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今回はずんだ大好きさんのリクエストに応えて、カナダの家について書きます。
ずんだ大好きさんは、「家がどんな感じか詳しく聞きたい」と書いておられましたので、私の実家とこれまで住んだカナダの家を比較して、違うところを4点紹介します。
1.日本より家が大きい
私は、今、わりと小さなスペースに住んでいるし、これまで住んだ家もそんなに大きくはありません。しかし、他人の家に訪れた体験や、外から見た印象から考え合わせるとカナダの家の平均面積は日本より大きいです。
その理由はたぶん、カナダの国土の面積が日本よりずっと大きく、かつ、人口は日本よりずっと少ないからでしょう。
国土が広いからといって、すべての土地を人間が住む場所に変えることはできませんが、それでも、日本よりは家を建てるスペースの余裕があると思います。
しかし、都市部から離れれば離れるほど生活が不便になるため、都会に住みたいと思う人のほうが多く、都会の土地の値段や家賃はきわめて高額です。
場所によっては、住宅が足りなくて、少し前に、ハウジングの問題を解決するために、留学生を受け入れる人数に線引きをしようという案がどこからか出たほどです。
家が大きいと言えば、天井が高いです。
いつも、里帰りすると、実家の天井がすごく低く感じるし、スーパーに行くと、狭く感じます。
数日たてば、慣れてそれが普通になりますが。
天井が高いだけでなく、各種カウンターも高いので、台所のカウンターは高すぎて、小柄な私にはとても使いにくいです。
かといって、踏み台を使うと、今度はカウンターが低くなりすぎます。
2.セントラルヒーティング
暖房については、過去記事に何度か書いていますが、カナダは寒冷地なので、日本よりずっと寒いです。
よって、暖房はセントラルヒーティングです。
暖房法についてはこちらの記事をごらんください⇒暖房を使わずに室内を暖かくする7つの方法
日本では、最近は床暖房などもあり、家全体が暖房する家も多いかもしれませんが、そんなことをしたら、すごく暖房費があがるので、ふつうは、ストーブやこたつを使いますよね?
私が実家にいるときは、石油ストーブとこたつで暖を取っていました。小学校2年生まで住んだ家には火鉢もありました。
火鉢といっても、若い人はご存知ないでしょうが、丸い大きな陶器の入れ物に灰と炭を入れ、その炭をおこして(火をつけて)あたたまる暖房ツールです。
Googleで画像検索をすれば、どんなものかわかると思います。
そのように、実家では、局所暖房を使っていましたが、カナダに来て住んだ家は、すべてセントラルヒーティングでした。
Quaraという質問サイトに「カナダの家はすべてセントラルヒーティングですか?」という質問がありますが(原文は英語)、その答えは、「気でも狂っていない限り、セントラルヒーティングを入れるはずだ。賃貸住宅の暖房を切ることは違法だし、これまでの人生でセントラルヒーティングのない家など見たことはない」です。
セントラルヒーティングだから、室内に限って言えば、日本のほうが寒い可能性もあります。
もう30年前、名古屋のとある英会話学校で、カナダ人の先生に英語を習っていたことがあります。
ある冬の日、その先生が、「今朝はすごく寒かったね~」と言った時、ほかの生徒が、「え~、でも先生の故郷のほうが、ずっと寒いんじゃないですか?」と言ったんです。
すると先生は、「カナダの家はセントラルヒーティングだから、朝起きたら、暖かいんだよ。でも、日本はそうじゃないから」と言ってました。
あまりに寒いので、先生はその後、故郷のお母さんに毛布だかひざ掛けだか知りませんが、暖を取るための布きれを送ってくれるようリクエストしたようです。
その時、私は、自分が将来カナダにこんなに長く住むことなど、想像すらしていませんでしたが、「外は寒くても、家の中はいつも暖かいんだ」と脳にインプットしたので、未だにこのやりとりを覚えています。
ちなみに、冬の暖房は完備されていますが、夏のエアコンはない家のほうが多いです。
だから、近年、地球温暖化のせいで、夏場すごく暑い日は、エアコンを完備している地域の集会場みたいなところに、涼みにいけるようになります。
涼みにいくというと、のんびりした感じですが、実際は、命にかかわるほど暑くなるため、お年寄りなどが、そういう場所に避難するのです。
3.お風呂に洗い場がない
カナダのお風呂には日本のように洗い場がありません。
まあ、アジアの一部の国(韓国や台湾、中国については知りません)を除いて、洗い場があるほうがめずらしいでしょう。
そもそもカナダの人は、日本人のように、毎日のように浴槽に大量のお湯をためて、入浴する習慣がありません。
私の夫も娘もほとんど浴槽に入りません。シャワーばかりです。
今、娘に「お風呂にどのぐらいの頻度で入るか?」とテキストで聞いてみたら、Literally never (全くない)という返事が返ってきました。
