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実家の断捨離を効果的に行うために、親の家にたくさん物がたまる理由をさぐるシリーズ、後編です。
前編では以下の6つを紹介しました。
1.長く生きているから思い出の品が多い
2.青春時代にデジタルコンテンツがなかった
3.捨てると環境に悪いと思っている
4.捨てるのはお金がもったいないと思っている
5.ギフトやもらい物をたくさん持っている
6.時代のせいにして逃げている
ではこの続きです。
7.子供や孫の物まで持っている
実家には、そこの住む人の所持品だけでなく、大人になってもう巣立った子どもたちが使っていた物や、たまに遊びに来る孫の物がたくさん置いてあります。
これが実家の物を増やします。
持たない暮らしを目指している私ですが、娘が高校の卒業パーティに着用した赤いロングドレスをまだ持っていて、ふだん使っているクローゼットの一番右端にぶらさげています。
娘が小学校のとき書いた作文や自由研究のリポートなどを6年分集めたホルダー(卒業式でもらった)も、私のクローゼットに入っています。
両方とも不用なので、「邪魔だから、引き取ってよ」とたまに娘に言いますが、「わ~ん、そのぐらい持っててくれてもいいじゃん」と拒絶されるので、現在もまだこの家にあります。
まあ、このぐらいなら、そこまでスペースを圧迫しませんが、中には、すごくたくさん子供の物をキープしている人もいます。
たくさんありすぎて、自分が他人(家族だけど)の物までたくさん抱え込んでいることに気づいていないでしょう。
孫が遊びに来た時のための、お絵描きグッズ、工作グッズ、おもちゃ、食器をを持っている人もいるでしょうね。
そこに住んでいない人の物が実家にたくさんある責任の半分は、子どもたちにあります。
結婚して実家を出たのに、昔使っていた自分の物を、いつまでも実家に置いている人はたくさんいます。
8.生きた証(あかし)をたくさん持っている
長く生きてきた高齢者は、自分のアイデンティティ、自分の人生の価値、生きてきた証みたいなものを象徴させた物をたくさん持っています(象徴させているのは、あくまで本人です)。
たとえば、
・会社員時代に、売上目標を達成したお祝いでもらった、自分の名前入りの置き時計。
・若い頃、給料が出るたびに1つひとつ買い集めた小さなガラスの置物。
・アロマの資格を取るために夜な夜な勉強して書き留めたノートや資料。
・洋裁教室に通っていたときにばんばん作った服や小物。
もちろん、「自分という人間を表している物たち」は、若い人も持っています。
しかし、若い人は、まだ先が長いので、これまでの人生を振り返るより、この先をどうにかするほうに意識が向くため「軌跡を表している物」も、わりと捨てられます。
高齢者は終わりのほうが近いから、過去を振り返ることが多く、生きた証を捨てるのは、これまでの人生を否定する気がして、なかなかできません。
9.あきらめている
あまりに物がたくさんありすぎて、片づけるのを最初から投げている人もいます。
物だらけの実家には、驚くほど紙があります。
「いつの時代のだろ?」と思うような古いノートや本、45年分ぐらい集めた給料の明細書、印字が消えていて持っている意味のないレシートやファクスなど。
私の実家にも、もう捨てましたが、昔、母が町内会からもらった近所の地図や、大昔の郵便番号簿がありました。
母はインターネットを使わないから、郵便番号簿を持っていても不思議はありませんが、5桁時代の冊子ですから、持っていても何の役にも立ちません。
こんなふうにたくさん物があるため、最初から気持ちが負けています。
「多少は片づけたほうがいいかも」なんて考えが頭の中をかすめたとしても、「でも、すごく大変だよね。私、もう年だし無理っぽい。とても片づけられないわ。死んだら、子どもたちに適当に処理してもらえばいい。あんなに一生懸命育てたんだもの、そのぐらいのわがままは許されるはず」なんて考えて、片づけを放棄します。
10.集中力の衰え
年をとってくると、特定の脳の機能が衰えます。物覚えが悪くなる、なんて言いますよね。
私(63歳)はまだそんな自覚はありませんが、ど忘れや勘違いは増えたと思います。
ここで問題にしたいのは、集中力の衰えです。
加齢により集中力が衰えます⇒How aging affects focus – Harvard Health
若い頃より、気が散りやすくなります。
せっかく片付けを始めても、古い手紙を見つけて読みふけったり、写真を取捨選択していることを忘れて、スクラップブックを作るアイデアをスマホで検索したりします。
断捨離に必要なのは、集中力と決断力だと私は思っていますが、鍵を握る能力が衰えているため、さくさく捨てることができず、なんとなく片付けっぽいことをしているだけで、いつまでたっても不用品が減りません。
メリハリをつけて短時間に集中して行う~家の片付けをもっとラクにする工夫(その3)
11.長年しみついた買い物グセ
高齢になっても多くの人は余計な物を買い続けます。何かにつけて買い物する暮らしがすっかり習慣になっているからです。
母に最後に会ったのは、2018年の今頃で、当時母は80代なかばでしたが、地下街で、ブラウスやら何やら購入しており、「今月、買いすぎちゃったわ。てへへ」と笑っていました。
母は私より服、靴、バッグ、すべてをたくさん持っており、仮に100歳まで生きたとしても、これ以上服はいりません(筆子基準)。
周囲も買い物をする高齢者に好意的です。
高齢者をターゲットにしているメーカーや小売店はもちろんのこと、家族やまわりの人も、「ショッピングを楽しめるのは、まだまだ元気な証拠。人生を楽しんでいるのよね。けっこうなことよ」と、買いすぎをいさめることはありません。
確かに、買い物するとき、手足の運動(歩行したり、棚から物を取ったり)、適切な商品選び(選択と決断)、店の人とのコミュニケーション、支払い(お金の計算)と、認知機能をいっぱい使うから、買い物できるのは素晴らしいことです。
しかし、余計な物を買いすぎると、物だらけの部屋でつまづいて転び、骨を折って寝たきりになったりするわけですから、手放しで買い物をすすめることは、私はしません。
なぜ高齢者は転びやすいのか?その原因と対策。50代の今から予防すべし
12.さみしさゆえの買い物
退職して社会との接点をなくした高齢者は、若い人より孤独になりやすく、さみしい気持ちを埋めるために、100均などで、安い雑貨を買い込みます。
平均寿命が伸びているので、孤独な高齢者はこれからも増えていくでしょう。
核家族化や地域とのつながりが希薄になったことが、高齢者の孤独を生んでいますが、技術の進歩も、人間を孤独にしています。
お金をおろすのも振込もATMでできるし、スーパーではセルフレジ(日本のことは知りませんが)、ガソリンもセルフで給油。遠い家族との連絡も、通話ではなく、LINEによるテキスト情報のやりとり。
一人暮らしだと、誰ともしゃべらずに、何日も暮らしてしまうかもしれません。
私は1人でいるほうが、やすらげていいし、仕事もはかどる、と思うほうです。
しかし、ステイホームになって孤独を感じた人がたくさんいたようで、実際そういうメールや相談事をもらいましたから、その孤独を埋めるための買い物は今後も増えると思います。
■前編はこちら⇒なぜ実家は物だらけなのか? シニアが物をため込む理由(前編)
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実家に物がたまってしまう理由、後半の6つを紹介しました。
あえて書きませんでしたが、体力の衰えも、片付けを困難にします。
体力のあるうちに、不用品を捨てておいたほうがいいですよ。