness dollars ハピネス・ダラーズ)と呼んでいます。
時間を優先する選択をしたとき、収入に応じて、どのぐらい幸福になるか金額で表したものです。
リサーチから、収入の少ない人のほうが、時間を優先する選択をしたほうが、幸福度があがるとわかりました。
お金優先から、時間優先に変えると、年に2200ドル(およそ23万円)相当の幸福を得ることができます。
嫌いな仕事を外注するアイデアは、ささいなことに思えるかもしれませんが、大きな見返りがあります。
掃除や料理を外注すると、年に、13000ドル以上(およそ130万円)の幸福を得られます。
先にお話しした、時間持ちがやっている行動をすれば、より幸せになるのです。
家事などを外注して浮いた時間に、もっとお金を稼ごう、と思う人もいるかもしれません。
けれども、浮いた時間で、お金を得るために、嫌いな仕事をすると、幸福という面では、損失になります。
時間の使い方で幸せが決まる
私たちは、お金で幸福度を測ることに慣れているから、幸福ドルのコンセプトはわかりにくいかもしれません。
この練習をする目的は、お金を使うときと同じように、注意深く時間を使えば、それは、幸福を得る投資になると知ることです。
時間の価値を知るのは簡単ではありません。
人は簡単に時間を使い、むだにします。時間は簡単に奪われ、失われます。
時間貧乏という焦りを克服するには、仕事やお金を稼ぐことから、もっとたくさんの時間や良質な時間を持つことに、意識をシフトすることです。
日々の体験を楽しみ、時間を計画的に使い、やることを減らします。
幸せはここにかかっています。
//// 抄訳ここまで ////
■アシュレー・ウィランスさんの本です。
2020年10月6日発売予定です。
幸福ドルの計算方法を知りたい方は読んでみるといいでしょう。
時間に関するほかのプレゼン
時間がないんじゃなくてやる気がないだけ。大事なことに時間を使う方法(TED)
生産性をあげるためのより人間的なアプローチ:クリス・ベイリー(TED)
お金より時間を優先する生き方
忙しくて、部屋を片付ける時間がない、という人からメールをもらうことがあります。
最近の例だと、
この方⇒たくさんある仕事の書類をどうしても捨てられなくて困っています←質問の回答。
この方もそうです⇒仕事が忙しいから汚部屋なんです、この言い訳をすっぱり捨てるすすめ。
なぜ片付ける時間がないのかというと、その時間をほかの活動に充てているからです。
家の中がぐしゃぐしゃなのに、片付けをせず、ほかの活動をするのは、何よりもお金を稼ぐこと(仕事)を優先しているからです。
お金を稼ぐことが重要だと思っている人は、たいてい、物資的な幸福を追求しているので、物も多いと思います(たくさん買う、使い終わっても捨てない)。
そして、ますます部屋が散らかります。
部屋が散らかるぐらいですめばいいのですが、「時間がない」という焦りのため、多大なストレスをかかえてしまいます。
ただでさえ、仕事をたくさんしているので疲れるし、家に帰っても物だらけだから、心身ともに休めないし、人間関係も犠牲にしているし、趣味の時間を楽しむこともありません。
すると、間違ったストレス解消をしてしまい、ますます神経が疲れます。
間違ったストレス解消とは、たとえば、過度の飲酒、薬物や化学物質の乱用、甘いものの食べすぎ、過度の買い物、スマホの使いすぎ(ドラマなどをいつまでも見る、ゲームをえんえんとする)、SNSでの幸福アピール(幸せな人は、わざわざ他人にアピールしない)と他人の評価の過度のチェックなど。
その後、大きな自己嫌悪を感じます。
若いうちはまだ体力があるからいいけれど、ある程度年をとると病気になります。
大病をするかもしれません。
そのとき初めて、方向性が間違っていたと気づきます。
このシナリオだと、代償が大きすぎますよね?
「部屋がちょっと散らかっているなあ」とか、「私、物持ちすぎやんか」と思ういまのうちから、お金を稼ぐことではなく、時間を確保することに意識を向けてはどうでしょうか?
生き方は人それぞれですが、こちらの方向に行けば、部屋は片付くし、もっと楽しい毎日になります。