友達からバスボムをプレゼントされたら入ることもあるが、そうでなければ、絶対入らないそうです。
その理由は、「そんな時間はないし、バスタブに入っても、くつろげない」からだそうです。
私の夫も、全く、お風呂に入りません。
お風呂に入らず、シャワーをあびながら体を洗うので、洗い場は必要ないのです。
お風呂に入る人が少ないので、カナダのお風呂は、日本のように追い焚きもできません。
最初は、不便だと思いましたが、今は、追い焚きできないお風呂でも慣れました。まあ、自分1人しか入らないので、最初に入れるお湯の温度を低くしすぎなければ大丈夫です。
それに、飲み物のところでも書きましたが、昔は熱いお湯に入るのが好きでしたが、今は、あえてぬるめに入っています。
4.ベースメント(地下室)がある
カナダの一軒家にはBasement(ベースメント)と呼ばれる地下室があります。
厳密に言うと、完全に地下ではなく、半分は地面の上に出ている半地下室です。地面より上の部分があるので、窓から日光を取り込めます。
今、私が住んでいるのはベースメントです。
ベースメントがある一番の理由は、カナダの気候にあります。
地下凍結線(frost line)というものがあり、建築に詳しくないのでよく知りませんが、家のファンデーション(土台の部分)や下水管は、このラインより下に作らないと、冬場凍って家全体が倒れたり、下水管が凍ったりして危険です。
カナダの場合、とても寒いので、この地下凍結線が、地面から4~8フィート(1メートル20センチ~2メートル30センチぐらい)のところにあり、このラインより下に、家の土台を築く必要があります。
そのため、家を建てるときは、土地を掘って基礎を作り、地中部分のスペースは地下室にするのです。
カナダだけでなく、アメリカでも、寒い地域にはベースメントのある家が多いそうです。
ベースメントにはいろいろな種類があり、ユーティリティルーム(洗濯機や乾燥機を置く部屋)としてだけ使っている家もあります。
メインフロアより家賃が安いので、一般に、ベースメントは、貧乏人の住むところだと考えられています。
ただ、私はこのベースメントに越してきて、9年ぐらいたつし、今、娘が住んでいるのもベースメントですが、そこまで過ごしにくくはないです。
自分はベースメントに住んで、上のフロアを他人に貸すという人も、わりといます。たぶんそのほうが高い家賃を取れるからでしょう。
私がカナダに来て最初に住んだ家では、家主はベースメントで暮らしており、私ともう1人の学生はメインフロアで暮らしていました。
前の家のベースメントはとてもかび臭かったのですが、もともとこの家のベースメントは人が住むことを想定していない作りで、床はコンクリートでした。
その前の家のベースメントも、似たような感じでした。
でも、今の家や、娘の住むベースメントは、人が住めるように作ってあるので、ふつうに住めます(ベースメントを人に貸し出すためには、いくつか条件があり、それをクリアしていないと賃貸物件としては使えない)。
かび臭くもないし、明るいです。
前の家ではふつうにメインフロアに住んでいましたが、リビングルームの窓の前に大木があったため、部屋がとても暗かったのです。
今のベースメントに来たら、その時は、改装仕立てで、すごく明るいのでびっくりしました。
娘が住んでいるベースメントも、改装したばかりでとてもきれいです。
ベースメントは地下なので、メインフロアの部屋より温度は低いし、メインフロアの人が動くと、物音が聞こえてきますが、もともと私は神経質でないし、家にこだわりがないので、ベースメントでも大丈夫です。
人間は環境に慣れるので、大丈夫なのかもしれません。
むしろ、最近のように、夏場、すごく暑い日が続くと、涼しいベースメントのほうが快適です。
ただ、地下にあるので、大雨や大雪には弱いです。今の家で浸水を経験したことはありませんが、前の家で、ものすごい大雨のとき、ベースメントに少し浸水したことがあります。
それもあって、あの家のベースメントはカビ臭かったのかもしれません。でも、そのカビ臭いベースメントで、私はわりと長期間寝起きしていましたが、病気にはなりませんでした。
韓国の映画の「パラサイト」では、貧乏人一家が半地下に住んでいますが、ある日、大雨が降ってきて、家全体が浸水するシーンがあります。
あれを見た時、「他人事じゃないかもね」と思いました。
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日本の家とカナダの家の違いを書きました。
耐震設計はもちろん日本のほうがちゃんとしています。建築物はその場所の気象条件の影響を受けますから。
まあ、立派な家もあれば、ボロい家もあるし、新しい家もあれば古い家もあります。また、内陸部、山間部、湾岸沿いなど、地域によっても家の作りが違うはずです。
どの家も、その場所で住むのに適切なように作ってあるはずなので、私は家にはあまりこだわっていません。